この記事を執筆した人
横川楓(ミレニアル世代のお金の専門家)
1990年生まれ。お金の教育を幼少期から受け、明治大学卒、同大学院を経て、経営学修士(MBA)、ファイナンシャルプランナー(AFP)などを取得し、現在は唯一のミレニアル世代のお金の専門家/経済評論家として「お金のことを誰よりも等身大の目線でわかりやすく」をモットーに活動を行う。著書に『ミレニアル世代のお金のリアル』(フォレスト出版)がある。
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20代や30代だと、相続って身近な出来事に感じないという人も多いのではないでしょうか。親だってまだ元気だし、ドラマで見るようないわゆる“相続”のシーンって必ずもめている話はあまりいい印象じゃないですよね。でも実は、親にお金や資産を残してもらうにあたり、相続というのは私たち自身に全く関係がない話ではないのです。相続というと親がいなくなった後に考えなければならないことというイメージですが、そのように相続のタイミングがくるまで何もしないよりも、親が元気なうちに資産を受け継ぐ“生前贈与”を検討したほうがいい場合も。今回はそんな“相続”と“生前贈与”についてお話ししていきたいと思います。
相続って?
まず相続とはなにか簡潔にいうと、人が亡くなったときにその人が持っていた財産を引き継ぐことです。相続の手続きをする際には、亡くなった人を被相続人、そしてその亡くなった人の財産を相続する人のことを相続人といいます。相続する財産は、さまざま。現金や貯金などのお金はもちろん、株や投資信託などの投資していたもの、車や家、貴金属などです。また、このようなプラスの財産だけではなく、借金などマイナスの財産も相続する財産に含まれるということも覚えておきましょう。
そして、相続人というのは誰でもなれるものではありません。まず配偶者や子ども、親や兄弟姉妹など、身内の人たちが民法で法定相続人として定められていて、基本的に法定相続人は民法で決められた順位によって財産の相続をしていくことになります。
しかし、遺言書がある場合は別です。よくドラマや映画では遺言書に家族以外の人に相続をさせると書かれてあって揉めるといったようなシーンもありますが、遺言書がある場合、原則遺言書の通り相続をすることになり、法定相続人として決められている順位は関係ありません。遺言書がある場合は遺言書の通り、遺言書が一部の資産にしか触れられていないのであればそれ以外の資産は法定相続人の順位で、遺言書がない場合や有効ではない遺言書の場合は法定相続人の順位に沿って相続をしていくことになります。
生前贈与とは?
相続は遺言がない限り、基本的には残された家族で資産をどうするかということについて向き合わなければなりませんが、財産を残す側の人と財産について一緒に考えながら財産を引き継ぐことができるのが、生前贈与です。生前贈与とは、その名のとおり生きている間に子どもや孫に相続のときに引き継ぐであろう財産を渡すことを言います。
生前贈与をしていくメリットについてはこのあと詳しくお話していきますが、親や祖父母の資産を受け継ぐにあたり、税金のことを考えると早めに生前贈与として財産をどう移していくか考えていくことに意味があるんです。
相続まで待たずに生前贈与をするメリット
生前贈与のメリットとしては、なんといっても税金です。まず前提として、相続の場合は実際に相続をすることになったとき財産を受け取った相続人は相続税を支払うことになりますが、生前に財産を渡す生前贈与は、相続ではないので贈与税の対象です。財産をもらった側が、もらった財産について贈与税を支払わなければなりません。
そこでまずチェックしたいのが、贈与税の暦年贈与という仕組み。受け取った財産の合計がその年の1月1日から12月31日までの1年間で110万円を超えた場合、贈与税を支払うことになっています。つまり、110万円を超えない金額の贈与であれば、贈与税がかからないということ。この暦年贈与は子供や孫だけではなく誰にたいしても有効で、110万円までというのは毎年のことです。たとえば自分が孫の立場でおじいちゃんから50万円、おばあちゃんから50万円の計100万円を毎年もらうことになっている場合、自分がその年にもらった財産は計100万円なので、贈与税はかかりません。税金がかからない範囲で贈与していく場合、ちょっと金額が少ないと思う人もいるかもしれませんが、まとめてどかんと大きな金額を渡すと贈与税がかかってしまうところ、暦年贈与は何年もかけて子供や孫などの若い世代に財産を渡していくことで税金面でのメリットもあるというイメージと思っておくといいでしょう。
