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増税で区分記載請求書等保存方式に変更!消費税の記載方法例も紹介

最終更新日: 2019年12月11日

フリーランス・個人事業主になったばかりの方が戸惑ってしまいがちなのが、請求書の記載方法です。特に請求書での消費税の扱いについては「そもそも請求書に消費税って表示するの?」「請求書への消費税の記載方法は?」と疑問を持つ方が多いことでしょう。そこでこの記事では、個人事業主の請求書における消費税について、その表記方法やルールなどを解説します。

区分記載請求書等保存方式とは?消費税の記載例も!

消費税10%増税(2019年10月~)後の表記方法
消費税10%増税(2019年10月~)後の表記方法

2019年10月から消費税が10%に増税され、あわせて軽減税率も導入される予定です。これに伴って請求書の記載方法でも、新たに「区分記載請求書等保存方式」というものが取り入れられるようになります。消費税10%増税後の請求書での消費税表記方法について、その概要を解説します。

「区分記載請求書等保存方式」とは

「区分記載請求書等保存方式」は、消費増税と軽減税率導入に伴う経理上の移行期間として、請求書の記載事項について定めたルール・方式のことです。区分記載請求書等保存方式は、2019年10月から2023年9月末まで適用されます。

区分記載請求書等保存方式の記載事項は?

それでは区分記載請求書等保存方式が適用される2019年10月から2023年9月末までの間、請求書への記載事項にはどのような変化があるのでしょうか。

まず先に、従来と変わらない項目について見てみましょう。これまでと変わらない請求書記載事項は、以下の通り。

  • 発行者の氏名・名称
  • 取引年月日
  • 取引内容
  • 受領者(請求先の取引先)の氏名・名称

一方で追加される記載項目は、以下の2点です。

  • 軽減税率の対象品目であることを示す目印(※マークなど)
  • 税率(8%と10%)ごとに区分した、それぞれの対象金額(税込)

軽減税率導入によって2つの税率が混在することになるので、どの品目が8%でどの品目が10%なのか、請求書できちんと明記する必要が出てくるわけです。

消費税10%・8%を分けた記載例

上の画像は、区分記載請求書等保存方式での請求書の記載例を、ごく簡単に示したものです。上記では、軽減税率の対象品目となる「〇〇〇」に※印が付いており、消費税が8%であることを明示しています(請求書の末尾に、「※は軽減税率対象であることを示します。」と説明書きしてあるのもポイントです)。

そして合計金額の下には、消費税率10%対象品目の小計と、消費税率8%対象品目の小計が分けて記載してあります。このように2019年10月の消費増税・軽減税率導入後は、区分記載請求書等保存方式に沿った形(消費税率10%の品目と8%の品目を明確に識別できるよう分ける記載方法)で消費税を記載しましょう。

消費税は税込みと税抜きどっちで記載するべき?

請求書に表示する金額は、税込みでも税抜きでも構いません。内税(税込み)でも外税(税抜き)でも、みなさんが作成しやすく、かつ、販売した相手から消費税分を受け取れるのであれば、どちらでも構いません。


小計     ¥10,000
消費税(10%)¥ 1,000
合計     ¥11,000

でも


合計     ¥11,000
(10%対象  ¥11,000)
(8%対象   ¥   0)

どちらの記載方法でも大丈夫です。

しかし、2021年4月1日からは総額表示(税込みの総額:Ⅱの書き方)が義務となります。今のうちから総額表示に変えておいた方がよさそうです。

消費税の計算方法は?切り捨て・切り上げどっち?

