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紛失した源泉徴収票は再発行できる?手続きや代理発行、拒まれた際の対処法も

最終更新日: 2024年01月19日

「源泉徴収票をなくしてしまった!確定申告はどうしたら良い?」「源泉徴収票の再発行には時間やお金がかかる?」源泉徴収票について、このようなお悩みをお持ちの人も多いでしょう。

結論として、源泉徴収票は無料で再発行が可能です。会社員の場合は勤務先である会社へ、公務員の場合は共済組合や職場に直接連絡しましょう。

なお、市役所や税務署に連絡しても源泉徴収票の再発行はできません。源泉徴収票の再発行は、発行元のみが対応可能です。

本記事では源泉徴収票を再発行する方法や、源泉徴収票の再発行に際して考えられるトラブル例と対処法について詳しく解説します。

源泉徴収票は再発行できるの?

会社に依頼すれば、再発行してもらえます。直接連絡するのが難しい場合は、現在の勤め先の顧問税理士や年末調整の担当者に代わりに連絡してもらうという方法も考えられます。

再発行した源泉徴収票は、何日後に手に入る?

即日~2週間程度で、職場により異なります。会計ソフトなどで経理を自動化している場合、すぐに渡してもらえるでしょう。代理人を通して再発行する場合は、手続きをした日から1カ月ほどかかることもあるため、早めに対応するようにしましょう。

この記事を監修した税理士

京浜税理士法人 横浜事務所 - 神奈川県横浜市青葉区青葉台

横浜市青葉区を拠点として、中小規模法人を中心に税務顧問サービス及び経営コンサルティングサービスを展開。月次決算制度の導入、資金繰りの明確化を切り口に、創業3年以内の黒字化を目指し経営を安定化させるための経営管理の手法を、伴走型支援により提供しています。創業時からしっかりと経営管理を行い、スピード感を持って会社を成長させていきたい方をサポートします。

源泉徴収票を再発行する方法【まずは会社に連絡】

源泉徴収票は即日~2週間くらい、費用なしで再発行できる
源泉徴収票は再発行できる

給与所得者の源泉徴収票は、給料の支給元(会社など)が発行しています。そのため、市役所や税務署に行っても、源泉徴収票は発行してもらえません

基本的には勤め先に依頼して再発行してもらいましょう

会社に直接依頼して再発行してもらう

給与所得者が源泉徴収票を再発行してもらう場合は、勤務先の経理担当者にお願いするのが一般的です。

職場の経理担当者に再発行の社内の手続き方法を聞くと教えてもらえるので、それに応じた方法で依頼しましょう。申請書の提出や電話、メールなどで行うことが多いです。

再発行された源泉徴収票は、直接または郵送などにて即日~2週間ほどで受け取れます。

パートやアルバイトであれば、本社に電話すれば手続き方法を教えてもらえるでしょう

勤めていた会社を退職した場合も、連絡すればOK

前職の源泉徴収票がほしい場合も、退職した会社に直接連絡して、再発行を依頼します。退職先に電話をかけたり、メールや書面で依頼したりするのが一般的です。

依頼するときは、源泉徴収票を再発行してほしい旨を伝えれば問題ありません。また書面で依頼する場合は、返送用の封筒と切手を同封すると良いでしょう。

源泉徴収票は何年分まで再発行ができる?

源泉徴収票は過去7年分まで再発行ができるのが自然と考えられます。

税法において、源泉徴収に関する各種申告書や書類の保管期間は7年と定められています。また源泉徴収簿を含む帳簿の保存期間も7年です。

源泉徴収票そのものの保管期間に定めはありませんが、源泉徴収票のもととなる資料は過去7年分が保存されているはずです。したがって、過去7年分であれば源泉徴収票の再発行が可能といえるでしょう。

ただし、労働基準法における給与関係書類の保存期間は原則5年間(注)です。そのため会社によっては、源泉徴収票の再発行がスムーズにできるのは過去5年分までのケースがあります(注)経過措置として「当分の間」は、保存期間が「3年間」とされています。

