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支払手数料とは?仕訳や間違えやすい経費との違いを解説

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最終更新日: 2024年01月29日

「税理士に仕事を依頼しているが、報酬の支払いをどの勘定科目にするのかわからない」「支払手数料ってどんな経費を集計すればよいのかわからない」

このように様々な手数料、報酬についての疑問をお持ちではないでしょうか。

この記事では、個人事業主の方にとっては判別しにくい「支払手数料」の概要仕訳方法を徹底紹介します。この記事を読むことで、自信を持って手数料や報酬を経費に計上できるようになります。

この記事を監修した税理士

京浜税理士法人 横浜事務所 - 神奈川県横浜市青葉区青葉台

 

支払手数料とは

支払手数料とは

「支払手数料」とは、会社の経営や取引の際に発生する報酬や手数料などの経費を集計する勘定科目です。

支払手数料に該当する費用

  • 金融機関で振り込みをする際の振込手数料
  • 事務所を借りる際に不動産会社に支払った仲介手数料
  • 税理士、行政書士などに支払う報酬・相談料
  • 経営改善のためのコンサルタントに支払う報酬・相談料
  • 航空券等の解約に発生した解約手数料

「支払手数料」には銀行や不動産会社に支払う手数料だけではなく、税理士などの支払う報酬・相談料も含まれます。直接的な販売に関わる経費ではなく「ビジネスに附随して必要となる間接的な経費が主に含まれる」と考えるとよいでしょう。

支払手数料は消費税の課税対象

支払手数料は基本的に課税取引です。しかし海外の企業との取引の際に発生した場合やクレジットカードの決済手数料は、消費税の課税対象外となります。支払った手数料に対して、消費税が課されるかどうか詳しく知りたい方は以下の国税庁のHPをご確認ください。

参考:消費税のしくみ|国税庁

支払手数料は費用で仕訳

支払手数料が発生した際は「費用」として「借方」に記入します。転記ミスやそもそも経費として認められないとなったケースでのみ、逆仕訳により貸方で仕訳します。

また支払手数料は「費用」であるため、貸借対照表上の「負債」とは関係ありません。支払手形などの負債の勘定科目と間違えないように注意しましょう。

支払手数料の仕訳例

手数料の仕訳例

正しい仕訳を行うために「支払手数料」の仕訳例を様々なケースに沿って解説します。

振込手数料は当方(自社)負担の場合と先方(取引先)負担の場合で仕訳方法が異なります。同じ当方負担の場合でも振り込む場合と振り込まれる場合で仕訳方法が違うため1つずつ確認していきましょう。

振込手数料が当方負担の場合

振込手数料が当方負担の場合

当方負担で振り込みを行う場合

例:過日、利用費100,000円の他社サービスを利用して代金は掛けとした。12月10日に代金を支払い、その際の振込手数料は当方負担とした。
借方 貸方
日付 勘定科目 金額 勘定科目 金額 摘要(具体的な内容)
12/10 買掛金 100,000 普通預金 100,550 サービス利用費
支払手数料 550 振込手数料

当方負担で振込を行う場合は、利用費と支払手数料を分けて記載します。

当方負担で振り込まれた場合

例:12月10日に提供したサービス代金(売上)として100,000円が銀行に入金された。その際の振込手数料は当方負担とした。
借方 貸方
日付 勘定科目 金額 勘定科目 金額 摘要(具体的な内容)
12/10 普通預金 99,450 売上 100,000 サービス提供売上
支払手数料 550 振込手数料

振込手数料が当方負担の場合は、その金額が差し引かれて入金されるので、その金額分を「支払手数料」として経費計上します。

振込手数料が先方負担の場合

振込手数料が先方負担の場合

先方負担で振り込みを行う場合

例:過日、利用費100,000円の他社サービスを利用して代金は掛けとした。12月10日に代金を支払い、その際の振込手数料は先方負担とした。
借方 貸方
日付 勘定科目 金額 勘定科目 金額 摘要(具体的な内容)
12/10 買掛金 100,000 普通預金 100,000 サービス利用費

振込手数料が先方負担のため「支払手数料」は計上しません

先方負担で振り込まれた場合

例:12月10日に提供したサービス代金(売上)として100,000円が銀行に入金された。その際に振込手数料は先方負担としている。
借方 貸方
日付 勘定科目 金額 勘定科目 金額 摘要(具体的な内容)
12/10 普通預金 100,000 売上 100,000 サービス提供売上

この仕訳の場合は自社の経費として手数料が発生していないため、「支払手数料」は計上しません

税理士に報酬を支払い、源泉所得税を徴収した場合

税理士に報酬を支払い、源泉徴収をした場合

例:12/30に税理士に報酬として、300,000円の経費が発生した。そのうち30,630円(10.21%)を源泉所得税として差し引いて振込で支払った。
借方 貸方
日付 勘定科目 金額 勘定科目 金額 摘要(具体的な内容)
12/30 支払手数料 300,000 普通預金 269,370 税理士報酬
預り金 30,630 源泉所得税

報酬の支払いの際には源泉所得税が発生する場合があるので、差し引いた金額を振り込む必要があることに注意しましょう。源泉徴収した金額は「預り金」という勘定科目で集計します。