ここでは請求書に記載する消費税の計算方法について解説します。経理処理を行う上でも、1円未満を切り捨てにするのか、切り上げにするのか、大きな問題でいい加減に処理すると、請求書と帳簿が合わないということにもつながりかねません。しっかり、切り上げか切り捨てか知っておきましょう。

簡単な消費税の計算方法

消費税は、税抜き価格に税率をかけてその金額が算出されます。

具体的には

税抜き価格×(税率÷100)=消費税額

となります。

例えば、税抜き価格100円のノートを売る場合、消費税額は

100×(10÷100)
=100×0.1
=10円

となり、税抜き価格100円、消費税10円、税込み価格110円が導き出されます。

なお、販売するものが軽率減税対象品の場合は消費税率8%なので、

例えば、税抜き価格100円のかぼちゃを売る場合(かぼちゃはそのままイートインする人はいませんよね)、消費税額は

100×(8÷100)
=100×0.08
=8円

となり、税抜き価格100円、消費税8円、税込み価格108円となります。

2019年10月から消費税は10%(軽率減税対象品は8%)になり、10%ならば価格を10で割るだけなので税額の計算がしやすくなりましたが、それでも計算は慎重に行い、正しい金額を出すようにしてください。

販売時の消費税は切り上げでも切り捨てでもOK!

上記の例では価格が100円でしたので、10%でも8%でも端数なく消費税が計算できましたが、これが108円だったらどうでしょう。

1.108円のノートの消費税

108×0.1=10.8円

2.108円のかぼちゃの消費税(軽率減税対象商品)

108×0.08=8.64円

小数点以下の端数が出てしまいます。この場合、消費税を切り上げるべきなのでしょうか?切り捨てるべきなのでしょうか?

ノートは

1)108円+10円=118円
2)108円+11円=119円

かぼちゃは

1)108円+8円=116円
2)108円+9円=117円

いずれで売るのがよいのでしょうか?

実は、切り上げにすべきか、切り捨てにすべきか、法律で決まりはなく、事業者の判断に任せられています。つまり、ノートは118円で売っても119円で売ってもOKです。

しかし、消費税納税時と同様に、切り捨てを採用するのが一般的で、この場合、ノートは118円、かぼちゃは116円で売っている小売店が多いです。

もっというと、小数点以下を四捨五入してもOKです。この場合、ノートは119円、かぼちゃは117円で販売します。

消費税の納税時は切り捨て

消費税を税務署に納税するときは、切り上げた額なのでしょうか?切り捨てた額なのでしょうか?

これは、国税庁(税務署)の方で

「納付する消費税額(課税売上高に対する消費税―課税仕入高に係る消費税額)に100円未満の端数があるときは、その端数を切り捨て。」

参考:国税庁 【No.6371 端数計算】

という指針を示しています。つまり、納税時には1,000円未満の消費税は切り捨てて納付します。

つまり、軽率減税対象品がなく、年間の売上(税込み)が11,386,542円の人が納付する消費税は

11,386,542×0.1=1,138,654.2円

となり、端数を切り捨てて、1,138,654円になるのではなく、1,000円未満が切り捨てられるので

1,138,000円

を納付することになります。

請求書に記載する際の端数処理は?

請求書に記載する消費税についても、1円未満の端数については、売ったときと同様、切り上げ、切り捨て、四捨五入、いずれでも構いません。

ただし、取引先と端数処理の方法が違うと(例:売る方は切り捨て、買う方は切り上げ)計算が合わないなど問題が起きるかもしれません。

端数処理は企業間、事業者間に委ねられているので、請求書作成の際、前もってルールを決めておきましょう。

なお、請求書に記載する際の端数処理は税率ごとに一回のみである点を注意してください。

つまり、108円のノート、242円のファイル、110円のかぼちゃを売る場合、税額は

ノート(10%):108円×10%=10.8円
ファイル(10%):243円×10%=24.3円
かぼちゃ(8%):110円×8%=8.8円

となりますが、端数処理を行う場合、10%分については、それぞれ切り捨てて

ノート10円+ファイル24円=34円

ではなく、

ノート10.8円+ファイル24.3円=35.1円

でこれを切り捨てて35円が請求すべき消費税となります。かぼちゃはそのままです。

請求書には

合計       ¥504
(10%対象  ¥386)
(8%対象   ¥118)

と記載します。

仕入税額控除の仕組みと計算方法

ここで紹介する「仕入税額控除」は、生産や流通の段階で支払いが行われるたびに発生する消費税の二重課税を防ぐための制度になります。

仕入税額控除は仕組みがわかれば理解できる!

