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【税理士監修】利益剰余金とは?使い道や内訳、マイナスになるとは?

最終更新日: 2019年11月12日

「利益剰余金」という言葉をご存知でしょうか?利益剰余金は貸借対照表の勘定科目のひとつであり、会計事務を学び始めたばかりの方には馴染みのない言葉かもしれません。

しかし、仕訳する際や決算書を読み解く上で重要な項目であるため、意味や使い道などをしっかりと理解しておきましょう。

今回の記事では、利益剰余金の使い道や内訳、マイナスの場合とはどんな状況なのかなど、気になる疑問について解説します。

この記事を監修した税理士

高崎文秀税理士事務所 - 東京都文京区本郷

こんにちは、高崎文秀税理士事務所の税理士高崎と申します。 当事務所は文京区の総武線水道橋駅から徒歩4分と利便性が高く、税務顧問を月額1万円~の低価格で品質の高いサービスをご提供する税理士事務所です。 創業3年以内の個人事業者・法人については税務顧問を月額1万円、決算料なし(年12万円+年調等1万円、合計13万円)からご提供しております。 創業したばかりでお金と時間に余裕がない、という方でも経理や税金のことを心配せず、本業に集中して頂き、1日でも早く事業を軌道に乗せて頂くお手伝いができればと考えております。
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利益剰余金とはどういうものか

利益剰余金とはどういうものか
利益剰余金は企業が得た利益を蓄積したもの

会社で経理事務に携わっている、または経営者でなければ「利益剰余金」という言葉を耳にすることは少ないでしょう。利益剰余金を構成する項目や使い道、内部留保との関係などについて解説します。

利益剰余金は「企業が蓄積した利益」

利益剰余金とは企業が得た利益の積立額であり、過去に蓄積した利益を意味します。貸借対照表の貸方「純資産」に記載されます。

利益準備金・任意積立金・繰越利益剰余金で構成されており、これらが積み重なったも

のが利益剰余金です。一般的に利益剰余金が多いほど財務状況の良い企業とされています。

利益剰余金の使い道

企業が生み出した利益は事業の拡大や株主への利益還元など、さまざまな用途によって処分されます。

株主配当

会社は株主ものであるという考えのもと、利益が余っているのであれば配当として還元しなければなりません。社員の給与を増やしたり、設備投資に回したりする前に多くの場合で株主への配当が優先されます。

また、株主へ配当を行う際には、会社法上利益剰余金から配当の1/10を資本金の1/4に達するまで利益準備金として計上しなければなりません。

設備投資

事業を拡大する目的で設備投資に使用されます。購入した設備は資産として計上し、法定耐用年数に沿って減価償却で毎年少しずつ費用として計上します。

賃金引き上げ

社員への賃金引き上げで利益を処分する場合もあります。ただ、実際には利益剰余金を賃上げに使用されることは少ないのが現状です。多くの企業では事業を拡大するための設備投資や、将来の不測の事態に備えて資金を蓄えておくことを優先します。

資本組み入れ

会社が資本金を増やしたいとき、その他利益剰余金である任意積立金を資本金に組み入れる方法が使われる場合があります。任意積立金とは、もともと繰越利益剰余金から振り替えられた資金であり「会社に余っていたお金」と考えればよいでしょう。

つまり、任意積立金を利用すれば新たに出資せずとも資本を増やせるわけです。ただ、期中に資本金を増やしたい場合には利益剰余金を資本金に組み入れることはできません。確定した貸借対照表に計上されている剰余金のみ組み入れできるのです。

内部留保と利益剰余金の関係

余った利益を蓄積するという意味では内部留保と利益剰余金は同じです。内部留保という言葉は多くの場合、「企業が利益を溜め込んだもの」と説明する際に使用されます。

内部留保という言葉は会計用語でありません。上場企業が公表する決算書を見ても内部留保という言葉はないのです。

また、利益剰余金がすべて現金だとは限りません。利益剰余金で得た現金を使って土地や建物などを購入した場合、現金は減っても利益剰余金の項目に計上されている金額は変わらないのです。

「利益剰余金がマイナス」とはどういう状況を指す?

「利益剰余金がマイナス」とはどういう状況を指す?
利益剰余金のマイナスは業績が悪化していることを意味する

蓄積した利益である利益剰余金が「マイナスになる」ということはあるのでしょうか?企業の業績が悪化して損失が発生すれば利益剰余金は減っていきます。損失が続けば、いずれ利益剰余金はマイナスになることもあるのです。詳しくみていきましょう。

利益剰余金の内訳と計算方法

利益剰余金は株主総会で処分案が承認された後、利益準備金・任意積立金・繰越利益剰余金として処理されます。それぞれの意味を解説します。

利益準備金

株主への配当を行う際に、会社法により義務付けられているのが利益準備金です。配当金額の10分の1を積み立てなければなりません。利益剰余金の株主への配当によって、企業の財政基盤が揺らいでしまうことを防止するために定められています。

資本金の4分の1に達するまで積み立てなければならないと規定されており、達した場合以後の積み立ては不要です。

また、資本準備金を計上している会社では「資本準備金+利益準備金」が4分の1に達するまでとなります。

任意積立金

法律で義務付けられているものでなく、会社が任意で積み立てているのが「任意積立金」です。「海外投資等損失準備金」など目的を定めているものと、特定の目的を持たない「別途積立金」に分かれます。一般的には「別途積立金」として留保される場合が多いです。

