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中小企業の接待交際費の上限額は? 5,000円基準についても説明

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最終更新日: 2024年06月28日

この記事では、どのような経費が「接待交際費」に計上できるのか、上限額はいくらなのか、わかりやすく解説します。

この記事を監修した税理士

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区元町通

接待交際費の範囲とは

接待交際費の範囲とは
接待交際費の範囲とは

接待交際費とは会計の勘定科目のひとつで、「交際費」または「交際費等」とも呼ばれています。取引先との接待で飲食店を訪れた際の支出に対してよく利用される勘定科目です。接待交際費は接待飲食費とそれ以外の交際費等に分けることができます。税務上この分類は重要なものなので、判断基準をしっかりと覚えておきましょう。

接待交際費とは

接待交際費は国税庁によって下記の通り定められています。

交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(以下「接待等」といいます。)のために支出するものをいいます。

引用:No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算|国税庁

税法上、接待交際費は「交際費等」と表記されます。交際費等は会計上会社の費用とすることはできますが、税法上は原則的に損金不算入となります。ただし、一定の要件を満たせば一部を損金算入することが可能です。

上記を読むと、接待交際費とは、会社が取引先や事業に関係のある者等に接待や贈答などを行なう際の支出であることがわかります。この支出が接待交際費の主たる部分ではありますが、他にも接待交際費に分類される支出は多くあります。この点は次章で詳しくみていきます。

接待交際費の種類

どのようなものが接待交際費に該当するかは、国税庁のホームページに詳しく記載されています。その情報を参考に、ここから先では接待交際費の中身を「接待飲食費」と「接待飲食費以外の接待交際費」の2つに分けてみていきましょう。

接待飲食費

まずは接待飲食費です。接待交際費として一番支出する機会の多い費用が接待飲食費でしょう。取引先や社外の関係者と飲食を伴う接待を行なった際に該当します。

「接待」というと固く聞こえてしまうかもしれませんが、簡単に言ってしまえば「取引先との飲食」のこと。いつもの御礼にとレストランへ食事に招待したり、プロジェクトの打ち上げを居酒屋で行なったりしたケースがこちらです。取引先と一緒に飲食を行なえば、接待飲食費に該当します。

接待飲食費には食べ物や飲み物の料金の他に、テーブルチャージ代やサービス料、会場費、カラオケ代なども含まれます。

接待飲食費以外の接待交際費

同じ飲食費でも、もっぱら自社の役員や自社のために供された飲食に関しては、接待飲食費ではなく通常の接待交際費に該当します。これらの費用は「社内飲食費」とも呼ばれています。接待飲食費とは自社以外の取引先・事業に関係のある者との飲食費で、それ以外の場合はすべて接待交際費に該当すると考えると覚えやすいでしょう。

接待交際費には飲食費以外の交際費も含まれます。例えば、お中元や御歳暮、創立記念のお祝いなど、取引先へ何かプレゼントを贈った費用は交際費として計上できます。また、取引先の人の接待飲食からの帰りのタクシー代を負担した場合も接待交際費となります。

他にも、取引先を旅行へ招待した場合の旅費や、社外の関係者の慶弔に対してご祝儀や香典を贈った場合なども接待交際費となります。カバー範囲の広い費用科目であると言えますね。

接待交際費から除かれるもの

接待交際費と混同しやすい費用に、会議費と福利厚生費、広告宣伝費があります。これらの費用は接待交際費には該当しません。その旨国税庁のホームページに記載されていますので、引用しながらご紹介します。

(1) 専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用

引用:No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算|国税庁

従業員の慰安を目的としたイベントの費用は、接待交際費ではなく福利厚生費に該当します。創立記念パーティーや慰安旅行などがその例です。

(2) 飲食その他これに類する行為(以下「飲食等」といいます。)のために要する費用(専ら当該法人の役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除きます。)であって、その支出する金額を飲食等に参加した者の数で割って計算した金額が5,000円以下である費用

引用:No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算|国税庁

取引先や事業の関係者との飲食であっても、合計額を参加人数で割った1人当たりの単価が5,000円以下の場合は接待交際費から除外されます。代わりに会議費への計上が可能です。この部分については、後ほど「接待交際費の5,000円基準とは」の章で詳しく解説していきます。

