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土地の査定方法!査定額の決まり方や売却の流れ、不動産会社の選び方を解説

最終更新日: 2024年06月28日

土地の査定を不動産会社に依頼する前に、自分で土地の相場を把握しておくことがおすすめです。土地の価格の調べ方や、不動産会社による査定方法の種類、土地の査定額を左右する要因など、土地の査定について解説します。

監修者

髙杉義征

髙杉義征(セカイエ株式会社元執行役員/宅地建物取引士)

株式会社日京ホールディングスの元取締役、セカイエ株式会社の元執行役員を経て、現在は株式会社ミツモアの事業部長として全体を統括。一貫して不動産業界に携わり、不動産仲介会社、不動産管理会社、不動産テック企業での経験を有する。不動産売却希望者と不動産会社をマッチングするサービスでは、執行役員として事業立ち上げからグロースまでを担当。また、不動産関連のセミナーやライブ配信にも登壇している。

土地の査定方法1.自分で土地の価格を調べる方法

土地の査定

自分で土地の価格を調べる方法は3種類あります。公的機関が発表する土地の価格を参考にして、目安を計算する方法です。実勢価格とは異なるため、あくまでも目安として把握しておきましょう。

公示地価・基準地価から計算する

土地の公示地価か基準地価が分かれば、土地のおおよその価格が把握できます

公示地価とは地価公示法に基づき、国土交通省が毎年公表している地価の基準です。毎年1月1日時点の価格を、3月に発表しています。2023年の地価公示では、全国2万6,000地点で実施されました。

基準地価とは国土利用計画法施行令第9条に基づき、都道府県知事が毎年公表している地価の基準です。毎年7月1日時点の価格を、9月下旬に公表しています。

どちらも国土交通省の『標準地・基準地検索システム』から検索できます。

計算方法は『公示価格or基準地価 × 土地の面積 × 1.1or1.2』です。1.1もしくは1.2をかけるのは、実勢価格に近づけるためです。

参考:標準地・基準地検索システム~国土交通省地価公示・都道府県地価調査~検索地域選択(都道府県)|国土交通省

相続税路線価から計算する

公示地価・基準地価以外にも、相続税路線価を調べれば、土地のおおよその価格が自分で計算できます

相続税路線価とは相続税や贈与税を、便宜的・公平に計算するため、国税局が決めた基準で、『路線価』ともいわれます。土地が面している道路ごとに価額が決められている点が特徴です。毎年1月1日時点の価額が、7月に発表されています。

相続税路線価は国税庁のホームページから確認可能です。

計算方法は『相続税路線価×面積÷0.8×1.1or1.2』です。公示地価・基準地価と同様に、実勢価格に近づけるために1.1もしくは1.2をかけています。0.8で割っているのは、相続税路線価が公示価格の8割を目安に決められるためです。

参考:財産評価基準書|国税庁

固定資産税評価額から計算する

自分で土地の価格を調べる際は、固定資産税評価額から計算することも可能です

固定資産税評価額とは、市町村(東京23区のみ東京都)が固定資産税の額を決定する際に、基準とする土地評価額です。公示価格の7割を目安として定められており、3年に1度評価替えが行われます。

固定資産税評価額は土地の所有者に納税額を知らせる『固定資産税納税通知書』の、課税明細書に表記してあります。毎年送られてくるため、簡単に確認できるでしょう。

計算方法は『固定資産税評価額÷0.7×1.1 or 1.2』です。0.7で割るのは固定資産税評価額が公示価格の7割を目安に決められるためで、1.1or1.2をかけるのは実勢価格に近づけるためです。

土地の査定方法2.不動産会社に査定してもらう

不動産会社が行う査定には2種類あります。どちらも無料のケースが多いため、目的に合わせて依頼しましょう。

机上査定(簡易査定)

不動産会社が持っているデータを始め同様の不動産の取引実績、近年の価格動向などから査定価格を算出する方法が、机上査定または簡易査定です

上記で解説した公示地価・基準地価や相続税路線価などと合わせて、近隣の類似物件の相場や、景気の動向などを基にして算出します。

実際の土地を見ずに査定するため、数日程度で査定額が算出される点がメリットです。早い不動産会社だと即日~3日程度で、査定額が知らされます。

データしか考慮されていないため、精度が落ちる点がデメリットです。

ざっくりとした相場を把握したい人や、複数の不動産会社を比較検討する際の参考にしたい人に向いています。

訪問査定

訪問査定とは不動産会社が実際に現地を訪れ、調査を行って査定価格を算出する方法です

訪問査定の際は、不動産会社が土地や建物を実際に見て、建物の様子や近隣の状況をチェックした上で、査定額を算出します。

査定額の精度が高い点がメリットですが、算出までに7~10日ほどと、机上調査よりも時間がかかる点がデメリットです。なお土地に建物がある場合は、立ち会う必要があります。

