人間に近づいてきて吸血するアブは困った存在です。アブの生態や吸血されたときの対処法をはじめ、寄せつけない上ですぐれた効果を発揮する商品を紹介します。アウトドアでの活動や庭作業をする際は、適切なアイテムでしっかり対策をしましょう。
アブはなぜ人に寄ってくる?
アブは人間が吐き出す二酸化炭素や体温、汗のにおいなどに寄ってくるといわれています。黒色に反応するともいわれているので、黒っぽい服は避け、頭には帽子をかぶるとよいでしょう。
アブに刺されたときの対処法は?
刺された直後であれば、まず患部を水でよく洗い流しましょう。ステロイドが入ったかゆみ止め軟膏を塗り、かきむしらないように気を付けます。炎症がひどい場合は皮膚科を受診してください。
アブの特徴
アブは人間にも咬みついて吸血する場合があり、非常にやっかいな昆虫です。ここでは多種にわたるアブの代表的な種類や特徴をはじめ、ハチとの違いについて解説します。
ハエや蚊と同じ仲間
アブは昆虫綱ハエ目(双翅目)に属する虫の総称です。身体の大きさや形の違いにより数多くの種類に分類されます。ハエ目の名前の通り、ハエや蚊と同じ仲間です。ただしハエより触覚が太くて短く、刃物のように鋭い口器を持っています。
体長 | 見た目の特徴 | |
アカウシアブ | 20~30mm | 腹部に黄色の帯模様 |
シロフアブ | 14~19mm | 黒色の地に灰白色の斑紋 |
イヨシロアブ | 9~12mm | 腹部に白色の横帯 |
キンイロアブ | 9~12mm | 全体が黄金色で眼は緑色 |
日本にアブ科の昆虫は100種類ほど存在しますが、代表的な種類はアカウシアブ、シロフアブ、イヨシロアブ、キンイロアブです。それぞれのアブの体長や色、模様は上記の表のとおり。
牛や馬を咬む吸血性のアブもいる
アブの中には咬みついて血を吸う種類が存在します。日本ではアブ科の昆虫は約100種類ほど知られていますが、そのうち十数種類が吸血性のアブです。鋭い口器で皮膚を傷つけて、滲出した血を吸います。
人間だけでなく家畜の牛や馬もアブのターゲットです。山間部の牧場ではアブに咬まれた動物が逃れるために暴れ、思わぬ事故につながるケースもあります。アブの種類によって、吸血する時期や時間帯に違いがあるのが特徴的です。
ハチとアブの違い
アブはハエの仲間ですが、見た目はハチによく似ています。特に身体に黄色と黒の縞があるアカウシアブは、一見するとハチと見間違えるのではないでしょうか。ただしアブとハチには決定的な二つの違いがあります。
まずは攻撃方法です。ハチはお尻にある針で獲物を刺しますが、アブは鋭い口器で咬みつきます。アブの毒性は弱いですが、ハチは人間を殺すほどの強力な毒を持つ場合もあるのが特徴です。
身体の構造もよく見るとアブとハチでは異なります。ハチは翅が4枚あるのに対し、アブは2枚しかありません。
ハチは脚を伸ばしたまま飛び、スピードが速く羽音は小さめです。アブは脚を折りたたんで飛び、スピードはハチと同じく速いですが、大きな羽音を立てます。
アブの生態と習性を知ろう
アブにはどんな生態があるのでしょうか。アブがよく発生する時期や活動する時間帯をはじめ、天敵となるオニヤンマについても解説していきます。
発生する時期と活動性
発生時期 | 7~8月 |
活動時間帯 | 日中、気温が18℃~30℃のとき |
生息地 | 牧場やキャンプ地など自然が多い地域 |
