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【個人事業主】税務調査の通知を受けたが帳簿がない!対処方法は?

最終更新日: 2019年11月08日

青色もしくは白色申告をしている事業者(個人、法人問わず)に、突然届く税務調査の通知に焦っている方も多いかもしれません。しかも必須であるはずの帳簿が手元にない場合、なおさら混乱してしまうことでしょう。

そこで今回は帳簿がない状態で税務調査の受ける際にはどんな対処法があるのか、その疑問にお答えします。

この記事を監修した税理士

横浜青葉税務会計事務所(税理士 宮澤明宏事務所) - 神奈川県横浜市青葉区

宮澤明宏(みやざわあきひろ)公認会計士・税理士・相続診断士 宮澤明宏(神奈川県横浜市青葉区)1976年 愛知県丹羽郡出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。2018年11月税理士登録。税理士登録後、ミツモアを通じて半年間で20件以上の確定申告業務を受託。デザイナー、一人親方、小売、ITエンジニア、不動産業等、多様な業種のお客様に対して丁寧なサービスを提供している。また、相続診断士として活動しており、エンディングノートの書き方セミナーを通じて「生前から相続へ備えることの大切さ」を多くの人に広める活動を行っている。
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青色申告でも白色申告でも帳簿の記帳は不可欠

副業している女性が確定申告を記入している画像
帳簿は白色・青色申告問わず必要!

以前から個人事業主として活動されている方は、税務調査があったとしても「事業所得合計が300万円以下なら記帳をつけていなくても問題ない」という認識だと思います。しかし平成26年以降は青色申告でも白色申告でも、個人事業主を含む全ての事業主で記帳や帳簿保存が義務になりました。

ここではその内容を簡単にご説明します。

個人事業主には記帳義務がある

以前白色申告者は事業所得などの合計金額が300万円以下の場合には、帳簿を作成する義務がありませんでした。しかし平成23年12月に税制改正され、平成26年1月から全ての事業主は記帳義務及び帳簿保存が義務付けられたことをご存知でしょうか?

記帳義務及び帳簿保存は「所得税法148条/232条」と「所得税法施行規則102条」で明確に定義され、青色申告だけでなく白色申告であっても記帳と帳簿保存をしなければなりません。

当然ながら個人事業主もその対象となりますので、帳簿や書類を決められた年数分保管するようにしましょう。

必要な帳簿の種類と保管年数は?

税務調査においてどの帳簿を何年分保管する必要があるのでしょうか。青色申告の場合、7年間の保管義務がある帳簿は下記の通りです。

  • 仕訳帳
  • 総勘定元帳
  • 現金出納帳
  • 売掛帳
  • 買掛帳
  • 経費帳
  • 固定資産台帳など

対して白色申告の場合は、法定帳簿が7年間、任意帳簿が5年間と定められています。この詳しい内容について見ていきましょう。

青色申告者が必要な帳簿

青色申告の税務調査で必要になる帳簿は下記の通りです。

10万円控除 65万円控除
記入方式
  • 簡易簿記
  • 複式簿記
必要帳簿
  • 現金出納帳
  • 売掛帳
  • 買掛帳
  • 経費帳固定資産台帳
  • 現金出納帳
  • 売掛帳
  • 買掛帳
  • 経費帳固定資産台帳
  • 仕訳帳
  • 総勘定元帳
決算書
  • 損益計算書
  • 損益計算書
  • 貸借対照表

上記太字の部分が、青色申告で65万円控除を受ける場合に追加で必要になる書類となります。合わせて確認しておきましょう。

白色申告者が必要な帳簿

白色申告で必要な帳簿は下記の通りです。

記入方式
  • 簡易簿記
必要帳簿
  • 法定帳簿
  • 任意帳簿
決算書
  • 決算書(収支内訳書)

青色申告で65万円控除の場合、複式簿記による帳簿を準備しなければなりません。しかし白色申告では、収入金額や必要経費が請求書や領収書と一致する状態で明確に記帳されていればOKです。

請求書や領収書も調査対象

青色・白色申告ともに帳簿を保管しておく義務があることはお分かりいただけたかと思います。そこで合わせて保管しておく必要がある請求書や領収書については、税務調査でどこまでチェックされるのか気になるところですね。

結論から申し上げますと全てが調査対象なので全てチェックされます。しかも遡及年数は5年ですので、5年分の請求書や領収書がチェック対象となるわけです。さらに領収書はその会社の経費を知る上で重要な資料ですので、不正がないか特に重点的に確認されます。

個人事業主の場合は「経費」と「生活費」の線引きが曖昧になりがちなため、その請求書や領収書が本当に「収入を得るために発生した費用なのか」がチェックされるのです。

税務調査における必要書類について、もっと詳しく知りたい方は以下の記事をご参照ください。

関連記事:税務調査までに万全の準備を|必要書類や整理すべきものを徹底解説!|ミツモア

帳簿がない場合にはどのような処分が下される?

