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住宅ローンが払えない場合どうすべき?滞納し続けるリスクややってはいけないことを解説

最終更新日: 2024年06月28日

住宅ローンを払えない場合は、収入の状況に合わせた対処が必要です。支払いの条件を変更する・住宅ローンを借り換える・任意売却するなど、さまざまな方法があります。いずれにせよ金融機関への連絡が必要なので、支払いを滞納せず、早い段階で相談しましょう。

監修者

髙杉義征

髙杉義征(セカイエ株式会社元執行役員/宅地建物取引士)

株式会社日京ホールディングスの元取締役、セカイエ株式会社の元執行役員を経て、現在は株式会社ミツモアの事業部長として全体を統括。一貫して不動産業界に携わり、不動産仲介会社、不動産管理会社、不動産テック企業での経験を有する。不動産売却希望者と不動産会社をマッチングするサービスでは、執行役員として事業立ち上げからグロースまでを担当。また、不動産関連のセミナーやライブ配信にも登壇している。

住宅ローンが払えないときの解決策7つ

住宅

住宅ローンが払えなくなってしまった場合の、解決策について解説します。収入の状況によって方法は異なるものの、滞納する前に金融機関に相談すべきという点は共通です。それぞれの方法について理解しておきましょう。

家計を見直す

住宅ローンの支払いが厳しくなってきた場合は、滞納する前に家計の支出を見直し、余分な出費がないかチェックしましょう

支出は『固定費』と『変動費』に分けられます。固定費とは毎月支払う額がほぼ決まっている、住居費・水道光熱費・通信費・車の維持費・保険料・サブスクリプションなどです。変動費は毎月大きく変動する、食費・日用品費・雑費・交際費・レジャー費などを指します。

まずは固定費を見直すと、節約効果が長続きします。利用していないサブスクリプションはないか、加入している保険に無駄はないか、携帯料金を節約できないかなど、削減できるところはカットしていきましょう。

食費や交際費などの変動費は、日常生活で浪費をしていないか、徹底的に見直す必要があります。

保険が使えないか確認する

住宅ローンの返済が厳しくなってきた原因が、病気やケガで仕事に影響が出ているというケースなら、保険が使えないか確認しましょう

多くの金融機関は住宅ローンを融資する際に、『団体信用生命保険』への加入を義務付けています。団体信用生命保険とは基本的に債務者本人が死亡したときに、残債が支払われる保険です。オプションで疾病保険や癌保障を付加できるものもあります。

ほかにも自分が加入している医療保険や、労災・健保などの保証内容を確認し、使える保険があれば使いましょう。

金融機関に条件の変更を相談する

金融機関に相談しないまま支払いを延滞すると、残債と延滞日数に応じた『遅延損害金』を請求されます。延滞する前に住宅ローンを借りている金融機関に、返済条件を変更できないか相談しましょう。

相談しても借入額を減額されるわけではありませんが、返済のスケジュールを変更してもらえる可能性があります。例えば返済期間を延ばして月々の負担を軽減する、ボーナス払いをなくして月々均等な返済額にするなど、支払い方法や金額を調整する方法があるでしょう。

ただし返済のスケジュールを調整すると、総返済額は増える可能性がある点に注意が必要です。

できれば滞納する前に相談するべきですが、1回程度の延滞なら相談の余地があります。最悪の状況である『競売・強制退去』を避けるためにも、なるべく早く相談しましょう。

住宅ローンを借り換える

現在払っている住宅ローンの金利と比べて、低金利の住宅ローンに借り換えるのも一案です。現在のローンの返済予定を確認し、金利以外にも借入金額や返済期間など、総合的な観点から判断しましょう。

例えば住宅ローンを10年以上返済している場合、金利が高く設定されているケースがあります。現在支払っている住宅ローンの金利が、借り換え先よりも1%以上高い場合は、借り換えを検討しましょう。

金利の低いローンに借り換えれば、返済額の負担が軽減されます。金融機関が実施しているローン相談会などで試算してもらえるため、相談してみるとよいでしょう。

任意売却する

家を売却して住宅ローンの返済に充てようと考えても、売却価格が残債を下回ると完済できません。その場合は『任意売却』を検討しましょう。

任意売却とは住宅ローンが残っている家を売却するための、最終手段です。抵当権を外してもらわなければならないため、住宅ローンを借りている金融機関の合意が必要です。

金融機関の同意が得られれば、住宅ローン残債より売却価格が低くても、抵当権を外してもらえます。売却価格で返済できなかったローン残債の、分割返済を認められやすいというメリットがあります。

リースバックを利用する

『リースバック』とは現在住んでいる家を業者に売却し、賃貸契約を結んで住み続ける契約です。契約時に買い戻し特約を付ければ、将来的に家の所有権を買い戻せます。

リースバックは不動産会社やリースバック業者に依頼が可能です。引越し代がかからず、また家を売却したことを周囲に知られずに済みます。

売却後は『借家人』となるため、固定資産税や火災保険料など、所有者としての支払いが不要になります。しかしリースバックでの売却は、相場の7~8割の価格になり、家賃が周辺の相場よりも高くなる傾向にある点に注意しましょう。

リバースモーゲージを利用する

『リバースモーゲージ』とは自宅を担保にして、金融機関もしくは自治体からお金を借りる方法です。老後資金を調達したいシニア世代向けのサービスなので、対象年齢は55歳から、60歳からなどと決められています。

債務者が生存している間は利息の支払いのみで、債務者の死亡時、もしくは契約期間終了後に家を売却して、元本を返済します。住宅ローンから借り換えできるため、定年退職後に住宅ローンが残った場合に検討するとよいでしょう。

ただしリバースモーゲージを利用する際は、相続人全員から承諾を得る必要があります。

住宅ローンを滞納し続けるとどうなる?