いくつかの不動産会社に簡易査定を依頼し、その中からさらに絞り込んだ不動産会社に訪問査定を依頼しましょう。

土地の査定額を左右する要因

土地の査定額は、活用しやすい土地は高くなり、活用方法が限られる、少ない土地は低くなります。どのような要因が活用しやすいかどうかを決めているのか、把握しておきましょう。

面積

多くの場合、土地の面積が広いと活用用途が多いため、査定額が上がります

例えば、マンションが建築できる面積がある土地は、戸建て分の面積しかない土地よりも活用用途が広がるため、高い査定額が期待できるでしょう。

しかし土地の場所によっては、面積が広くても査定額が下がるケースがあります。土地の場所が『第一種低層住居専用地域』や『市街化調整区域』など、建物に関する制限が厳しい『用途地域』の場合です。

用途地域はマンションが建てられない・商業施設が建てられないなど、さまざまな制限があるため、活用用途が限られるためです。用途地域については後述します。

形状

土地は形状によって、活用しやすい・しづらいが決まるため、査定額を左右する要因になります。『整形地』と『不整形地』について把握しておきましょう

正方形や長方形のように、整っている土地の形状が整形地です。整形地なら建物が建てやすく、駐車場や出入り口を配置しやすいため、査定額が上がります。

台形や旗竿地、狭小地など、いびつな形状の土地が不整形地です。建物の間取りに影響を与える上、駐車場や出入り口を配置しづらい点がマイナス要素となり、査定額が下がります。

日当たり

日当たりは建物を建てる際に重要なので、査定額に影響を与えます

建物を建てた際、道路側の窓から採光するため、土地が道路に接している向きをチェックされます。査定額は南・東・西・北の順に下がっていくことを覚えておきましょう。

しかし道路が評価のよい南側に面していても、高い建物があり日当たりが悪くなっている場合は、査定額が下がります。

また現状で日当たりがよい状態でも、周辺の開発により、高い建物を建設予定で日当たりが悪くなりそうな場合、査定額が下がります。

間口・奥行き

土地の間口や奥行きも、査定額を左右する要因になります

土地が道路に面する幅である間口が広いと、査定額が上がります。出入りしやすい建物が建設でき、日当たりもよくなるためです。間口が広い土地は、建物と駐車場、出入り口が設置しやすく、活用しやすい土地だと判断されます。

間口が狭く、間口に対して奥行きが長すぎる土地は、出入りしづらいと判断されるので、査定額が下がります。駐車場や玄関を設置する自由度が低くなり、工夫が必要になるためです。

接している道路

土地がどのように道路に接しているかも、土地の査定額に影響を与えます

2つの道路が交差してできた角に接している土地を『角地』といい、2つの道路に挟まれて接している土地が『二方路地』、土地の1面のみが道路に接している土地が『中間画地』です。

角地と二方路地は日当たりがよく、2方向から出入りできるため、使い勝手がよいと判断され、査定額が上がります。

また接している道路が舗装してあるかどうか、高低差があるかどうかによっても、査定額が変わります。舗装してある公道に接している土地は査定額が高くなり、道路と土地に高低差がある土地は下がることを覚えておきましょう。

最寄り駅までの距離

土地から最寄り駅までの距離も、土地の査定額を左右する要因になります

最寄り駅まで近い土地は利便性が高いと判断されるため、査定額が高くなります。査定時の評価は、駅から徒歩10分を基準とし、近いと加点、遠いと減点です。不動産広告の基準では、徒歩1分で80m進むと決められています。

