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外国税額控除とは?制度や確定申告の方法についてわかりやすく解説

最終更新日: 2020年01月16日

「外国税額控除」という言葉をご存知でしょうか?日本に居住している人が外国で所得を得て税金を納めた場合に利用できる制度です。外国で得た所得は日本でも所得税を課されるため、おもに二重課税を防ぐ目的で設けられています。

外国税額控除を受けるためには確定申告書をする必要がありますが、用意する書類も多く計算も複雑です。そこで今回の記事では、外国税額控除について解説するとともに確定申告の方法などをわかりやすく解説します。とくに、外国株式や債券で配当を得た人は必見です。

この記事を監修した税理士

高崎文秀税理士事務所 - 東京都文京区本郷

 
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外国税額控除とはなにか?

外国税額控除とはなにか?
外国と日本で課される税金を調節できる制度

外国で生じた所得は外国の税制に則って税金が課せられる場合があります。日本においても国内外すべての所得に係る所得税を納める必要があるため、外国と日本で二重に税金を課されてしまうわけです。そこで活用できるのが、アメリカで「Foreign Tax Credit」と名付けられている「外国税額控除」。外国と日本で課される税金を調節できる制度です。

個人でいえば、外国に投資できるSBI証券などの証券会社を通じて取引をおこなった外国株式の配当のほか、米国ETFや外国債券の利子を投資信託が受け取る場合などのケースで活用できます。

外国税額控除とは二重課税防止のための制度

外国で所得を得た場合、外国と日本の両方から課税されてしまう「二重課税」が問題となります。外国税額控除は二重課税を調節するために設けられており、外国で納めた税金をその年の所得税額から差し引ける制度です。確定申告によって余分に納めた税金を還付してもらえます。

例えば、米国株式での配当では10%の源泉徴収がおこなわれますが、日本でも証券会社を通じて20.315%の税金を源泉徴収されます。税金を二重に納めているわけです。外国税額控除は、所得に対する租税の二重課税の回避や脱税防止を目的として締結される「租税条約」を結んでいる国との取引で生じた所得に適用できます。

外国税額控除を受けるのはこんな人!

外国税額控除を受けられる人には、おもに下記の条件に当てはまる人です。

  • 日本に居住しており、外国株式・外国ETF・外国投資信託で配当所得を得た人
  • 日本に居住しており、外国で不動産所得や売買益を得た人
  • 日本の企業が海外で得た所得

外国税額控除は日本に居住している個人、または法人が利用できる制度であり、源泉徴収などによって外国で納税を済ませている場合に対象となります。

外国税額控除対象の外国所得税には範囲がある

外国税額控除の対象となる外国所得税には範囲があり、下記のように定められています。国税庁のホームページより一部抜粋したので確認しておきましょう。

外国所得税に含まれるもの

  • 超過所得税その他個人の所得の特定の部分を課税標準として課される税
  • 個人の所得またはその特定の部分を課税標準として課される税の附加税
  • 個人の所得を課税標準として課される税と同一の税目に属する税で、個人の特定の所得につき、微税上の便利のため、所得に代えて収入金額その他これに準ずるものを課税標準として課されるもの

外国所得税に含まれないもの

  • 税を納付する人がその税の納付後、任意にその金額の全部または一部の還付を請求することができる税
  • 税を納付する人が税の納付が猶予される期間を任意に定めることができる税
  • 複数の税率の中から税を納付することとなる人と外国もしくはその他地方公共団体またはこれらの者により税率を合意する権限を付与された者との合意により税率が決定された税のうち一定の部分

その他、国税庁のホームページでは外国税額控除の適用対象を確認できます。該当するのかをしっかりとチェックしておきましょう。

引用:国税庁「外国税額控除を受けられる方へ」

みなし外国税額控除とはなにか?

開発途上国で海外企業誘致する目的のために優遇税制措置を認めています。日本が租税条約を結んでいる開発途上国で税金が減免されている場合でも、減免された部分の課税があったとみなして外国税額控除を適用する制度が「みなし外国税額控除(タックス・スペアリング・クレジット)」です。

例えば、みなし外国税額控除が認められているものに、中国の使用料等に係る源泉所得税などがあります。ただ、みなし税額控除は課税の公平性や中立性に問題があるとして、廃止を含めて見直される方向にあるため注意してください。

外国税額控除の計算方法

外国税額控除の計算方法
外国税額控除には限度額が設定されている

外国税額控除は国内外で課された税額から計算します。また、限度額がある、繰越できるなどのルールが定められているため確認しておきましょう。

外国税額控除額を求める計算式

外国税額控除額の求め方をみていきましょう。計算式は下記となります。

外国税額控除の限度額=その年分の全世界所得税額×(その年分の国外所得税額÷その年分の所得総額)

所得税額とは課税所得に所得税率または法人税を掛けた額です。例えば、課税所得500万であれば
500万円×20%(所得税率)-42万7,500円(控除額)=57万2,500円
です。

ここで注意が必要なのは、課税所得とは年収ではありません。年収から基礎控除や社会保険料控除、給与所得控除などを差し引いた金額です。

国外所得額が100万円だった場合、外国税額控除の限度額は以下となります。

57万2,500円×(100万円÷500万円)=11万4,400円

「外国税額控除の限度額」に注意しましょう

外国税額控除には限度額が設定されており、全額が還付されるわけではありません。もう一度、計算式をみてみましょう。

外国税額控除の限度額=①その年分の全世界所得税額×(②その年分の国外所得税額÷③その年分の所得総額)

