給湯器からガスの臭いがしたら、何らかのトラブルが起きている可能性があります。

放置しておくと大きな事故を招くこともあり、正しい知識で安全に対処することが重要です。給湯器がガス臭くなる原因、対処法や修理費用、業者選びの方法などを解説します。
給湯器がガス臭い原因
給湯器からガスの臭いがした場合、ガス漏れが起きているかもしれません。そのままにしておくと爆発による火災や、一酸化炭素中毒による事故につながる可能性があり、早急な対処が求められます。
給湯器からガスの臭いがする原因について、考えられるパターンを説明します。
ガスの残量不足
プロパンガス(LPガス)には、万が一ガス漏れをした際に気がつけるようにあえて臭いが付けられています。臭いの正体はブタンやプロパンなどが含まれる液化ガスです。
この臭いの成分はプロパンガスとともに気化して燃焼します。しかしプロパンガスに比べて気化する速度が遅く、ガスの残量が減ってくると容器の中で臭いの濃度が高くなるのです。
このような理由から、プロパンガスの残量が少ないと臭いを感じやすくなります。ガスメーターを見て残量がわずかだった場合には、現在契約しているプロパンガス販売店に連絡して交換してもらいましょう。
ガス漏れ
ガス給湯器を使用している間にガス臭さを感じた場合、ガス漏れが起きている可能性があります。
ガス漏れの原因は「ガス給湯器の部品の劣化」「ガス配管の損傷」「水漏れ」などです。素人が原因を追求することは困難なため、業者へ連絡しましょう。
使用年数が長いほど、ガス漏れが発生する確率が高まります。日常的に使用している場合、給湯器の寿命は10年が目安です。もし10年前後経過しているガス給湯器からガス臭さを感じたら、経年劣化のサインかもしれません。
ガスの不完全燃焼
ガスの不完全燃焼は一酸化炭素中毒を引き起こし、最悪の場合は命を落とすこともあります。以下のような異常を見つけたら、不完全燃焼の可能性を考えてください。
- 異臭を感じる
- 目が染みる
- 通常は青い炎が赤くなっている
- 黒い煙が出ている
- 火の付き方が不安定
ガスが不完全燃焼を起こす原因としてよくあるのは、給湯器の水漏れの放置です。また給湯器の給気口や排気口がふさがれていて、十分な酸素を取り込めない状態だった場合にも不完全燃焼が起きやすくなります。
給湯器がガス臭いときの対処法
ガス臭さを感じたら給湯器に何らかの異常が起きている可能性を疑い、まずは身の安全を確保しましょう。大丈夫だろうと対処せず放置したり、焦って誤った対処法をとってしまったりすると危険です。
正しい知識を身に付け、避けるべき行動はとらないように注意しましょう。
使用を止める
ガス臭さを感じたら、コンロや給湯器などガスをエネルギー源にした機材の使用を中止しましょう。
万が一ガス漏れしているにもかかわらず使用していると、部屋の中にガスが充満してしまいます。気がつかないうちにとても危険な状況を招くため、異臭に気がついたらすぐに対処することが大切です。
「ガス臭さ=危険信号」と考えて、決して放置しないようにしましょう。
ガスの元栓を閉めて換気する
給湯器からガス臭さを感じたら、ガスの発生を防ぐために元栓を閉めましょう。次に部屋の窓を開けて換気をします。換気扇は静電気を発生させ、ガスに引火する危険性があるため使わないようにしてください。
換気扇以外にも電化製品全般や部屋の電気スイッチは触らないようにします。火をつけるのも危険なので、ライターやタバコの使用も避けます。
室内に充満したガスが火災などの事故を引き起こしかねないため、ガス臭さを感じたら火の気に注意が必要です。
業者に連絡する
ガスの元栓を閉めて換気した後は、契約しているガス業者に連絡をしてください。ガスの取り扱いは素人にとっては困難です。専門の業者でなければできない作業が多いため、プロに確認してもらいましょう。
またガス漏れが発生している際に通知してくれる、ガス・CO警報機が設置されている場合、音などで知らせてくれます。
