企業が情報セキュリティーに力を入れていることをアピールする手段として、ISMS認証を取得する方法があります。人によっては聞き慣れない言葉かもしれませんが、取得することでリスクの低減につながります。ISMS認証の基本を押さえておきましょう。
ISMS認証とは?
ISMS認証は情報セキュリティーに関するものだと知っている人は多いのではないでしょうか?
しかし、具体的に何を評価しているのか、他のセキュリティーに関する認証との違いについて知らない人もいるはずです。まずは、ISMS認証の概要から確認していきましょう。
情報セキュリティーに関する認証
ISMS認証は一般財団法人「日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)」から2018年に独立した一般社団法人「情報マネジメントシステム認定センター(ISMS-AC)」が定めている、企業の情報セキュリティーに関する評価制度です。
ISMS は「Information Security Management System」の略であり、情報を安全に管理・運用するための仕組みとして知られています。
特定の審査機関が企業の情報管理システムを審査し、国際標準に準拠していれば認証を与えることになっており、多くの企業がセキュリティー体制をアピールするために、ISMS認証を取得しています。
ISMS自体はスイスに本部のある、国際標準化機構によって発行されている規格であるため、世界的に通用する認証といえるでしょう。
ISMSとISO27001との関係
ISO27001も情報セキュリティーの分野でよく聞く言葉です。これはISMS認証の取得のためにクリアすべき基準を定めたもので、ISMS認証とほぼ同じ意味や文脈で用いられています。
厳密にはISO27001の記載項目をベースに、ISMSの仕組みが作られているという関係性です。
また、いわゆる「Pマーク(プライバシーマーク)」も、事業者のセキュリティーに関する認証の一種として知られています。これも有名な制度なので、聞いたことのある人も多いでしょう。
Pマークは事業者の個人情報の取り扱いが適正に行われているかを認証するもので、日本国内の認証制度です。ISMS認証は情報セキュリティー全般が対象となりますが、Pマークの対象となるのは個人情報に限られる点でも違いがあります。
情報セキュリティーの3要件
ISMS認証を取得するために、満たすべき情報セキュリティーの要件として「機密性」「完全性」「可用性」の3点があります。それぞれ確認していきましょう。
機密性
機密性は企業のシステム運用において、認可されている者だけが、情報にアクセスできる状態になっていることを指します。
機密性が担保されていれば、部外者をはじめシステムを利用させたくない者に、自社の機密情報が漏えいするのを防げるようになります。
システムの機密性を高める方法としては、管理者がアクセス制限を実行したり、推測しづらいパスワードを設定したりするのが一般的です。
完全性
完全性はその名の通り、情報が完全な状態で利用できることを指します。
企業側が意図せずに、情報を改ざんされたり削除されたりせずに、必要なタイミングで情報を活用できる状態です。さらに情報が将来にわたって、正確に保全されることも含む概念です。
情報の完全性を維持するためには、日頃システムを利用する社員のリテラシーを向上させるのはもちろん、必要な者だけが情報を編集できる体制にしておくことが大事です。また、常に情報を最新の状態にしておく必要もあります。
可用性
可用性とはシステムへのアクセスを許可された者が、必要に応じてスムーズに情報を利用できる状態を指します。
必要なタイミングでデータを利用できなければ、業務に遅延が発生してしまう可能性があり、社内にデータを蓄積しておく意味もなくなってしまうでしょう。
情報の可用性を保つためには、常にデータのバックアップを取っておくことや、複数のシステムを運用して、いずれかのシステムにトラブルが起こった際にも、問題なくデータを活用できる状態にしておく施策などが挙げられます。
機密性や完全性とともに、可用性も担保することでISMS認証の基準を満たせるようになります。
ISMS認証を取得するメリットは?
企業がISMS認証を取得するメリットは何でしょうか? 対外的には自社のセキュリティー意識の高さをアピールすることにつながり、対内的にはセキュリティーリスクの低減につながる点が挙げられます。
セキュリティーの高さをアピールできる
ISMS認証は国際規格であるため、これを満たすことは国際的に認められた基準をクリアしていることになります。社外に自社のセキュリティーの高さや信頼性をアピールできるようになるので、顧客も安心して取引できるようになるでしょう。
特に近年は、世界中でサイバー攻撃をはじめとしたセキュリティーリスクが高まっているので、今後はISMS認証の取得を取引の条件と考える企業も出てくるはずです。取引先を安定して確保するためにも、ISMS認証の取得を検討してみましょう。
セキュリティーリスクの低減につながる
認証の取得にあたっては、社内システムの運用体制を整えるのに加えて、社員にセキュリティーに関する教育を施す必要があります。
その結果、社内でセキュリティーに対する意識が高まり、情報漏えいをはじめとした各種リスクの低減につながるでしょう。
ほとんどのセキュリティーインシデントは、社員の意識やモラルの低さが招いているのが実態です。ISMS認証の取得が目的だったとしても、その過程で社員の意識改革ができれば、より安全に情報システムを運用できるようになります。
ISMS認証を取得する流れ
それでは、ISMS認証を取得するまでのプロセスを解説します。大まかな流れとしては、認証を得る範囲を決定し、社内の管理体制を整えた上で、認証機関に申請して承認を受けることになります。
1.認証を取得する範囲と認証機関の決定
まずは企業全体、あるいは特定の部署・部門など、どの範囲で認証を取得するかを決定するとともに、認証を受ける機関を決めましょう。日本におけるISMSの認証機関は2022年7月の時点で27団体ほど存在し、それぞれ費用も異なります。
どの機関を選ぶにせよ、認証を受けるにあたっては、自社のセキュリティーの方針も明らかにしておかなければいけません。認証の要件を満たすために何が必要かを判断しましょう。
2.リスクアセスメントと内部監査
認証の範囲と機関を決めたら、社内にどのようなセキュリティーリスクがあるかを把握する必要があります。
起こり得るリスクを想定し、取るべき対策を明らかにしましょう。さらに、社内の専門知識を有する者やコンサルタントなどが問題点を確認し、課題があれば改善を図ります。
具体的なアセスメントの方法は企業によって変わってくるものの、一般的には情報資産台帳を作成して対策を練ることが多いようです。リスクに対する対応計画をできるだけ詳細に立てる必要があります。
3.認証機関への申請と審査
審査を受ける準備が整ったら、選択した認証機関に申請を行いましょう。通常、審査は2段階で行われることになっており、文書での審査と実地で運用審査を受ける必要があります。
申請のための書類は機関ごとに異なるので、事前に問い合わせて確認しておかなければいけません。審査に通過すると認証登録が可能になります。ISMS認証の有効期間は3年なので、定期的に更新手続きをする必要がある点も覚えておきましょう。
ISMS認証を取得する流れを理解しよう
ISMS認証の概要とメリット、取得方法を解説しました。ISMS認証は情報セキュリティーを管理する仕組みに関する認証で、一定の基準を満たすことにより第三者機関から認証を受けられます。
ISMS認証を受ければ対外的なアピールになり、社内のセキュリティー意識も向上するでしょう。
取得するには社内でリスクアセスメントや内部監査を実施した後、認証機関に申請して審査を受ける必要があります。相応の手間はかかりますが、自社の信頼強化に役立つことは間違いないので、この機会にISMS認証の取得を検討してみましょう。
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