運転免許証を持っている方は引越し時に住所変更の手続きが必要です。手続きをしないでいると、身分証明書として利用できないほか、罰金を科される可能性もあります。
免許証の住所変更はいつまでにやるべきか、必要書類はなにかを解説いたします。
免許証の住所変更の手続き期限はない
道路交通法第94条には、住所など運転免許証に記載されていることがらに変更があった場合は、速やかに届け出るようにとのみ書かれています。具体的に何日以内に手続きをせよとは定められていません。
参考:
早めに手続きした方が良い
手続き期限が定められていないとはいえ、運転免許証の住所変更手続きを後回しにしてしまうと、手続きそのものを忘れてしまったり、有効な身分証明書として提示できないなど生活が不便になってしまいます。
特別な事情がなければ、引っ越してすぐに住所変更手続きを行うことをおすすめします。
自動車を保有している方であれば、車庫証明や車検証の住所変更手続きと同タイミングで行うと手続き漏れが起こりづらいでしょう。
自動車を保有していない方でも、引越しから14日以内を目安に運転免許証の住所変更手続きをすると生活に悪影響を及ぼしにくいです。
免許証の住所変更手続きの手順
運転免許証の住所変更手続きそのものに難しい部分はありません。必要な書類をそろえて窓口に提出するだけで終了します。
ただし提出できる書類や、手続きができる場所についていくつかの規定があります。手続きに向かう前に確認しておきましょう。
住所変更に必要なもの
運転免許証の住所変更には以下の書類が必要です。
- 現在の運転免許証
- 新住所を確認できる書類
新住所を確認できる書類の例は、住民票の写しやマイナンバーカード、健康保険証などです。いずれも住所変更手続きが完了していることが前提です。
転入届または転居届を提出したときに同時に住民票の写しを入手しておくと、免許証の住所変更時に改めて役所に出向く必要がなくなります。
なお住民票の写しを取るときは、マイナンバーが記載されていないものを交付してもらってください。
理由は法律にあります。法律によって定められた事業者以外はマイナンバーを取り扱えません。
住民票の写しにマイナンバーが記載されていた場合、マイナンバーが記載されていないものを取得するよう求められることがあります。
手続きをする場所
運転免許証の住所変更手続きができる場所には、警察署や運転免許センター、運転免許試験場が挙げられます。それぞれの特徴をまとめました。
手続きができる場所 | 受付する曜日 | 手続きにかかる時間 |
---|---|---|
警察署 | 原則平日のみ | 混雑していなければ10~15分ほど |
運転免許センター | 土日受付をしていることもある | 30~60分ほどかかることが多い |
運転免許試験場 | 土日受付をしていることもある | 30~60分ほどかかることが多い |
手続きができる場所は各都道府県によって異なりますので、必ず各都道府県警察の公式ホームページで窓口を確認してください。
警察署
平日の日中に手続きができるのであれば、警察署の窓口で運転免許証の住所変更手続きを行いましょう。
窓口が混雑していなければ、手続きは10~15分程度で完了します。
自動車を持っているのならば、免許証の住所変更と同日に車庫証明書に関連する手続きをしましょう。時間の無駄を削減できます。
運転免許センター
各道府県には運転免許センターという施設があります。一般的には免許センターと呼ばれることが多いでしょう。
免許センターであれば平日のみならず、土日も住所変更手続きができます。
ただし土日も住所変更ができる免許センターは、手続きをしたい人で混雑する傾向があります。時間に余裕をもって手続きに向かいましょう。
名前が似ている東京都の運転免許更新センターでは、土日の受付はしていないことにご注意ください。
運転免許試験場
各都道府県にある運転免許試験場でも住所変更の手続きができます。地域によって土日の受付をしている試験場と、そうでない試験場があります。
免許センターと同様に混雑しやすい傾向があるため、手続き時には時間に余裕をもちましょう。
交番や駐在所では一部を除き住所変更ができない
警察署や免許センター等、住所変更の手続きができる場所が遠いと、近所の交番や駐在所でできないのかなと気になるかもしれません。しかし交番や駐在所では原則的に運転免許証の住所変更ができません。
手続きができる交番などの名称は、各警察の公式ホームページに記載されています。念のため確認してみて、もし自宅近くの交番や駐在所が対応しているようであればそちらで手続きをしても良いでしょう。
代理人に申請してもらうこともできる
仕事の都合などでどうしても平日に休みが取得できなかったり、土日の開庁時間内に手続きができないこともあるでしょう。そのような場合は代理人に運転免許証の住所変更の依頼ができます。
しかし免許証の住所変更を代理人に依頼するときは、いくつかの条件があります。
代理人申請は委任状などが必要
代理人の条件 | 住民票に併記されている人 |
---|---|
必要な持ち物 |
|
地域によっては委任状を必須としていることがあります。たとえば首都圏であれば千葉県が委任状を必須としています。
免許証の更新と住所変更を同時に行う方法
引越しと運転免許証の更新期限が近いときは、住所変更の手続きと免許証の更新手続きを同時に行えます。
必要なものは以下の通りです。
必要なもの | 備考 |
---|---|
運転免許証 | – |
新住所が確認できる書類 | 【例】
|
顔写真(6か月以内に撮影したもの) | 更新手続きをする窓口で写真撮影をしてもらえることもある |
運転免許更新連絡書 | 更新期限初日の1週間ほど前に送付される |
印鑑 | 運転免許更新連絡書(更新通知ハガキ)が手元にない場合 |
手数料 | 受ける講習によって料金が異なる |
このうち必ず持参しなければならないのは、運転免許証と新住所が確認できる書類です。
更新のハガキが手元にあるなら持っていく
旧住所で更新通知のハガキを受け取っていたら、通知ハガキも持参しましょう。ハガキがない場合は、必要な書類に加え印鑑を持っていきましょう。
ハガキがないと更新ができないのでは?と思われる方もいますが、ハガキを紛失したり、持っていくのを忘れてしまったりしても更新手続きそのものは可能ですのでご安心ください。
免許証の住所変更をしないとどうなる?
