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ガラリの役割とは?構造や換気の仕組み、種類ごとの特徴を解説!

最終更新日: 2021年06月23日

建物の外壁を見るとところどころに設置されている「ガラリ」。どんな役割をもっていて、どんな種類があるのかご存じでしょうか?

ガラリは室内の空気を入れ替えて新鮮に保つために重要な設備です。

この記事では、ガラリによる換気の仕組みやさまざまなガラリの種類について解説します。

ガラリとは?

ガラリとは、屋外と室内を隔てる壁やドア、窓などに取り付ける通気口のことです。

あまり名前になじみのない人でも、一度は建物の外壁に設置された丸い通気口を見かけたことがあるかと思います。

ガラリがどんな構造をしており、どんな役割を果たしているのかを解説します。

ガラリの構造と仕組み

羽根板とよばれる幅の狭い板をななめかつ平行に何枚か取り付けたつくりになっており、外からは室内の様子が見えないようにしながら、空気を入れ替えることができます

板がななめに取り付けられている構造には、雨風が室内に浸入するのを防ぐはたらきもあります。

もともとガラリは大型機器が数多く設置された排熱が必要な機械室などで使用されていました。室外からの粉塵の侵入を防いで機器を守りながら、常に外の空気を取り込むために活用されていたのです。

ガラリの役割

ガラリは現代の住宅やビルにおいて、空気の出入り口の役割を果たしています。

昔の建造物は木材を中心とした天然素材が使われており、気密性が低く、いわば建物全体が呼吸をしているような状態でした。そのため自然と空気の入れ換えができていたのです。

しかし現代で使われる建材や技術が変化し、気密性や断熱性が向上しました。丈夫で快適な建物が建てられるようになった一方で、空気の入れ替えは自然にはできなくなってしまいました。

そこであえて空気の出入り口を作り、ゆるやかに換気する設備としてガラリが設置されるようになったのです。

その他に換気を担う設備として換気扇がありますが、こちらは機械を使って強制的に空気を入れ換えるものです。

ガラリという言葉の語源

「ガラリ」という印象的な名称がどこからきたのか気になる方も多いと思いますが、その名称の由来にはいくつかの説があり、正確な語源がきちんと判明しているわけではありません。

一つに「網」を意味する英語である「グリル」がルーツだという説があります。グリルが次第に訛ってゆき、ガラリとなったというものです。

同じく英語の「ギャラリー」が変化したという意見もあります。室内の各所に設置されていることから、「回廊」「廊下」といった意味があるギャラリーから転じたという説です。

換気するために扉を開けるときの「がらり」という擬音に由来している、とする人もいます。

今となっては正確な語源を解明するのは難しいかもしれませんが、言葉のルーツを探るとなかなか興味深いものです。

ルーバーとの違いは?

「ルーバー」や「鎧窓(よろいまど)」という名称にピンとくる人も多いかもしれません。

基本的にガラリとルーバーは「通気や日照を調整する」という同じ役割をもったもので、構造にも違いがあるわけではありません。ただ、使用箇所や用途によって呼び分けられていることはあります。

壁などの開口部分にはめ込んで設置される設備そのものを「ガラリ」、羽根板を斜め平行に取り付ける手法そのものは「ルーバー」と呼ばれる傾向にあるようです。

ガラリの種類

ガラリ

ガラリと一口に言っても、設置場所や羽根板の形状によってさまざまな種類があります。

設置場所による分け方

代表的なガラリの種類として、「ドアガラリ」「ガラリ戸」「換気ガラリ」があります。それぞれ設置場所やガラリ部分の大きさによって分けられます。

ドアガラリ ドアガラリ

ドアの一部に設置されたガラリ。
下部に取り付けられたタイプが多いが、ドアに占める面積や材質はさまざまなバリエーションがある。

ガラリ戸 ガラリ戸(よろい戸)

扉全体がガラリになっているもの。

ガラリ 換気ガラリ

建物の外壁などにはめ込まれ、屋内外の空気の入れ替えを担うもの。

羽根板の形状による分け方

空気の通り道を作るために、ガラリには細長い板が用いられます。これを「羽根板」と呼びますが、その形状にもさまざまなものがあります。

形状 特徴
H型 横向きに羽根が取り付けられたタイプで、数多くの建築物に設置されているもっとも一般的な種類。
V型 縦向きに羽根を取り付けるもの。「縦型」と呼ばれる場合もある。
パンチング型 金属製の板に、いくつもの穴が開けられたもので、蜂の巣のような見た目が特徴。
メッシュ型 メッシュ状の金網が取り付けられたもの。
片流れ型 斜め横向きに羽根を設置するため、片側が高くなっている点が特徴。
山型 横から見たときに中央が高くなるように羽根が付いている。
フラッティー型 屋外に向いた部分に深い溝が切られており、溝の内側である中心部の筒状部分の側面に穴が開いている。

換気ガラリにはどんな種類がある?

