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確定申告前に所得税率を計算しよう!節税対策と納税準備は早めに

最終更新日: 2023年03月10日

独立して確定申告をするようになると、税金についての意識が上がります。その中でも、最も気になるのは所得税ではないでしょうか。今回はそんな所得税についてお伝えしたいと思います。

これを読むことであなたの所得税はどれくらいになるのか、その考え方や計算方法を知ることができるようになります。

この記事を監修した税理士

菅野歩税理士事務所 - 宮城県仙台市宮城野区

 

確定申告の税率

事業主の人が確定申告をする際に、最も気になるのは所得税の税率ではないでしょうか。サラリーマンであれば年末調整のあるため、自身で税金の計算をする必要がありません。しかし事業主であれば、所得税についてぜひ学んでおきたいところです。

まずは所得税の基本とその特徴、仕組みや計算方法についてお伝えしたいと思います。

所得税の概要

所得税は、会社員であれば給与から自動的に引かれ納税することになりますが、個人事業主は確定申告をすることで納付額を役所に申告し、納付を行うことになります。所得税は、1月1日から12月31日までの1年間とし、その期間で得た課税所得金額に対して課税されるものです。

所得税において最も大きな特徴としてあげられるのは、「累進課税制」であることです。累進課税制度とは所得に応じて負担の度合いが変わる制度のことです。つまり、年収1000万円の人と、年収300万円のある人ではその所得税率が変わるということです。

例えば消費税は物を買う際に一律の税率が課せられています。富裕層でも貧困層でも同じ税率を支払うため、見方によっては不公平なものだともいえます。これに対し、所得税は富裕層には大きな税金を支払うという大きな違いがあります。

所得税の税率

所得税の税率は7段階に分かれており、「課税総所得金額」に応じてその税率が変わります。課税総所得金額は、「事業所得」から所得控除と前年の赤字繰越額を引いて計算することができます。事業所得とは売上から経費と青色申告特別控除額を引いた金額のことです。整理してまとめてみましょう。

  • 売上−経費−青色申告特別控除額=事業所得
  • 事業所得−所得控除額の合計−前年から繰り越している赤字の金額=課税総所得金額

給与所得や不動産所得がある場合には、課税総所得金額に加算しなければなりません。次に前述した7段階の税率を確認してみましょう。

所得金額と税率の対応表は、次のとおりです。

所得税の速算表
所得税の速算表 出典:No.2260 所得税の税率|国税庁

注意しなければならないのは、上がる税額は各段階の課税総所得金額の範囲だけであるということです。各税率の区分を超えたら突如税率が跳ね上がるということではありません。

確定申告をする際の所得税の計算方法

もし、課税所得金額が500万円あったとしたら所得税をいくら払う必要があるのかを計算してみましょう。

「所得税の速算表」に当てはめて計算すると「500万円×税率20%-427,500(控除額)」で、課税所得金額500万円の人が払うべき所得税は572,500円です。

「所得税の速算表」では、段階に分けて計算しなくても良いように、段階的に排除額を入れて一括で計算できるようになっています。しかし、考え方としては 以下のような積み重ねで所得税は決定しています。

  • 195万円 税率5%なので所得税97,500円
  • 135万円(330万円-195万円)税率10%なので所得税135,000円
  • 170万円(500万円-195万円-135万円)税率20%なので所得税340,000円

つまり、97,500円+135,000円+340,000円=572,500円となります。

基礎控除について知っておこう

ちなみに、課税総所得金額を計算する際には、事業所得や給与所得から所得控除額を引いて計算します。この所得控除額にはいろいろあり、社会保険控除、医療費控除、生命保険料控除、配偶者控除などが該当します。

この中に誰でも適用される「基礎控除」という控除があります。所得税計算する際に使用される額は48万円です。

たとえば青色確定申告をする人であれば青色申告特別控除を受けることができるために、48万円(基礎控除額)+最大65万円(青色申告特別控除額)=最大113万円を所得から引いて計算することができます。青色確定申告をする人で113万円を超えない所得であれば、前述した計算式に当てはめると所得税は0円となるためです。

所得税と年収の関係で気を付けるべき点

さて、もしあなたが事業者であれば前述した計算式により、自分の所得税の算出できるようになったと思います。ここで気を付けなければならないのは、「年収により、税金が大きく上がるラインがある」ということです。

そのラインとはもちろん前述した7段階の税率の切り替わるラインのことです。自分の予測課税総所得金額を割り出し、計算することでそういった節税を意識することができるようになるかもしれません。

副業している場合の計算方法

副業している場合の計算方法
副業している場合の計算方法

政府が推進する「働き方改革」によって徐々にではありますが、副業を解禁する企業も増えてきています。副業をしている場合には確定申告をしてその所得に応じて所得税を納付する義務があります。しかし、副業している会社員の場合は、所得が20万円までは確定申告が不要です。

ここでは副業している場合の計算方法を確認してみましょう。

所得区分によって異なる収入の計算方法

給与所得、家賃収入、株、FXなど、所得区分によって所得の計算方法が変わってきます。所得税の法律によって所得の種類は10種類に区分されているのですが、それぞれに計算方法があるのです。まずはその10種類について見てみましょう。

所得の種類は以下の10種類に分類されています。「利子所得」「配当所得」「不動産所得」「事業所得」「給与所得」「退職所得」「山林所得」「譲渡所得」「一時所得」「雑所得」です。

副業で関係しそうなのは「不動産所得」「事業所得」「給与所得」「譲渡所得」「雑所得」でしょうか。

ちなみに前述した家賃収入は「不動産所得」、株式投資の収入は「譲渡所得」、FXの収入は「雑所得」になります。内職やクラウドソーシングを利用して得た収入は「事業所得」、アルバイトをした収入は「給与所得」として分類され、それぞれに計算方法が異なっています。

