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離婚で家を売却するには?不動産と住宅ローンの正しい分け方

最終更新日: 2024年04月11日

離婚で家を売る場合、夫婦それぞれの取り分の考え方を理解する必要があります。また適した売却のタイミングが分かれば、離婚後のトラブルも減らせるでしょう。離婚で家を売却する際に知っておきたいポイントを詳しく解説します。

離婚時は不動産も含めて夫婦で50%ずつ分ける

離婚時に夫婦で財産を分ける場合、基本的にそれぞれの取り分は50%です。しかし不動産はそのまま分割できないため、売却して現金を分ける方法と、片方が住み続けてもう片方が現金を受け取る方法のいずれかで分けます。

家庭の状況や夫婦それぞれの事情により、離婚後の財産分与の形はさまざまです。自宅が財産分与の対象になる理由を理解した上で、離婚時に不動産を夫婦で分ける2つの方法について見ていきましょう。

マンションや戸建てが財産分与の対象である理由

財産分与とは夫婦が婚姻中に協力して築いた財産を分けることです。婚姻中に夫婦で築いた財産は『共有財産』と呼ばれ、名義に関係なく財産分与の対象になります。共有財産に該当する代表的なものは次の通りです。

  • 現金・預貯金
  • 不動産
  • 生命保険の解約返戻金
  • 年金
  • 退職金

婚姻中に購入した不動産は共有財産に該当するため、財産分与の対象になります。

一方で夫婦が協力して築いたわけではない財産は『特有財産』と呼ばれ、財産分与の対象外です。結婚前に自分自身で購入したものや、親から譲り受けたものなどが当てはまります。

売却して現金を分けるケース

夫婦のどちらも今の家に住み続けるつもりがない場合は、離婚時に売却して現金を分ける方法が、最もシンプルです。現金なら50%ずつ分けられるため、財産を夫婦で公平に分配できます。

お互いの新生活に必要な資金をつくれることも、不動産を現金化して分けるメリットです。離婚後はお互いにお金が必要になるため、自宅を売ったお金を2人で分ければ、それぞれが新たな人生のスタートを切りやすくなるでしょう。

夫婦のどちらかが家に住み続ける場合、離婚時に住宅ローンが残っていると、離婚後も何かと連絡を取り合う機会が発生します。しかし家を売却してローンを完済できれば、元パートナーとの面倒なやりとりは不要です。

住み続けて片方が現金を受け取るケース

子どもが転校を嫌がっている場合や、夫婦の片方が今の家を離れたくない場合は、夫婦のうち住み続ける方に住まいを譲ることになります。

このようなケースでは引き続き住む方が相手に対し、現金を渡すのが一般的です。自宅の評価額を専門家に算出してもらい、評価額の半分に相当する現金を相手に渡します。

住み続ける方は現物のまま不動産を所有できますが、相手に渡す現金を用意しなければならないため、多額の自己資金が必要です。現金を用意できない場合は、他の財産のうち自分が受け取る予定のものを、現金の代わりに渡す方法もあります。

離婚時に不動産を財産分与しなくていい事例

夫婦が協力して築いたわけではない財産は、離婚時の財産分与の対象にはなりません。離婚時に不動産を財産分与しなくていい事例を紹介します。

結婚前から持っていた場合

夫婦のどちらかが結婚前から持っていた不動産は、夫婦で協力して築いた財産ではないため、財産分与の対象外です。結婚前に自分のお金で購入した不動産や、親から相続した不動産などが該当します。

ただし結婚前から持っていた不動産の住宅ローンを、結婚後も引き続き支払っている場合は、ローンを支払った分が財産分与の対象になる可能性があります。婚姻中のローン支払い額の割合を計算し、その割合に応じて財産分与を行わなければなりません。

住宅ローンが残っているときの分け方

離婚時に家の住宅ローンが残っている場合、売却してローンを完済できるかどうかで、考え方が変わってきます。アンダーローンとオーバーローンのそれぞれのケースを見ていきましょう。

アンダーローンの場合

アンダーローンとは不動産の売却額が住宅ローンの残債を上回ることです。売却額で住宅ローンや売却時の諸費用を支払い、残ったお金が売却益となります。

売却益は財産分与の対象となるため、夫婦で分配すれば問題ありません。アンダーローンで売却できる場合は、家を残さずに売却益も夫婦で分配できる、最も理想的なケースです。

購入してからある程度の期間が経過している家なら、住宅ローンの残債が少なくなっていることが多いため、アンダーローンで売却できる確率が高くなります。

オーバーローンの場合

不動産を売却してもローンを完済できないことを、オーバーローンといいます。オーバーローンの家を売る場合は、足りない分を夫婦の自己資金で補うのが一般的です。足りない分が支払えないケースでは、オーバーローン専用のローンを利用できる場合があります。

オーバーローンの家を売るために、任意売却を選択することも可能です。金融機関の了承を得て抵当権を解除し、不動産を売る方法が任意売却です。任意売却はローン返済の滞納が条件の1つとなるため、個人の信用情報に傷が付くリスクがあります。

いずれにしてもオーバーローンの場合は、不動産を売却したところで利益が残らないため、財産分与は行えません

ローンが残っている家に片方が住み続ける場合、ローンの名義人ではない方が家に残るケースでは、名義人の返済が滞ると家に住み続けられなくなるリスクがある点に注意が必要です。

そのまま住み続けたい場合の選択肢としては、不動産会社・ファイナンス会社に売却した後に家賃を支払って住む『リースバック』もあります。ただしリースバックの利用は、ローンを完済することが条件です。

また、夫婦が互いに連帯保証人になるペアローンを組んでいたケースでは、対処が難しくなる可能性を覚えておきましょう。ペアローンでは2人で返済することと同時に、2人で住んでいることが条件になっています。売却やローンの一本化は金融機関に相談しなければなりません。

離婚前と離婚後のどのタイミングで売る?

