個人事業主として最近独立して「請求書の支払期限はいつにすればいいの?」「法律で決められている?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
支払期限について法律で決められていることはありません。一般的に、月末締めの翌月払いか翌々月払いが支払期限としてよく使われています。
本記事では「請求書の支払期限」について、請求書の書き方や有効期限、期限を過ぎた場合の対処法まで解説します。
取引相手との金銭的トラブルを防ぐためにも、支払期限についてはきちんと理解しておきたいところです。
請求書の支払期限|月末締めの翌月末支払い・翌々月末支払いが一般的
取引先の支払期限を設定する際のルールはありません。しかし、一般的には月末締めの翌月末支払い・翌々月末支払いが多いです。
休日は金融機関が休みのケースが多いため、支払日が平日になるよう調整しましょう。
支払期限の設定にルールはない!
請求書に記載する支払期限の設定に、法律で定められた明確なルールはありません。
一般的には月末締めの翌月末支払い、もしくは翌々月末支払いとして請求書を作成するケースが多いようです。
あくまでも多くみられる例というだけで、取引先の了承を得ていれば自身の好きなタイミングに設定できます。
ただし取引先によっては、請求書の支払期限について要望を受けるケースもあります。
また、支払期限が短すぎるなど極端な設定をしてしまうと、トラブルが起きるリスクが高いです。
そのため支払期限は一般的な決め方に沿う、もしくは相手の要望を聞いたうえで決めると、リスクが低く安心です。
なお、定期的な取引を行っている相手であれば、支払う側のことも考慮して、なるべく一定間隔で期日を設けることをおすすめします。
請求書の締め日と支払日の違い
個人事業主が請求書を発行する際は「締め日」と「支払日(支払期限)」という2つの項目について注意が必要です。
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「締め日が毎月15日、支払日が翌月月末」というサイクルを例にします。
この場合は前月16日から当月15日までに納品した分の金額を1サイクルとして、請求書で請求します。
もし、2月16日〜3月15日までに納品した仕事の分を請求書で請求すると、取引先から支払いを受ける支払日は4月30日です。
中小企業庁の「下請代金支払遅延等防止法」を参考にする
請求書の支払期限に決まりはありませんが、それに関わる法律で「下請代金支払遅延等防止法」があります。
この法律では、クライアントが支払うべき支払期限の目安が以下のように定められています。
役務(つまり納品した仕事)の提供を受けた日から60日以内で、かつできる限り短い期間内 |
支払期限を決める権限がある場合は、この規定の範囲内で定めるのが理想です。
土日祝日に期日が重なるときは前後の平日にする
土日祝日や年末年始、GWは金融機関が休みのことが多いので、その前後の平日に支払期限をずらすことをおすすめします。
事前に取引先と「普段の支払期限が土日に重なるときは直前の平日に支払い」「年末年始は特別に翌月5日に支払い」といったルールを決めておくと安心です。
請求書の書き方
請求書には支払期限以外にも、記載が必要な項目が複数あります。請求に関するトラブルを防ぎスムーズな取引を行うには、正しい請求書の書き方をおさえることが大切です。
記載する内容
取引先に渡す請求書は以下の内容を含めたうえで作成します。
- 取引先の氏名または名称
- 請求書作成者の氏名または名称
- 請求書の番号
- 取引年月日(請求日・支払期限)
- 納品物・稼動内容(以下「請求内容」)の通番
- 請求内容の品目
- 請求内容の単価
- 請求内容の数量
- 請求内容の概要
- 消費税(別途記載するのが一般的)
- 源泉徴収税(別途記載するのが一般的、会社として請求する場合は不要)
- 請求金額(小計・消費税の合計から源泉徴収税を引いた額)
- 振込先
- 備考欄
支払期限を書く位置について決まりがあるわけではありませんが、請求書の上のほうに記載したほうが見つけやすいので相手にも親切です。
他の項目に関する詳しい書き方は、以下の記事で解説しているので参考にしてみてください。
請求書に間違いがあった場合は「再発行」する
作成・送付した請求書に間違いがあった場合、再発行するのが原則です。
間違いをメールや電話などで連絡して訂正するのではなく、誤りがあった旨を伝え、そのうえで正しい内容で作成した請求書を送り直します。
【請求書作成で起こり得るミスの例】
桁数・単価・数量 | 請求金額にも影響 |
請求日の日付 | 古い日付のままにしてしまう、締め日を誤ってしまうなどのミス |
条件の記載漏れ | 振込手数料の負担や取引先との間で決めたルールなど、条件の記載は漏れがちな項目 |
誤送 | 別の取引先に送ってしまうミス |