副業と本業は足し合わせて計算

会社員が副業をする場合には、本業の所得と副業の所得を足し合わせて、そこから税率が決まってきます。会社員は社内の経理や総務担当者が年末調整をしてくれますが、最終的に副業の分と足し合わせ、再計算します。そこから確定申告で足りない分を払ったり、払いすぎの分が還付されたりするのです。

では、具体的に会社員が副業をした場合の計算をしてみることにしましょう。1年間の給与500万円、源泉徴収票に記載された給与所得控除後の金額は346万円、給与から天引きされている所得税(源泉徴収税額)20万円、事業所得50万円、簡単に計算するために独身で他に控除がない場合を例として考えてみます。

所得の合計は「給与所得346万円」+「事業所得50万円」=396万円→ここから前述した基礎控除48万円を引いた額は348万円です。これを前述した所得税の計算式に当てはめて計算すると268,500円ですが、先に会社に源泉徴収税を納めているのでその分を差し引きます。答えは68,500円、これを所得税として支払うということになります。

確定申告で住民税の税率はどうなるか

確定申告で住民税の税率はどうなるか
確定申告で住民税の税率はどうなるか

さて、確定申告をして所得税を支払い終わったらようやくスッキリした気分になったでしょうか。実は個人事業主が納めるべき税金は所得税だけではなく、住民税も払う必要があります。住民税は確定申告後に住んでいる市区町村から届く通知書に、その金額が記載されています。住民税は所得税と違い、その計算方法は単純です。

住民税は10%で固定

住民税は所得税とは異なり、どの地域でもほぼ一律10%であり、年収による税率の変動はありません。税率は原則、市区町村民税が6%、都道府県民税が4%という内訳になっています。

しかし、一部自治体によって独自の税率を設けているところがあるので、気になった人は自分の住んでいる地域の住民税について調べてみると良いでしょう。

住民税の計算方法

住民税の計算方法は、所得税と同じです。

合計所得から所得控除を引いた金額に税率をかけて計算します。所得控除の金額(基礎控除など)が所得税と異なる点に注意が必要です。

確定申告に関するポイント

確定申告に関するポイント
確定申告に関するポイント

ここまで読んできた人であれば、事業主が払うべき所得税と住民税についてかなり詳しく理解できたのではないでしょうか。ここからは確定申告をするまでにできる節税について考えてみることにしましょう。節税の仕方は非常に多岐にわたりますが、ここではできるだけ、誰でも当てはまるものを考えてみることにしましょう。

経費で所得を抑える

これまで見てきたように所得税は、事業所得を減らせばその数字が小さくなることがわかっています。おさらいをすると、事業所得とは収入から経費を引いた額です。つまり、経費が大きいほど税金も抑えられる(給与所得は不可)ということになります。

事業のために使用してはいるが、経費として計上していないものは無いでしょうか。「事務所経費」「消耗品費」「什器備品」「旅費交通費」「交際費」…改めて確認してみましょう。

しかしながら「何をどこまで経費にするのか」という判断は個人では非常に難しいものです。もし、判断に迷うことがあれば税理士に相談するのが良いでしょう。

ふるさと納税、医療費控除などの税金控除税度を利用する

前述したように、節税の仕方は多岐に渡ります。節税の仕方は専門家に聞くのが最もわかりやすいものですが、代表的な節税を考えてみましょう

  • ふるさと納税:応援したい自治体に寄附ができる制度です。お礼の品がもらえるために魅力的な節税といえるでしょう。
  •  医療費控除:一定額以上の医療費を支払った場合に納めた税金の一部が戻ってくるというものです。
  •  住宅ローン控除:「住宅借入金等特別控除」という制度の通称で、マイホームをローンで購入した場合に、一定の割合にあたる金額が所得税から控除される制度のことです。

これらを利用すれば所得税も減らすことができます。他にもありますので気になった人は積極的に調べてみてください。

副業している人は分離課税を使えば節税に

本業以外で副業として株で配当を受け取った人、不動産、土地などを譲渡された人などは、「分離課税」を選択すると節税になる可能性があります。所得税の課税方法は「総合課税」と「分離課税」の2種類に分けられており、所得税は「総合課税」によって計算されています。「総合課税」では本業や副業などを合算して課税されますが、「分離課税」では他の所得と合算せずにそれぞれの所得に対して課税を行います。

これはケースバイケースですが、こうした知識があると自分にとって有利な課税を選択できるため、税金が安くなる可能性があるのです。こうした節税のテクニックは個人ではなかなか難しいですが、税理士などの節税の専門家に相談するとその恩恵に預かることができるかもしれません。

事業ならば青色申告を

確定申告には、青色申告と白色申告の2種類の申告方法があります。一般的には青色申告はやや難しく、白色申告が簡単という印象があるかもしれませんが、それほどの違いがあるわけではありません。

青色確定申告では、事業の儲けから最大65万円を差し引けるという大きなメリットがあるため、事業ならば青色申告を行うべきでしょう。

監修税理士のコメント

菅野歩税理士事務所 - 宮城県仙台市宮城野区

所得税は、課税される金額が大きくなるほど税率も上がるという累進課税制度を適用しています。累進課税制度をとる税金は、他に贈与税、相続税があります。 そのメリットは、富の再分配という点が挙げられます。累進課税制度を用いることで、高所得者になるほど所得税を多く納めるということになります。お金持ちがずっとお金持ちでいることは難しくなり、財産の固定化が防げるという役割を果たすことになります。  デメリットとして挙げられるのは、例えば給与所得者について、一定以上働くことに対しての意欲を低下させることに繋がるという点です。具体的には、配偶者に扶養されている人が、配偶者控除を受けるために就労時間を調整するなどが挙げられます。

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