毎日の料理に欠かせない包丁。包丁の切れ味が悪いと、料理の見た目はもちろん、味も落ちてしまいます。
ところが、包丁の切れ味の状態は見た目では分からないことに加え、切れ味の確認方法を知らないという方は多いのではないでしょうか。
この記事では、包丁の素材と切れ味の関係や切れ味の確認方法、研ぎ石がない場合の応急処置、切れ味を長持ちさせる方法などを紹介していきます。
切れ味の悪い包丁の状態
包丁はどんなに高価な物であっても、使えば使うほど切れ味が徐々に悪くなっていくもの。切れ味が悪くなるのは、包丁が切れる原理と関係しています。
ここでは、包丁の切れ味が悪くなる原因や、切れ味の悪い包丁の状態について解説します。ご自宅にある包丁の状態を確認してみる際に、ぜひ参考にしてみてください。
刃がつぶれていて表面がギザギザしていない
まずは、包丁でモノが切れる原理から確認していきましょう。
モノは、分子の結合から成り立っていますよね。モノが切れるのは、食材などの分子の結合を破壊して分離させているからです。包丁を引いた時、刃が当たっている部分は摩擦熱によって分子が破壊されやすくなっています。
このように包丁が切れやすい状態であるためには、包丁の刃の表面がギザギザしていることが不可欠です。切れ味が悪い包丁は、使っているうちに刃先が摩耗して表面のギザギザがなくなり、刃がつぶれている状態になっています。
包丁を研ぐと切れ味が良くなるのは、表面のギザギザが復活するためです。
刃の断面が丸くなってしまっている
購入したばかりの包丁の切れ味がいいのは、刃先が尖っているから。どんなに高価な包丁でも、使っているうちに刃先がどんどん摩耗して丸くなってしまいます。刃の断面が丸くなってしまっていると、食材に刃を当てた時に滑ってしまい、悪い切れ味の原因に。
一般的に、安い包丁に比べて高価な包丁は丈夫な素材でできているため、刃先が鋭い状態が長持ちします。ただ、硬い素材の包丁であっても摩耗は起こってしまうため、どんな包丁でも定期的に研がなければ切れ味の良い状態はキープできません。
簡単に包丁の切れ味を確認する方法
包丁の刃の断面は、肉眼ではなかなか見えづらいもの。実は、包丁の切れ味はご家庭にあるもので簡単に確認することができるんです。
包丁の切れ味が悪くなったかな?と思ったら、次にご紹介する方法で確認してみましょう。切れ味が悪くなっている場合は、包丁をお手入れするタイミングです。
割りばしに刃を当てて引いてみる
<用意するもの>
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包丁の切れ味の確認方法の中でも、手軽にできておすすめなのが割り箸を使ったやり方です。方法はいたってシンプル。切れ味を確認したい包丁を持ち、割り箸に刃先を当てて引いてみるだけです。
割り箸に刃が引っかかる感覚があれば、目には見えないキズや凹みが刃先にできている証拠。刃先が凸凹になっていることで、包丁の切れ味が悪くなっています。
トマトの端がキレイに切れるか確かめる
<用意するもの>
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トマトを使った確認方法なら、調理のついでに切れ味をチェックすることができます。
まず、まな板にトマトを置いて、包丁をトマトの端に当てて切ります。この時、あまり力を入れなくてもスッと包丁が入ればよく切れる状態です。
反対に、トマトの皮で引っかかる感覚があったり、キレイに切れずに断面が潰れてしまう場合は、刃先が摩耗しています。
爪に刃を立てて引っかかるかどうか見る
<用意するもの>
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親指の爪に軽く刃を立てて、引っかかれば切れる包丁です。滑ってしまうようであれば、刃が摩耗していて切れ味が悪い状態です。
この確認方法のメリットは、包丁さえあればすぐに切れ味のチェックができること。
プロの料理人の方も実践しているテクニックですが、慣れていない場合は手が滑ってケガをする可能性があるので注意しましょう。また、爪に傷をつけてしまう場合もあるので、心配な方は割り箸やトマトを使った確認方法の方がベターです。
切れ味を長持ちさせる方法
包丁の切れ味が悪くなった場合は、包丁を研ぐことで切れ味は復活します。切れ味が復活したら、なるべく良い状態をキープしたいですよね。
ここでは、包丁の切れ味を長持ちさせる方法をご紹介します。包丁の研ぎ方を工夫したり、日頃の使い方に気をつけたりするだけで、包丁のお手入れ頻度を減らすことができますよ。
研ぎ角度を鈍角にして研ぐ
包丁の研ぎ方にも、切れ味を長持ちさせる秘訣があります。それは、包丁を研ぐ際に、鈍角になるようにして研ぐこと。鈍角に研ぐと切れ味はやや悪くなってしまいますが、その分切れ味をキープすることができます。
鋭角の方が切れ味が良くなりますが、鋭角にしすぎると包丁が欠けやすくなってしまうので注意しましょう。
プラスチックのまな板を使わない
包丁の刃が丸くなる理由は、食材を切ることよりも、切った後にまな板にぶつかった時の衝撃によるものが大きいと言われています。
