エアコンから嫌な臭いがする場合は、今すぐに取り除きたい人もいるでしょう。しかし自分で手軽に掃除する際は道具をそろえなければなりません。エアコンを自分で掃除する際に用意する道具や、きれいにするポイントを紹介します。

エアコンを自分で掃除するために必要な道具
エアコン掃除の道具は特殊なものではなく、身近にあるもので十分実施できます。エアコン用スプレーのみで清掃するよりも、手間をかけた方が確実に効果が見込めるでしょう。
エアコンを自分で清掃するために必要な道具を紹介します。
最低限必要な道具
エアコンの掃除に最低限必要な道具は、メインで使用する掃除機や古歯ブラシ、雑巾です。汚れや油を落とす洗剤も用意しましょう。養生テープとごみ袋も必要です。
フィルターは外す前にほこりを掃除機で吸い取ります。
取れない汚れは古歯ブラシできれいに落としましょう。歯ブラシは口の中を傷つけないほど柔らかい毛でできています。細かい汚れを取り除くのに最適です。
外側のパネルは雑巾で拭き取ります。マイクロファイバーなら細かい繊維で汚れをしっかり絡め取ってくれるでしょう。
用意したごみ袋はエアコンの下にセットし、洗浄で落ちる汚れや液体を受けとめるように養生テープで設置します。
あれば掃除がはかどるアイテム
マスクと手袋があれば掃除の際に体を守ってくれるでしょう。
エアコンの中はほこりやカビが多く、不衛生です。マスクでこれらの吸入を防いでくれ、手袋をはめれば洗剤を使った場合に皮ふを傷めません。気になる人は用意しておきましょう。
古歯ブラシで汚れを落とすのもひとつの手段ですが、エアコン清掃専用のブラシを使うことで、効率のよい掃除が期待できます。
エアコン専用ブラシはファンのすき間に入りやすく設計されていたり、エアコンブラインドの形に合わせて作られたりしています。
エアコン清掃を想定した商品なので、しっかり汚れを落としやすいアイテムです。
スプレー式エアコンクリーナーの使用は自己責任
スプレー式エアコンクリーナーは安くて手軽に掃除ができるため、よく使用する人もいるのではないでしょうか。しかし清掃のプロ目線で見ると、あまり使用はおすすめできないようです。
理由は大きく分けて3つあります。1つ目はスプレーの洗浄液が内部に残ってしまい、カビの餌になりかえって繁殖してしまう恐れがあることです。
2つ目は水量・水圧が低いため奥まで流しきれず、フィンの表面に汚れが詰まる可能性があること。
3つ目の理由はエアコンの故障につながりかねないからです。電装部にかかってしまうとショートの恐れがあり、部品がさびてしまう可能性もあります。
全部そろえて費用はどのぐらい?100均道具は?
道具を1から全てそろえても1,000~2,000円くらいです。100均で道具を調達しても問題はありません。歯ブラシや雑巾などは100均でそろえることもあるでしょう。
安いからといって不足はありません。養生テープなどはホームセンターで買うものよりも短めですが、掃除に使用するだけであれば十分足ります。
まずはエアコンの構造を確認。掃除が必要な理由も
エアコンは液体や気体を扱う家電製品です。定期的にメンテナンスしないと、経済面や健康に害を与える恐れがあります。エアコンの構造を確認して掃除が必要な理由を知りましょう。
代表的なパーツの名前と役割
エアコンの代表的なパーツとして挙げられるのは、フィルターやフィン、ドレンホース、ルーバーなどでしょう。
フィルターは部屋の空気を取り入れる際に、空気中に含まれたゴミをフィンに通さない役割です。フィンは熱交換器として空気を冷やしたり温めたりします。
ドレンホースは排水ホースです。エアコンを使用することで発生する水分を、ドレンホースから外へ排水します。
エアコンの吹き出し口に付いている板で、風向をコントロールする役割を持つパーツがルーバーになります。
他にもドレンパンという水の受け皿も重要です。フィンで空気を冷やした際にできる結露を受けとめる溝で、これがあることでドレンホースから水が排出されます。
エアコンで使われる熱交換の基本原理
エアコンで部屋を暖めたり冷やしたりする基本原理には、液体の性質が大きく関わっています。
液体は蒸発すると周囲の熱を奪う性質がありますが、冷房はこれを利用している装置です。
室外機の熱交換するフィンと圧縮機によって低圧化された液体は、室内のフィンで蒸発します。その際に周囲の熱を奪うので、フィンはとても冷たくなり冷気を生み出すのです。
それが送風ファンによって室内に送られるため、部屋は冷えてくるのです。
暖房はこの逆です。気体は液体化される際に多量の熱を生み出します。室内のフィンで空気を液体化して熱を生み、それを送風ファンが室内に送ることで部屋が暖まるのです。
掃除しないとどうなるの?
