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ホームインスペクションは必要ない?重要性や調査すべきケースを解説

最終更新日: 2024年06月28日

中古物件の購入を検討しているなら、ホームインスペクションについて理解しておくことが大切です。メリット・デメリットや行うべきシーンを把握すれば、実施の判断をしやすくなるでしょう。ホームインスペクションの重要性や、調査すべきケースを解説します。

ホームインスペクションを行うメリット

ホームインスペクションは売主と買主のどちらでも行うことが可能です。まずはホームインスペクションのメリットについて、売主・買主の視点から確認しておきましょう。

【売主】物件が売れやすくなる

売主がホームインスペクションを実施すれば、物件が売れやすくなります。住宅のプロによる点検が済んでいる物件は、買主が中古住宅を買う際の安心材料になるためです。

ホームインスペクションを行った物件は信頼性が高くなり、買主が早く見つかる可能性が高くなります。申し込み後も売買契約まで、スムーズに手続きが進むでしょう。

【売主】売却後のトラブル予防になる

ホームインスペクションを実施していない物件は、売却前に欠陥を発見しにくい状態です。売却後に欠陥が見つかった場合、買主とのトラブルに発展する恐れもあります。

ホームインスペクションを行っておけば、プロの客観的な診断により欠陥が明らかになっているため、売却後のトラブル予防につながります。売主と買主の双方が住宅の状態を把握した上で、安心して取引を進められるのです。

【買主】安心して物件を購入できる

買主にとってのホームインスペクションのメリットは、安心して物件を購入できることです。物件の状態を正しく把握した上で、納得感を持って取引を進めることが可能です。

欠陥の種類によっては、保険による補償を受けられるケースもありますが、全ての欠陥が対象となるわけではありません。ホームインスペクションを実施しておけば、網羅的な検査が行われるため、保険の範囲外の欠陥についても把握できます。

【買主】購入後の費用を予測できる

ホームインスペクションを実施すれば物件の状態を正確に把握できるため、物件購入後にかかる維持費を予測できます。修繕が必要な場所が分かり、リフォームの計画を立てられるのもメリットです。

ホームインスペクション未実施の物件は、購入後の維持費を予測するのが困難です。費用が全く分からない物件と異なり、ホームインスペクション実施済みの物件なら、より具体的なイメージを持って購入を検討できます。

ホームインスペクションを行うデメリット

ホームインスペクションにはメリットだけではなくデメリットもあります。具体的にどのようなデメリットがあるのかを理解し、実施を検討する際の参考にしましょう。

ホームインスペクションの実施には費用がかかる

ホームインスペクションを実施する大きなデメリットの1つに、費用がかかることが挙げられます。一戸建ての場合は5万~7万円、マンションなら4~6万円が相場の目安です

これらの金額はあくまでも基本的な検査の場合であり、より詳細な検査を求めると、費用はさらに高くなります。特に問題がなかった場合、ホームインスペクションにかけたお金がもったいないと感じることもあるでしょう。

不動産会社が物件を所有しているケースでは、ホームインスペクションの費用が無料になることもあります。ただし不動産会社が費用を負担する場合、ホームインスペクションの依頼先を選べない点に、注意が必要です。

全ての欠陥を見つけられるとは限らない

ホームインスペクションは基本的に目視検査です。目で見える範囲を点検する非破壊検査であるため、全ての欠陥を見つけられるとは限りません

例えば建材の中を見なければ分からない断熱材や配筋については、目視での検査は不可能です。普段は見えないところまで検査したい場合、専門器具が必要になるため費用が高くなってしまいます。

業者によって検査の範囲や精度が違うこともポイントです。ホームインスペクションを実施しておけば、物件の品質について、完全に安心できるわけではないことを覚えておきましょう。