5年よりも前の分の源泉徴収票が必要な場合は、「再発行に時間がかかる恐れがある」または「要相談の扱いになる」と考えましょう。

 退職先との連絡を避けたい場合は代理人の再発行依頼も可能

退職した理由によっては前職との接触を避けたいと思う方も多いと思います。こうしたとき、新しい会社の人事担当や経理担当が、前職に連絡してくれる可能性があります。

ただし委任状等が必要となるケースや、人づてに連絡をすることで時間がかかるケース、そもそも代理連絡に対応してくれない可能性もあるため、基本的にはご自身で連絡すべきと考えたほうが良いでしょう。

再発行を拒まれたら税務署へ

再発行を拒まれたら税務署へ、会社が倒産していたら破産管財人へ

会社が源泉徴収票の発行を拒否する場合、または取り合ってくれない場合は、最寄りの税務署に相談しましょう。

最寄りの税務署は国税庁のHPで調べられます。また税理士に相談するのも1つの手です。

そもそも交付されていない場合は「源泉徴収票不交付の届出手続」を提出

「そもそも源泉徴収票を交付されていない」という場合に、「源泉徴収票不交付の届出書」を提出する方法があります。届出が提出されると、税務署から会社へ勧告が行われます。

ただし一度交付されたことのある源泉徴収票の再発行は、この「源泉徴収票不交付の届出手続」の対象とはならないため注意しましょう。

源泉徴収票不交付の届出書

なお給与支払者(会社など)には、源泉徴収票の発行が所得税法によって義務付けられています。そのため交付をお願いすると、一般的には手続きをしてくれるはずです。

参考:[手続名]源泉徴収票不交付の届出手続 – 国税庁

会社が倒産している場合は破産管財人へ

会社が倒産した場合
会社が倒産した場合は派遣管財人へ

源泉徴収票を発行してくれた会社が倒産した場合は、破産管財人に源泉徴収票の再発行を依頼しましょう

「破産管財人」とは裁判所によって選任された、倒産した会社の財産すべての管理を行う弁護士です。会社が倒産すると破産手続きが進められますが、それと同時に破産管財人が選任されます。

会社の実体がなくなり誰か破産管財人を務めているのかわからないという場合には、税務署や税理士に相談すると良いでしょう。

公務員の場合は共済組合や職場に直接連絡

公務員の場合は、共済組合や職場に直接連絡することで源泉徴収票の再発行依頼が可能です。

共済組合に再発行を依頼する場合、国家公務員と地方公務員で連絡先が以下のように異なります。

  • 国家公務員:国家公務員共済組合委連合会
  • 地方公務員:地方職員共済組合や市町村職員共済組合など、各々が加入している共済組合

源泉徴収票の再発行を職場に直接依頼する場合は、給与担当者や労務担当者に連絡するのがスムーズです。

年金受給者は「ねんきんネット」か「年金事務所」で再発行する

年金受給者の場合
年金受給者はねんきんネットか年金事務所で発行手続き

年金受給者も源泉徴収票が発行されます。年金受給者が源泉徴収票の再発行をしたい場合、ねんきんネット、または年金事務所で発行手続きをしましょう。

ねんきんネットとは、自分の年金情報を手軽に確認できるWebサービスです。

国民年金や厚生年金
企業年金や確定拠出年金 発行元企業に問い合わせ
参考:源泉徴収票をなくしたとき_日本年金機構

公務員の年金受給者であれば、以下の共済組合に直接依頼できます

  • 国家公務員(国会議員、中央省庁職員、裁判官・裁判所職員、自衛官・自衛隊員など):国家公務員共済組合連合会が担当先です。自動受付サービスのほか、電話連絡や申請書の郵送により、手続きが行われます。
  • 地方公務員(都道府県知事、市町村長・議員、教育関係職員、警察官、消防官など):地方職員共済組合が担当先です。申請書の郵送により、手続きが行われます。
参考:

源泉徴収票はどんなときに必要?

