マンションを高く売るためには査定について知ることが大切です。査定の種類や見られるポイント、事前に行うべき準備を知っておくことで納得のいく価格でマンションを売却できる可能性が高くなります。
本記事ではマンション売却で行う査定について、種類や注意点等を解説します。
監修者
髙杉義征(セカイエ株式会社元執行役員/宅地建物取引士)
株式会社日京ホールディングスの元取締役、セカイエ株式会社の元執行役員を経て、現在は株式会社ミツモアの事業部長として全体を統括。一貫して不動産業界に携わり、不動産仲介会社、不動産管理会社、不動産テック企業での経験を有する。不動産売却希望者と不動産会社をマッチングするサービスでは、執行役員として事業立ち上げからグロースまでを担当。また、不動産関連のセミナーやライブ配信にも登壇している。
マンション売却で損をしないためには査定が重要!
マンション売却で損をしないためには、まず査定について知る必要があります。
マンション売却の査定について簡単にまとめると以下の通りです。
査定の種類 | 特徴 |
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簡易査定(机上査定) |
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訪問査定 |
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ネットで複数社に簡易査定の依頼をし、査定が出たら数社に絞り込んで訪問査定を受け、契約する不動産業者を選ぶことが多いです。
また査定は仲介を前提としているのか、買取を前提にしているのかによって査定額の受け取り方が変わります。
査定の種類 | 特徴 |
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仲介を前提とした査定 |
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買取を前提とした査定 |
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仲介でマンションを売買する場合、売却価格は必ずしも査定額に近いとは限りません。なぜなら買主が不動産会社ではない第三者で値引き交渉等もあるためです。そのため査定額だけで仲介依頼を出すのは早計です。
買取が前提の査定であれば不動産会社から「この価格であれば購入したい」という意思表示なので、査定額と実際の売却額が大きく変わることは稀です。買取を前提としているのであれば、査定額が最も高い不動産業者に売却して問題ありません。
マンションの査定を受ける前に知っておきたいこと
マンションの売却活動の第一歩は査定を受けることです。とはいえやみくもに査定を受ければよいというわけではありません。
マンション売却の査定を受ける前に知っておきたいことを4つご紹介します。
なるべく早めに査定を受ける
マンションは売却活動を開始してから3~6ヶ月で引き渡しまでが完了することが多いです。これはあくまで平均値なので、マンションの条件によっては6か月以上経過しても売却できないケースもあります。
マンションを売却しようと思ったらなるべく早く査定を受けて、売却の準備を始めましょう。近年は中古マンションでも売れ行きがよいとはいえ、築浅物件の方が売れ行きは良いです。早くから売却準備を始めることで価値の高い状態での売買が可能になります。
仲介査定か買取査定か
マンションを売却する方法は2通りあります。売却相場に近い価格で少しでも高く売りたいのであれば仲介、素早く確実に現金化したい場合は買取を選ぶことが多いです。
仲介と買取の大きな違いは買主が個人か不動産会社かという点です。
仲介での査定は買主ではない不動産会社が査定額を出すので、必ずしもその値段で売却できるかは限りません。そのため、最高額の査定額を出したからと媒介契約を結ぶのは推奨できません。仲介で売却活動をするのであれば、査定額をもとに媒介契約を結ぶ不動産会社を見極める必要があります。
一方買取であれば、査定額がほぼそのまま売却額になります。仲介での売却相場の約7割の価格での売却になりますが、仲介手数料が不要なことや素早く現金化できるというメリットがあります。
仲介だと思い込んでいたら買取だった、というようなことがないように査定の内容はしっかりと確認しましょう。
大手・中小を含めた複数社に査定依頼を出す
一社のみに査定を依頼しても、提示された査定額が相場にあった適正なものか判断が難しくなります。必ず複数社に査定を依頼しましょう。
査定を依頼する先は大手の不動産業者だけでなく、地域密着型を含む中小不動産業者も含めましょう。簡易査定であれば3~10社程度がおすすめです。
簡易査定の依頼を出すのであれば一括査定サービスを活用しましょう。ミツモアでは簡単な説明に答えるだけで最大5社からの簡易査定結果が届きます。
地域密着型の中小業者からも査定結果が届くので、様々な観点から査定結果を判断できるでしょう。
リフォームやリノベーションは査定時点では不要