消費税は売上全部にかかり、10%(ないし8%)支払わなければならないものと誤解されがちですが、実際は「国内における、事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供にかかる取引」において、商品やサービスが作られる各工程の事業者が、「応分の負担」をする制度です。

仕入税額控除によって、仕入れ額に応じて申告納税する消費税額を減らすことができ、それができる取引とできない取引があります。読んでいると難しそうですが、実はそこまで難しいものではありません。

あるものを仕入れて、経費にしている人は、売上にかかる消費税から仕入れにかかった消費税を引いて、残りを納付すればいいのです。

仕入税額控除の対象者

消費税の納付すべき税額は、「課税期間中の課税売上にかかる消費税額-その課税期間中の課税仕入れ等の消費税額(仕入税額)」で計算されます。

しかし、仕入税額控除ができる売上とできない売上があり、できる対象者は以下の経費を支払っている人です。

(1)原材料費等の購入
(2)商品などの棚卸資産の購入
(3)機械や建物の費用、車両や器具備品等の購入、賃借費用
(4)水道光熱費、通信費、接待交際費など
(5)事務用品費、消耗品費、新聞図書費など
(6)修繕費、外注費、加工費
(7)人材派遣料

非課税取引である土地の売買、貸付(実は非課税なんです)、住宅の貸付(住居は非課税、事務所店舗は課税)、医療費や介護サービスなどは、仕入税額控除の対象からは外れるので注意してください。不動産業は仕入税額控除ができないケースがあります。

※非課税取引については国税庁HPも参考にしてください。

参考:国税庁 【No.6201 非課税となる取引】

仕入税額控除の計算方法

ここでは仕入税額控除の計算方法を理解しましょう。

導入の例では

Bは50円で仕入れて200円で売っているので、Aに5円の消費税を支払って仕入れ、Cから20円の消費税をもらっています。

この場合、Bの仕入れにかかる消費税は5円です。

したがって、「課税売上にかかる消費税額20円-その課税期間中の課税仕入れ等の消費税額5円」=15円を消費税として申告し納税すればよいということになります。

売上にかかる消費税から仕入れ額にかかる消費税を全額控除できるものを「全額控除」と言い、実は課税売上が95%以上ならば非課税売上があっても適用できます。

一方で、土地の売買や賃借もする不動産業など非課税取引もある事業者の場合で、非課税売上が5%以上ある事業者の場合、以下の3つの方法から選択して消費税を納税します。

1.一括比例配分方式

仕入れにかかる消費税を課税売上の割合に比例して支払います。

総売上1000万円、課税売上700万円、非課税売上300万円の場合

支払う消費税は 1000万×10%×(700万/1000万)=70万円 になります。

2.個別対応方式

仕入れの中には課税売上、非課税売上に共通するものもあるはずです。不動産業の場合、事務所の家賃はどちらにも関係しますよね。一方で、建物販売は課税取引、土地販売は非課税取引です。

売上を以下のように分けて、支払う消費税を決定します。

課税売上のみに要するもの → 全額控除(100%控除)
非課税売上のみに要するもの → 控除しない(0円)
両方に共通して要するもの → 課税売上割合相当額

不動産業の事務所家賃は療法に共通して要するので、課税、非課税売上の割合で計算します。

総売上1000万円、課税売上700万円、非課税売上300万円の場合、事務所家賃100万円かかったとすると、仕入税額控除できるのは

100万円×10%×70%=7万円ということになります。

3.簡易課税方式

いちいち課税、非課税取引を計算するのは面倒だという事業者の場合、「みなし仕入率」をかけた金額を控除できる簡易課税方式というものがあり、業種によって6種類の税率が適用されます。

例えば不動産の場合、みなし仕入率は40%なので、仕入れにかかった経費が100万円ならば、仕入税額控除できるのは40%の40万円となります。

2023年10月から適用のインボイス制度って?

