チャタテムシは日本全国に分布し、梅雨から夏にかけて室内で大量発生する害虫です。チャタテムシを放っておくと、古本・古紙や乾燥食品、畳、段ボールなどに被害が及びます。
この記事では、チャタテムシの駆除方法について詳しく紹介していきます。
チャタテムシを駆除する方法は?
くん煙剤を使うと最も効果的に駆除することができます。被害のある場所に応じて、殺虫スプレーやエタノールを使用した駆除も効果的です。
チャタテムシはどこからやってくる?
チャタテムシは湿気やホコリが発生しているところに集まります。湿気とホコリがたまりやすいダンボールは、チャタテムシが室内に侵入する要因の1つです。
【最も効果的】①バルサンなどのくん煙剤で駆除
チャタテムシを駆除するには、1匹ずつ殺虫するのではなく、部屋に丸ごと殺虫成分を散布する方法が有効です。チャタテムシは湿度が高ければ家中どこでも繁殖します。
殺虫成分を含む煙を出す「くん煙剤」を使用すれば、家の隅々まで駆除効果を広げることが可能です。湿気のこもりやすい押し入れやふすまなどを開けて使用すれば、チャタテムシの繁殖を防ぐことができます。
ただし効果は1カ月程度で切れてしまう点に注意。またチャタテムシの卵には、くん煙剤が効きません。そのため1度目の使用から2週間くらいを目安に、もう1度くん煙剤をたき直しましょう。
部屋の大きさに応じて数種類あるので、適切な製品を選ぶとGood。赤ちゃんやペットがいる家庭で使用する場合、なるべく害の少ない成分のものを選ぶことをオススメします。
くん煙剤を使ってチャタテムシを駆除する方法
くん煙剤を使ってチャタテムシを駆除する際、以下の手順で進めていきましょう。
くん煙剤を使ったチャタテムシの駆除手順 |
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バルサンなどのくん煙剤を使うときには、効果を高めるために密室状態を作る必要があります。
押し入れを開けておいたり、精密機器・家電製品にカバーをかけたりといった事前準備も欠かせません。
カバーをかけた方がいいもの |
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火災報知機には付属のカバーをかけますが、「火災警報器の直下では使用しない」または「火災警報器に反応しないくん煙剤を選ぶ」ようにして対策しましょう。
くん煙剤をたき終わったら、換気を行いながらコロコロでチャタテムシの死骸を回収します。チャタテムシは1mm程度なので、掃除機のフィルターをすり抜けてしまう可能性があります。粘着ローラーで清掃すれば、確実に取り除くことが可能です。
チャタテムシの発生原因であるカビもきちんと落とします。アルコール(エタノール)で清掃して、再発防止に努めましょう。
人へ害を与えないくん煙剤を選ぼう
くん煙剤を選ぶ際、なるべく人に害を与えない成分が含まれているものを選びましょう。「ピレスロイド系」と呼ばれる成分は安全性が高く、多くの殺虫剤で使用されています。ピレスロイド系は害虫をマヒさせる効果がありますが、人や犬・猫などへの害はありません。人を含めたほ乳類の体内に入ったときには、素早く分解・排出されるため安心です。
しかしカブトムシや熱帯魚には効果が出てしまうため、家で飼育している場合は注意が必要です。使用前には、虫かごや水槽にカバーをかけておきましょう。
赤ちゃんの口に入る哺乳瓶などにもカバーをかけておくと、より安全です。
【手が届きにくい所】②殺虫スプレーで駆除
手が届きにくい所に発生しているチャタテムシには、殺虫スプレーを使って駆除しましょう。押入れ・クローゼットの奥や家具の隙間など、ピンポイントで殺虫したいときに効果が期待できます。
ただし大量発生しているときには効率的な方法ではありません。少量のチャタテムシがわいているときに頼ることをオススメします。
くん煙剤と同様、赤ちゃんやペットがいる場合、なるべく人体に害がないものを選んでくださいね。
殺虫スプレーを使ってチャタテムシを駆除する方法
殺虫スプレーを使ったチャタテムシの駆除は、以下の手順に沿って行います。
殺虫スプレーを使ったチャタテムシの駆除手順 |
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注意点は、少し離れた場所から殺虫スプレーを噴射することです。至近距離でスプレーを噴射すると、かなり小さいチャタテムシは簡単に飛んでいってしまいます。