築後年数が経過している物件を売却するときはリフォームやリノベーションをした方が売れやすいのではないかと思うかもしれません。部屋が劣化していると査定額にも影響が出るのではと不安になりますよね。
結論をいえば、経年劣化の範囲内であれば売却前に急いでリフォームやリノベーション等をする必要はありません。築30年など、ある程度時間が経過している物件の場合は自分ごのみにリノベーションしたいという需要もあるので、リフォーム等を施すことでかえって売れにくくなることも考えられます。
もしリフォームやリノベーションが必要なのであれば、媒介契約を結んだ不動産業者の担当者と相談の上、施工範囲を決めていきましょう。
マンション売却時の査定でチェックされるポイント
マンション売却時の査定でチェックされるポイントは大きく分けると7つあります。査定を受ける前に何か準備をすれば査定額が上がるような部分を見ているわけではないので、査定前に大掛かりな準備は必要ありません。
1.立地・エリア
マンションの立地は査定額を決めるうえで大きく影響します。
鉄道路線が充実している駅が近かったり、再開発が進んでいるエリアであったりすると査定額が高くなりやすいです。
評価されやすいポイントや要素をいくつかご紹介します。
- 駅から近い
- 最寄り駅で複数路線が利用できる
- スーパーが近いなど買い物をするうえでの利便性が高い
- 幼稚園や小中学校等が近い
- 図書館や公園などの施設が近い
2.築年数
マンションに限らず住宅は築年数が上がれば上がるほど価値が低くなっていきます。確かに築年数が増えるごとに取引金額が安くなっていきますが、それでも築後25年までは成約価格の減少幅は緩やかです。
築年数 | 成約価格 |
---|---|
~築5年 | 7,616万円 |
~築10年 | 6,988万円 |
~築15年 | 6,487万円 |
~築20年 | 5,934万円 |
~築25年 | 5,119万円 |
~築30年 | 3,808万円 |
築30年~ | 2,408万円 |
成約価格の減少幅が少ないとはいえ、築後5年以内の物件と築後25年以内の物件では成約価格が2000万円以上も変わります。マンションの売却を決めたら築年数が浅いうちに取引を成立させられるようにしましょう。
3.共用部分の設備
マンションの売却査定では共用部分の設備も見ています。共用部分の設備が充実していると査定額は高くなる傾向があります。
評価されることが多い設備の例を挙げます。
- オートロック等セキュリティ設備
- 駐車場
- 宅配ロッカー
- 24時間ゴミ捨て可能のゴミ捨て場
- ゲストルーム
年代や性別問わず安心材料となるセキュリティ設備が充実している、ファミリー向けの物件であればキッズルームがあるかなど共用設備が充実しているマンションは高額で査定されます。
4.管理体制
分譲マンションではマンションの管理を管理会社に委託することが一般的です。
24時間管理人常駐タイプのマンションであればセキュリティ面でも優れていると判断される傾向があるので、査定でも高評価を受けやすいです。反対に巡回員や管理人がいなかったり、いる時間が短かったりするマンションは評価がやや低くなってしまいます。
マンションの共用部分の管理状況も査定の対象です。清掃が行き届いていなかったり、廊下の電灯が取り替えられていなかったりすると管理が行き届いていないマンションとみなされてしまいます。
共用部の不備は入居者が改善するのではなく、管理者が改善する必要があります。
分譲マンションでは管理費や修繕積立金を月々支払っています。それらが適切に利用されているかどうかも確認しておきましょう。
5.方角・階数
マンションの部屋は場所によって需要が大きく変化します。
一般的には階数が高く、日当たりが良い角部屋が人気です。人気が出やすい要素を列挙します。
- 眺めが良い部屋
- 日当たりが良い部屋
- 風通しが良い
- 角部屋
- 高層階
角部屋や高層階はマンション売却だけでなく、賃貸物件の場合も人気が高い条件です。同じマンションであっても高層階や角部屋から成約することが多く、根強い人気があります。
需要がある物件であれば当然査定でも高く評価されます。
6.専有部分の設備
専有部分とは居室の玄関から内側を指します。その部屋の居住者のみが使う部分なので専有部といいます。
壁や床などに傷が少なく、水回りなどの設備もきれいに使っていれば査定額が大幅に下がることはありません。
注意が必要なのはベランダやバルコニーです。管理規約などにもよりますが、ベランダなどは廊下と同じく共用部分です。廊下やエントランスといった共用部分は管理会社が清掃等のメンテナンスをしますが、ベランダなどは基本的にその部屋の住人のみが利用する場所なので「専用使用権」が認められています。つまり専有部と同じ扱いを受けるので、ベランダやバルコニーも掃除等を怠らないようにしましょう。
ベランダやバルコニーの汚れが気になるのであれば、査定を受ける前に軽く掃除をしておきましょう。上層階に住んでいるのであれば、水を使っての掃除は周りの迷惑にならないように十分に注意する必要があります。
7.部屋の広さ・間取り
基本的に専有部分の面積が広ければ査定額も高くなります。ただし間取りが一般的でない場合などは買手がつきづらくなってしまうので、面積が広くても査定額が低くなることがあります。