(3) その他の費用

イ カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐいその他これらに類する物品を贈与するために通常要する費用

ロ 会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用

ハ 新聞、雑誌等の出版物又は放送番組を編集するために行われる座談会その他記事の収集のために、又は放送のための取材に通常要する費用

引用:No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算|国税庁

イの取引先へ配布するカレンダーや会社のイベントで配るうちわなどは広告宣伝費に該当します。また、ロの会議の際のお茶菓子やお弁当・飲み物などは会議費に、ハは支出の内容によって取材費や謝礼金となります。

接待交際費の上限

接待交際費の上限
接待交際費の上限

接待交際費は原則的に税法上では損金不算入です。しかし、会社の規模によっては一部損金参入することが認められています。その上限額は、中小企業・大企業・個人事業主ごとに違いがあります。

中小企業の接待交際費の上限

まずは中小企業の上限についてみていきましょう。ここで言う中小企業とは、期末の資本金の額又は出資金の額が1億円以下である法人等のことです。

中小企業は大企業には使えない中小企業の特例を利用することができ、大企業に比べて損金算入できる金額が多くなります。損金算入の上限は、下記2つの中からどちらかを選択できます。

  1. 接待交際費の中から800万円まで
  2. 接待飲食費×50%

接待交際費全体の中から800万円を上限として損金にする方法と、接待交際費内の接待飲食費のみの50%を上限に損金算入する方法です。どちらを選ぶかは会社に任されていますが、接待飲食費が1,600万円以下の場合は1を、1,600万円以上の場合は2を選んだ方が損金算入できる金額は多くなります。

尚、この特例には期限が設定されています。現在は毎回期限が延長されてきていますが、今後どうなるかはわかりません。定期的に最新情報を取得するようにしましょう。

大企業の接待交際費の上限

大企業は中小企業とは損金算入できる要件が異なっています。

大企業の場合、損金算入できる接待交際費の金額は、接待飲食費×50%までと決められています。接待交際費を使いすぎると税計算が不利になりますので、あまり使い過ぎないように支出をコントロールしていく必要があります。

個人事業主の接待交際費の上限

個人事業主の場合は、中小企業とも大企業とも異なっています。個人事業主は接待交際費の全額を経費計上することが認められています。接待交際費を計上する際には、プライベートな支出と疑われないよう、接待をした取引先名や事業との関係性などを記録しておくようにしましょう。

接待交際費の5,000円基準とは

接待交際費の5,000円基準とは
接待交際費の5,000円基準とは

「5,000円以下なら交際費にはならない」「5,000円までなら社員で飲食しても大丈夫」など交際費において、「5,000円」が何らかの基準となっていることを耳にしたことはないでしょうか。この章では、接待交際費と5,000円という金額の関係について解説していきます。

1人当たり5,000円以下の飲食費は全額損金算入できる

国税庁のホームページには、接待交際費の金額について以下のような記述があります。

ただし、次に掲げる費用は交際費等から除かれます。

(2) 飲食その他これに類する行為(以下「飲食等」といいます。)のために要する費用(専ら当該法人の役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除きます。)であって、その支出する金額を飲食等に参加した者の数で割って計算した金額が5,000円以下である費用

引用:No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算|国税庁

上記を読むと、「飲食その他に類する行為のために要する費用」は「その支出する金額を飲食等に参加した者の数で割って計算した金額が5,000円以下」である場合、交際費等から除外されることが分かります。

つまり、1人当たり5,000円以下の金額の接待飲食費は交際費等には該当しないことになります。取引先と居酒屋に行ったり、打ち上げをしたりした飲食費用であっても、1人当たりの料金が5,000円以下であるならば接待交際費とはしなくていいのです。

では、1人当たりの料金が5,000円以下の飲食費が何になるのかと言うと、その答えは「会議費」です。単価5,000円以下の接待での飲食費は会議費として計上することになります。会議費は会計上も税務上も全額損金算入することができるため、接待飲食費として計上した場合に比べて税務的に有利になります。会議費については記事の後半で詳しくみていきましょう。

