ビジネスを行う上で古物商許可が必要になることもあります。その場合には、申請手続きを行わなければなりません。その際に費用が気になるでしょう。自分で行うか行政書士に依頼するか迷う人も多いかもしれません。
本記事では、古物商の許可申請でかかる費用について解説していきます。
古物商とは
古物商と聞いて、古い物品の売買に携わるビジネス全般をイメージする人も多いのではないでしょうか。
しかし古物商の定義は古物営業法で決められており、単に古いものを扱っているだけでは古物商に該当しないケースもあります。
古物商とはどのような営業形態を指すのか、詳しくみていきましょう。
古物13品目にあたる物品を売買する仕事
古物商とはその名のとおり、古物の売買によって利益を得るビジネスです。古物商が扱う物品は以下の13品目に分類されており、許可証の申請時に該当の品目を選択することになっています。
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また古物営業法では、上記のうち次の3点に該当する物品を「古物」としています。
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読み終わった本や中古車などは、「一度使用した物品」です。袖を通していない洋服や未開封のゲームソフトなどは「使用されない物品で、使用のために取引されたもの」に該当します。
「幾分手入れ」とは、時計のベルト交換のような、本来の使用目的が変わらない程度の修理や加工のことです。廃車や古新聞などの全く違うものに生まれ変わる物品は古物ではなく、廃品に分類されます。
都道府県公安委員会の許可が必要
古物商を営むためには都道府県の公安委員会が発行する、古物商許可証が欠かせません。許可証の申請は、営業所のある地域を管轄している警察署を通して行います。
なお一度許可証を交付された人は、ほかの都道府県で営業するときに、新たに申請する必要はありません。
リサイクルショップのチェーン展開を目指している人も、最初に出店する地域で許可証を交付してもらっていれば、後は所定の届け出をするだけで店を出せるようになります。
無許可の営業は罰則の対象になることも
古物を売買するために、なぜ公安委員会の許可が必要なのでしょうか。古物は新品と異なり流通ルートがはっきりしないため、盗品が紛れ込む可能性があります。
誰がどこで古物商を営んでいるのか分からない状態では、盗品が堂々と売られるようになり、窃盗事件の摘発が困難になります。このため法律を制定して、警察がいつでも古物の流通経路を把握できるようにしているのです。
無許可での営業は古物営業法違反に当たるため、発覚すると罰則の対象になります。知らなかったではすまされないので、きちんと申請して許可証をもらってから営業しましょう。
古物商許可証が必要なビジネス例
古物商許可証が必要なビジネスは、古物の売買だけではありません。古物取引の場を提供する場合も、許可証が必要です。
古物営業法では、古物にかかわる営業形態を1号・2号・3号の3種類にわけて定めています。それぞれについて、具体例を交えながら解説します。
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リサイクルショップや金券ショップ運営
リサイクルショップや金券ショップ運営のような、古物の仕入れ・販売を行う営業形態を「1号営業」といいます。一般的に「古物商」といえば、1号営業を指すと考えてよいでしょう。
物品の主な仕入れ先は、古物市場・個人・在庫を抱えたメーカーや小売業者・オークションサイトなどです。基本的には仕入れ価格と販売価格の差額が、古物商の利益となります。
古物の売買や交換をする市場の運営
「古物市場」を運営するビジネスは、「2号営業」に分類されます。古物市場とは、1号営業の許可を得た古物商が集まり、お互いの古物の売買や交換を行う場です。
古物商に取引の場所を提供すると同時に、取引が円滑に行われるよう管理するのが運営主の仕事です。自身は古物の売買にはかかわらず、参加する古物商から入場料や取引金額に応じた手数料を徴収して利益を得ます。
オークションサイトの運営
インターネット上で、古物のオークションサイトを運営する場合は「3号営業」となります。3号営業はあくまでも「古物競りあっせん業者」であり、自分が古物を出品・落札するわけではありません。
2号営業と同様にオークションの場を提供し取引を管理するもので、収入源は主にオークションの参加者から受け取る手数料です。
許可証の申請先は、営業の本拠地がある都道府県公安委員会です。自宅のパソコンを使ってサイトを運営する場合は、居住地を管轄する警察署で申請します。
古物商の申請にかかる費用は2万円程度