間取りに関してはマンションが建っているエリアのニーズによっても評価が変わります。
ファミリー層が多いエリアであれば2LDKや3DKなど比較的部屋数が多いマンションや収納の多いマンションが喜ばれます。
マンション売却査定を受ける前の事前準備
スムーズに売却査定を受けるために、やった方がいい3つの事前準備があります。
いずれも難しいことではありませんが、意外と見落としてしまいがちなことなのでチェックしておきましょう。
不具合・故障個所を確認する
大規模なリフォームやリノベーションは必要ありませんが、日常生活を送るにあたって不都合がある箇所は修繕しておいた方が良いケースがあります。
たとえば壁に子供の落書きがあったり、タバコのヤニによる変色・異臭があったりする場合は壁紙を張り替えることで値引き交渉の理由を減らせます。
内覧を見据えて掃除や片付けを行う
足の踏み場があってスムーズに室内を移動できれば、部屋が片付いているかどうかは査定に大きく影響しません。しかし住宅の売買をするときは内覧を行うことが多いです。
内覧を見据えて、売却査定の段階から部屋を片付けて、計画的に不用品を処分することをおすすめします。
室内の掃除は日常的に行う掃除程度で問題ありません。ただし水回りなど、特に汚れが気になる部分があれば気になる部分だけハウスクリーニングを依頼しても良いでしょう。
不用品の処分をするときは不用品回収業者に依頼しましょう。荷台に積み切れる分なら定額で回収してくれるプランや家具・家電を1点から回収するプランもあるので、不用品の数に応じて適したプランを利用すると無駄な費用を抑えられます。
余裕があれば売却相場を確認する
マンションを含む不動産を売却するにあたって、売り出し価格の設定はとても重要です。不動産会社の査定額を見るだけでなく、自分でも相場価格を確認しておきましょう。
相場価格を調べるには国土交通省が提供している「不動産情報ライブラリ」がおすすめです。
住所や路線名・駅名から周辺の相場を簡単に確認できます。売約した不動産に関しては、取引額や土地の広さだけでなく、不動産の種類や所在地、最寄り駅からの距離もチェックできるので自分が売却する物件に近い条件の不動産がいくらで売れているかも分かります。
マンション査定後に契約する不動産会社を決めるポイント
マンション売却に関する査定を受けたあとは、媒介契約を結ぶ不動産会社を決めましょう。
契約する不動産会社を決めるときに判断材料になるのは以下の3つです。
媒介契約を結ぶのではなく、不動産の買取をしてもらう場合であってもこれから紹介するポイントをもとに判断できます。
根拠のある査定額を提示したか
複数社から査定を受け、最も高い査定額を提示した不動産会社と媒介契約を結びたくなるかもしれません。しかし媒介契約を結ぶ前に、必ず査定の根拠を尋ねましょう。
仲介での査定の場合、購入者は査定をした不動産会社ではない第三者なので、必ずしもその価格で購入してくれるとは限りません。一方買取の場合は不動産会社が購入することを前提に査定額を提示するので、金額が大きく変わることは稀です。
他社と比べて極端に査定額が低すぎる業者はもちろんのこと、高すぎる業者にも注意を払いましょう。
査定額について説明するときに、条件が似ている物件を例に説明をするなど、具体性のある説明をするのであれば査定額に信頼がおけます。
売却戦略は具体的か
不動産会社によってどのように物件を売り出していくか、売却戦略は異なります。
インターネットやチラシにどのような情報を載せるのか、どのような相手を売却先として想定しているのかなどを聞き、総合的に判断しましょう。
たとえば地域密着型の業者の場合、すでに取引のある相手に優先して声をかけるなどネットワークを活かしてスピーディな売却ができる可能性があります。
インターネットが十分に発達した現代であれば、ネットの広告についても注意を払いましょう。十分な量の画像や映像があるか、物件の魅力が伝わる画像を掲載しているかなどを確認するようにしましょう。
売却の実績が豊富か
不動産会社によって得意な分野は異なります。自分が売りたい物件に関する売却実績が豊富か確認しましょう。
不動産業者の実績はホームページに記載されていることが多いです。直接問い合わせて、従業員の対応も含めて判断材料にしても良いです。
そのほか口コミやレビューサイトも判断をするうえでの助けになります。口コミ等はあくまで投稿者の主観が記載されていることと虚偽の内容が含まれる可能性があることに注意が必要です。
マンション売却を考えたら早めに査定を受けよう
マンションを売却すると決めたらなるべく早く査定を受けることをおすすめします。早めに査定を受けることでしっかり準備をしてから売却活動に臨めるためです。
複数社から査定を受け、納得できる説明をしてくれた業者と媒介契約を結ぶことで後悔なくマンションを売却できるでしょう。
査定は書類のみで行う簡易査定(机上査定)と訪問査定の2種類があります。簡易査定であればネットからでも簡単にできます。
ミツモアでは簡単な質問に答えるだけで最大5社からの簡易査定結果が届きます。売却を考えているのであれば、まずは簡易査定を受けましょう。