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【税理士監修】修繕費とは?資本的支出との違いや判定方法も解説

最終更新日: 2020年01月16日

建物の改修工事、塗装工事、防水工事、外壁工事、機械の修理、車両の修理等、ソフトウェアのバージョンアップ等、事業用として使用している減価償却資産を修理等した場合、「これってすぐ経費にできるの?」と疑問に思ったことはありませんか?

支払った金額の全額をその年の経費として計上したいところですが、税務上は修繕費としてその年の経費にできるものと、資本的支出として資産に計上しなければならないものが区分されています。

この記事を監修した税理士

高崎文秀税理士事務所 - 東京都文京区本郷

 
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修繕費と資本的支出とは

修繕費と資本的支出とは
修繕費と資本的支出とは

修繕費と資本的支出は税務上区分されており、修繕費は全額をその年の経費にすることができ、資本的支出は減価償却資産として資産に計上します。帳簿上では修繕費は「損益計算書」、資本的支出は「貸借対照表」に表示されます。

区分 勘定科目 経費の計上方法
修繕費 修繕費 全額その年の経費となる
資本的支出(資産) 建物等 減価償却

資本的支出の勘定科目は支出した内容によって「建物、建物付属設備、機械」等の勘定科目を使用します。減価償却とは資産ごとに定められた耐用年数で償却する方法です。

必要経費となる「修繕費」

修繕費とは固定資産(建物や機械、車両等)の「通常の維持管理のため」、「き損した固定資産の原状を回復するため」に支出した経費をいいます。修繕費に該当する金額はその年の経費にすることができます

 車両がき損したため、原状を回復するための修理をおこなった。修理費用は190,000円。

借方 貸方
修繕費 190,000円 現金及び預金 190,000円

資産として計上する「資本的支出」

資本的支出とは固定資産に対して支出する金額のうち「使用可能期間を延長させる部分の金額」、「資産の価値を増加させる金額」をいいます。資本的支出に該当する金額は支出した内容ごとに定められた耐用年数をもとにその年の減価償却費を計算します

例 建物に避難階段の取付工事を行なった。工事費用は650,000円。

借方 貸方
建物付属設備 650,000円 現金及び預金 650,000円

資本的支出の減価償却期間

固定資産に対して支出する金額のうち資本的支出に該当する場合、「減価償却資産」として資産に計上しそれぞれの耐用年数に応じて減価償却費を計上します。

 費用650,000円、耐用年数17年(定額法償却率:0.059)の減価償却資産の計算方法(期首に取得)

650,000円×0.059=38,350円

正確には月割り計算となります。また、決算整理の仕訳は以下のようになります。

借方 貸方
減価償却費 38,350円 建物附属設備 38,350円

平成19年4月1日以後に資本的支出を行なった場合は修繕等をした資産と同じ種類及び耐用年数の新たな減価償却資産を取得したものとして、その種類と耐用年数に応じて償却を行なうこととなります。

修繕費と資本的支出の判定

修繕費と資本的支出の判定
修繕費と資本的支出の判定

「修繕費」に該当するか「資本的支出」に該当するかは税務上区分されており、支出した金額と内容により個別に判定していきます。「支出金額が20万円未満」、「改修等の周期が3年以内」、「通常の維持や原状回復の経費である」等の項目が税務上明記されており、請求書と照らし合わせてどれに該当するか判定していきます。

修繕費となる支出の判定

修繕費となる支出の判定はおおむね以下のとおりです。どれか一つにあてはまれば修繕費としてその年の経費に計上できます。

修繕費となる支出の判定
  • 支出金額が20万円未満であること
  • 周期がおおむね3年以内であること
  • 通常の維持管理のための経費であること
  • き損した固定資産を原状回復するために支出した経費であること
  • 修繕費か資本的支出か判断できない場合で支出金額が60万円未満または前期末取得価格の10%以下であること(形式基準による判定)

例えば、総額150万円で店舗の内装、外壁工事をおこなった場合、総額で判断するのではなく「電気設備」、「ボイラー設備」、「防水工事」、「外壁工事」、「塗装工事」等をそれぞれ分類ごとにわけて判定します。

