マンションを売却するなら、少しでも高く売りたいものです。マンションの売却価格は、主に季節によって変動があります。マンションのおすすめの売り時やタイミングを見計らうポイントを解説するので、高く売りたい人は確認しましょう。
監修者
髙杉義征(セカイエ株式会社元執行役員/宅地建物取引士)
株式会社日京ホールディングスの元取締役、セカイエ株式会社の元執行役員を経て、現在は株式会社ミツモアの事業部長として全体を統括。一貫して不動産業界に携わり、不動産仲介会社、不動産管理会社、不動産テック企業での経験を有する。不動産売却希望者と不動産会社をマッチングするサービスでは、執行役員として事業立ち上げからグロースまでを担当。また、不動産関連のセミナーやライブ配信にも登壇している。
マンション売却におすすめの季節は2~3月
マンション売却におすすめの時期は2~3月とされています。新生活が始まる時期であり、マンションの需要が高まるためです。
しかし2~3月にマンションを売ろうとする場合、遅くとも12月には動き始める必要があります。マンションの売却には、通常3カ月から半年かかるためです。
マンションの売却にあたっては、不動産会社と媒介契約を締結する必要があります。そのため12月より前に情報収集を始めておき、いくつかの不動産会社へ、問い合わせを行いましょう。
マンションの売却タイミングを判断するポイント
季節以外にもマンションの売却額を上下させる要因は、いくつもあります。マンションの売り時を見極めるために考慮すべきポイントを、5つ確認しましょう。
最新の相場状況的に高く売れる見込みがあるか
相場の状況という観点では、直近はマンションを売るにはよいタイミングといえます。ここ10年間において、中古マンションの成約単価は右肩上がりであるためです。首都圏の中古マンションの成約㎡単価と、新規登録㎡単価がいずれも伸び続けています。
また住宅ローンの金利が低いと、家を買いやすくなるため需要が高まるのが一般的です。しかし低金利がずっと続く保証はないため、経済ニュースは頻繁にチェックしましょう。
経済情勢はあくまで一般的な傾向であるため、自分が所有するマンションの売り時が、経済情勢と一致するとは限りません。自分でも継続的に、相場や査定価格を確認するのが重要です。
築年数が10年未満か10年以上か
築年数は浅い方が高い価格で売れる傾向にあります。築10年未満かそれ以上かは、価格の分かれ目です。
新築から築10年程度までは建物の劣化はほとんどなく人気なため、希望の金額で成約しやすくなっています。
一方で築10年から20年のマンションは、少し価格が下がるものの建物の劣化は少なく、買い手にとってはリーズナブルに買えるので、人気が高まっています。
しかし築20年を超えると古さが目立つため、高値で売るには工夫が必要です。とはいえ昨今はリノベーション需要もあるので、アピールポイントを作れば、売却は見込めます。
大規模な修繕をする時期にかぶっていないか
大規模修繕を控えているなら、終わってから売るのがおすすめです。修繕時期と重なるとチラシ用の写真が不格好になるだけでなく、騒音なども発生するため居住環境が悪化してしまいます。
大規模修繕後であれば見た目もきれいになっており、チラシにも『20○○年修繕済み』と記載できます。さらに写真映えもするため、訴求力がアップするでしょう。
大規模修繕の周期は一般的に12~15年程度です。修繕時期が迫っていないか、マンションの管理組合に確認しましょう。
所有期間が5年以上たっているか
築年数は浅いほど高値で売れますが、築年数が浅いと売却時の税率が高くなるので、注意が必要です。
所有期間5年以下で売ると短期譲渡所得として所得税が30.63%(復興特別所得税込)、住民税が9.0%かかります。しかし5年を超えてから売ると、長期譲渡所得として所得税が15.315%、住民税が5%に減額される決まりです。
税率が約2倍に変わるため、所有期間があと少しで5年を超えるのであれば、少し待ってから売る方が、手元に残るお金を増やせる可能性が高いでしょう。
投資用マンションの場合、減価償却期間も判断ポイント
投資用マンションの売却を検討している場合、マイホームと比べて考えるべき要素が増えます。投資用マンションを売却する際に、考慮するべきポイントを見ていきましょう。
減価償却期間を過ぎると税額が上がる
投資用マンションを売るなら、減価償却期間が過ぎる前に売るのがおすすめです。減価償却期間を過ぎると、経費に計上できる金額が減り、税金が高くなるためです。
また減価償却費がローンの元金返済額を上回ると、超えた部分は経費に計上できなくなります。これが『デッドクロス』という状態です。
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)・鉄筋コンクリート造(RC造)のマンションの減価償却期間は47年のため、あまり心配はいらないでしょう。
しかし木造住宅の減価償却期間は22年のため、2000年前後に建てられたマンションは早めに売却した方がよいかもしれません。
運営負担や入居状況も考慮
市場環境だけでなく自分が運営する上での負担が大きいのであれば、それが売却すべきタイミングというケースもあります。
投資用マンションは管理会社に管理を委託しているのが通常です。しかし賃貸に出していると、建物の管理は管理会社に、賃貸のやりとりは賃貸管理会社に依頼するというケースもあります。
管理費用や管理会社とのやりとりが負担になっているのであれば、売却した方がストレスから解放される可能性もあるでしょう。
また高値で売るという観点では、入居者が入っていた方が高く売れる傾向にあります。とはいえ満室時は内覧ができないため、価格が下がる可能性があります。投資用のマンションを高値で売るには専門的な知識も必要なため、不動産会社に相談するのがよいでしょう。
マンション売却は不動産会社に相談しよう
マンションの売却におすすめの時期は、新生活が始まる2〜3月です。さらに直近の状況では中古物件の売買価格が上昇傾向にあり、高値で売りやすい時期といえます。
しかしマンションの売却額を左右する要素はほかにもあり、最終的な売り時の判断は自分で行う必要があります。マンションを高く売るなら、早くから不動産会社と緊密な連携を図り、ここぞというタイミングで売れるよう準備を進めましょう。