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アスファルト防水は耐久性抜群!3つの工法別にメリット・デメリットを解説

最終更新日: 2024年06月28日

「アスファルト防水」は屋上防水の工法のひとつ。300㎡以上の広い屋上に向いている防水工事で、耐用年数が長いという特徴があります。

この記事では、アスファルト防水のメリット・デメリットや、施工単価、施工方法の種類などを詳しく紹介していきます。

アスファルト防水とは

屋上防水 アスファルト防水

アスファルト防水とは、下地となる建材にアスファルトを溶かし、その上から防水シートを貼り重ねていく防水工事です。日本では100年以上の歴史があります。

基本的には、アスファルトシートを2層以上に重ねる「積層」をします。

溶けたアスファルトと防水シートとが組み合わさることで、水漏れのリスクが少なく、耐久性の高い防水層ができあがります。

アスファルト防水の仕上げ(表面加工)は、コンクリートで保護する「押えコンクリート」と、砂が付いたシートで保護する「露出仕上げ」の2つ。

またアスファルトを溶かす方法によって、「熱工法」「冷工法(常温粘着法)」「トーチ工法」の3つに分かれます。詳しくは後述します。

基本的に広い場所に向いているので、一般住宅のベランダ防水などに採用されることはほとんどありません。

関連記事:ベランダ・バルコニー防水工事の種類と、メリット・デメリット | ミツモア

アスファルト防水の特徴

アスファルト防水用のシート

耐用年数 15年〜25年
施工単価 5,500~8,000円/㎡
施工日程 6〜7日
向いている場所
  • 300㎡以上の広さ
  • ビル、マンション、学校などの屋上

アスファルトで密着させながら防水シートを積層するため、確実な防水性と長い耐用年数があります。

いわば、塗膜防水とシート防水との「いいとこ取り」のような施工法ですね。

しかし施工単価は、塗膜防水やシート防水と比べると高額。そのため、短い期間で手入れするのが難しい、ビル、マンション、学校などの大きな施設の屋上に向いています。

また水密性が高く、水の侵入リスクが低いので「屋上緑化」を施工しやすいのもポイントです。

関連記事:シート防水の特徴は? | ミツモア
関連記事:塗膜防水(とまくぼうすい)の基礎知識 | ミツモア

アスベスト(石綿)は使われている?

アスベスト(石綿)は、繊維状の鉱物です。断熱性が高いことから、かつては建築に多用されていました。

しかし施工時に飛び散るアスベストを吸い込むことで、肺ガンなどの健康被害を引き起こすリスクがあります。そのため日本では2006年の法改正によって規制が強化され、全面的に禁止されました。現在ではアスベストは使用できません。

かつてはアスファルト防水用のシートにも使用されていましたが、2003年以降に施工された建物であれば、アスベストは含まれていない(もしくは0.1%未満)です。

逆に言えば、2002年以前までに施工されたアスファルト防水の場合は、施工会社や製造会社に問い合わせて確認する必要があります。

参考:アスベストについて | 日本防水材料協会

アスファルト防水には3種類の工法がある

アスファルト防水の施工法は、どのようにアスファルトを溶解するかによって、以下の3種類に分かれます。

  • 熱工法:アスファルトを220~270℃に熱する
  • 冷工法(常温粘着法):常温のまま施工する
  • トーチ工法:ガスバーナーで直接シートをあぶる

現在の主流は、トーチ工法。「改質アスファルトシート」というものを素材に使っていて、耐久性が高まっているのが特徴です。

それぞれのメリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。

アスファルト防水の施工方法①:トーチ工法

アスファルト防水の施工

トーチ工法の特徴、メリット

現在の主流になりつつある「トーチ工法」。改質アスファルトシートを使う工法で、1000℃のトーチバーナーで炙りながら施工します。

改質アスファルトシートとは、従来の製品に加えて、ゴムや樹脂などを含ませ強化したもの。シートの裏側にアスファルトが張り付いているので、これをバーナーで熱することで溶解する仕組みです。

この工法が登場するまでは、アスファルトの溶解とシートを敷く作業は別々でおこなっていました。2つの作業が1つになったことで、効率的に施工することが可能に。

またアスファルトを溶かすために使っていた釜には、強いニオイが発生するリスクや、事故の危険性がありましたが、この点も改善されました。

細長いバーナーを使い、熱されたアスファルトを直接扱う作業がないため、火傷するリスクもおさえられます。

トーチ工法のデメリット

作業効率がよく、コストパフォーマンスに優れるトーチ工法ですが、デメリットもあります。

それは、施工不良によって劣化が早まったり、その結果として雨漏りなどの不調が起こったりしやすいという点です。

トーチバーナーの火炎は非常に強く、温度は1000℃まで上がります。従来のものより確実に強い熱ですが、それゆえ「バーナーを当てればアスファルトがすぐに溶ける」と錯覚しやすいのです。

その結果、密着効果が十分発揮されるところまで熱しきらずに、アスファルトシートを重ねていくことに。これにより、密着しきれなかった部分から劣化していくのです。

トーチ工法が上手くいくかどうかは、「きちんと密着させることができるかどうか」にかかっています。職人の腕の見せ所ですね。

アスファルト防水の施工方法②:熱工法

アスファルト防水工事 アスファルト塗布

熱工法の特徴、メリット

熱工法は、溶融窯(ようゆうがま)でアスファルトを溶かす工法。熱されたアスファルトの温度は220~270℃に達し、これを流し込んだ場所に防水用シートを重ねていきます。