エアコンは掃除しないと、ほこりやゴミでフィルターが目詰まりし、うまく室内の空気を取り込めません。
するとエアコンはより負荷をかけて稼働しようとするので、電気代が上がったり効きが悪くなったりします。故障の原因になることもあるでしょう。
空気を冷やすことで生まれる水分によりカビが発生し、嫌な臭いを部屋中に充満させてしまう恐れもあります。繁殖したカビにより健康面にも影響して、アレルギーなどを引き起こす人もいるのです。
エアコン掃除はどこから始める?大まかな手順
エアコンは掃除する前に下準備が必要です。いきなりフィルターを取り出すなど手順を考えないと、かえって手間がかかることもあります。
エアコンを掃除する大まかな手順を紹介します。
まずは養生!掃除機でほこり除去
ごみ袋を養生テープでエアコンの下に取り付けましょう。掃除していると汚れた液体やほこりが落ちてしまうため、それをキャッチできるようにします。
エアコン周辺もごみ袋やビニールで養生します。天井や壁に汚れた水が付かないようにするためです。特にコンセントや電源部分はしっかり養生しましょう。
次に電源を切り、コンセントを忘れずに抜きましょう。掃除中に誤って電源が入ってしまうと怪我や感電する危険があります。
続いてエアコン周辺のほこりを掃除機で吸い取ります。外側パネルだけでなく内部も清掃しましょう。特にフィルターにはゴミが多く付着しているので、床に落ちないよう優しく吸い取るのがコツです。
フィルターのほこりをある程度取らないまま外してしまうと、取り出した衝撃でほこりやゴミが舞い上がります。
フィルターを水洗い 歯ブラシも大活躍
外したフィルターのゴミをよく取ったら、水洗いします。歯ブラシを使って細かい網目までよく洗いましょう。こびりついた汚れや油などは洗剤を使ってきれいに落とします。
フィルターは繊細です。破れないように歯ブラシで優しく丁寧にこすります。
水洗いしたら陰干しで乾かします。乾かないままエアコンに装着してしまうと、水分がカビの繁殖や故障につながる恐れがあるので、しっかり乾かしましょう。
ルーバーと吹き出し口は無理せずに
吹き出し口は部屋に空気を通す最後のパーツです。ここが汚れていては部屋にほこりやカビをまき散らしてしまいます。手の届く範囲で丁寧に拭き取りましょう。
続いてルーバーを手で回します。電動で動くものでもあるので無理に動かさず、優しく口を開きましょう。開いたすき間をキッチンペーパーや雑巾などで拭いていきます。
エアコン用ブラシがあれば楽に掃除できるでしょう。割りばしにキッチンペーパーを巻いてゴム止めをすると「お掃除棒」が完成します。すき間に入りやすく細かい場所や奥まで清掃できます。
拭き掃除後、送風で仕上げ
拭き掃除が終わったら、最後は送風でエアコン内部を乾かします。水分を残してしまうとカビや故障の原因になってしまうからです。
清掃したパーツをきれいに拭き上げても吹き残しや、別の部品がぬれている可能性があります。送風運転は1〜3時間ほど行い、完全に内部を乾かして完了です。
プロに頼んで徹底的に掃除するのもあり
自分でエアコンを掃除すると内部の奥まで汚れを落とすことは難しい場合があります。そのため年に1回はプロに頼んで、しっかり洗浄してもらうのもひとつの手段です。
個人とプロによる清掃の違いや相場を紹介します。
プロのエアコン掃除は技術と道具が違う
自分でエアコンを掃除する場合とプロが掃除する場合では、使う道具が違います。
例えばプロが使う掃除棒は、エアコン専用の洗浄棒です。通常エアコンの吹き出し口内は高圧洗浄機やブラシでは届きません。プロはしっかり届くように設計された道具を使用します。
個人ではなかなか取りそろえられない高圧洗浄機を使い、エアコン内部の隅々までカビや汚れを落とします。360度ノズルが回転するものもあり奥まで入り込めるのです。