警報機が通知してくれた場合にも一度業者へ見てもらう必要があるため、早めに連絡をとるようにしてください。
給湯器の修理、交換費用と業者選び
給湯器は経年劣化が避けられないため、修理や交換費用を確認しておくことが重要です。また業者により保証やサービスの期間などが異なる点についても把握しておくと良いでしょう。
給湯器の修理や交換にかかる費用
給湯器の修理にかかる費用は約7,000〜17,000円が目安です。不具合の箇所によりますが燃焼系の場合は約7,000円、電子系の場合には約10,000円、水制御系は約10,000円、安全装置系は約8,000円かかると考えておきましょう。
お湯張り機能付きの給湯器を修理する場合は、プラス20,000円前後かかることがある点にも注意が必要です。
業者の訪問に出張費が発生することもあり、特に遠くの業者へ依頼する場合には事前に確認しておくと良いでしょう。
交換の場合、業者によりますがメーカー希望小売価格から30〜60%前後割引になることもあります。割引率は業者によって異なるので、複数業者に見積もりを依頼して差額を計算してから注文すると確実です。
給湯器業者の選び方
ガス整備士やガス機器設備スペシャリストなどの有資格者であれば、専門的な知識を所有しているため安心して依頼できます。
また販売業者によっては1〜2年のメーカー保証に加えて、5〜10年の長期保証が付いていることがあります。ほとんど毎日使用する給湯器は経年劣化を避けられないため、保証期間が長いほど安心です。
アフターサービスの内容は業者によって異なるため、契約前に確認しましょう。より幅広いトラブルに対応してもらえたり、無料のサービスが充実していたりする業者を選ぶと、困ったときに相談しやすく頼りになります。
ガス臭さ以外にも起こるトラブル
ガス臭さ以外にも、給湯器の不具合により生じる臭いがあります。臭いの種類によって不具合の内容が異なるため、それぞれのケースごとに注意すべき点を把握しておきましょう。
焦げ臭い原因
給湯器から焦げ臭さを感じたら、給湯器内で不完全燃焼が起きているかもしれません。
給湯器の中にほこりやゴミが溜まると、不完全燃焼になることがあるのです。また不完全燃焼により振動して異音が聞こえることもあります。
もし焦げ臭さを感じ取ったら、業者へ連絡をして点検してもらってください。場合によっては修理が必要になりますが、重大な事故につなげないためにもまずは早めに業者へ連絡することが大切です。
酸っぱい臭いの原因
給湯器から酸っぱい臭いを感じたら、給湯器の内部の部品に不具合が出ている可能性があります。ゴム類や金属が腐食したり、劣化したりしているかもしれません。
素人が外から見て原因を究明するのは困難なので、迅速に業者へ連絡し、点検を依頼しましょう。
酸っぱい臭いを感じた状態のまま放置すると、ガス漏れの原因にもなります。もしくはすでにガス漏れが起きている可能性も考えられるでしょう。かなり危険な状態であることを意識し、早急な対応が必要です。
生臭い原因
給湯器から生臭さを感じたら、給湯器の内部に溜まった水が腐食している可能性が考えられます。
給湯器の内部の腐食は、長期間使用せず水の循環が止まってしまっていた場合などに起こりやすいです。
もし生臭さを感じたら、給湯器の下部にある水抜き栓から給湯器の中に溜まった汚れた水を排出します。給湯器の種類によって方法が異なるため、説明書を読みながら正しい手順で実践しましょう。
給湯器のトラブルは冷静に対応を
給湯器がガス臭い原因としては、ガスの残量不足、ガスの不完全燃焼、ガス漏れの三つが主に考えられます。
どの場合においても、まずガス機器の使用を止め、ガスの元栓を閉めて換気することが大切です。換気扇は決して回さず、迅速に業者に連絡し状況を確認してもらいましょう。
ガス漏れは命に関わる事故を招きかねないため、冷静に対応するようにします。また給湯器を修理・交換する場合の業者選びの際には、技術力、保証、アフターフォローをチェックすることを覚えておきましょう。