熱工法の歴史は古く、国内の防水技術としては100年以上の歴史を有しています。ノウハウの積み重ねや伝承がなされてきたため、信頼性の非常に高い工法です。現存する主要な建築物の多くに採用されてきました。

最大のメリットは、硬化にかかる時間が短いこと。アスファルトがすぐに固まるので、防水層を形成すること自体はカンタンにできます。

熱工法のデメリット

熱工法のデメリットは、窯(かま)で溶かしたアスファルトから異臭・煙が出ること。密集した住宅地などでは、近隣住民に配慮する必要があります。

またトーチ工法と違って、熱されたアスファルトを直接的に扱う必要があります。そのため作業員が火傷する危険性もデメリットのひとつです。

アスファルト防水の施工方法③:冷工法(常温粘着法)

アスファルト防水 ガムクール

冷工法の特徴、メリット

「冷工法」や「常温粘着法」「自着工法」などと呼ばれる工法。その名のとおり、熱でアスファルトを溶かすことなく施工します。

トーチ工法で使う「改質アスファルトシート」の裏に、「ゴムアスファルト粘着層」をコーティング。この粘着層のおかげで、熱を使わずに密着させることができるのです。

火気を使用せず熱も出さないため、臭いや煙が発生しません。そのため環境に優しく、近隣住民への影響が少ないのがメリットです。

都市部の住宅密集地域や、少し狭めの場所でも施工しやすいのもポイントです。

冷工法のデメリット

当然ですが、熱を使わないということは、アスファルトを溶かさないということです。

そのため防水層として機能させるには、シート同士の隙間を埋めるために、何枚ものシートを重ねる必要があります。

その結果、トーチ工法や熱工法と比べると重量が大きくなり、建物に負荷をかけてしまうことに。屋上や建物自体の耐久性を十分に考慮したうえで施工する必要があるのです。

アスファルト防水のメリット

ここまでアスファルト防水の工法別にメリット・デメリットを紹介してきました。

塗膜防水やシート防水と比べると、アスファルト防水に共通して言えるメリットはどんなものがあるのでしょうか。以下で詳しく解説していきます。

信頼性の高い確かな防水性

雨降り後、水が溜まっているイメージ画像

アスファルト防水は屋上における施工法としては、伝統的なものとして知られています。長い歴史の中で技術的な発展を続け、現代にまで伝えられている施工法なのです。

伝統に裏打ちされた方法だけに、高い水密性や防水性を備えています。ほかの防水施工と比べて耐久性も高く、長い期間にわたって性能を維持することが可能です。

高温多湿になりがちな日本国内では、防水工事は重要な要素です。古くから防水へのニーズが高い日本において、アスファルト防水はその要請に応えるべく発達した高度な技術といえます。

押えコンクリート仕上げ、露出仕上げが可能

屋上防水、コンクリート仕上げされた駐車場

アスファルト防水には、「押えコンクリート」という仕上げ(表面加工)をすることができます。

防水層を保護し劣化を防ぐことを目的として、防水層を覆うようにコンクリートを打つ工程です。

「保護コンクリート」や「シンダーコンクリート」とも呼ばれ、屋上やルーフバルコニーを歩行に適した状態にできます。

また、防水層の表面を砂で仕上げる「露出仕上げ」という選択肢もあり、目的に合わせて施工できるのがポイントです。

施工後すぐに防水性能を発揮する

アスファルト防水の施工風景

アスファルト防水は、施工してから防水機能を発揮するまでの即効性があります。

たとえば塗膜防水の工事では、塗料が乾燥するまでに時間が必要です。ウレタン防水の場合には、1層塗るごとに12~20時間ほどの乾燥時間がかかり、通常2~3層まで施工します。

その点、アスファルトは冷えることですぐに硬化するため、待ち時間が必要ないのです。

アスファルト防水のデメリット

木造住宅や、複雑な形状の場所には不向き

室外機などがたくさん置いてある屋上

防水用のルーフィングシートは、単体でもかなり重い素材です。

それに加えてアスファルトを重ねていくため、施工後はかなりの重量になり、建物の負担が大きくなってしまいます。

そのため土台がさほど強固ではない木造住宅には、あまり向いていません。

またシートが重ねにくいような複雑な場所にも不向きです。たとえば凹凸が多い場所や、室外機がたくさん設置されている場所などが挙げられます。

熱やニオイ、施工の危険性

アスファルト防水を施工する様子

トーチ工法や熱工法では、熱を使ってアスファルトを溶解させます。熱による火傷の危険性や、アスファルトが発するニオイはデメリットと言えるでしょう。異臭が発生すると、近隣住民にも迷惑をかけてしまいます。

周囲への影響が気になる時や、狭い場所に施工したいときには、冷工法を選ぶ必要があります。

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この記事では、アスファルト防水について、工法別にメリット・デメリットを解説してきました。施工場所にあわせて、最適な工法を選ぶのが大切です。

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