次に知っておいてほしいのが、相続時精算課税制度。60歳以上の祖父母または父母から20歳以上の孫や子どもに対してであれば、最大2500万円まで生きているあいだにいくら財産を渡しても贈与税がかからないという制度。文字の通り、生前は贈与税がかかりませんが相続時に税金を精算してくださいねという仕組みになっていて、実際に相続をすることになったときには相続時精算課税制度の範囲で受け取った財産についても税金を支払わなければならないのです。そう聞くとお得じゃないように感じますが、税金面のメリットとしては、相続のタイミングで贈与されたときよりも値上がりしているような財産でも贈与時の価格で計算されるので、その分の税負担を軽くすることができるという点です。大きな金額かつ将来値上がりする可能性が高い財産は相続時精算課税制度を使った方がメリットがあるかもしれません。具体的な計算とどういった方法をとった方が税負担が軽くなるかは、税理士に相談してみてくださいね。
生前贈与のデメリットと注意点
まず暦年贈与ですが、贈与された金額が110万円を超えた場合、もちろん贈与税がかかります。しかし、祖父母や父母から20歳以上の孫や子どもへの贈与は、全くの他人への贈与よりも税率が低くなっています。110万円を超す金額の贈与があった場合には確定申告をする必要もあります。年齢と続柄、そして確定申告と財産に対しての納税が必要になることに注意しましょう。
また、贈与をしてくれる人が亡くなる日以前の3年間にもらった財産は、相続財産となる決まりがあります。税金がかからない110万円以内で贈与していたとしても3年以内のものは相続税の対象となってしまうため、税金面の恩恵を受けつつ暦年贈与の仕組みを使っての生前贈与を考えているのであれば、早めに財産を渡し始めることが重要です。
次に相続時精算課税制度の注意点ですが、相続時精算課税制度で贈与を受けた人は、翌年3月15日までに書類を提出する必要があり、一つの間柄では暦年贈与と相続時精算課税制度のどちらか一つしか適用されないというのがポイント。つまり、今年は祖母から相続時精算課税制度でまとまったお金をもらって、来年からは暦年贈与で少しずつもらっていくということはできません。また、暦年贈与と異なり、確定申告も必要となります。2500万円を超えるまでは何回でも贈与をすることができますが、2500万円を超えた場合、一律20%で課税となるので注意が必要です。
子どもや孫の立場から税金面での恩恵を受けつつ財産を受け取る方法は、ほかにも一人につき最大1000万円までの結婚・子育てのための費用が非課税となる「父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度」や、一人につき最大1500万円までの教育費のための贈与が非課税となる「教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度」があります。しかし、これらは令和2年7月現在では令和3年3月末までが対象となっており、期限が伸びない限りはもうあまり時間がありません。すぐに検討できるなら検討をして、難しそうであればまずは暦年贈与と相続時精算課税制度についてチェックすることからはじめてみてください。
財産をその人がいなくなった後にどうするかというのはなかなか話題にだしづらい話ではありますが、親も祖父母も子供や孫にお金を残すのに、自分がいなくなってからではなく、子供や孫が損をしない方法を一緒に考えたいはず。まずは受け取る立場である自分自身が制度や仕組みをきちんと理解し、もめ事や税金だけでなくよりたくさん資産を残せるような受け取り方ができるように、しっかり話し合って自分たちにあった方法を選びましょう。
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