活動の時間帯は日中ですが、中には午後の遅い時間に活発に動く種もいます。アブがよく動くかどうかは、天候によって変わるのが特徴です。アブの発生は年1回で、主に7~8月です。同じ種類のアブでも、暖かい地域では発生が早く、寒い地域は発生が遅くなる傾向があります。発生した後は1カ月ほど活動しますが、メクラアブやニッポンシロフアブなどは、活動期間が3カ月以上と長期です。
気温が18℃以上になると多くのアブが活動的になりますが、30℃を超えると活動を抑制します。雨や風の日も動きにくいため、天候が悪い日はアブがおとなしくなっていると考えてよいでしょう。
主に川や湿地から発生する
アブは自然の残っている場所でよく発生します。幼虫の生息場所は主に湿地帯ですが、草地や林の土中に生息する場合も多いでしょう。日本でよく見られるアカウシアブやキンイロアブは主に林内、シロフアブは開けた場所を好みます。
アブは巣を持たない習性があり、生育に適した環境であればどこでも繁殖します。山中や川など、人間がアウトドアを楽しむような場所に多いのもやっかいです。毎年レジャーシーズンになると、アブに咬まれる被害が多く見られます。
アブは家畜の糞尿に卵を産みつける場合もあるため、牧場なども発生源になるでしょう。成虫になると家畜の血も吸うため、被害が大きくなってしまいます。
アブの天敵はオニヤンマ
多くの昆虫には天敵が存在しますが、アブも例外ではありません。アブの天敵はオニヤンマです。オニヤンマは体長80~93mm、胸部と腹部にある黄色の斑紋と緑色の複眼が特徴的なトンボで、日本最大のサイズを誇ります。
オニヤンマは肉食性で、成虫になるとアブや蚊、ハエ、蝶などを好んで捕食します。1日に体重の10%の餌を食べるほどの大食漢です。攻撃性と強力な毒で恐れられるスズメバチも、オニヤンマはバリバリと難なく食べてしまうのです。
アブの虫除け対策の一つに、オニヤンマを模したストラップのおにやんま君があります。こちらをキャンプ場などでつるして風になびかせたり、帽子につけたりすることで忌避効果が期待できます。
口コミを見る限り、人によって効き目の実感に差異はありますが、気になる方は試してみてはいかがでしょうか。
アブに咬まれたときの症状と対処法
アブに咬まれると吸血されるだけでなく、不快な症状が現れます。患部のかゆみや腫れが代表的ですが、適切な対処法について説明します。かゆいからといって、かきむしるのは絶対にやめましょう。
強いかゆみと腫れが続く
アブは鋭い口器で皮膚に咬みつき、出てきた血を吸います。この際に唾液が人間の体内に入るため、不快な症状が現れるでしょう。代表的なのは強いかゆみと腫れです。吸血された瞬間は痛みを感じますが、その後に患部が腫れ、強いかゆみを感じます。
アブは見た目がハチに似ているためよく比較されますが、毒性はハチのほうが圧倒的に強力です。人間がハチに何度も刺されると、I型アレルギー反応によるアナフィラキシーショックを起こし、死に至るケースもあります。
炎症を抑えるための処置を行う
アブに咬まれた場合の処置法で、絶対にやってはいけないのが患部をかきむしる行為です。患部をかくことで細菌感染を起こして、症状が悪化する可能性があります。もしアブに咬まれて腫れてきたら、できるだけ早めに皮膚科に行ってください。
治療方法は炎症を鎮めるステロイド軟膏や抗生物質、痛み止めなどが中心です。市販されている軟膏でも同様の成分が入った商品はありますが、医療用の薬品より含有量が少ないため、確かな効き目を望むなら医師に薬を処方してもらいましょう。
アブに咬まれないようにするには?