離婚時に不動産の売却を検討している場合、離婚前と離婚後のどちらで売るのが適しているのか分からない方も多いでしょう。売却のタイミングによるメリット・デメリットを紹介します。

離婚前に売却するメリット・デメリット

夫婦が住んでいた家を売却する際は、売れるまでに相手と連絡を取り合う必要があります。離婚前に売却しておけば、離婚後に相手とやりとりしなくて済むことがメリットです。

離婚後に不動産を売ろうとする場合、相手との連絡が取りにくくなるため、何かとトラブルが発生しやすくなります。離婚後に精神的な負担を抱えたくないという方にも、離婚前の売却がおすすめです。

ただし離婚前の売却では早く売ろうとするあまり、売却価格を妥協しやすくなります。できるだけ高く売りたい場合は、離婚前の売却は向かないでしょう。

離婚後に売却するメリット・デメリット

離婚の手続きで忙しくなりやすい離婚前に比べ、離婚後は落ち着いて不動産の売却活動に取り組めます。じっくりと売却を進められるため、高く売れやすいことがメリットです。

また不動産の売却には時間がかかることから、売れた後に離婚しようとすると、なかなか離婚できない状況に陥りかねません。すぐに離婚したい場合は離婚後の売却がおすすめです。

離婚後に売却するデメリットとしては、離婚後も相手とやりとりを行わなければならないことが挙げられます。離婚後に相手と距離を置きたい場合は、離婚前に売却を済ませましょう。

離婚で不動産を売る流れ

不動産の売却は基本的な流れが決まっています。離婚で不動産を売却する流れを理解し、各プロセスの手続きをスムーズに進めましょう。

不動産会社に査定を依頼する

不動産を売却する場合は不動産会社に査定を依頼するのが一般的です。まずは短期間で結果が出る簡易査定を依頼し、続いて現地調査を実施する訪問査定を受けます。不動産会社の査定は基本的には無料です。

査定価格は不動産会社ごとに異なるため、複数の会社に査定を依頼し、結果を比較しましょう。自分でも相場を調べておけば、査定価格を判断する際に役立ちます。

不動産会社を絞り込む際は、簡易査定の段階で査定価格を比較するのがおすすめです。訪問査定を依頼する業者を数社に絞り込めば、現地調査の立ち合いにかかる時間や手間を削減できます。

媒介契約を結ぶ

売却を依頼する不動産会社を絞り込んだら、不動産会社と媒介契約を締結します。媒介契約には3種類あり、基本的には売り主が自由に決められます。

1社の不動産会社のみに仲介を依頼する契約形態が、専属専任媒介契約専任媒介契約です。売り主が独自に買い主を見つけた場合、専属専任媒介契約では不動産会社を通して販売しなければなりませんが、専任媒介契約では買い主と直接売買契約を結べます。

複数の不動産会社に売却を依頼できる契約形態が一般媒介契約です。購入希望者を集めやすいメリットがあります。レインズへの登録が義務付けられていないため、不動産の売却を近隣に知られたくない方にもおすすめです。

専属専任媒介契約と専任媒介契約は、1社が販売に専念してくれることから、早く売りたい場合に向いています。一方の一般媒介契約は売却価格を上げたい場合におすすめです。

売却して財産を分ける

不動産の買い主が決まったら売買契約を結びます。夫婦の共有名義になっている場合は、売買契約書に夫婦両方の署名押印が必要です。決済・引き渡しを経て売却が完了します。

不動産会社の仲介で買い主が見つかった場合は、不動産会社に仲介手数料を支払わなければなりません。

不動産の売却後に利益が残ったら、夫婦で財産を分けることが可能です。分割割合を2人で決めている場合は、その割合に従って売却益を分けましょう。

確定申告をする

不動産を売却して利益を得た場合、利益に対して譲渡所得税が発生することがあります。譲渡所得税がかかる場合は確定申告が必要です。

また不動産を売却せずに譲渡する場合も、不動産の価値が購入時より上がっていれば、価値が上がった部分に対して譲渡所得税がかかります。

なお離婚時の財産分与においては、財産を受け取る側には基本的に税金はかかりません。ただし受け取る財産の金額が大きい場合は、課税されるケースもあります。

離婚後の家の売却方法を理解しよう

離婚時の財産分与では財産を50%ずつ分けるのが一般的です。不動産を財産分与する場合、売却して現金を分ければ財産を公平に分配できます。

住宅ローンが残っている不動産については、売却後にローンを完済できるなら、売却益が財産分与の対象になります。

離婚前・離婚後に売却するメリット・デメリットや、離婚で不動産を売る流れも理解し、離婚時の不動産売却をスムーズに進めましょう。

不動産を売却する

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