国内外すべての所得のうち、外国で得た所得金額の割合「②÷③」の金額を控除できるという式になっています。また、①を掛けることで累進課税によって、多くの課税所得を得ている人ほど控除を最大限に利用できるわけです。

例えば、総所得のうち、外国で得た所得の割合が50%の場合、所得税の50%相当額まで控除できるということを意味します。

控除限度額を超す場合は繰越が可能

外国税額控除は翌年以降3年間繰り越すことが認められています。外国税額控除の限度額を下回った際には「控除余裕額」として、翌年以降3年間で限度額を上回ったときに使用できるのが特徴です。

控除額の計算シミュレーション

外国税額控除での確定申告は、すでに源泉徴収されている金額を含めて所得税額を再計算することを意味しています。例えば、配当収入を30万円得た場合、外国での源泉徴収税額は
「30万円×10%=3万円」
国内での源泉徴収は「(30万円-3万円)×所得税率15.315%=41,300円(100円未満切り捨て)」
となります(住民税含まず)。

一方で確定申告した場合は配当収入30万円にそのまま所得税率を掛けるため
「30万円×15.315%=45,900円」
です。

源泉徴収した場合と比較して、4,600円多くなっています。つまり、実際に確定申告で還付されるのは3万円ではなく
「3万円-4,600円=25,400円」
となるわけです。

源泉徴収 確定申告
配当収入 300,000円 300,000
外国税額 30,000円 30,000円
国内所得税額 41,300円 45,900円
外国税額控除 0円 30,000円
合計税額 71,300円 45,900円

確定申告によって外国で源泉徴収された3万円が丸々戻ってくるわけではないですが、申告した場合は25,400円が還付されるため、確定申告したほうがよいことには間違いありません。

外国税額控除のための確定申告

外国税額控除のための確定申告
外国税額控除を受けるためには確定申告が必要

外国税額控除を受けるためには確定申告しなければなりません。雑所得などを得た場合の申告と異なり、書き方がやや複雑であるため注意が必要です。外国税額控除で確定申告する場合に必要な書類や記入例をみていきましょう。

確定申告に必要な書類

外国税額控除を受ける際には下記の書類が必要になります。

  1. 確定申告書
  2. 外国税額控除に関する明細書
  3. 外国所得税を課されたことを証明する書類等
  4. 国外所得総額の計算に関する明細書
  5. 各年の控除限度額や納付した外国所得税の記載した書類

3や4は取引先が発行する「年間取引報告書」を利用すれば問題ありません。また、5は繰越控除を利用している場合に必要です。

「外国税額控除に関する明細書」と申告書の記入例

外国税額控除で確定申告する際には、外国税額控除に関する明細書と確定申告書を提出します。給与所得を得ているならば源泉徴収票と、証券会社が発行する「年間取引報告書」に記載されている数字を記入しながら計算するとよいでしょう。

外国税額控除に関する明細書では、外国で得た課税所得と源泉徴収された税額を記入します。

出典:国税庁HP(一部加工)

確定申告書には給与所得や外国で得た課税所得を記入します。

出典:国税庁HP(一部加工)

実際の所得税の計算では各種控除額などを差し引いて計算されます。下記の控除限度額の欄にあるように「①×③/②」などの式に従って計算していきましょう。

所得税の計算のほか、復興特別所得税の控除限度額や住民税の計算をおこなっていきます。

出典:国税庁HP(一部加工)

外国税額控除に関する明細書で計算された赤枠の部分を確定申告書に転記すれば、最終的に納める税金・還付金が算出されます。

出典:国税庁HP(一部加工)

外国税額控除について:まとめ

外国税額控除について:まとめ
税金でわからないことがあれば税理士に相談しよう

外国税額控除は外国で源泉徴収された税金を控除できる制度です。外国株式や投資信託などで配当金を得た場合には、限度額があることや3年間繰り越せることなどを考慮した上で活用しましょう。

ただ、外国税額控除を受けるには確定申告をしなければなりません。外国税額控除の申告は提出書類が多く、計算も複雑です。

確定申告の経験がない、計算方法を理解できないなど困った際は、税金のプロである税理士に相談するのがオススメ。確定申告書の作成も代行してくれるため、わからないことがあれば税理士のサービスを利用しましょう

監修税理士のコメント

高崎文秀税理士事務所 - 東京都文京区本郷

海外で所得がある場合、海外で税金を天引きされているケースがあります。この場合、確定申告をして外国税額控除の適用を受けなければ、いわゆる二重課税で外国と日本の両方に税金をとられっぱなしになってしまい、余計な税金を負担することになります。海外の所得があるという方は、まず外国税額控除の適用対象となっているものなのかどうか、一度確認してみることをお勧め致します。
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高崎文秀税理士事務所 - 東京都文京区本郷

こんにちは、高崎文秀税理士事務所の税理士高崎と申します。 当事務所は文京区の総武線水道橋駅から徒歩4分と利便性が高く、税務顧問を月額1万円~の低価格で品質の高いサービスをご提供する税理士事務所です。 創業3年以内の個人事業者・法人については税務顧問を月額1万円、決算料なし(年12万円+年調等1万円、合計13万円)からご提供しております。 創業したばかりでお金と時間に余裕がない、という方でも経理や税金のことを心配せず、本業に集中して頂き、1日でも早く事業を軌道に乗せて頂くお手伝いができればと考えております。
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