駆が完了したら、コロコロや粘着テープで死骸を集めて捨てましょう。
カビが繁殖している場合には、アルコール(エタノール)でカビを落としておくと、再発防止につながります。
赤ちゃんのいる家庭にも安全な殺虫スプレー
赤ちゃんやペットがいる場合、殺虫スプレーを使用するのは抵抗がありますよね。そんな方のために、人体に影響のない安全な駆除グッズを紹介します。
アース製薬 ダニアース防ダニスプレー |
人やペットに害を及ぼす殺虫成分が含まれていないため、安心してチャタテムシを駆除できるスプレーです。ベタつかず速効性が高いので、チャタテムシが繁殖しやすいカーペットや布団、枕などにも抵抗なく吹きかけることができます。使用するときは、用法・用量を守ることを心がけましょう。
ムシさんバイバイスプレー |
農薬成分を一切含んでおらず、植物由来成分100%で作られています。あらかじめ発生しやすいところに噴射しておけば、高い忌避効果を発揮する優れものです。樹木の香りなので、お部屋が嫌なニオイで充満することもないでしょう。
チャタテムシだけでなく、ゴキブリの侵入防止にも効果大のグッズです。
【キッチン】③アルコールスプレーで駆除
チャタテムシはカビやほこりだけでなく、人間の食べ物もエサにします。おもに米などの穀物、インスタント麺やマカロニなどの乾麺、かつお節、ビスケットや粉乳、干し魚などの乾燥食品を好みます。口の空いた米びつなどにいったん侵入すると、一気に大量発生することも。
食料や口に触れるものが多いキッチンでは、殺虫剤を使うのは気が引けますよね。そんなときにはアルコールスプレーが有効です。
アルコールは駆除効果が高い上、消毒・殺菌効果もあります。そのため、食材や調理器具の多いキッチンでも安全に使用することが可能です。
「消毒用エタノール」を成分に含んでいるスプレーなら、カビの除去効果も期待できるのでオススメです。
チャタテムシが大量発生したあとの食品はどうればいい?
チャタテムシが発生した食品は必ず処分するようにしましょう。缶詰や封がされているもの以外は、その周りの食品もできるだけ捨てます。
チャタテムシは体内に大量のカビ菌を持っており、発がん性物質を多く含むカビも存在します。そのため、被害のあった食品をそのまま保存しておくのは不衛生です。
食品を全て処分したら、掃除機がけ・アルコール消毒を徹底し、雑菌の繁殖を防ぐことが大切です。
【畳】④エタノールでカビを除去
和室は畳や障子など、チャタテムシが好む餌場が多い場所です。特に畳の上にマットレスや布団を敷いている人は要注意。隙間に湿気がたまるためカビが生えやすく、チャタテムシが繁殖する要因になります。
畳に白い粉っぽいものが浮いていたら、チャタテムシが発生しているかもしれません。
畳のカビをエタノールで除去する方法
畳をエタノールで清掃してカビを落とす手順は、以下の通りです。
エタノールでカビを取り除く手順 |
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畳のカビを落とすときは、マスクや手袋を着用しましょう。カビを吸い込んでしまったり、手荒れしたりするのを防ぐためです。
カビが落ちたら掃除機で吸って、消毒用エタノールを畳全体にまんべんなく散布します。
そのまま十分に乾かしたあと、雑巾で乾拭きしたら完了です。
【本】⑤黒いビニールに包んで天日干し
チャタテムシは古本や古紙、動植物の標本などにも被害を与えます。
貴重なものであれば、殺虫スプレーやアルコールをかけてしまって傷むのは避けたいところ。そんな時には「黒いビニールに包んで天日干しする」方法が有効です。
本についたチャタテムシを駆除する方法
黒いビニール袋を使った駆除手順は、以下の通りです。
本についたチャタテムシの駆除手順 |
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日光の熱でビニール袋の中の温度が上がると、駆除に成功します。60〜70度以上の気温に達するとチャタテムシは死滅します。同時にカビも落とすことができるため一石二鳥です。
ただしこの方法は、十分に暑くなる晴れの日に行うことが条件です。冬の寒い日や十分に日光が当たらない場合には、効果が得られない可能性が高いためオススメしません。
駆除したあとの本はどうすればいい?