プラスチックのまな板は扱いやすい反面、素材が硬いため包丁で食材を切るたびに刃先が摩耗してしまいます。包丁の摩耗が気になる場合は、木製のまな板に変えてみましょう。木製の中でも、イチョウやヒノキがおすすめです。
刃当たりが柔らかいので、プラスチックに比べて格段に包丁の切れ味が長持ちしますよ。
刃先を切ること以外に使わない
料理中についついやってしまいがちなのが、切った食材を移動させたり集めたりする時に、包丁の刃先を使ってしまうこと。
まな板によって刃先が傷ついてしまうので、切ること以外には使わないのがベターです。切った食材を移動させる際は、包丁の刃先ではなく背の部分を使いましょう。
手軽に切れ味を復活させる方法
包丁を研げば切れ味は復活しますが、「研ぎ石は持っていないけど今すぐ包丁の切れ味を復活させたい」という場合もありますよね。
ここでは、家にある物で手軽に包丁の切れ味を復活させる方法をご紹介します。あくまで簡易的な方法なので、研ぎ石がご家庭にある場合は研ぎ石を使って研ぐようにしましょう。
黒インクで印刷された新聞紙で研ぐ
<用意するもの>
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<手順>
1.黒インクで印刷された新聞紙を用意する 2.包丁の刃先で新聞紙をなでるようにゆっくり往復させる 3.反対側の刃先も同様に往復させる 4.包丁をよくすすぐ |
黒インクには研磨剤のような炭酸成分が入っているので、包丁の切れ味を良くすることができます。また、新聞紙の繊維が刃先についている不純物を取り除いて、切れ味を滑らかにする効果もあります。
茶碗の裏で研ぐ
<用意するもの>
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<手順>
1.茶碗をひっくり返して置く 2.茶碗の裏に包丁を当てる 3.根本から刃先に向かって手前に引いて包丁を研ぐ。 4.反対側も同じように研ぐ 5.包丁をすすぐ |
茶碗の裏は素焼きになっているので砥石に似ており、包丁の切れ味を復活させることができます。ただ、素材が粗いので研ぎ石を使った場合に比べて粗い仕上がりになります。
また、研ぐ角度によっても仕上がりは左右されるので、少し難易度が高いと言えるでしょう。
アルミホイルを切る
<用意するもの>
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<手順>
1.アルミホイルを2つに折ってまな板に乗せる 2.折ったアルミホイルを包丁で切る |
アルミホイルを切ると摩擦が起き、その熱でアルミホイルは溶けます。溶けたアルミホイルの成分が包丁にくっつくため、切れ味が復活します。
簡易研ぎ器を使う
簡易研ぎ器は「シャープナー」とも呼ばれていて、その名の通り簡易的に包丁を研ぐことができるすぐれものです。シャープナーに包丁を差し込んで手前に引くだけで包丁を研ぐことができるので、包丁研ぎに慣れていない方でも簡単に使うことができます。
研ぎ石に比べて本格的に研ぐことはできませんが、ある程度は切れ味が復活します。
ただ、切れ味が良くなってもあまり長続きしないので、あくまで応急処置として使うようにしましょう。
包丁の切れ味は食材の鮮度と味を左右する
包丁の切れ味が良いと、食材を切った時に見た目がきれいになりますが、実はそれだけではありません。包丁の切れ味は、食材の鮮度や味も左右させてしまうんです。
ここでは、包丁の切れ味がどのように食材を変化させるのかをご紹介します。
食材のうま味と鮮度は包丁の切れ味で変化
食材の中でもトマト、ピーマン、刺身は包丁の切れ味により大きく味・鮮度が変わります。
野菜なら、包丁の切れ味が悪いと繊維を破壊してしまうので、水分が出ていってしまいます。水分が出ていくことで、トマトは甘味と旨味が減少し、ピーマンは苦味と酸味が増していきます。
また、刺身で代表的なマグロは、筋がうまく切れないことで、旨味が落ちて苦味が増えてしまいます。
見た目だけでなく味覚にもこれだけ影響を与えるなら、包丁は常に切れ味が良い状態をキープしたいですね。
日本一の切れ味を持つ包丁
切れ味にこだわるならこまめなお手入れも大事ですが、どの包丁を使うかということも重要です。包丁の素材には様々な種類があり、素材によって切れ味やお手入れ頻度は異なります。
ここでは、日本一切れ味がいいと言われている「青紙スーパー」を使った包丁について解説します。
青紙スーパーを使った包丁
青紙スーパーとは日立金属で製造されている鋼の1種です。
鋼の種類は「白紙」「黄紙」「青紙」の3つに分けられます。3つの中でも特に切れ味が良いのが「青紙」ですが、その中でも最も硬度が高いのが「青紙スーパー」です。
鋼は硬いほど切れ味が良くなるため、青紙スーパーの包丁は日本一切れ味が良い最強の包丁と言われています。
切れ味が良い一方で、一般の包丁に比べて硬いため研ぎにくいのが難点です。包丁研ぎに慣れていない方は、少しハードルが高いかもしれません。
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