換気ガラリも、形状や換気方法によっていくつかの種類に分けられます。代表的な分類を紹介します。

形状【丸型・角型】

丸型の換気ガラリ ドアガラリ
丸型 角型

形状は丸型・角型の2つに大別されます。建物の形状や構造によって取り付ける形を選んだり、設置する場所ごとにガラリの形を変えたりするのです。

「丸型」は比較的小さな換気口を設置する際に採用されます。壁に筒状の穴を開け、丸型のガラリを取り付けるのです。天井に給気口を備えるために、パイプとつないで設置されるケースもあり、「ベントキャップ」とも呼ばれます。

「角型」は正方形や長方形のタイプです。丸型よりも負荷に耐えやすい性質があるため、より大きなサイズのガラリを設置できるメリットがあります。

換気方法【自然・強制】

「自然給排気」は室内と室外の温度差によって生じる気圧差によって、自然に換気を行うタイプです。開口面は比較的狭く、水止めによって雨水を遮り、防虫網で虫の侵入を防いでいます。

「強制給排気」は「機械排気」とも称される方法で、換気扇を利用して換気を行うタイプです。大きな開口面を持ち、空気の流れをふんだんに作って換気する仕組みになっています。

構造としてはキッチンの換気扇と同様で、湿気や臭気が特にこもる場所に設置して、建物全体の空気の循環を生み出します。

フードの形状【丸型・U型】

丸型フードのガラリ U字フードのガラリ
丸型フード U字フード

雨や雪が室内に入り込むのを防ぐためにフードが取り付けられたガラリも多くあります。フードにもさまざまな形状がありますが、よく見かけるのは丸型とU字型です。

丸型フードは最も一般的でよく見られる形です。U字型はガラリの通気口部分を完全に覆っており、より雨水が入りにくいつくりになっています。

さまざまな機能付きガラリも

ガラリには他にもさまざまな機能をもったタイプがあります。

防火ダンパー付き

「防火ダンパー付きガラリ」とは、火災時の延焼を防ぐ機能をもったガラリのことです。

一定以上の高温になると、取り付けられたヒューズが溶けて空気を遮断するつくりになっています。標準的なものは72度設定ですが、120度設定へと変更も可能です。キッチンに取り付けるガラリであれば120度設定にした方が良いでしょう。

フィルター付き

花粉や空気中のチリが空気とともに室内に入り込むのを防ぐフィルター付きのガラリもあります。

このタイプは定期的にフィルターの掃除や交換といったお手入れが必要です。

ガラリはどこに取り付ける?

ガラリは建物のどのような場所に取り付けられるものなのでしょうか?

よく取り付けられる設置場所を紹介します。

換気扇の外側

換気扇を設置すると、そこは部屋の開口部になります。使用していないときでも換気と同じ状態だと雨風が侵入してしまうため、普段は開口部を閉じる仕組みです。

そのため換気扇を使っていないときに換気を補助する目的で、ガラリを壁面に設けるケースが多くあります。

換気扇のオン・オフや換気扇が生み出す風圧の違いに連動して、羽根が動くタイプも効果的です。

キッチンや浴槽

キッチンは換気を非常に必要とする場所です。火を扱う機会が多いため熱気がこもりやすいことに加え、ガス対策も施さなければなりません。そのため換気扇やレンジフードだけでなく、ガラリを設置して効率のよい換気を促します。

浴室も換気が重要な場所です。湿気がたまりやすく、空気の循環が悪いとカビやコケなどが発生してしまうでしょう。

ガラリによる換気で湿度を調整できます。換気扇のみの使用と比べて、空気の入れ換えを常時できることで、効果が高まるのです。

換気のためにガラリを活用しよう

よどんだ空気は室内で過ごす人の気分にも影響します。空気が室内に停滞し続けるとカビやダニなどの発生にもつながり、ときに健康被害をもたらすケースもあるのです。

適切な換気を行ううえで、ガラリは大きな効果を発揮します。その仕組みや機能を理解して、積極的に活用しましょう。

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