「請求書と領収書の違いがよくわからない」「取引先に間違って送付してしまいそうで怖い」とお悩みではないでしょうか。
請求書は「支払いをお願いする書類」で、領収書は「代金を受け取ったことを証明する書類」です。発行するタイミングが、請求書は「支払い前」で、領収書は「支払い後」なので注意しましょう。
本記事では、請求書と領収書の違いや取り扱い方法、書き方などについて解説します。
請求書と領収書の違い
請求書と領収書では「お金の動き」について示す意味が異なっています。
請求書は「支払いを受ける前に、支払いを求めて発行する書類」ですが、領収書は「支払いを受けた後に、お金を受領したことを証明するために発行する書類」です。
<請求書と領収書の違い>
請求書 | 領収書 | |
発行するタイミング | 支払い前 | 支払い後 |
役割 | 支払って欲しい料金を通知する | 支払いが完了したと報告する |
また、請求書は法律上発行する義務はありませんが、領収書は相手から発行するようにお願いされた場合、発行する義務があります。ただし商習慣として円滑に取引が進められるように、どちらも発行することが多いです。
基本的に請求書は領収書の代わりに用いることはできない
基本的に請求書は領収書の代わりにはなりません。なぜなら請求書は請求について証明するもので、領収があったかどうか示すものではないからです。
ただし例外として、請求書に以下の記載か押印があれば、領収書の代わりとして認められます。
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もし上記いずれかの記載があり、請求書上で支払いが完了したと記載されている場合、その書類は「請求書兼領収書」となります。
請求書兼領収書は請求書でありながら領収書の性質も持つので、領収の証明として使うことが可能です。
クレジットカードを利用した場合も同様で、その旨を記載もしくは押印すれば、領収書の代わりとして扱うことができます。
請求書兼領収書とは「請求と領収の両方について証明するもの」
請求と領収の両方について証明するのが「請求書兼領収書」であり、請求と支払いが同時になされる場合に使用されます。この時発行されるのは、請求書と領収書の両方ではなく、請求書兼領収書だけです。
請求書兼領収書は、医療機関のように、その場で会計されるケースでよく使われています。
収入印紙の取り扱いが異なるので注意が必要
請求書と領収書では、収入印紙の取り扱いが異なるので、よく注意しましょう。
まず、請求書には収入印紙が不要です。
しかし、領収書では5万円以上の金額を扱う場合、収入印紙を貼り付ける必要があります。
貼り付ける収入印紙の金額は、領収書の取引金額によって異なるので注意しましょう。
取引金額 | 収入印紙額 |
5万円以上100万円以下 | 200円 |
100万円超〜200万円以下 | 400円 |
200万円超〜300万円以下 | 600円 |
300万円超〜500万円以下 | 1,000円 |
500万円超〜1,000万円以下 | 2,000円 |
<注意>
5万円に満たない取引は非課税であるため、収入印紙の貼り付けは必要ありません。
収入印紙とは「税金や手数料などを支払うために書類に添付する証票」
収入印紙とは「税金や手数料などを支払う目的で、書類に貼り付ける証票」です。
たとえば領収書を発行する際にかかる「印紙税」や、不動産登記を行うときに発生する「登録免許税」を納めるために、提出書類に収入印紙を貼付します。また、国家試験の受験手数料や免状の交付手数料などの、手数料を支払うときにも必要です。
収入印紙の要件や購入方法についてくわしく知りたい方は、次の記事を参照してください。
請求書とは支払いを求めるもの
請求書とは商品やサービスを購入した相手に、代金の支払いを求めるものです。
発行された書面上には請求金額や振込先が記載されており、請求された側はそれを参照して支払います。
請求書のレイアウトやフォーマットは、基本的に自由です。
しかし、次の3つを理解して正しく記入する必要があります。
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請求書の記載項目
請求書には、記載しなければならない7つの項目があります。
【請求書の記載項目7つ】
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「発行日」や「所在地」は記入がなくても、支払いに支障はありません。
しかし請求書ではこれら7つを明記することがマナーであり、一般的な商習慣です。
「手続き上必要なさそうだ」などといって、省略しないようにしましょう。
次の記事では、これら7つの項目が記載された請求書のテンプレートを公開しているので、ぜひご利用ください。
請求書の宛名の書き方
請求書を送付する際は、宛名を正しい形で記入する必要があります。
記載方法は送付先によって異なるので、以下のような使い分けが必要です。
送付先 | 宛名の書き方 | 具体例 |
法人 | 会社名 | 株式会社山田商事 |
個人ないし個人事業主であり、屋号を掲げている | 屋号+個人名 | オフィス山田
山田太郎 |
個人ないし個人事業主であり、屋号を掲げていない | 個人名 | 山田太郎 |
上記のほか請求書の宛名では以下について注意する必要があります。