請求書のミスを防ぐため、上記項目を重点的に確認したうえで取引先に送ると安心です。
請求書の有効期間は5年間【民法改正前は2年間】
2017年の民法大改正により、2020年4月1日から請求書の有効期限は5年間となっています。
請求書の有効期限については、新民法第166条1項1号で以下のように定められています。
【民法第166条1項1号】
債権は次に掲げる場合には、時効によって消滅する
- 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき
新民法の施行日は2020年4月1日で、それ以前の取引は民法改正前の2年間が有効期限として適用されるので注意しましょう。
また、5年以上に期間を延ばしたい場合は取引先に「内容証明書」を送付すれば6ヶ月の延長も可能です。
支払期限が過ぎても報酬が払われない場合の対処法
請求書に記載した支払期限を過ぎても報酬が支払われない場合、次の順序で対処していきます。
- 請求書の発行・発送でミスがないかを確認する
- 取引先に支払われていない旨を伝える
- 取引先に内容証明書を送付する
- 法的手段を行使する
対処法について事前に確認しておけば、支払期限が過ぎた場合でも落ち着いた対応を進めやすくなるので安心です。
①請求書の発行・発送でミスがないかを確認する
まずは請求書の発行・発送に関するミスがないか確認が必要です。次のポイントを確認してみてください。
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いきなり取引先へ連絡し、その後で自身のミスが原因と発覚すると、取引先との関係性に悪影響を及ぼす恐れがあります。まずは自身にミスがないか確認することが大切です。
請求書発行時点のチェックを入念に行い、請求書の郵送は一般郵便でなく「信書送付用」郵便を使うとよいでしょう。
②取引先に支払われていない旨を伝える
請求書の発行や発送に問題がない場合は、取引先に報酬が支払われていない旨を伝えます。
メールまたは電話で伝えるのが一般的です。意図的に支払わないのではなく、取引先側が支払い自体を忘れていることも多くあります。
未払いである旨を直接伝えたうえで、対処してもらうようにしましょう。
③取引先に内容証明を送付する
メールまたは電話で伝えても支払われない場合、取引先に内容証明を送付する必要があります。
内容証明とは、取引内容や請求書を受理した日付などが書かれており、郵便局長が取引の事実を証明するものです。
請求書の有効期限は5年間とされています。しかし取引先に内容証明を送付すれば、請求書の有効期限を最大で5年半にまで延長できるのです。
④法的手段を行使する
内容証明を送付したにも関わらず報酬が支払われない場合、法的手段を行使します。
債権の回収に際して実行できる法的手段として、支払督促の手続きがあげられます。
支払督促は裁判所に、支払いの督促を代行してもらう方法です。
債務者である取引先へ圧力をかけられるほか、債権者として自身の立場を守る効果も期待できます。
【受領した請求書】支払期限が短い!そんなときの対処法
請求書を受け取る側になれば支払期限までの対応が必要です。
しかし支払期日が短かったり、請求書に期日が記載されていなかったりする場合は、まず取引先に連絡してみましょう。
受け取った請求書に正しく対処するのも、取引先との良好な関係構築に大きく役立ちます。
取引先へ日程を確認する
請求書の支払期日が短すぎると感じる場合、取引先へ日程を確認することが大切です。
一般的には請求書の受領から支払まで1ヵ月程度の猶予がありますが、それより短い場合は連絡しても良いと考えられます。
事前の取り決めなどがない場合、請求書の支払期限は発行側が設定します。しかし支払期限が短すぎると、どうしても対応が困難になりがちです。
とはいえ独断で期限後に支払うのは厳禁です。必ず取引先へ連絡し、支払期限を変更してもらえないか確認しましょう。
【支払期限を過ぎた場合】取引先に連絡してから対応する
もし支払期限を過ぎてしまった場合は、取引先に連絡してから対応を進めるようにしてください。
すぐに入金できる場合は、なるべく早いうちに支払いを行いましょう。支払いまでに猶予をもらいたい場合は、いつまでに入金できるかをはっきり知らせる必要があります。
支払期限を過ぎた事実が発覚したら、その時点ですぐに対応を進めることが大切です。
【支払期限が書かれていない場合】60日以内に支払うようにする
請求書に支払期限が記載されていないケースもよくあります。そんなときは「下請代金支払遅延等防止法」を参考に、60日以内に支払うとよいでしょう。
相手が下請けの場合は受領した60日以内に支払うのが原則ですが、それ以外の場合は原則としていつになっても法的に問題はありません。
ですが、取引先との信頼関係のためにも支払日を連絡するとよいでしょう。
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