なお駅から徒歩圏外の場合は、バス停との距離、及び、バスの運行頻度も評価対象になります。

用途地域

土地が『用途地域』であるかどうかは、活用しやすいかどうかに大きくかかわるため、査定に影響を与えます

用途地域とは住居・商業・工業で使用用途を分け、建築できる建物の大きさや用途が決められている地域を指します。

住居や事業などで幅広く活用できる土地は、査定額が上がりますが、規制が厳しい用途地域にある土地は、査定額が下がることを覚えておきましょう。規制が厳しいと、建物の自由度が低く、活用用途が狭い土地だと判断されるためです。

用途地域は自治体のホームページか、国土交通省の国土数値情報ダウンロードサイトで調べられます。また用途地域マップの利用や、検索エンジンで『(地名) 用途地域』と入力して検索することもできます。

参考:国土数値情報 | 用途地域データ|国土交通省

近隣の嫌悪施設の有無

土地を活用するためには、安心して過ごせる環境であるかどうかも重要なので、嫌悪施設の有無も土地の査定額を左右します

嫌悪施設とは生活・健康・風紀や治安に支障を来す恐れがある、もしくは不快感や嫌悪感につながる恐れがある施設を指します。代表的な嫌悪施設は、墓地・ガソリンスタンド・下水処理場・風俗店・イベント会場・事故物件などです。

上記の施設の存在が、嫌悪感につながるかどうかは買い手によってまちまちです。しかし「近隣にあると、気にする人がいる可能性が高い施設」として、嫌悪施設が査定額に影響を与えることを覚えておきましょう。

不動産会社の査定を受けるときの流れ

不動産会社の査定を受ける際は、基本的に机上査定を複数受け、その中から不動産会社を選んで訪問査定を依頼します。それぞれの査定を依頼する流れについて、解説します。

机上査定(簡易査定)を依頼

土地の売却を検討している場合、まずは複数の不動産会社に机上査定を依頼しましょう。土地の相場感がつかめる上に、不動産会社の対応を確認できるためです。

机上査定を依頼する際は、『面積、形状、日当たり、間口・奥行き、接している道路、最寄り駅までの距離、用途地域、近隣の嫌悪施設の有無』を伝えましょう。査定の精度が上がる可能性があるためです。

買い取りを依頼したい不動産会社が決まっている場合は、机上査定を省略してもかまいません。しかし複数の不動産会社に依頼すると、正確な相場感がつかめるため、受けておくとよいでしょう。極端に高額・低額な不動産会社は、避けておくか、なぜその価格なのか理由を提示してもらうことをおすすめします。

不動産会社を選んで訪問査定を依頼

机上査定で信頼できる不動産会社を見つけたら、訪問査定を依頼します。土地に建物がある場合は、基本的に立ち会いが必要なので、訪問日を調整して決めましょう。立ち会いの要不要は、依頼する際に確認しておきましょう。

不動産会社が現地調査をする際は、担当者が土地の形状や日当たり、接している道路などを、プロの目で実際にチェックします。

土地や建物にマイナス要素がある場合は、訪問査定の時点で伝えておくと、売却後のトラブル予防になります。

土地の査定前の準備

土地の査定を不動産会社に依頼する前に、必要な準備を紹介します。少しでも高く、スムーズに売却するために、事前準備をしっかりしておきましょう。

売却相場を把握する

机上査定や訪問査定で不動産会社が提示してくる査定額が、適正かどうかを判断するために、おおよその売却相場を把握しておきましょう

土地の価格を自分で調べる方法は『土地の査定方法1.自分で土地の価格を調べる方法』で解説した通りです。自分で土地の価値を調べ、目安となる価格を把握しておきましょう。

もしくは一括査定を使って、複数の不動産会社に机上査定を依頼して、相場感を把握する方法もあります。

少しでも高く土地を売るためには、本格的に土地を売る行動を起こす前に、売却相場を知っておくことが大切です。

必要書類を集める

土地を売却する際に、必要な書類を集めておきましょう。不動産会社に査定を依頼する時点では、必ず用意しなければならない書類はありませんが、用意しておくと査定の精度が上がります

土地を査定する前に用意しておくとよい書類は、以下の通りです。

  • 固定資産税納税通知書または固定資産評価証明書
  • 登記済権利証または登記識別情報通知書
  • 地積測量図・境界確認書・確定測量図
  • 地盤調査報告書・売買契約書・重要事項説明書