修繕不可能な欠陥が見つかる可能性がある

ホームインスペクションを実施することで、修繕不可能な欠陥が見つかることもあります。修繕できない欠陥がある物件は、買主がなかなか見つからないでしょう。

売却後のトラブルを回避できたと考えれば、欠陥を見つけられることはメリットともいえます。しかし売却ありきで考えていた場合は、大きなデメリットにもなるでしょう。

見つかった欠陥が修繕可能な状態であっても、修繕費が発生します。修繕しない場合も、値引きに応じなければならない可能性があります。売主は欠陥が見つかるリスクを覚悟して、ホームインスペクションを実施しなければなりません。

ホームインスペクションをしたほうが良いケース

「ホームインスペクションは必要ないのではないか」と悩む場合は、行うべきケースと不要なケースがあることを理解しましょう。まずは、行うべきケースについて解説します。

基本は行うと考えるべき

ホームインスペクションは第三者が客観的な立場で行う住宅の検査です。売買契約当事者の利害に関係なく、建物のさまざまな欠陥を広い範囲で把握できます。

売主と買主の双方にさまざまなメリットがあるため、基本的にはホームインスペクションを行った方が良いと考えるのが賢明です

ホームインスペクションは、中古住宅の売買取引中に起こるトラブル回避を主な目的として行われます。大きなお金が動く物件売買において、ホームインスペクションの費用で安心を買えると考えましょう。

ホームインスペクションが不要なケース

ホームインスペクションの実施を迷う場合、基本的には実施する方向で考えるのがおすすめです。ただし状況によっては、ホームインスペクションが不要なケースもあります。

建築から時間がたっていない物件

建築後2~3年程度しかたっていない物件の場合、不具合が起こっている可能性が少ないため、ホームインスペクションを行う必要はないでしょう

建築時にあらかじめ厳密な調査を行っているケースでも、不具合がすぐに発生することは考えにくく、ホームインスペクションは不要と判断できます。

ホームインスペクションの実施を検討する際は、物件が築浅かどうかや建築時の調査の有無を調べ、欠陥発生の可能性があるかを慎重に判断しましょう。

いち早く物件を購入したい場合

ホームインスペクションを行うと時間がかかるため、他の購入希望者に先を越されてしまう恐れがあります。できるだけ早く物件を購入したい場合は、ホームインスペクションの先送りも検討しましょう

買主がホームインスペクションを行うべき最適なタイミングは、物件の売買契約前です。買付の申し込みさえ済ませておけば、基本的には他の購入希望者が買ってしまう心配はありません。

契約前のホームインスペクション実施が不安な場合は、売買契約から引き渡しまでの間に行うのも有効です。引き渡し前に重大な不具合が見つかった場合、解約と手付金の返金請求を行えます。

購入後に取り壊しを検討している

物件購入後に建物を取り壊す予定なら、ホームインスペクションを行う必要はありません。ホームインスペクションはあくまでも、建物の状態を調べる検査であるためです。

例えば土地のみが欲しいケースでは、早い段階で建物を取り壊すことになるでしょう。この場合のホームインスペクションは不要です。

不動産業者がホームインスペクションを嫌がる理由

中古物件を扱う不動産業者は、ホームインスペクションを行うのを嫌がる傾向があります。なぜ不動産業者がホームインスペクションを嫌がるのか、主な理由を見ていきましょう。

購入が流れてしまう可能性がある

不動産会社は物件を購入してもらうことを、最大の目的としています。欠陥が見つかってしまう可能性のあるホームインスペクションは、不動産会社が嫌がることもあります。

中古物件の購入に乗り気だった購入希望者がいても、ホームインスペクションで物件に欠陥が見つかった場合、購入が流れてしまうことが考えられるためです

契約を優先する不動産業者から中古物件を購入する場合、ホームインスペクションを希望しても、契約後の実施を勧められる可能性があるでしょう。

他の買主に買われてしまうリスクがある

1つの中古物件を、必ず1社の不動産業者のみが取り扱っているわけではありません。物件の露出を増やすために、売主が複数の業者へ売り出しを依頼しているケースもあります。