なお、この5,000円基準が該当する接待飲食費は得意先や取引先といった社外の人への接待のみであり、自社の従業員や役員との飲食の場合は適用されません。その点注意しましょう。

規定を適用するための要件

5,000円以下の飲食費を交際費等から除くとする国税庁のホームページには続きがあります。

なお、この規定は次の事項を記載した書類を保存している場合に限り適用されます。

イ 飲食等のあった年月日

ロ 飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名又は名称及びその関係

ハ 飲食等に参加した者の数

ニ その飲食等に要した費用の額、飲食店等の名称及び所在地(店舗がない等の理由で名称又は所在地が明らかでないときは、領収書等に記載された支払先の氏名又は名称、住所等)

ホ その他飲食等に要した費用であることを明らかにするために必要な事項

引用:No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算|国税庁

上記の通り、接待での飲食等に際して1人当たり5,000円以下の支出をしたときには、その費用を接待交際費等から除外するため、上記の要件を満たす必要があります。イ~ホの情報が含まれた書類を保存する必要があるのです。

イの日付やニの飲食等の費用の額や飲食店の名称・住所などは、飲食をしたレシートや領収書に記載されていることが多いです。しかし、ロの接待相手の名前や会社名、またハの参加人数はレシートや領収書では確認することができません。そのため、これらの情報を残すには何か社内で対策を講じる必要があります。

該当する飲食の数があまり多くない会社の場合は、レシートや領収書の裏に足りない情報を補記していけば事足ります。しかし、接待を伴う飲食の回数が多い会社では、接待交際費や会議費専用の申請書やワークフローを作成するなどして管理を行なう必要があります。経理や財務がレシートや領収書から一つずつ情報を拾っていたのでは効率が悪すぎるからです。

該当する飲食の数に応じて、社内で取るべき対策を検討しましょう。

「1人当たり5,000円」は税込みか税抜きか

基準となる5,000円が税込か税抜かはその会社が採用している経理方式によって異なります。税込経理方式を採用している会社は税込5,000円が判断基準額となり、税抜経理方式を採用している会社は税抜5,000円となります。

飲食費を割り勘で支払った場合は?

接待相手と飲食費を割り勘で支払った場合は注意が必要です。租税特別措置法関係通達第61の4(1)-23ではこのように定められています。

措置法令第37条の5第1項に規定する「飲食その他これに類する行為のために要する費用として支出する金額」とは、その飲食等のために要する費用の総額をいう。

引用:6 第61条の4《交際費等の損金不算入》関係|国税庁

つまり、5,000円基準の母数となる飲食費の金額は、飲食費として支払った総額になるということです。接待相手と費用を割り勘した場合でも、支払総額を参加人数で割った額を5,000円以下かどうかを判定する必要があります。

取引先参加者2名・自社参加者3名・総額30,000円の打ち上げを行なった場合を考えてみましょう。30,000円÷5人=6,000円が1人当たりの金額となり、会議費にできる基準額である5,000円を超えていることがわかります。そのため、この支出は接待交際費であると判断されます。

なお、同通達には例外も明記されています。

ただし、分担又は負担した法人側に当該費用の総額の通知がなく、かつ、当該飲食等に要する1人当たりの費用の金額がおおむね5,000円程度に止まると想定される場合には、当該分担又は負担した金額をもって判定して差し支えない。

引用:6 第61条の4《交際費等の損金不算入》関係|国税庁

上記を参考にすると、支払った総額が通知されておらず自社で負担した金額の情報しかないときには、その飲食費がおおむね1人当たり5,000円程度であると判断できれば自社が支払った金額を判定の母数としていいことがわかります。

このように、接待相手と飲食費を割り勘した場合はケースバイケースで判定を下す必要があります。

接待交際費と会議費の違いとは?

接待交際費と会議費の違いとは?
接待交際費と会議費の違いとは?