帳簿がないとどうなってしまうの?

「税務調査が入ることになったものの、帳簿を作っていなかった…」

仮に悪意がなかったとしても、帳簿がない状態で税務調査を受けた結果下されうる処分として下記の4つが考えられます。

  1. 青色申告を取り消される
  2. 重加算税が課される
  3. 消費税の仕入税額控除が認められない
  4. 推計課税が課される

これらの内容について詳しく見ていきましょう。

青色申告を取り消される

前述の通り記帳と帳簿の保存が全ての事業主に対して法律で義務付けられています。したがってその義務を怠った場合は、どのような事情であれ処分を受けることになってしまうのです。

とはいえもし税務調査でそのことを指摘されたとしても、適当な嘘をつくのではなく正直に答えるようにしましょう。「知らなかった」「知っていたができていなかった」といったように、ありのままを話さなければ嘘をついたことでさらに事態がややこしい方向に動くことも考えられます。

結果は変わりませんが、それでも正直に話して罪の上塗りをしないようにしてください。その際受ける処分のひとつとして代表的なのは、青色申告の取り消しです。では実際に青色申告が取り消された場合のデメリットはというと、下記の4つが挙げられます。

  1. 欠損金の控除繰越
  2. 特別償却・税額控除
  3. 少額減価償却資産の取得価額の損金算入
  4. 個人事業者の優遇措置

順に説明していきましょう。

1.欠損金の控除繰越

欠損金の控除繰越とは、業績で赤字が出た場合に個人事業主なら3年間、法人なら10年間に渡って繰り越して損益計算ができるものです。

すぐには業績をあげにくい起業直後の事業主にとても優しい制度で、その年が赤字でも翌年以降の黒字と損益通算できるため、税金を抑えることができます。

しかし青色申告が取り消されてしまった場合、この制度は利用できなくなってしまうのです。

2.特別償却・税額控除

一定の固定資産を取得した場合に、追加償却や税金控除を受けることができるものです。この制度も青色申告者でなければ適用されないため、取り消されると失効してしまいます。

3.少額減価償却資産の取得価額の損金算入

通常なら10万円以上の備品・建物等固定資産の購入については、一括で経費計上することは不可能ですが、青色申告している個人事業主や中小企業者等なら、30万円未満の固定資産まで一括で経費処理することができます。

この制度も青色申告者限定なので失効してしまうのです。

4.個人事業者の優遇措置

事業所得から65万円までであれば控除できる「青色申告特別控除」や、家族の給与を必要経費として扱うことができる「青色事業専従者給与」などがあります。

これらも青色申告者だけに認められた制度なので適用外となってしまうのです。

重加算税が課される

度々メディアを賑わせる所得隠しなどの売り上げ隠蔽ですが、これが故意に行われたものであると認定された場合は重加算税の対象となってしまいます。

重加算税とは悪質な不正行為(二重帳簿、書類改ざん等)が認められた上で、さらに過少申告や不納付、無申告が伴っている場合に適用されるものです。

この場合に限り、上記に述べたものの加算税の代わりに課せられるものが「重加算税」と呼ばれ、他の加算税に比べて税率が高く設定されているため、文字通り「重い加算税」となります。

税率は条件によって異なりますが、過少申告加算税もしくは不納付加算税の場合には35%、無申告加算税の場合は40%です。しかし過去5年以内に同じ税目に対して重加算税を課されたことがある場合には、より悪質と見なされ追加で10%も加算されてしまいます。

消費税の仕入税額控除が認められない

一番馴染みがあって最もダメージが大きいのは消費税です。

消費税に対して認められる控除に「仕入税額控除」というものがあり、これも帳簿と請求書がないと認められないものになります。

そもそも「仕入税額控除」とは、「売上の消費税額 − 仕入れの消費税額」で納付する消費税額を算出する制度のことです。この制度は全てにおいて適用されるわけではなく、下記のものに限られています。

  • 商品や原材料などの購入
  • 機械や建物、車両、備品等の固定資産の購入
  • 広告宣伝費、福利厚生費、交際費、通信費、水道光熱費などの支払い
  • 事務用品、消耗品、新聞図書などの購入
  • 修繕費や外注費の支払い
  • リース料などの支払い

ちなみに「非課税仕入れ」や「不課税取引」は、仕入税額控除の対象外となっているので注意しましょう。

これだけ多くのものにかかる消費税を控除してくれるありがたい制度ですが、この制度も帳簿や請求書がないと受けることができません。

推計課税が課される

帳簿がない場合は、税務署側はいくら課税していいかの判断材料がない状況です。そこで登場するのが「推計課税」と呼ばれるもので、帳簿などがない場合に推計によって税額を算出し、その分を追加で支払うものになります。