洗浄ポイントもしっかり把握しているので、カビが発生しやすい箇所を徹底的に洗い流してくれるでしょう。
洗浄剤にもこだわり強力ながらもエアコンを傷めないものを使用するなど、考え抜かれた道具がそろっています。
プロのエアコン掃除費用の相場
エアコン掃除費用の相場は一般的な「壁掛けエアコン」であれば、1万円前後でしょう。「お掃除機能付き」はパーツが違うため、少し高めの1万3,000~1万7,000円程です。
清掃する箇所が広く分解するものが多くなれば、値段は高くなります。
オフィスやお店などで使用される「天井埋め込み型エアコン」は、風口の数によって相場が異なります。1方向タイプは2万3,000~2万7,000円ですが、2方向や4方向は3万円前後かかることが多いです。
また、夏や大掃除の年末前になると繁忙期になり、価格が少し高くなる傾向があります。オフシーズンであれば、キャンペーン割引を提示する業者もいるので、見積もりの際は時期も気にしてみるといいでしょう。
本格的なシーズンに突入する前に、依頼することをおすすめします。
エアコンを掃除するのに適切な時期は?
前述の通り業者に清掃を依頼するのであれば、繁忙期である夏や年末は避けた方がよいでしょう。
では自分でエアコンを掃除するのに適した時期はいつなのか、理由と共に紹介します。
本格的な夏が来る前に掃除しよう
7〜8月は夏の暑さが厳しくなる時期です。エアコンが起動できないため養生するだけで汗だくになってしまうでしょう。暑いだけでなく汗を大量にかくことで、脱水症状を引き起こす恐れがあります。
よって5〜6月など本格的な暑さがやってくる前に、しっかり清掃しておきたいものです。
夏だけでなく真冬に換気しながら掃除するのも大変です。あまりにも寒いと体調を悪くする恐れもあります。
エアコンは稼働シーズンがやってくる前に清掃しておく方がよいでしょう。
使用環境によっては掃除の頻度を上げよう
エアコンを掃除する適切な時期はありますが、ほこりや湿気が多い使用環境であれば頻度を上げて清掃した方がよいでしょう。
下から風口をのぞいてみるとファンが見えますが、そこにほこりがたまっていた場合は、掃除した方がよいでしょう。
冷房と暖房をよく使うシーズンが終わった後に確認して、汚れていたら清掃のサインです。
放っておくと汚れによりカビが繁殖してしまい、健康に影響を与える可能性があるため、気になったらすぐ掃除することをおすすめします。
エアコンをきれいに保つポイント
毎回時間や手間をかけて清掃するのも大変です。日々の使い方でエアコンはきれいに保てます。
例えばフィルターを、月に1~2回ほど掃除機でゴミを取り除き、水洗いをするだけでカビの発生を抑止できます。カビの餌となるほこりや汚れがあると、繁殖の原因になるからです。
こまめに部屋の換気をすれば、ほこりもたまりにくくなるでしょう。
さらに冷房を使用した後は、送風機能でエアコン全体を乾燥させましょう。冷房は結露を発生させるため水滴がエアコン内部に付着しています。
送風を2~3時間かけることでエアコン内部を乾燥させ、カビの発生を抑えてくれるでしょう。
エアコン掃除は道具を使って自分でもできる
エアコンを自分で掃除する際はホームセンターや100均などでしっかり道具をそろえましょう。高い道具は必要なく2,000円前後で用意できます。
掃除する際はエアコン周辺を養生し、壁への汚れの付着やエアコンの故障を防ぎます。下準備することで効率よく実施できるでしょう。
また真夏や冬に清掃すると体力的にも大変です。シーズン前に掃除して厳しい気温に備えましょう。
清潔を保つためには年に1度くらいプロに頼むのもよいでしょう。日常の清掃であれば個人でも十分できる作業範囲です。道具をそろえチャレンジしてみてはいかがでしょうか。