原則として資本的支出となる支出

資本的支出となる支出の判定はおおむね以下のとおりです。どれか一つにあてはまれば資本的支出として資産に計上します。

資本的支出となる支出の判定
  • 使用可能期間を延長させる部分の金額である
  • 資産の価値を増加させる金額である
  • 修繕費の要件に該当しない部分の金額である
  • 明らかに資本的支出と判断された金額である

修繕費か資本的支出か判定できない場合

修繕費か資本的支出か判断できない場合、割合区分により判定することもできます。割合区分の計算方法は以下のとおりです。

割合区分の計算方法
  1. 支出金額の30%と前期末取得価額の10%のいずれか少ない金額を修繕費とする。
  2. 支出金額-「①で計算した金額」=資本的支出(資産)

修繕費と資本的支出の判定フローチャート

修繕に要した支出が修繕費か資本的支出なのかは、次のフローチャートに当てはめることで判定ができます。

修繕費と資本的支出の判定フローチャート

※「災害(法人税法基本通達7-8-6)」によりき損した固定資産について支出した金額のうち「資本的支出」と「修繕費」との区分があきらかでない場合には「30%を修繕費、70%を資本的支出」とすることができます。

また、明らかに資本的支出に該当するものは以下のとおりです。

明らかに資本的支出に該当するもの
  • 建物の避難階段の取付けなど、物理的に付け加えたことが明らかな部分の金額
  • 用途変更のための模様替えなど、改造又は改装に直接要した金額
  • 機械の部分品を特に品質又は性能の高いものに取り替えた場合で、その取替えの金額のうち通常の取替えの金額を超える部分の金額
参考:第8節 資本的支出と修繕費|国税庁

修繕費となる具体例

修繕費と資本的支出の具体例
修繕費となる具体例について

修繕費にどのようなものが該当するのかについて解説をしてきましたが、ここでは実際にどのようなものが修繕費に該当するのかをケースごとにみていきましょう。

修繕費となる支出

修繕費となる支出金額の具体例は以下のとおりです。

修繕費となる経費の具体例
  • ソフトウェアのプログラムの修正等を行なった場合において、プログラムの機能上の障害の除去、現状の効用の維持等に該当するとき
  • 車両のタイヤ交換を行なった
  • 冷暖房設備の部品の修理を行なった
  • 賃借人の入居者が退室した後、クロス張替え、クリーニング等の原状回復工事を行なった
  • 便器、洗面台、鏡台等従来と同一の素材のものと交換した
  • 雨漏りやガラスが割れた場合等の取り換え費用
  • 機械等の固定資産に対する点検等の維持にかかる経費や、故障した場合に必要になるメンテナンスの経費で、固定資産の使用に伴って必然的に発生するもの
  • 建物の解体、移築を行なった(旧資材の70%以上を再利用)

ソフトウェアの新たな機能の追加、機能の向上等に該当するときは「資本的支出」に該当します。

ノーマルタイヤから冬用のスタッドレスタイヤに交換をおこなった場合は性能が向上するため「資本的支出」に該当すると考えられます。同様に「通常のもの⇒新素材等、高性能のもの」に変更した場合は上記、具体例であっても資本的支出に該当すると考えられます。

資本的支出となる支出

資本的支出となる支出金額の具体例は以下のとおりです。

資本的支出となる支出の具体例
  • 建物の増改築を行なった(1LDK⇒2LDKにする等)
  • 建物のバリアフリー化を行なった
  • 事務所用から居住用にするための改築を行なった
  • 一定年数を経過して使用できなくなり、改修が必要となった給排水設備、電気設備、ガス設備、冷暖房設備、消防用設備等附帯設備の改修工事

給排水設備等の部品交換は「修繕費」に該当しますが、設備の主要構造部の更新・取替え等の場合は資本的支出に該当するものと考えられます。

マンションの場合

マンションにおける修繕費について考えるとき、個人事業主として賃貸マンションを経営している立場と賃貸マンションの一室を借り受けて店舗や事務所としている立場のケースが想定できます。