なお土地に住宅が建っている場合は、住宅に関する下記の書類も用意しておくとよいでしょう。

  • 住宅瑕疵担保責任保険の保険付保証明書
  • 建物状況調査報告書
  • 住宅履歴情報が分かる書類
  • 既存住宅にかかる建設住宅性能評価書

訪問査定前に必要書類を不動産会社に確認しておくと、売却の段階になって慌てずに済むので安心です。

土地の所有者名義を確認する

不動産の売却は、名義人本人以外には認められていないため、土地の所有者名義を確認しましょう

査定を依頼した時点で、土地の所有者名義を不動産会社から確認されます。査定を依頼した人が名義人本人でない、もしくは名義人から依頼を受けていない場合、査定を受けてくれる不動産会社と受けてくれない不動産会社があります。

査定の時点で土地の名義が自分でない場合は、不動産会社に事情を説明し、売買契約を結ぶ前に名義変更をしておきましょう。

土地を最低限きれいにする

土地が少し汚れている程度では査定に影響は出ませんが、最低限でもきれいにしておけば、不動産会社は「管理されている土地だ」と判断します。

特に放置していた土地を売却する場合、雑草が生え放題になっていると、不動産会社に「荒れた土地だ」と判断されるばかりか、不法投棄をされている可能性もあります。

査定を依頼する前に、土地に生えている雑草や捨てられているごみを片付け、最低限きれいにしておきましょう

土地の種類別の注意点

売却しようと考えている土地が、古家付き土地・借地権付きの土地・農地・市街化調整区域にある土地の場合、注意が必要です。それぞれの注意点について、詳しく解説します。

古家付き土地

古家付き土地とは、中古戸建てとしての利用が難しく、資産価値がない古い家が建ったままの状態で販売されている土地を指します。古家がある土地は、古家付き土地として売るか、更地にして売るかの2択です。

更地にすると解体費用がかかる上に、住宅用地でなくなるため、固定資産税や都市計画税が高くなってしまいます。その点、古家付き土地として売却すると、解体するコストがかからず、古家付き土地は固定資産税が更地の1/6なので、固定資産税を節税できます。

しかし古家付き土地として売却する場合、解体費用を考慮して、売却価格を安くしなければならない点に、注意が必要です。

解体費用は一般的に、100坪当たりおよそ300万円かかるため、買い手が見つかりにくい可能性が高くなってしまいます。

借地権付きの土地

借地権付きの土地は底地ともいいます。借地権が設定され、借地人所有の建物が存在している土地のことです

たとえ自分が所有者であっても、借地人が住んでいるため自由に活用できません。借地権の土地として売却できますが、『活用できない・収益性が低い・借地人とトラブルになる可能性がある』特性があるため、買い手を見つけるのは困難だといえます。

借地権付きの土地を売却したい場合は、借地人に買い取ってもらうか、専門の不動産買い取り業者に買い取ってもらうなどの方法を取るとよいでしょう。

農地

農地を売りたいと考えている場合、決められた相手にしか売却できない点に注意が必要です

農地法により、農地は地域の農業委員会に許可を受けた農家や農業従事者にしか、売却できません。例えば農家ではない人には売却できず、これから農業を始める人に対しても、すぐには売却できないのです。

農地を売却する場合、農地のまま売却するか、自治体の許可を受け、農地以外の地目に転用して売却するしか方法がありません。

農地以外の地目に転用することを『農地転用』といいますが、農用地区域内農地・甲種農地・第一種農地のように、農地転用が認められていない農地もあります。

市街化調整区域にある土地

市街化調整区域とは、市街化を抑制するため、住宅や商業施設の建設が認められていない地域です。市街化調整区域にある土地は活用方法が少ないので、売却しづらい点に注意が必要です。

市街化調整区域にある土地の売却を考えているなら、市街化調整区域の売買に強い不動産会社への売却を検討しましょう。もしくは買ってくれる農家がいそうな場合は、農地として売却する方法もあります。

土地査定は信頼できる不動産会社に依頼しよう

土地の売却を考えている場合、まずは自分で土地の価格を調べ、おおよその目安をつかんでおきましょう。

不動産会社が土地を査定する方法は、机上査定と訪問査定の2種類があります。気軽に依頼できる机上査定を複数社の不動産会社に依頼し、その中で信頼できると判断した不動産会社に、訪問査定を依頼するとよいでしょう。

自分で土地のおおよその価格や、査定額を左右する要因について把握しておくと、信頼できる不動産会社を探しやすくなります

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