会議費とは会議に関連して支払った費用のことで、会議室代や資料の印刷代、お茶代などが該当します。この会議費と接待交際費はよく間違いが起こる勘定科目です。特に間違いやすい部分は、取引先との飲食代です。5,000円基準を下回った費用は会議費に、上回った費用は接待交際費となります。

会議費とは

会議費とは会議に際して必要になった費用のことを指します。例えば社外の人と会議を行なうために借りた会議室代や、そのときに提供したお茶代や茶菓子代などが該当します。

会議の相手は社外の人間だけではなく、社内の人間でも問題ありません。社内の人間同士で打ち合わせやランチミーティングを行なったときも、会議費として費用計上することができます。この支出相手が「社内の人間」でも問題ない点が接待交際費と会議費とで異なっています。

接待交際費と会議費の違い

接待交際費と会議費の大きな違いは「その目的が何にあるのか」という点にあります。接待交際費は、取引相手への接待や供応が主な目的です。一方、会議費は会議を行なうことがその主目的になります。この点が二つの科目の大きな違いです。

接待交際費ではなく会議費で処理するもの

接待交際費ではなく会議費で処理すべき支出には下記の費用が該当します。

  • 会議の際に準備した、お茶、お菓子、弁当などの代金
  • 会議室等のレンタル料金
  • 会議の資料の印刷代金
  • 1人あたり5,000円以内の取引先との飲食代金

中でも、取引先との飲食代は接待交際費と間違えやすいので注意が必要です。接待交際費、つまり接待飲食費となる取引先との飲食代は1人当たりの支払額が5,000円以上の場合で、5,000円を下回った場合は会議費となります。

会議費は会計上も税法上も全額損金算入できます。一方接待交際費は、税法上損金算入できる上限額が会社の規模ごとに定められており、その金額を超えてしまった部分は損金にすることができません。

会議費で計上できた方が税法上有利になることもありますが、接待交際費を無理やり会議費にすることはできません。飲み会の参加者人数を水増ししたり支払い金額を書き換えたりすれば5,000円以下にすることができると考えてしまうかもしれませんが、これらはいずれも脱税行為です。会議費として計上する飲食費は適切な判断基準に則って判定したものだけになるよう、社内に周知していきましょう。

接待交際費と似ている勘定科目

会議費の他に「福利厚生費」と「広告宣伝費」も接待交際費と間違えがちな勘定科目です。福利厚生費では社員同士の飲食が、広告宣伝費では取引先へのティッシュやタオルなどの粗品が誤って接待交際費として処理されてしまうケースがあります。

福利厚生費

福利厚生費とは、会社が社員の慰労や各種社員制度のために支出する費用のことです。社員の結婚・出産に対する祝い金や忘年会・新年会の費用、慰安旅行の旅費などが該当します。忘年会や新年会といった飲食を伴う福利厚生費は、接待交際費の「社内飲食費」と混同されがちです。

社内の飲食費を福利厚生費にするには、その飲食の場が全社員を対象として提供されている必要があります。実際にその飲食の場に全員が参加するかどうかは関係ありません。会社が「全社員の費用を一律して負担する場」であるかどうかが、福利厚生費となるか社内飲食費となるかの分かれ道になります。他にも「社会通念上妥当な金額であるか」という観点が判断基準に加えられます。

国税庁のホームページには、下記の通り定められています。

社内の行事に際して支出される金額などで、次のようなものは福利厚生費となります。

(1) 創立記念日、国民の祝日、新社屋の落成式などに際し、従業員におおむね一律に、社内において供与される通常の飲食に要する費用

(2) 従業員等(従業員等であった者を含みます。)又はその親族等のお祝いやご不幸などに際して、一定の基準に従って支給される金品に要する費用(例えば、結婚祝、出産祝、香典、病気見舞いなどがこれに当たります。)

引用:No.5261 交際費等と福利厚生費との区分|国税庁

広告宣伝費

広告宣伝費とは自社の製品やサービス、または会社自体を宣伝するための費用のこと。新聞や雑誌に広告を出したり、テレビコマーシャルを流したりすることが該当します。

広告宣伝費の中でも、取引先やお客様に配るいわゆる粗品に該当する品が接待交際費と間違われてしまうケースがあります。

カレンダー、手帳、手ぬぐいなどを贈与するために通常要する費用や次のような不特定多数の者に対する宣伝的効果を意図した費用は、交際費等には含まれないものとされ、広告宣伝費となります。

