ホームインスペクションは実施してもしなくても、後悔する可能性があります。どのような事例があるのかを知って、実行すべきかどうか検討することがおすすめです。後悔しないための業者選びのポイントも、併せて紹介します。
ホームインスペクション実施後に後悔した事例
ホームインスペクションを実施すれば、購入を考えている物件の欠陥が事前に分かって安心です。しかしホームインスペクションを受けて、後悔することもあります。どのような事例があるのかを解説します。
欠陥を報告されなかった
ホームインスペクションを実施しても、必ず全ての欠陥が報告されるとは限りません。悪質な業者に依頼してしまった場合、ありのままの状態を報告してもらえず、後悔するケースがあります。
住宅を販売するハウスメーカーや施工会社などが紹介する業者の中には、販売する側にとって不利益にならないように、建物の欠陥を見つけても、見なかったふりをする業者もいます。
作業は基本的に業者任せになるため、「配管の不具合」や「漏水」などの事実があっても報告されなければ分かりません。見えない場所で行われる作業は、虚偽の報告がしやすい点にも注意しましょう。
欠陥を見落とされていた
ホームインスペクションの業者は、基本的に目視で作業をします。建物の内部にある断熱材や、壁を剥がさないと調査できない設備の隅々までを点検するわけではありません。
経験の浅い作業員だと、小さな欠陥を見落としてしまうこともあります。小さな欠陥を見逃すと、後から大きな問題に発展することは珍しくありません。例えばシロアリの被害を見逃してしまうと、重要な柱を食われて、建物の強度が下がる原因になります。
床下や天井裏などの調査は「オプション料金」を支払わなければならないケースがあります。オプションを付けなかったために欠陥を見落としてしまい、後悔することもあるでしょう。
売主の心証を害してしまった
売主がホームインスペクションを嫌がるケースは珍しくありません。売主の心証を害した結果、関係の悪化が起きて後悔することもあります。
買う側からしてみれば、状態に応じた価格で買いたいと思うのは当然のことですが、売主の立場になってみると、大切にしてきた家の欠点を指摘されるのは、よい気分がしません。
建物の状態がどうだったとしても、売るか売らないかを決めるのは売主です。建物を売り急いでいない場合、「粗探しをして、少しでも安く買い叩くつもりだろう」という感情が湧いてしまい、売買に前向きになれなくなるケースがあります。
費用をもったいなく感じる
ホームインスペクションは実行した結果に関係なく、一定の料金がかかります。診断により修繕箇所が多く見つかって購入を断念したケースでは、「家を購入しなかったのに、無駄な費用がかかった」と後悔することがあります。
反対に何も問題がなく良好な状態だった場合でも、「どこも悪い部分はなかったのに、無駄なことをした」と感じる人もいるでしょう。
事前に調査したおかげで適切な判断に役立ったと思えば、費用をもったいないとは感じないはずですが、価値観は人それぞれです。後悔するかどうかは、その人の考え方次第という部分がある点にも注意しましょう。
ホームインスペクションを実施せずに後悔した事例
ホームインスペクションを実施せずに後悔することもあります。どのような事例があるのか、見ていきましょう。
報告されていない欠陥があった
売主を信じてホームインスペクションを実施せずに、後悔することがあります。例えば「重大な欠点は何もない」と報告され、信じて購入したのに、いざ住んでみたら欠陥だらけだったというケースです。
売主が少しでも高く売るために、建物の状態について把握していながら、実際とは違った評価をすることもあれば、気付いていない不具合があったという可能性もあります。
売主側がホームインスペクションをしていても、精密な検査をしているとは限りません。簡易的な検査だった場合、欠陥を見逃してしまう可能性もあるでしょう。
補修範囲が多く予算オーバーに
中古住宅の場合、見た目がきれいでも、配管など見えない部分に劣化が起きているケースがあります。外壁の塗り直しや劣化した壁紙の張替えなど、多少の補修は計算に入れて購入するものです。
しかし事前に報告を受けていた状態よりも、大幅に劣化している場合だと、予算オーバーになって後悔することがあります。
事前にリフォーム費用まで含めて借入を行っていたとしても、予期せぬ修繕が多すぎれば、準備していた費用では足りず、家計を圧迫する状態になります。
物件がなかなか売れないと売主も後悔する
ホームインスペクションは買主だけでなく、売主にとってもメリットがある方法です。売主としては早く物件が売れないと、維持費がかさみがちです。
ホームインスペクションを実施しないと、買主から「何か欠陥があるのではないか」と思われ、なかなか売買契約に結び付かない場合があります。きちんと実施すれば売主と買主の間のトラブルが起こる心配が減り、買主が安心感を抱きやすい点も魅力です。
納得のいくホームインスペクションを実施するためのポイント
費用をかけてホームインスペクションをするのであれば、できる限り後悔したくないものです。後悔しないために、注意したいポイントを紹介します。
第三者機関に依頼する
業者を選ぶ際は「第三者性を保っている業者かどうか」に注意しましょう。ホームインスペクションを実施する業者と売主が利害関係にあると、不正が起きやすくなります。例えば不動産会社から紹介された業者による診断は、売主にとって有利な診断結果になりがちです。
またリフォーム業者から紹介された業者だと、リフォームありきの診断結果を報告してくる傾向があります。買主にとって不都合がない状態にするには、第三者機関に依頼しましょう。
実力が確かな業者に依頼する
ホームインスペクションの経験が浅い業者に依頼すると、間違った診断結果が出てしまう可能性があります。依頼しようとしている業者の実績や、保有資格などをきちんと調べた上で選びましょう。
「これまでどのような事例を扱ってきたのか」「どのような診断士が在籍しているのか」などを把握することが重要です。料金の説明が不明瞭だったり、質問への回答が不十分だったりする業者は避けましょう。
複数の業者を比較検討すると、おおよその相場と適切な料金設定を行っているかが分かります。ミツモアではいくつかの質問に答えるだけで、簡単に相見積もりが取れるので、ぜひ利用してみてください。
実施前に診断の対象範囲を確認する
ホームインスペクションの対象範囲はさまざまです。1室のみを対象にしている場合もあれば、廊下や水周りを含む全室を対象にしている場合もあります。「床下や屋根裏などが範囲に含まれているか」「別料金が必要かどうか」をチェックするようにしましょう。
室内だけではなく、外構や地盤などに問題がないかを調査してくれる業者もあります。過去に地震や土砂崩れなどの災害が起きた場所にある建物の場合、念入りに調査した方が安心です。
あらかじめ売主の許可を取る
ホームインスペクションを実施する前に、売主や不動産会社の許可を得ましょう。勝手に診断を行うと信頼関係にひびが入り、取引をしてもらえなくなる可能性が高まります。
物件を買う意思を伝えるための「買付証明書」を提示するタイミングで、ホームインスペクションの許可を取ることが一般的です。
ホームインスペクションを実施するまでの間は、ほかの購入希望者との取引を待ってもらうようにお願いすることも、忘れないようにしましょう。
適切なホームインスペクションで安心感を得よう
住宅の売買をする際、適切なホームインスペクションを行うことで安心感を得られます。ホームインスペクションを受けずに後悔するケース以外にも、実施して後悔する事例もあると知っておくと、受けるべきかどうか検討しやすくなります。
欠陥の有無を調査するだけでなく、リフォームが必要な時期のアドバイスを受けられるので、必要な時期までに費用をためておける点もメリットです。後悔しないためには、第三者性を保てる業者に依頼しましょう。