「推計されるなら帳簿がなくてもいいのでは?」とお思いかもしれませんが、上述のような様々なデメリットが発生することに合わせて、この「推計課税」にもリスクがあることを理解しておく必要があるでしょう。

そのリスクとは「推計課税は本来想定されうる課税額より大幅に金額が膨れる可能性があること」になります。つまり正しく申告している場合よりも高い税金を支払う可能性があるのです。

しかも「推計課税」の厄介なところは、帳簿がない場合だけに発生するわけではありません。たとえ帳簿付きで正直に申告していたとしても、必要な売上や経費の根拠を提出できなければ「推計課税」の対象となってしまうのです。

推計課税については以下の記事でより詳しく解説していますのでご参照ください。

関連記事:推計課税はなぜ適用される?対策法を徹底解説!|ミツモア

税務調査を受ける前にできる対策とは

税務調査が決まったのに帳簿がないという危機的状況において、その時点からできることをご紹介します。払わなくていいということにはなりませんが、多少は追徴課税の金額を抑えられるかもしれません。

もうダメだと諦める前にできる限りの行動をしましょう。

帳簿を今から作成する

「帳簿がないから手の打ちようがない」とお考えかもしれませんが実はそうではありません。

なければ今から作ればいいのです。しかし当然ながら嘘はいけませんので、事実だけを記すようにしてください。

手元に情報が揃っていないのですから完璧な帳簿を作ることはできませんが、請求書や領収書で残っているものをかき集めて、通帳で追える範囲で確実に分かる取引だけでも記録した帳簿を作りましょう。

なぜ通帳なのかというと、通帳には取引の詳細(日付、取引先、金額)が記録されているからです。これらは本来帳簿に記録されているべき内容であり、実際にお金が動いたことを銀行側が証明してくれているものなので、実際に取引が発生していることを明確に証明できます。

通帳ベースで記帳した帳簿と領収者や請求書があることで、青色申告の取り消し判定をされる範囲を狭めることもできるでしょう。

根拠となる資料をそろえる

帳簿の準備とは別に、確定申告で記載した数字の根拠を示す資料として領収書、請求書などを用意しましょう。全ての数字の根拠はなくとも、少しでも根拠のある数字を税務署に提出することが大切で、追徴課税を少しでも減らすことできます。

もし「領収書や請求書の他にも準備した方がいいのではないか?」と思われているならば、それぞれの売上や仕入科目に着目して机上の計算をしてみてはいかがでしょうか?

例えば売上の金額であれば、「取引した件数」と「1件当たりの平均売上金額」さえ分かれば、それらを掛け合わせることで大まかにですが1年間の売上を算出することができます。

税務調査時に多少なりとも納得してもらえるように、根拠のある数字を資料という形で残しておけば確定申告の数字に対する説得力が出てきます。

税理士に相談する

このように様々な対策法をご説明してきましたが、そうは言っても自分一人での対応に不安を抱くこともあるでしょう。

そこでもし帳簿がない状態で税務調査の連絡が来たら、税理士へ相談するようにしてください。税理士さんには税務調査前の準備や税務調査の立会を代行、サポートなどをしてもらえますので、「どうしていいかわからないからとにかく助けてほしい」という依頼にも親身に対応してもらえるでしょう。

税理士の税務調査への立会いについて、立会いを依頼するメリットや報酬などを以下の記事で詳しくまとめていますのでご参照ください。

関連記事:税務調査|税理士に立会いを依頼するメリットや報酬相場は?|ミツモア

監修税理士のコメント

横浜青葉税務会計事務所(税理士 宮澤明宏事務所) - 神奈川県横浜市青葉区

青色申告・白色申告のいずれであっても、日ごろから記帳をしっかりと行い帳簿を残すことを心がけてください。税務調査はまさに突然やってきます。税務調査が来ることになって慌てて準備をするよりも、普段から税務調査を意識して帳簿を残すことで、結果として手間は少なくなるはずです。どのように帳簿を残したらよいかわからないという方は、税務の専門家である税理士に相談してください。記帳の仕方や帳簿の残し方について、適切なアドバイスを受けることができるはずです。
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「税務調査が決まったが帳簿を作っていなかった」という状況に対するデメリットや対処法はご理解いただけましたでしょうか。今からでもできることはあるはずです。

税務調査はいつされるかわかりませんから、それに備えて今からしっかりと準備をしておきましょう。それによって土壇場で焦ることなく安心して税務調査を受けることができます。そして困ったら税理士に相談するのがおすすめです。

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