アブは血を吸う目的で人間に近づくため、積極的な対策が必要です。アブが好む色を知っておけば、吸血されるリスクも抑えられるでしょう。防虫対策として虫除けスプレーをはじめ、より強力に撃退する殺虫剤について解説します。
虫除けスプレーや防虫香を使う
アブ対策として有効かつ手軽に扱えるのは、虫除けスプレーです。日本で50年以上も使用され、世界でもポピュラーな成分「ディート」は、アブにも効果を発揮します。
アブは人間が出す二酸化炭素や匂いなどを感知して寄ってきますが、ディートはアブの感知能力を鈍らせるため、吸血ができなくなるのです。
古くから親しまれている蚊取り線香も活躍します。特に野外で使える強力な「森林香」は、キャンプや釣りを楽しむ人々からも支持されている商品です。
天然の成分ならハッカ油も有効といえます。市販のハッカ油をエタノールに混ぜれば、アブやブヨを寄せつけない虫除けスプレーを簡単に作れます。
以下の記事ではさまざまな虫に効果のある、ハッカ油を使用した虫除けスプレーの作り方を解説しています。キャンプで便利なディフューザータイプの作り方も紹介しているので、興味のある方はご一読ください。
アブが寄らない色の服を着る
アブは赤や黒の色に寄ってくると言われています。アブが多くいそうな水辺や山林などへ行く際は、赤色や黒色の服を避けたほうがよいでしょう。黒が好きなことから、頭髪にも集まりやすいと考えられるため、帽子を被るのが有効な対策です。
吸血する際も白色や黄色より黒色を好む理由から、ホルスタイン種の牛では黒毛の部分を主に攻撃します。黒色はアブだけでなく、蚊やハチの標的にもなりやすいことがわかっており、衣服やアクセサリーには最も避けるべき色といえるでしょう。
飛び回るアブは駆除剤で撃退
アブが飛ぶスピードは速く、種類によっては時速145kmにも達します。複眼のため視野もほぼ360度と広く、方向転換も素早いため人間が捕まえるのは難しいでしょう。アブを撃退するなら、エアゾールタイプの殺虫剤がおすすめです。
中でもハチやアブに特化した、薬剤をジェット噴射できる商品が抜群の効果を発揮します。少々距離が離れていても、数mなら余裕で届くため、使い慣れていない人でも容易にアブを撃退できるでしょう。
アブだけなくハチなどにも効果を発揮するジェットタイプの殺虫剤は、家に常備しておきたい心強いアイテムです。
アブ対策に有効なおすすめグッズ
手軽にアブ対策できる商品はたくさんありますが、ここでは人気の高いおすすめグッズに焦点を当てます。虫除けタイプ、強力なエアゾール、防虫香それぞれの代表的な商品を解説しましょう。
アース製薬「サラテクトミスト リッチリッチ30」
虫除けに有効な成分「ディート」を最強レベルの30%も配合した、高濃度ミストタイプの虫除けです。肌に優しい保湿成分であるPPG・ヒアルロン酸Na・ビタミンC・モモ葉エキスを含むため、肌の弱い人や子供でも安心して使用できます。
アブはもちろん蚊やブヨ・ノミ・イエダニ・マダニ・トコジラミ(ナンキンムシ)など、幅広い害虫に効果を発揮します。持続時間も5~8時間あるため、虫の多い場所へ出かける前にひと吹きしておけば、しっかりと肌を守ってくれるでしょう。
住友化学園芸「ハチ・アブエアゾール」
アブとハチに対して有効な、エアゾールタイプの殺虫剤です。殺虫成分はモンフルオロトリン・メトフルトリン・シラフルオフェンを配合し、アブやハチ、ハチの巣などを退治します。480mlの大容量でたっぷり使えるのもメリットです。
強力な効果ながら庭木や生垣に比較的優しいのも見逃せない高ポイントといえます。羽ばたき停止成分により、飛び回るアブでも簡単に処理できるでしょう。口コミでも「ロケット噴射で速攻駆除できる」と概ね高評価の、すぐれた商品です。
児玉兄弟商会「パワー森林香 10巻 携帯防虫器セット」
大正9年創業の老舗が製造する、強力な防虫香です。屋外での使用を想定しており、アブやユスリカ・チョウバエなどに効果を発揮する防虫成分を含んでいます。見た目は普通の蚊取り線香と似ていますが、やや太巻きで色が茶色っぽいのが特徴的です。
携帯型の防虫器がセットになっており、屋外でも場所を気にせず使えるでしょう。天然成分ながら強い煙による除虫効果は高く、アウトドア愛好者をはじめ、農作業をする人からも支持されている人気商品です。
万全のアブ対策をして庭仕事やキャンプに臨もう
アブはハエや蚊と同じ仲間で、見た目や習性の違う数多くの種類が存在します。中でもやっかいなのが吸血するタイプです。人間がアブに咬まれると、患部が腫れて強いかゆみを伴います。治療には皮膚科で薬を処方してもらうのが最善です。
アブの被害を防ぐには、虫除けスプレーや防虫香が手軽でよいでしょう。アブが多くいる山林や川へ行くなら、アブが寄りつきやすい黒色や赤色の衣服を避け、適切な防虫商品を携帯します。積極的に処理するならジェット噴射型のスプレーが最適です。
庭作業やアウトドア活動をしていると、吸血目的に近づいてくるアブはとてもやっかいな存在でしょう。アブが嫌う装備や強力な殺虫剤で、万全の対策をしてください。
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