古物商の申請を行う際には、自分で行う場合でも合計で2万円程度の費用がかかります。では、費用の内訳について詳しく見ていきましょう。
公的書類の取得代
古物商の申請をするにあたって公的書類が必要になります。具体的な書類と金額は以下の表のとおりです。
書類名 | 金額 |
住民票 | 300円 |
身分証明書 | 300円 |
登記事項証明書 | 600円 |
定額小為替発行手数料 | 400円 |
郵送切手代 | 328円 |
郵送封筒代 | 100円 |
住民票は市役所で取得できます。手数料は自治体によってやや異なりますが、300円程度のところが多いです。
身分証明書と聞くと、運転免許証やマイナンバーカードをイメージする人が多いでしょう。しかし、古物商の申請手続きで必要な身分証明書は、運転免許証やマイナンバーカードではなく、古物商許可の欠格要件に該当していないことを証明する書類です。なお、本籍地の役所の窓口でのみ取得できます。
登記事項証明書は、法務局で取得できます。法人の場合のみ必要な書類で、個人事業主として許可申請する場合には必要ありません。
また、住民票や身分証明書は郵送でも取得可能です。その場合には、定額小為替で支払う必要があります。定額小為替は1枚200円の発行手数料がかかり、住民票と身分証明書で2枚必要なので400円です。
また、郵送の際に使用する切手代と封筒代もかかります。切手代は2通の往復分で328円、封筒は100円程度です。
これらを合計すると法人で2,028円、個人事業主なら1,428円になります。
古物商許可の申請手数料
古物商許可の申請手数料は、警察署の窓口で手続きをするときに支払います。金額は19,000円です。もし、申請が通らなかった場合でも返金されないため注意しましょう。
古物商許可証の申請前に確認すること
古物商許可証の申請には、さまざまな規定があります。少しでも規定に反していると、申請を受け付けてもらえません。
許可証が交付されなければビジネスを開始できず、生活に支障をきたす可能性もあります。事前にしっかりと確認しておきましょう。
個人と法人のどちらで申請するか
個人・法人どちらでも、古物商許可証の申請は可能です。ただし個人名義で取得した許可証を使って法人が古物営業をすることも、その逆も認められていません。
例えば会社の新規事業として古物営業を始める場合、役員が個人名義の許可証を持っていても通用しません。法人の名義で、新たに許可証を取得する必要があるのです。
またあなたが会社で古物営業の責任者だったとして、会社の許可証を使って個人的に古物営業するのもNGです。個人と法人の区分を間違えると無許可営業とみなされ罰則の対象となるため、十分注意しましょう。
なお法人名義で申請するためには、管理者の他に監査役や非常勤も含めた全役員の書類をそろえなくてはなりません。時間や手間がかかるため、余裕を持って準備しましょう。
欠格事由に該当していないか
「欠格」とは、法律が要求している資格がない状態を指します。古物営業法にはいくつかの欠格事由が定められており、ひとつでも該当していると営業許可を得られません。許可証の申請時には「欠格事由に該当しない旨の誓約書」の提出も求められます。
欠格事由の詳細は古物営業法の第四条に明記されているので、あらかじめよく読んで、該当していないかどうか確認しましょう。
古物商許可証の申請手順
古物商許可証の申請の流れは下記の通りです。
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それぞれの手順を、詳しく紹介します。
申請に必要な書類をそろえる
古物商許可証の申請には、多くの書類が必要です。また営業形態や、営業場所を管轄する警察署によって、必要な書類の種類が変わります。
まずは管轄の警察署に問い合わせ、どのような書類が必要なのかを確認しましょう。「申請書」や「誓約書」のような自分で記入する書類は警察署でもらうか、ホームページでダウンロードできます。
営業所を管轄する警察署へ提出する
書類がそろったら、管轄の警察署に持参します。事前に古物商許可証交付窓口の担当者に連絡して、日時を約束してから行きましょう。
書類のチェックにはそれなりに時間がかかるため、担当者がいないときや忙しいときに行っても受け付けてもらえません。
書類に間違いがあった場合にその場で修正できるように、筆記用具と印鑑も忘れずに持参しましょう。
古物商許可証を受け取りに行く
申請から40日ほどで、許可証交付の案内が届きます。法人の場合は代表者が、個人の場合は本人が直接受け取りに行きましょう。本人確認書類や印鑑など、案内に書かれている持ち物も必ず持参します。
ただし許可証をすぐに受け取れるとは限りません。許可証は受取人の到着を確認してから正式な「古物商許可番号」を打ち出し、発行される仕組みです。番号の打ち出しや発行には数十分かかるケースもあるので、時間に余裕を持ってでかけましょう。