引用:No.5260 交際費等と広告宣伝費との区分|国税庁

国税庁のホームページに記載されている通り、他者に対して贈与した物であっても、その対象者が不特定対数かつ自社製品やサービスなどの宣伝を目的として作成されたものであるならば、その費用は接待交際費ではなく広告宣伝費となります。社名を入れたタオルや、自社サービスの広告を挟んだティッシュなどが該当します。

接待交際費の課税区分

接待交際費の課税区分
接待交際費の課税区分

接待交際費の中には軽減税率が適用されるものがあります。主に取引先へ飲食品を含んだ贈答品を贈るときに発生します。また、接待交際費の中には非課税で処理される取引もありますので、仕訳を計上するときには証憑に記載された消費税率を必ず確認しましょう。

接待交際費の消費税率

接待交際費の消費税率は通常の取引の消費税率と変わりありません。課税取引の場合は10%、軽減税率が適用される場合は8%となります。

軽減税率とは特定の品目の税率を通常より低く定めることを言い、日本では酒類を除く持ち帰りの飲食料品や定期購読の新聞などが対象品目です。この中で接待交際費に関係があるのは「飲食料品」になります。

テイクアウトした飲食料品や贈答品のお菓子などは軽減税率が適用され消費税率が8%となります。なお、贈答品や持ち帰りの飲食料品であっても、酒類や飲食料品以外が主と考えられるギフトセットには軽減税率が適用されません。接待交際費として仕訳を切るときには、領収書やレシートをしっかりと確認して消費税率を選択するようにしましょう。

不課税となる接待交際費

接待交際費の中ではこれらの支出が不課税取引として処理されます。

  • ゴルフ場利用税
  • ゴルフクラブの入会金(但し、脱退時に返金されること)
  • 慶弔費(香典やご祝儀)
  • 国外旅行の招待に際して支出した航空券代や宿泊費代
  • 入湯税
  • 取引先に贈答する商品券

ゴルフ場利用税は注意が必要です。基本的にゴルフ利用税は不課税取引に該当しますが、もしゴルフ場利用税とプレー代が一緒に請求されそれぞれいくらなのかが判別できない場合にはまとめて課税取引にすることができます。

また、接待交際費として支出することの多い慶弔に際する支出も不課税となります。お葬式の香典や結婚式のご祝儀は対価性がないとして不課税取引に該当しているからです。

接待交際費のまとめ

接待交際費のまとめ
接待交際費のまとめ

ここまで「接待交際費」について解説してきました。内容をまとめると以下の通りになります。

  • 接待交際費は取引先の接待を飲食店で行なうときによく利用される勘定科目
  • 接待交際費は原則損金不算入だが、一定額までは損金算入できる
  • 中小企業は接待交際費のうち800万円まで、または接待飲食費×50%を上限として損金算入が可能
  • 支払総額÷参加者人数=5,000円以上の場合は、接待交際費
  • 支払総額÷参加者人数=5,000円以下の場合は、会議費

接待交際費はその支払内容が故に不正が起こりやすく、そのため税務署にもチェックされやすい勘定科目です。損金算入の要件を満たした書類を残しておく、不正が行なえないスキームを社内で構築するなどしてしっかりと管理していくことが必要になります。

監修税理士のコメント

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区元町通

接待の参加人数を誤魔化して1人当たりの単価を5,000円以下にするようなことは論外ですが、逆に福利厚生費や広告宣伝費になるような費用を交際費として計上しているケースも見受けられます。福利厚生費や広告宣伝費に該当する場合は全額損金算入できますので、そのような経費が無いか、一度確認してみてください。

この記事を監修した税理士

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区元町通

安田亮(公認会計士・税理士・CFP?) 1987年 香川県生まれ 2008年 公認会計士試験合格 2010年 京都大学経済学部経営学科卒業 大学在学中に公認会計士試験に合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応等を経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。所得税・法人税だけでなく相続税申告もこなす。

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