事情により住宅ローンの支払いが厳しくなり、滞納を続けるとどうなるのでしょうか。金融機関からの連絡を無視し続けた場合は、最終的に『強制退去』になり家を失います。滞納の開始から強制退去になるまでの流れを紹介します。

2~3カ月後:督促状が届く

住宅ローンの支払いが滞ると、2~3カ月後に債権者である金融機関から督促状が届きます。支払いを滞納すると、返済日の翌日から『遅延損害金』が発生する上に、金利が上がるため、返済金額が大きく増えてしまうでしょう。

督促状には「滞納が続くようなら、残債と遅延損害金を一括で払ってもらう」といった予告が書かれています。

3~6カ月後:一括返済を求められる

住宅ローンの滞納が始まってからおよそ3~6カ月後に、一括返済を求められます。督促状を無視して滞納を続けていると、金融機関から『期限の利益の喪失予告通知(最終督促)』が届きます。内容は「このまま返済しないと代位弁済になる」という予告です。

それも無視していると『期限の利益の喪失に関する通知』が届きます。この場合の利益とは、分割で返済できる権利を指します。権利を喪失したため、残債を一括で返済するしかない状況です。

その後は保証会社が金融機関に対して一括返済する『代位弁済』が実行され、債権者が保証会社に替わります。代位弁済が行われたことを知らせる『代位弁済通知書』が届き、今後は保証会社から返済を求められます。

保証会社は債務者に一括返済の請求を行いながら、家を競売にかける準備を始める最終段階です。なお代位弁済が実行されるといわゆるブラックリストに載るため、新たなクレジットカードが作成できなくなります。

1年後:競売にかけられる

代位弁済された後も滞納を続けていると、『催告書』が届きます。支払金額や期限、支払われない場合は法的手続きに移行するといった内容です。

この場合の法的手続きとは『競売』です。保証会社が裁判所に申し立てて受理されると、裁判所から『競売開始決定通知』が届きます。この時点ですでに家は差し押さえられています。

裁判所の執行官と不動産鑑定士が家を訪れて現地調査を行い、物件情報をインターネットや新聞で公開するため、近隣にも状況が知られてしまうでしょう。

その後裁判所から入札期間と開札日が記載された『競売の期間入札通知書』が届きます。

最後:強制退去を命じられる

差し押さえられた家の競売が実施され、落札者が決まります。落札者が購入代金を支払ったら、『所有権移転登記』をする日までに家を立ち退かなければなりません。

「行く先がないから」「引っ越すお金がないから」といって、居住を続けることは不可能です。退去のタイミングの希望も出せません。

それでも立ち退かない場合、落札者によって裁判所に『引渡命令』『強制執行』を申し立てられてしまいます。引渡命令・強制執行が裁判所に受理されてしまえば、行く先やお金がなくても、執行官によって強制退去させられます。

なお競売で売却しても、住宅ローンの残債が残った場合は返済しなければなりません。

住宅ローンが払えなくなったときやってはいけないこと

住宅ローンが払えなくなり、滞納を続けると、前述の通り最終的に強制退去になります。住宅ローンの残債を抱えたまま、住む家を失ってしまうのです。住宅ローンが払えなくなっても、やってはいけないことについて解説します。

金融機関の連絡を無視して放置する

住宅ローンの支払いを滞納すると、住宅ローンを借りている金融機関から、電話やメール、手紙で連絡が来ます。金融機関からの連絡を放置して、滞納を続けてはいけません

本来は支払いを滞納する前に、金融機関に相談するのが理想です。しかし滞納してしまった場合、連絡を無視していても事態が悪化するだけです。

連絡を放置していると分割で返済する権利を失い、最終的には家も失ってしまいます。住宅ローンを支払えなくなったら、金融機関からの連絡を無視せず、早めに相談しましょう。

消費者金融でお金を借り入れる

住宅ローンを払うために、キャッシングやカードローン、消費者金融などでお金を借り入れてはいけません。金利が住宅ローンよりも高く設定されているため、月々の返済額が増えて、資金繰りがますます厳しくなります。

また住宅ローンの借り換えを検討する際に、キャッシングやカードローンの利用履歴をチェックされます。住宅ローンの支払いが厳しいからといって、消費者金融でお金を借り入れると、住宅ローンの審査にも影響してしまうのです。

夜逃げする

ローンの残債が支払えないからといって、夜逃げをしてはいけません。夜逃げをしてもローンの残債は減らず、逃げている間にも利子が付くので借金が増えるだけです

債権者である保証会社には、債務者の住民票の開示を自治体に請求する権利があります。そのため夜逃げをしている間は、住民票を移動しないケースがほとんどです。

しかし住民票がないと保険証が使えない・免許を更新できない・定職に就けないなど、あらゆる場面で不自由を強いられます。信用情報に傷ついたままなので、生活費の調達も困難になってしまうでしょう。

連帯保証人がいる場合は、連帯保証人の資産も差し押さえられます。連帯保証人の家まで競売にかけられる可能性があるため、人生を狂わせるほどの迷惑をかけてしまうでしょう。

住宅ローンの残債がどうしても支払えない場合は、自己破産する方法もあります。

住宅ローンが払えないときは滞納前に相談を

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住宅ローンの支払いが厳しくなってきたら、家計を見直す・使える保険がないか確認する・金融機関に支払い条件を変更してもらうなどの手段があります

住宅ローンの支払いを滞納すると、遅延損害金が発生する上に、金利が上がり返済金額が増えてしまいます。金融機関から届く支払いの請求に対して、無視を続けてはいけません。強制退去で済む家を失い、借金だけが残ってしまいます。

住宅ローンが払えなくなった場合は、滞納する前に金融機関に相談し、返済計画を見直しましょう。

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