チャタテムシが大量発生したあとの本は、処分することをオススメします。駆除が完了したとしても、雑菌が繁殖している可能性が高いため、そのまま保管しておくと不衛生です。雑菌が繁殖したまま本棚などに戻すと、大量発生の再発を招くおそれもあります。
【衣服】⑥乾燥機にかけて駆除
チャタテムシは、衣服にも付着して繁殖するケースも見られます。木製のタンスやクローゼットの中は湿気がこもりやすいため、チャタテムシが住みやすい環境になるのです。
衣服にチャタテムシが付いてしまったときは、コインランドリーなどで30分以上乾燥機にかけましょう。乾燥機の温度は約60度にまで達するため、チャタテムシは簡単に死滅します。
乾燥機にかけられない衣服は、黒いビニール袋に入れたあと天日干しにして加熱すればOKです。衣服が傷む心配がなければ、粘着クリーナーを使うとよりお手軽に駆除することができます。
オススメのチャタテムシ駆除グッズ
チャタテムシの駆除に活躍する、オススメの駆除グッズを3つ紹介します。
アース製薬 虫コロリアース
足で踏むだけで殺虫成分を含む霧が散布される殺虫剤です。一度使えば室内にいる害虫を死滅させるだけでなく、約1カ月は侵入を防止する効果があります。
噴射して1〜2時間は、部屋を密閉しドアを開けないようにしましょう。殺虫成分にピレスロイド系のペルメトリンを使用しているため、人や犬猫などのペットにも安心です。
害虫駆除だけでなく空気中のハウスダストも包んで落とし、舞い上がりを防いでくれます。
スミスリン スミスリン粉剤
「スミスリン粉剤」は、その名のとおり殺虫成分を含む粉を散布して使用するものです。畳やカーペットの裏に散布するだけで、チャタテムシを駆除することができます。
害虫が発生しやすい部屋の隅には、直接上から粉をふりかけましょう。粉状の殺虫剤は残りやすいため、虫の体に付着して高い駆除効果を発揮します。一度使用すれば、2週間〜1カ月は効果が残るでしょう。
有効成分はピレストロイド系の「フェノトリン」で、安全性が高いのもうれしいポイントです。チャタテムシだけでなく、ダニやノミ、ナンキンムシにも効果が得られます。
キルノックG
速効性・残効性で優れた致死効果を発揮するエアゾールです。発生したチャタテムシに1〜2秒間、直接吹きかけるだけで即死させることができます。隙間への噴射に使える専用のノズルがついているため、手の届きにくい暗い隙間でも簡単に駆除することが可能です。
また侵入口になりやすい窓のサッシ周りに噴射しておけば、チャタテムシの発生防止にもなります。
ムカデやクモ、ダンゴムシ、アリなどの不快害虫にも使用することができるため、1本持っておくと便利ですよ。
チャタテムシの駆除・予防はカビ対策がカギ
チャタテムシを根本から駆除・予防しようと思ったら、乾燥+掃除を徹底して行う必要があります。チャタテムシは湿気・ホコリ・カビを好むため、これらを除去することがカギです。
乾燥対策①室内の風通しをよくする
チャタテムシは暖かくて湿気のある場所でしか生息できません。18℃以下の気温で動きが鈍り、湿度が55%以下になると繁殖が難しくなります。
まずは窓や扉を開けて換気するのが、もっとも手軽にできるチャタテムシ予防です。特に冬は気温も低く乾燥しているため、外気を取り入れると効果的です。
家中の空気を循環させておくのも、防湿効果が期待できます。シンク下にある扉やお風呂場近くの棚などを開閉し、定期的に湿気を逃がすとGoodです。
ただし夏場は、窓を開けると別の害虫を侵入させてしまうかもしれません。網戸などで防虫効果を高めることをオススメします。
乾燥対策②結露対策を行う
ジメジメした季節の梅雨〜夏場に対策を行うだけでは不十分。冬場にも「結露」に注意する必要があります。
暖房器具を使っていると、室内と外気に気温差が生じます。窓などに結露が付きやすくなるため、湿気がこもる環境に。多湿な環境はカビが発生しやすいため、チャタテムシの繁殖に格好の場所となります。
カビの原因となる結露を防ぐためには、「暖房器具を使いすぎない」「換気や除湿機で除湿を徹底する」といった方法が有効です。
もし結露が発生してしまったら、定期的に雑巾などで拭き上げましょう。窓だけでなく、結露とホコリがたまりやすいサッシのレールもお忘れなく。拭き上げが面倒な人はサーキュレーターなどで窓に風を当てると、結露が付きにくくなります。
食器用洗剤を20倍に薄めた水で窓を拭くのも効果的です。洗剤の成分が水をはじき、結露を防いでくれます。
掃除①ダンボールや古紙を片付ける
チャタテムシはダンボールや本などの暖かい場所を好み、中に棲みついていることが多いです。すみかになるものを湿気が多い環境に放置しておくと、チャタテムシはすぐに繁殖します。
ダンボールを畳の上に放置すると、チャタテムシがダンボールから畳の下に移動して卵を産みつけます。ダンボールが届いたときは、なるべく畳の上に置かないようにしましょう。また中身はすぐに取り出し、ダンボールは家の中で保管せず、外に出しておくことが大切です。
本棚や押し入れなどに古い本が保管されていると、チャタテムシが棲みつきます。不要な本は処分するか、定期的に本棚や押し入れは換気し湿気を防ぎましょう。
掃除②食品は密閉保存する
ジメジメしやすい台所の引き出しや収納棚に食品を置くのは、生活環境とエサをチャタテムシに同時に与えているようなものです。使いかけの小麦粉や乾麺、菓子類を保存している人は要注意。開いた口からチャタテムシが侵入し、どんどん繁殖していきます。
開封した食品は、ジッパー袋に入れ冷蔵庫で保管するのがベストです。またホコリや食べかすは出ないよう、こまめに掃除するようにしましょう。
チャタテムシが大量発生する原因は?