中小企業への影響大?インボイス制度とは
中小企業への影響大?インボイス制度とは

ここまで説明した「区分記載請求書等保存方式」は、消費税10%と軽率減税8%の導入にともなう移行期間として、請求書に10%と8%を区別して記載し、内税か外税か記載様式を定めたルールでしたが、移行期間が終わる2023年10月からそれに代わり「インボイス制度」と呼ばれるものがスタートします。

これは、特にフリーランスや個人事業主で消費税支払いを免除されている人、およびその人たちと取引をしている事業者に大きな影響を与えると予想されています。

インボイス制度ってなに?どこが変わるの?

インボイス制度とは正式には、「適格請求書等保存方式」といい、下記の各事項を記した請求書を発行し、保存が求めれられる制度です

・請求書発行事業者(個人、フリーランス含む)の氏名、社名と登録番号
・取引年月日
・取引内容(軽減税率の対象品目である場合はその旨)
・税率ごとに合計した販売額と適用税率
・消費税額
・請求書を送る(渡す)事業者の氏名または名称

ここまで説明してきた区分別記載請求書等保存方式とどこが違うの?と思われる方、違うのは「適格請求書発行事業者の登録番号」と「税率ごとの消費税額及び適用税率」の記載です。

インボイス制度が導入されると、8%と10%それぞれの消費税額を請求書に明示しなければならなくなります。

一番大きな違いは、事業者が税務署に適格請求書発行事業者の届けを出し、登録番号を得る必要が、場合によっては出てくるということです。

仕入税額控除の要件が厳しくなる

この適格請求書発行事業者の登録番号が現在、フリーランスや個人事業主の大きな関心となっています。

現在、売上1,000万円未満の事業者は「免税事業者」と言って、消費税を納税する義務がありません。この免税事業者制度はインボイス制度導入後も続きますが、免税事業者と取引している事業者には大きな問題が生じます。

免税事業者は税務署に届出る必要はないのですが、そうなると適格請求書発行事業者の登録番号がもらえなくなります。すると、免税事業者が発行する請求書には登録番号が記載できません。

登録番号が記載されていない請求書に対して支払いを行った場合、その取引は仕入額控除ができなくなります。

つまり、免税事業者との取引で支払った消費税を控除できなくなるため、5千円で買って20万円で売った場合、納付する消費税は2万円-5千円=1.5万円ではなく、2万円になります。消費税の控除ができないと、免税事業者と取引するのは損です。

免税事業者にも課税事業者にも影響が!

現在、免税事業者として売った時に消費税をもらっても納付する義務がない、「益税」(消費税分はまるまる自分の収入)となっているフリーランスや個人事業主は大きな選択を迫られます。

年間売上400万円のフリーランスを例にしましょう。

適格請求書発行事業者の登録番号をもらえば、取引先業者との契約を継続できる可能性が高いですが(取引先もインボイス制度を満たした請求書をもらうので仕入税額控除が可能)、その場合免税事業者ではなくなり、消費税を納付する義務が生じます。

事実上、収入が約10%減ることになり、一気に生活が追い込まれます。

一方、税務署に届出をせずに免税事業者として続けることもできますが、請求書に登録番号を記載できず、取引先は仕入税額控除を利用できないので、取引先の消費税納税額が多くなり、それを避けるため取引終了、切られるリスクが高くなります。

それを避けるためには、税額分販売価格を下げ、取引先が仕入税額控除をできなくても、支払う消費税額が変わらないように調整せざるを得ないかもしれません。

つまり、

・売上1,000万円未満のフリーランスや個人事業主

→免税事業者のままでも課税業者になっても「収入」が減る

・免税事業者と取引している業者

→相手が免税事業者のままだと損しかないので、切るか価格を下げるよう迫る(関係が悪化する)

となり双方にとっていいことが全くない、という状況になります。特にこれまで免税事業者としてやってきた人には、収入が10%減るかもしれない死活問題に直面することになります。

この点はまだ確定していない部分も多く、今後の推移を見極める必要がありそうです。

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