利益剰余金の処分は株主総会や取締役会の決議によって決定され、剰余金の中から「別途積立金」が積み立てられます。

繰越利益剰余金

各営業年度の当期純利益を積み上げたのが繰越利益剰余金です。つまり、前期から繰り越されてきた利益に当期の利益を加えたのが繰越利益剰余金の数字になります。

繰越利益剰余金=前期から繰り越された利益+当期純利益

決算日においては留保されている剰余金であり、株主総会で承認された配当金や利益準備金、任意積立金として処理された後、繰越利益剰余金の勘定科目で次期へ繰り越します。

利益剰余金の計算方法

利益剰余金は、前期までの利益剰余金と当期に得た利益「当期純利益」を積み上げた金額です。

利益剰余金=過去に蓄積された利益+当期に計上した利益

利益剰余金がプラスであれば、まず株主に配当が行われ利益準備金が積み立てられます。次に別途積立金を積み立て剰余金が残れば、繰越利益剰余金として計上されるのです。

繰越利益剰余金=(当期純利益+繰越利益)-配当額-利益準備金-別途積立金

例えば、50万の利益剰余金がある場合、配当・利益準備金・別途積立金の処理後に下記のように仕訳し、余った剰余金を次期に繰り越します。

ちなみに、子会社に利益剰余金がある場合は連結決算で処理されます。連結決算では個別の財務諸表を合計した後、連結修正仕訳を行うのがポイントです。個別決算の金額に連結修正仕訳で金額を加減した後、連結財務諸表が作成されます。

利益剰余金がマイナス=債務超過?

利益剰余金がマイナスになるということは、業績が悪化していることを意味します。業績悪化が続けば蓄積してきた利益剰余金が取り崩されていき、いずれは底をつきマイナスになるのです。

ただ、利益剰余金がマイナス=債務超過ではありません。債務超過とは純資産の合計額がマイナスに陥ってしまった状態です。

利益剰余金のマイナスが積み上がり、資産の他の項目にまで影響を及ぼすようなると債務超過になる可能性があります。

マイナスになったときの配当は?

業績が悪化すると利益剰余金がマイナスになる場合があります。利益剰余金がマイナスであっても、株主の信頼を失わないために配当をしなければなりません。そこで、利益剰余金のマイナスを補填すべく資本金や資本準備金から充当します。

株主への配当を含めた補充した金額を資本金から「その他資本剰余金」に振り替えた後、利益剰余金への補填を行う「欠損てん補」によって配当が行われるのです。

ただし配当を行う場合には会社法上、配当できる金額は「剰余金の分配可能額」の範囲内とされているため、注意が必要です。

利益剰余金と混同しがちな会計科目

利益剰余金と混同しがちな項目
利益剰余金に関係するものには「利益」の単語が入った会計科目があるので注意しよう

利益剰余金に関係するものには「利益」の単語が入った項目がいくつか存在します。混同しがちな項目について違いを確認しておきましょう。

利益剰余金と利益準備金

前述してきたように、利益剰余金は過去に蓄積してきた利益と当期に得た利益です。一方で利益準備金は、株主に配当する際に利益剰余金から積み立てられる金額であり、株主への配当が与える企業への影響に配慮して会社法で定められています。

利益剰余金と当期純利益

売上などすべての収益から、仕入れ代金や給与、税金などすべての費用を差し引いて残った金額が当期純利益です。

当期純利益=すべての収益(売上高+営業外収益+特別利益)-すべての費用(売上原価+販売費および一般管理費+営業外費用+特別損失+法人税

上記で計算された毎年の当期純利益を蓄積した金額が利益剰余金なのです。混同しないように注意してください。

利益剰余金が多い企業ランキングTOP10

利益剰余金が多い起業ランキングTOP10
利益剰余金の多い企業はやはり大企業

それでは、利益剰余金の多い企業のランキングをみてみましょう。下記の表の「剰余金等」は、純資産から資本金を引いた資本金準備金・利益剰余金などで構成されています。

利益剰余金上位トップ10

順位 会社名 剰余金等
1位 三菱UFJフィナンシャル・グループ(連結) 11.3兆円
2位 三菱東京UFJ銀行(連結) 8.9兆円
3位 三菱東京UFJ銀行(単体) 7.1兆円
4位 トヨタ自動車(単体) 7.0兆円
5位 三井住友銀行(連結) 6.4兆円
6位 三菱UFJフィナンシャル・グループ(単体) 6.4兆円
7位 三井住友フィナンシャルグループ(連結) 6.1兆円
8位 みずほフィナンシャルグループ(連結) 5.4兆円
9位 三井住友銀行(単体) 4.7兆円
10位 NTTドコモ(単体) 4.1兆円

参考:EDIUNET「余剰金ランキング」

利益剰余金の多さが意味すること

貸借対照表に計上されている利益剰余金のすべてが現金とは限りません。ただ、利益剰余金が多いということは、毎年利益を積み上げている証でもあります。利益剰余金が多い企業ほど経営が順調であり、資金力に余裕があるのは間違いないでしょう。

大企業でも巨額の赤字に陥り、利益剰余金を吐き出してしまうケースがあります。利益剰余金がマイナスの企業は経営状況が悪化している状態であり、マイナス状況が続けば負債が資産を上回って債務超過に陥ってしまうのです。

監修税理士のコメント

高崎文秀税理士事務所 - 東京都文京区本郷

法人の決算書上、利益剰余金は特に重要な科目の一つです。銀行融資を受ける場合にも、利益剰余金が多く積み上がっていれば優良な企業と判断され、審査が通りやすくなります。逆に利益剰余金のマイナスが積み重なり、さらにその影響で純資産がマイナス(いわゆる債務超過)になってしまうと銀行融資を受けることはかなり難しくなってしまいます。したがって特に設立当初は利益剰余金がマイナスになってしまうことは多いですから、純資産がマイナスにならないように、設立時の資本金はある程度余裕をもった金額を設定し、債務超過に陥らないようにしておくことをおすすめ致します。
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