源泉徴収票

源泉徴収票は給与総額や所得税の源泉徴収額といった情報が記載されている大切な書類です。

活用する機会は少ないものの、確定申告や所得証明を行なう際には必要になります。源泉徴収票が必要な場面を覚えておきましょう。

確定申告が必要なとき

サラリーマンは会社が源泉徴収と年末調整を行ってくれるため、自分で確定申告をして税金を納める必要がありません。

ただし次のような場合は、自分で確定申告をする必要があります。

  • 2ヵ所から給与をもらっている
  • その年の副業の所得が20万円を超えた
  • 年収が2,000万円を超えた
  • 医療費控除やふるさと納税、住宅ローン控除といった控除を受けたい
  • 年の途中で退職して無職になったため、納めすぎた税金を取り戻したい

確定申告で源泉徴収票の添付は必要ないですが、源泉徴収票に書かれている内容を記載しなければなりませんそのため、手元に源泉徴収票が必要です。

年の途中で転職や再就職をしたとき

年の途中で転職した場合、再就職先の会社に前の会社の源泉徴収票を提出します。前の会社での源泉徴収額と合わせて、その年の年末調整を行うためです。

一般的に、退職後1カ月以内に、それまで働いた期間の源泉徴収票が手元に届きます。源泉徴収票を手に入れ次第、今の職場に提出しましょう。

フリーランスや自営業に転職した場合も、確定申告をする際に前の職場の源泉徴収票に書かれた内容が必要となります。

住宅ローンを組むとき

住宅の新築や購入には多額の費用がかかるため、住宅ローンを組むのが一般的です住宅ローンの審査書類の1つとして、源泉徴収票を提出します

住宅ローンの審査基準の1つが年収です。年収を公的に証明するため。源泉徴収票が必要になります。

源泉徴収票に社印が必要な場合もあるため、融資先の銀行で確認しましょう。

配偶者や親の扶養に入るとき

結婚して夫や妻、または親や子どもの扶養に入るときには、所得の条件を満たさなければなりません。所得を証明するための公的な書類として、扶養される側の源泉徴収票が必要です。

確定申告を行なっている場合は、確定申告書類でも問題ありません。

子どもを保育園に入園させるとき

源泉徴収票は子どもを保育園に入園させるときにも必要です。親が働いていることを公的に証明する書類として、前年1月~12月の源泉徴収票を毎年提出します。

また保育料は親の所得に応じて設定されるので、その金額を決定するためにも源泉徴収票が必要です。

 ハローワークから失業保険を給付してもらうとき

会社を退職し、ハローワークから失業保険を給付してもらう際に必要です。

源泉徴収票を無くしたら迷わず再発行しよう

源泉徴収票を無くしたら迷わず再発行しよう

源泉徴収票は普段使うことがなくても、確定申告や住宅購入などで必要になります。

もし源泉徴収票の紛失に気付いたら、すぐに再発行を依頼しましょう。再発行にかかる日数は、職場の状況にもよるため、思った以上に時間がかかるかもしれません。

再発行された源泉徴収票はいつでも使えるよう、大切に保管しておきましょう。

また再発行の依頼先がわからない、不安だ、依頼しているのに困った状況になったという場合は、税務署や税理士に相談すると良いことも覚えておきましょう。

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監修税理士からのコメント

京浜税理士法人 横浜事務所 - 神奈川県横浜市青葉区青葉台

源泉徴収票は、確定申告を行わない会社員の方にとって、あまり利用する機会はないかもしれません。しかしながら、勤務先が年末調整や源泉徴収票の作成を誤ることもあるため、内容に問題がないかについて入手したときに確認するようにしてください。特に、所得金額の計算を誤ると、翌年に納付する住民税の金額に影響することもあるため注意が必要です。源泉徴収票の記載内容が正しいか自分では分からない場合や、勤務先が源泉徴収票を交付してくれない場合は、税理士に相談するとよいでしょう。