不動産の売却で仲介手数料を支払う場合

不動産の売却で仲介手数料を支払う場合

例:12月10日に不動産の売却代金1,000,000円が現金で入金され、不動産の売却に伴う仲介手数料100,000円を現金で支払った。
借方 貸方
日付 勘定科目 金額 勘定科目 金額 摘要(具体的な内容)
12/10 現金 900,000 売上 1,000,000 不動産売上代金
支払手数料 100,000 仲介手数料

なお、不動産購入時の仲介手数料については、「土地」「建物」の取得価格に含めなければいけないので、支払手数料として費用計上しないように注意しましょう。

クレジットカードの手数料を支払った場合

クレジットカードの手数料を支払った場合

例:10/01に20,000円の商品を販売して、クレジットカードで支払いを受けた。その際に手数料5%が差し引かれた金額が振り込まれた。
借方 貸方
日付 勘定科目 金額 勘定科目 金額 摘要(具体的な内容)
10/1 普通預金 19,000 売上 20,000 商品販売の売上金
支払手数料 1,000 クレジットカード手数料

クレジットカードで支払いを受けた場合、クレジットカードの手数料は「支払手数料」となります。

なお、加盟店が信販会社と直接契約している場合のクレジットカードの決済手数料は、消費税法上、非課税取引となるので注意が必要です。

支払手数料と間違えやすい経費

支払手数料の注意点

「販売手数料」や「支払報酬」などは「支払手数料」と混同しやすい経費です。誤った仕訳をしないためにも、それぞれの判断基準を解説します。

販売手数料

販売手数料には販売代理店に商品を販売してもらった際に支払う報奨金などが含まれます。販売手数料は直接的な売上のための費用となるので「販売促進費」という勘定科目となります。

「支払手数料」と混同しやすいですが、直接売上に関する経費は「販売促進費」に計上するようにしましょう。

支払報酬

税理士や社会保険労務士、弁護士、司法書士、行政書士などに支払う報酬は「支払報酬」という勘定科目も使用できます。一般的に振込手数料や仲介手数料などの手数料と、専門家への報酬を区別するために使用されます

専門家への依頼が多い場合は、経費の使用目的が分かりやすくなるので「支払報酬」を利用してわかりやすく集計しましょう。

雑費

「雑費」は、他の勘定科目に属さない経費として利用される勘定科目です。一般的には少額の経費やどの経費にも相応しくない、わからない経費の科目として使用されます。

そのため雑費の額があまりに多いと、税務調査で「雑費」の内訳を確認されることもあります。なんでもかんでも雑費として経費計上せず、継続的に計上する手数料は「支払手数料」として仕訳を行いましょう。

受付手数料

求人の際に人材紹介会社に手数料として支払う受付手数料という経費があります。この受付手数料も「支払手数料」として処理することが可能です。企業によっては人材の紹介に関わる経費なので、「採用費」などの勘定科目で経費を集計している場合もあります。

収入印紙と収入証紙、証明書の発行手数料

収入印紙や証明書の発行手数料などの経費も「支払手数料」として処理できますが、公的な証明書などの発行費用は「租税公課」という勘定科目に集計することが一般的です。「支払手数料」にする理由がなければ、「租税公課」を利用しましょう。

利息や利子を表す手数料

事業のために資金の借入をする際に利息や利子を支払う必要があります。その場合は「支払手数料」ではなく「利子割引料」という勘定科目を使用します。「利子割引料」に該当する経費の具体的な内容は下記の通りです。

  • 事業の資金調達をして金融機関に支払う利息
  • 事業用の自動車を購入した際のローンに伴う利息の支払い

支払手数料を正しく経費にしましょう

支払手数料を正しく理解しよう

ここまで「支払手数料」に含まれる経費について紹介してきました。ポイントをまとめると下記のような内容となります。

  • 「支払手数料」には、金融機関や不動産会社に支払う手数料、税理士などの専門家に支払う報酬などの経費が計上される
  • 手数料と呼ばれていても、売上に直接関わる経費は「販売促進費」などの勘定科目となるので注意が必要
  • 企業によっては専門家の報酬を「支払報酬料」、人材紹介料を「採用費」など「支払手数料」以外の勘定科目に集計している場合もある。どの勘定科目を利用してもよいが、継続適用する必要があることに注意

ポイントを押さえて正しい経費計上を行うことで、使用用途のわかりやすい帳簿を作成できます。経営課題の見える化を行い、今後の戦略に役立てましょう。

監修税理士からのコメント

京浜税理士法人 横浜事務所 - 神奈川県横浜市青葉区青葉台

事業では様々な場面で手数料が発生しますが、すべての取引を「支払手数料」で計上してしまうと「支払手数料」という勘定科目に様々な種類の取引が混在することになり、「支払手数料」の内容を適時に把握することが難しくなります。そのような場合には、補助科目を利用して「支払手数料」の内容を区別して計上すると良いでしょう。

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この記事の監修税理士

京浜税理士法人 横浜事務所 - 神奈川県横浜市青葉区青葉台

横浜市青葉区を拠点として、個人及び中小規模法人のお客様を中心に税務サービスを提供しております。 「小規模事務所ならではのフットワークの軽さ」「代表税理士の顔が見える安心感の提供」をモットーに、日々お客さんのお役に立てるよう業務に邁進しております。