このような状況で該当の物件を検査することになった場合、注意が必要です。ホームインスペクションを行っている間に、他の不動産業者を通して、他の買主に買われてしまうことが考えられるためです

自社で取り扱っている物件が他社を通して買われた場合、自社の実績にはカウントされません。このような事情から、不動産業者がホームインスペクションを嫌がることもあります。

単純に業者の手配と修繕が面倒

不動産業者を通してホームインスペクションを行う場合、ホームインスペクション業者の手配で時間がかかります。実施されるまでの手続きを、面倒に感じることもあるでしょう。

実際に欠陥が見つかると修繕や値引きの可能性があることから、ホームインスペクションを避けたいという心理が働くケースもあります。

売値が値引きされた場合は、不動産業者の売上にも影響を与えかねません。欠陥が見つかることによるデメリットが大きくなる恐れがあるため、不動産業者はホームインスペクションを嫌がります

不動産会社にホームインスペクションを拒否された場合の対処法

ホームインスペクションを実施したくても、不動産会社に拒否された場合、まずは辛抱強く説得してみましょう。どうしてもやりたいという熱意を伝えることが大切です。

それでも不動産会社が嫌がっているのなら、その不動産業者は諦めて新しい不動産会社を利用しましょう。この場合は物件も諦めざるを得ない可能性が高い点に、注意が必要です。

欲しい物件をその不動産会社しか扱っていない場合は、引き渡し後にホームインスペクションを行う方法もあります。既に物件を購入済みであるため、不動産会社から何か言われることもないでしょう。

ホームインスペクションに必要な費用

ホームインスペクションの実施を検討しているなら、費用相場も把握しておきましょう。一戸建てとマンションの費用相場と、ホームインスペクション費用の内訳について解説します。

一戸建ての場合

一戸建てのホームインスペクションを、基本の調査項目のみ行う場合、5万~7万円程度が目安です。調査範囲を広げたい場合は専門性の高い項目が増えるため、費用がさらに高くなります。

目視で判断できない検査を実施する場合や、屋根裏・床下に入って調査を行う場合は、総額が10万円を超えるケースもあるでしょう。一戸建てはマンションと異なり、屋根裏や床下などの詳細な検査を希望する場合は費用が高くなる点に注意が必要です。

マンションの場合

マンションのホームインスペクションの費用相場は、一般的には4万~6万円程度です。屋根裏や床下の検査ができないケースが多いため、一戸建てより安価になる傾向があります。

ただしマンションの場合も、詳細な検査を希望するなら費用は高くなります。基本調査の範囲は業者により異なるため、あらかじめ調査範囲を確認しておくのがおすすめです。

一戸建ての場合は面積で金額が変わるケースが多くなりますが、マンションの場合は面積で金額に差を設けているケースは、それほど多くありません。

費用内訳について

ホームインスペクション費用の一般的な内訳は以下の通りです

  • 人件費:住宅診断士や住宅検査員にかかる費用
  • 出張費:調査現場までの移動に必要な交通費
  • 事務経費:ホームインスペクション業者の事務員の人件費
  • 報告書作成費:調査結果をまとめた報告書の作成費用
  • 広告宣伝費:ホームインスペクション業者の広告や宣伝にかかる費用
  • 調査機器の損料:詳細な検査で使う専用器具のメンテナンス費

出張費の他に駐車場代がかかることもあります。オプションで専用器具による検査をつける場合は、使用料も必要です。

適切な物件購入はホームインスペクションから

ホームインスペクションを行うと、買主・売主の双方にとってメリットがあります。基本的には中古物件を買う際に実施するものと考えるべきです

ただし築浅物件を購入する場合や、できるだけ早く物件を購入したい場合は、ホームインスペクションを行う必要はないでしょう。購入後に建物を取り壊す予定の場合も、実施は不要です。

検査が必要な物件かどうかをしっかりと見極め、不要なケースでない場合は安心して取引を進めるために、ホームインスペクションを活用しましょう。

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