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請求書の記載で、特に重要なのは「様」か「御中」の使い分けです。「様が個人」「御中は法人」につける敬称であると、理解しておきましょう。
また請求書において、社名などを略称で示すのはNGです。たとえば株式会社を(株)などと記載してはいけません。手続き上問題はありませんが、マナーや商習慣にそぐわないので、かならず正式名称で記載しましょう。
請求書の記載項目の適切な書き方や注意点について、よりくわしく知りたい方は、次の記事を参照してください。
請求書の郵送方法
請求書を郵送するときは、その方法やマナーに注意する必要があります。
【請求書の郵送で重要な3つのポイント】
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請求書の郵送には普通郵便を利用する
請求書を郵送するときは、普通郵便を利用する必要があります。なぜなら請求書は「信書」にあたるからです。ですので一部の例外を除いて、請求書は普通郵便で送付しなければ、郵便法違反およびコンプライアンス違反に該当します。
うっかり宅配便などで送付することは法律上禁止されているので、注意しましょう。
請求内容について説明する「送付状」を同封する
請求書を郵送する際は、送付状を同封することも重要です。送付状も郵送することで、相手によりわかりやすく請求内容を伝えられます。
「請求書と送付状はセット」というのがビジネスシーンでの常識なので、特別な理由がない限りはこの慣例に従いましょう。
【送付状に書くべき項目】
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送付状の適切な書き方や注意点についてくわしく知りたい方は、次の記事を参照してください。
封筒には左下に青色の文字で「請求書在中」と記載する
封筒の左下には青文字で「請求書在中」と記載するのがもっとも適切です。これも特に法的な決まりがあるわけではありませんが、マナーや商習慣の面からこのようにするのが無難でしょう。
マナーを守ることで、取引相手と友好的な関係を続けていくことにつながるかもしれません。
領収書はお金を支払ったことを証明するもの
領収書とは購入した相手が支払いを実施したあとで「確かにお金を受け取った」と示すものです。
取引相手の方は領収書がなければ経費計上できないので、必ず発行および送付する必要があります。
領収書の記載項目
領収書の記載項目は全部で5つあり、請求書より少ないです。
【領収書の記載項目】
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ただし、これら5つの項目のうち1つでも抜けていると、ビジネスマナーの観点から適切ではありません。
領収書を発行する際は、漏れがないよう確実に記入するようにしましょう。
次の記事では、これら5つの項目が書かれた領収書のテンプレートを紹介しているので、ご参考ください。
領収書の宛名の書き方
領収書の宛名の書き方は、送付先によって異なります。
送付先 | 宛名の書き方 | 具体例 |
法人 | 会社名 | 株式会社山田商事 |
個人ないし個人事業主であり、屋号を掲げている | 屋号+個人名 | オフィス山田
山田太郎 |
個人ないし個人事業主であり、屋号を掲げていない | 個人名 | 山田太郎 |
また、以下の点にも注意しましょう。
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「上様」を使わないほうがよい理由は、税制で正式には認められていないからです。
慣習的に認められることがほとんどですが、法律に従って会社名や個人名を記入するのが賢明でしょう。
領収書の郵送方法
領収書を郵送するときは、安全性やマナーを考慮するのが重要です。
【必ず守るべき3つの約束】
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確実に送付できる簡易書留もしくは特定記録を利用する
領収書を郵送する際は、簡易書留もしくは特定記録を利用しましょう。
領収書は重要な書類なので「郵便トラブルによって先方に届かない」といったことがあってはいけません。
簡易書留や特定記録であれば、郵便局が送付することを担保してくれるので安心です。
領収内容について説明する「送付状」を同封する
領収書を郵送する際は、請求書と同様に送付状を同封するようにしましょう。
送付状が必要なのは「どのような領収なのか」を先方に少しでも親切にわかりやすく伝えるためです。
【送付状の記載項目】
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封筒の左下に青色の文字で「領収書在中」と記載する
領収書を郵送する際は、封筒の左下に青文字で「領収書在中」と記載しましょう。
絶対的なルールではありませんが、一般的なマナーに従うのであればこの方法が適切です。
先方に誠意を見せるために実践すべき5つのポイント
先方に誠意を見せるために、郵送について配慮した行動をとるようにしましょう。
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これら5つの行為は必須ではありませんが、そこまで配慮できれば「とても信用できる会社だ」といった評価につながるかもしれません。
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