古物商の申請を行政書士に代行してもらう場合は7万円程度
行政書士に古物商の許可申請を依頼する際にかかる報酬は、各行政書士事務所で自由に決められます。そのため高いところもあれば安いところもあります。ただ、おおよその相場としては7万円程度と捉えておくと良いでしょう。
日本行政書士連合会の統計によると、古物商許可申請手続きの平均報酬額は53,585円です。
行政書士に支払う報酬にとは別に申請手数料、書類の取得にかかる諸経費も負担しなければなりません。それらを合計すると7万円程度になります。
また、行政書士には新規申請手続きと更新手続きを依頼できるほかに、相談やアドバイスも受けられます。
費用がやや高いと感じる場合には、書類作成のみの依頼も可能です。警察署への書類提出は自分で行うことになりますが、その分だけ費用を抑えられます。
ミツモアで申請書類の作成のみを依頼した場合の費用相場は、個人事業主なら20,000円前後、法人なら30,000円前後です。
行政書士に申請代行を依頼するメリット
行政書士に申請代行を依頼することで次のようなメリットがあります。
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最短時間で古物商許可を取得できる
古物商の申請手続きが受理されてから、実際に古物商許可を取得できるまで40日程度かかります。
また、提出する書類の中には添付書類が必要なものも多いです。添付書類も含めて自分で揃えるとなれば、かなりの時間と労力を要するでしょう。
当然、提出した書類に不備が見つかれば、申請は通りません。書類を取得し直したり、書き直したりして再度申請手続きを行う必要があります。一度だけでなく二度、三度と手続きをやり直す人もいるでしょう。
そうなると、1回で済む場合と比べて何日も多くかかってしまいます。
行政書士に依頼すれば、書類集めなど面倒なことをすべて任せられるのがメリットです。その上、行政書士は手続きに慣れているため、最短で許可を取得できます。
平日に仕事を休む必要がない
市役所や警察署で申請書類を受け付けているのは平日のみです。土日や祝日は窓口が閉まっているため、手続きを行えません。そのため、多くの人は平日に仕事を休んで手続きを行うことになるでしょう。
行政書士に依頼すれば、平日に仕事を休まなくて済むのもメリットです。行政書士が手続きを行っているときでも、本人は通常通り仕事をしていられます。
行政書士事務所選びのポイント
行政書士事務所を選ぶ際には、次のようなポイントを押さえておきましょう。
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古物商許可申請を専門としているか
行政書士は行政手続きを全般的に行える専門家ですが、人によって得意分野が異なります。中には古物商の許可申請をあまり扱ったことがない行政書士もいるでしょう。慣れていないとスムーズにいかない可能性もあります。
そのため、普段から古物商許可申請を中心に扱っている行政書士を選ぶのがおすすめです。
自身の地域に対応しているか
古物商許可の申請書は全国で様式が統一されているわけではありません。地域によって申請書の様式がやや異なることもあります。その場合には、ほかの地域で古物商許可申請をよく扱っている行政書士でも、スムーズに対応できない可能性もあるでしょう。
申請書の様式だけでなく、警察署の対応も地域によって異なる場合があります。
そのため、手続きを行う地域の警察署の対応を熟知している行政書士を選ぶのがおすすめです。また、全国対応の行政書士でも良いでしょう。
報酬額が相場から離れすぎていないか
行政書士事務所のホームページを見てみると、主な手続きの報酬額が記載されていることも多いです。報酬額の安さをアピールしている行政書士事務所もあるでしょう。
同じ手続きを依頼するなら、報酬額は安い方が良いと考える人も多いです。しかし、安ければ安いほど良いわけではありません。報酬額が極端に安い行政書士事務所だと、トラブルが起きる可能性もあります。
そのため、報酬額が相場からあまりかけ離れていない行政書士事務所を選ぶのが無難です。費用を抑えたい場合でも、報酬額だけでは決めずに、サービス内容や実績などを確認した上で依頼するようにしましょう。
返金保証を行っているか
行政書士に依頼しても、必ず古物商許可を取れるとは限りません。もしそうなると、費用だけかかってしまうため痛手でしょう。
そのような事態を避けるため、返金保証を行っている行政書士事務所を選ぶのがおすすめです。そうすれば、万が一許可を取れなかった場合には、報酬が返金されます。
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