運転免許証の住所変更手続きをし忘れていたり、面倒だからと意図的に手続きをしなかったりしたらどうなるのでしょうか。
免許証の情報変更をしないと、以下3つのリスクがあります。
どのような不利益があるか順番に確認していきましょう。
身分証明書として利用できない
車には乗らないけれど、身分証明書として便利だから自動車の免許証を取得するという方は多くいます。それでは運転免許証がなぜ、1枚で本人確認が完結するかその理由をご存じですか?
運転免許証は顔写真つきで、なおかつ官公庁が発行する書類です。情報の正確性や信頼性が高いとみなされています。
免許証に限った話ではありませんが、すべての身分証明書は書類に記載されていることがらと、申告されたことがらが一致するとき有効なものと認められます。
たとえば携帯電話の契約をするときに旧住所のままの免許証を出してしまうと、「この人が本当にここに住んでいるか判断できない」という理由で、契約を断られてしまいます。
裏面備考欄に新住所を手書きしてはいけない
ときおり、住所変更手続きをしに行く時間がないからと裏面備考欄に新住所を手書きしている人が見られます。しかし運転免許証に許可なく書き込み等をすると有印公文書変造罪に問われる可能性があります。
普段持ち歩くことが多いため忘れてしまいがちですが、免許証は都道府県公安委員会が発行する公文書です。本来は一切手を加えることなく携帯しなければなりません。
新住所を書き込むだけでなく、身分証明書として書き込みのある免許証を提示すると有印公文書行使罪に問われ、逮捕される可能性があります。
免許更新のお知らせが届かない
取得したばかりの人や71歳以上の高齢者を除いて、運転免許証は3年または5年おきに更新をします。
有効期限が近付くと、免許証の更新を知らせるハガキが届きます。このハガキは免許証に記載されている住所に発送されます。
もし住所変更をしないままだとお知らせハガキを受け取れず、気づかないうちに免許証が失効してしまう可能性もあります。
免許証の有効期限が切れた状態で公道を走行すると無免許運転となり、処罰の対象です。3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。
2年間運転免許証が取得できない欠格期間が設けられ、欠格期間が明けたらはじめから教習所へ通い、免許の再取得をしなければなりません。
罰金を課せられることがある
道路交通法には住所などの記載事項を変更しなかったときの罰則についても記載があります。
道路交通法第121条には、運転免許証の記載事項を変更しなかった者は5万円以下の罰金に処すと記されています。
免許証の住所変更をしなかったという理由のみで罰金を科されることは考えづらいですが、たとえば駐車禁止区域に停めるなどして違反切符を切られたときに、あわせて罰せられることが考えられます。
そのような事態を防ぐためにも、住所変更手続きは忘れずに行いましょう。
参考:
引越しと同時に氏名や本籍が変わったときの手続き
結婚をし、新居へ引っ越すために引っ越したなど、住所と同時に氏名や本籍が変わることがあるかもしれません。氏名や本籍が変わった時ももちろん運転免許証の記載事項変更手続きが必要です。
氏名・本籍が変わったときには、本籍の記載がある住民票の写しが必要です。役所の窓口で交付されるほか、コンビニ交付に対応している自治体であればコンビニで取得できます。
運転免許証と本籍が記載されている住民票を持って窓口に行き、必要な手続きを行いましょう。
引越し手続きは全体像を把握して抜け漏れなく済ませよう
引越し時は運転免許証の住所変更以外にもやるべきことが多くあります。以下の記事では全体像をまとめているので、手続き漏れがないようにチェックしておきましょう。
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