マンションのオーナーの場合、各戸を個別にリフォームしたり、衛生設備を取り換えたりした場合が修繕費に該当します。

マンションの1室を借りて事業をしているケースであれば、店のイメージに合わせてクロスを張り替えたような場合、修繕費に該当します。また退去の際に原状回復に要した費用も修繕費に計上できます。

一戸建ての場合

一戸建ての場合は、自宅を事務所や店舗と兼用しているケースが想定できます。外壁の塗装替え工事は通常の維持管理・原状回復であるので、使用している部屋の床面積に応じた負担であれば、修繕費とすることができます。

ただし、家全体をバリアフリーにしたり、新たに断熱材を充填したりといったリフォームは、資本的支出になります。

防水工事

防水工事はその工事をしなければ耐用年数の維持が難しいため、一般的な防水工事は原則、全額修繕費に該当すると考えられます。

修繕費となる防水工事の例 資本的支出となる防水工事の例
補修工事に伴う補修面の一般的な美装工事であって、塗装材として特別に上質な材料を用いたものではないことが認められるもの 雨漏りの箇所が個別に特定できるにもかかわらず、その屋根の上にカラートタンで屋根全体を覆い被せた屋根カバー工法により工事を行なったもの

外壁塗装、外壁工事

外壁塗装や外壁工事はその工事をしなければ耐用年数の維持が難しいため、一般的な外壁塗装・外壁工事は原則、全額修繕費に該当すると考えられます。

修繕費となる外壁塗装の例 資本的支出となる外壁塗装の例
通常の外壁への吹き付けは、時間の経過により劣化したものを元に戻すための塗装工事であり、建物の通常の維持又は管理に必要な修繕そのものか、その範ちゅうに属するものであること 断熱や高品質のもの等、これまでとは違う高級な材料を使って建物の価値を高めた場合
修繕費となる外壁工事の例 資本的支出となる外壁工事の例
支出金額が例えば200万円であっても通常の維持管理のため、又はき損した建物につきその原状を回復するために行われたものと考えられるもの 壁紙が通常のものでなく高級な材料を使って建物の価値を高めた場合
参考:アパートの壁紙の張替費用|国税庁

屋根の改修工事

屋根の改修工事はその工事をしなければ耐用年数の維持が難しい場合、一般的な屋根の工事は原則は全額修繕費に該当すると考えられます。

修繕費となる屋根の改修工事の例 資本的支出となる屋根の改修工事の例
建物を建築してから相当の年数が経過しており屋根の痛みもひどいため、全面的な葺き替えが必要と見込まれる場合の全面的な葺き替え トタン葺きから瓦葺きへの変更等で価値を高める場合の葺き替え工事

工事にかかる修繕費か資本的支出かの判定のポイントは以下のとおりです。

工事における修繕費か資本的支出かの判定のポイント
工事の内容を正確に把握したうえで判断する

工事における修繕費か資本的支出かどうかの判定は判例も多くあります。支出金額が大きいから資本的支出に該当するというわけではなく、支出内容の実態で判断します。以下のURLは修繕費に関する判例です。こちらも参考にしてみてください。

参考:修繕費|国税不服審判所

エアコンの交換

一般的な家庭用エアコンの交換は修繕費に該当します。マンションオーナーとして各戸のエアコンを交換する場合は、各戸の費用が30万円以下であれば、「一括償却資産」として経費に計上することができますが、1年間の上限は、300万円までです。

車検の費用の場合

業務用車両の車検代は、修繕費とすることができます。ただし、車検の際に要した点検以外の費用は、別の勘定科目に区分します。

修繕費となるのは、車検時の点検費用と修理費用です。ここには部品交換のための部品代や作業料も含めることができます。この他は、修繕費に該当しないので次のように区分します。

  • 租税公課……自動車重量税、収入印紙代
  • 損害保険料……自賠責保険料
  • 支払い手数料……検査手数料

修繕費と消耗品費の違い

修繕費と消耗品費の違い
修繕費と消耗品費の違い

修繕費は前述のとおり他社に修繕を依頼して原状を回復するための経費、消耗品費は自社で購入した物品とおおむね区分することができます。修繕費と消耗品費は両方ともその年の経費に計上できるものですし、税務上も仕訳の際に使用する勘定科目に明確な区分はありません。