チャタテムシが発生する主な原因は、高温多湿な環境です。湿気がたまりやすく、カビ・ホコリ・食べかすがある場所に大量発生します。
湿度が高いと大量発生する
チャタテムシは基本的に高温多湿な場所であれば、どこでも生存することができます。チャタテムシの一番の大好物はカビです。高い湿度から発生したカビがある箇所に大量発生します。
チャタテムシの活動が活発になる湿度は、75〜90%と言われています。湿度が60%以上になるとカビが発生するため、チャタテムシの発生を防ぐには除湿と乾燥が大切です。
チャタテムシが発生しやすい場所
「湿気がたまりやすい場所」「ホコリや食べかすがある場所」にチャタテムシは集まります。
チャタテムシの発生場所 |
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家中のどこでも生息しますが、特に畳に棲みつくことが多いです。畳の上に布団やカーペットを敷いたままにしていると、湿気がこもりやすいためチャタテムシの繁殖スポットになります。
本棚もチャタテムシの温床になりやすいので注意。本の製本に使用されるノリを餌として食べます。
湿気のたまりやすい食品棚などに、開封済みの乾麺や菓子類を保存しておくのも大量発生の原因になります。好物を求めて、開いた口から侵入して繁殖する可能性が高いです。
冬でも発生する?
湿気が発生の原因なら、冬を迎えると安心というわけではありません。冬場はチャタテムシが活発に活動できる環境が揃っています。
最近の住宅は気密性に優れているため、冬でも快適な室温が保たれています。また暖房器具の使用によって、外気温との差が生まれ、結露が発生しやすい季節でもあります。結露はカビの原因になるので、チャタテムシが寄り付きやすくなるのです。
新築には発生する?
カビやホコリがたまっていない新築にも、チャタテムシが発生することがあります。新築の家は木材に含まれる水分が多いため、湿度が高くなる傾向があります。そのため新築は、チャタテムシが集まりやすい環境なのです。
とはいえ、ホコリやカビは比較的少ないので大量発生する心配がありません。しかし今後発生しないように、日頃から乾燥と掃除を徹底して、家中を清潔に保つ姿勢が大切です。
チャタテムシによる被害は?
チャタテムシはダニやシラミと違い、人間を吸血せず毒性もありません。
ただし、喘息(ぜんそく)などのアレルギー症状による二次被害には注意が必要です。またチャタテムシをエサとしているツメダニが繁殖する危険性もあります。
チャタテムシは食品の中で繁殖しているケースも多いです。それに気づかず口にしてしまうと、チャタテムシが食べたカビにアレルギー反応が起き、喘息を発症することが考えられます。
ツメダニの発生もアレルギー発症の原因になります。ツメダニは吸血しませんが、まれに刺されるケースが見られます。刺されるとかゆみが生じたり、皮膚炎などを引き起こす可能性が高いです。
【まとめ】チャタテムシを駆除したあとは、予防を徹底しよう
この記事では、チャタテムシの駆除方法について解説してきました。まとめると、以下のようになります。
チャタテムシ駆除のポイント |
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チャタテムシを駆除するときには、その後の再発防止まで徹底して行いましょう。カビを除去するのはもちろん、定期的な換気、段ボールや古紙を放置しない、といった工夫が予防につながります。
大量発生しているときには、数回にわけて家全体に駆除剤を使用することになります。自分で駆除するのは骨が折れるうえ、素人の処置では再発の可能性もあります。
そんなときにはプロの害虫駆除業者に依頼して、家をチャタテムシから守ってもらいましょう。たとえば業者が使う「加熱乾燥車」は、くん煙剤では駆除できないチャタテムシの卵まで死滅させることができます。
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