消耗品費で処理するもの

修繕費ではなく消耗品費として処理するものの例

消耗品費として処理するのもの例
蛍光灯が切れたためLED電球を自社で購入してに取り替えた
自社で社用車の部品を購入して取り替えた
自社で浄水器の部品を購入して取り付けた

蛍光灯型LEDは節電効果や使用可能期間などがあるが建物附属設備(電気設備)としての価値等が高まったとまでは言えないと考えられますので、消耗品費として処理することができます。

参考:自社の事務室の蛍光灯を蛍光灯型LEDランプに取り替えた場合の取替費用の取扱いについて|国税庁

青色申告者なら「少額償却資産」として計上できる

税務上10万円を超える物品は、原則として消耗品にはなりません。しかし、青色申告者であれば、「少額減価償却資産の特例」により、30万円未満のものであれば、「少額償却資産」として経費に計上することができます。ただし、1年間の上限は300万円までです。

取得金額 経費算入方法 年間の限度額
10万円未満 全額経費となる
10万円以上20万円未満 3年間で均等償却 取得金額の合計額×その年の月数/36
20万円以上30万円未満 全額経費となる 合計300万円

また、取得価額は「機械、備品等、1台または1個ごと、1そろいごと」です。「30万円未満の特例」は「青色申告書を提出していること」、「中小企業(資本金等の額が1億円以下、従業員が1,000人以下の場合等)であること」が条件となります。

【まとめ】修繕費と資本的支出の判定は支出の内容で判断

【まとめ】修繕費と資本的支出の判定は支出の内容で判断
【まとめ】修繕費と資本的支出の判定は支出の内容で判断

修繕費か資本的支出に該当するかどうかの判定のポイントは以下のとおりです。

修繕費か資本的支出に該当するかどうかの判定のポイント
  • 金額により判断する。
  • 改修等の周期により判断する。
  • 支出した内容により判断する。
  • 災害等の場合は個別の計算方法がある。
  • 判断が難しい場合は一定の計算方法がある。

修繕費と資本的支出のメリット、デメリットは以下のとおりです。

計上方法 メリット デメリット
修繕費 ・その年の経費に計上できる 判断する作業により事務が煩雑になる可能性がある
資本的支出(資産) ・事務作業が簡単

・融資を考えている場合、利益を増加させることができる

修繕費に計上できるものを資産に計上した場合、その年の納税額が増える可能性が高い

「修繕費」か「資本的支出」かは税務調査で指摘されやすい論点です。経費に計上できるものを資産に計上するのは問題ないですが、資産に計上しなければいけないものを経費として処理すると指摘される可能性が高いです。

修繕費か資本的支出か判断が難しい場合は、税の専門家である税理士に相談することをおすすめします。

監修税理士のコメント

高崎文秀税理士事務所 - 東京都文京区本郷

修繕費と資本的支出の判定方法はかなり複雑です。特に金額が大きい場合は税額にもかなり影響が出るため、慎重に判断する必要があります。税理士と顧問契約がある場合には、当然顧問税理士に相談する内容ですので、工事の内容を的確に伝え、税務調査できちんと説明できるような理論武装をしておくことをおすすめします。
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この記事を監修した税理士

高崎文秀税理士事務所 - 東京都文京区本郷

こんにちは、高崎文秀税理士事務所の税理士高崎と申します。 当事務所は文京区の総武線水道橋駅から徒歩4分と利便性が高く、税務顧問を月額1万円~の低価格で品質の高いサービスをご提供する税理士事務所です。 創業3年以内の個人事業者・法人については税務顧問を月額1万円、決算料なし(年12万円+年調等1万円、合計13万円)からご提供しております。 創業したばかりでお金と時間に余裕がない、という方でも経理や税金のことを心配せず、本業に集中して頂き、1日でも早く事業を軌道に乗せて頂くお手伝いができればと考えております。
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