はじめエアコンのフィンと聞いても、それがどの部分にあたるのか見当がつかない方もおおいのではないでしょうか?
実はフィンというのはエアコンの心臓とも言える箇所であり、フィルターと同様に定期的な掃除が必要な部分です。
今回はそのフィンを自分で掃除する方法や、フィン用のクリーナーをいくつか比較していきます。
エアコンのフィンはホコリとカビの温床
フィン(熱交換器ともいう)はフィルターのすぐ裏に位置します。掃除のためにフィルターを外すと写真のようなギザギザの金属板のようなものが見えるでしょう。これがフィン(熱交換器)です。
「フィン」とは空気の温度を調節するところ
フィンは別名「熱交換器」と言われていることからも推測できますが、熱のやり取りをする部分です。
熱のやり取りがなぜ必要か。それは室内温度より高い、もしくは低い温度の空気を送り出して室内温度を調整するために、送り出す空気の温度をエアコン内で調整しなければならないからです。
例えば、空気を冷やす時はフィンが冷たくなり、そこを空気が通り抜け空気の温度が下がります。ここで注目すべきことは「フィンが冷たい」ということです。フィンが冷たいと結露が起こり、フィンの周辺には液体の水分が発生してしまうのです。
フィンにはカビが繁殖する条件が整っている
エアコンの冷房や除湿機能を使用すると、空気中の水分がエアコン内部にたまり、湿度が90%を超えることもあります。
さらに、フィルターがあってもホコリはそれをすり抜けてフィンまで到達してしまい、フィンの水分によりホコリが溜まりやすくなるのです。つまり、フィンの付近は湿度が非常に高く、ホコリもたまっています。
一方でカビの繁殖条件は以下の3つ。
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そのため掃除をされてない状態のフィンは、カビの繁殖条件を完璧に満たしていることが分かりますね。
フィンはエアコンの中でも最も掃除が必要な場所です。エアコンのホコリやカビを除去することが、エアコンのニオイ除去や運転効率の改善につながります。
エアコンのフィンを掃除する前に
エアコン内にはフィンの他にも「ファン」があります。フィンとファンの違いは役割です。フィンは熱交換をするのに対して、ファンは送風を担っています。どちらも放っておくとカビだらけになってしまうため、しっかり掃除しましょう。
ファンも自分で掃除が可能なのですが、養生も必須で洗浄にも手間がかかります。ではフィンの場合はどうなのでしょうか?
フィンを掃除する時に養生は必要なのか
まず「ファン」の掃除には養生が必須です。ファンにスプレーをしたり水をかけたりすると、それらの液体はすべてエアコン内壁を伝って送風口から垂れ流しになるので、エアコン下に養生シートを設置しなければ部屋が汚水まみれになってしまうのです。
一方で「フィン」の場合は、スプレーをしたり水をかけたりしても、液体はドレンパンという排水溝のようなものを通って外に排出されるので、上手く掃除すれば養生シートは必須ではありません。
私が実際にフィンを掃除をしてみた結果、使用するクリーナーによっては泡や液体をドレンパンで受けきれず垂れてきたので、状況に合わせて養生シートを設置した方が安心です。
ただし電装部分にスプレーがかかるとエアコンの故障や火災を引き起こす可能性があるため、電装部分は必ずカバーをかけましょう。
フィンの掃除でエアコンのカバーは取り外す?
養生のほかに気になるのは、掃除の際にカバーを外したりエアコンを分解したりしないといけないのかということですよね。これに関しては、お持ちのエアコンの機種によります。
私の家のエアコンは前面カバーとフィルターを取り外すと下の写真のようになりました。このままだとフィン全体の3分の1ほどしか掃除を行えないので、この全面についているカバーを取り外さなければいけませんでした。
メーカーや機種によってはカバーを取り外さなくても、広範囲を掃除できるものがあるかもしれないので、各ご家庭で一度確認してみてください。
ちなみに自宅のエアコンのカバーを取り外す時の話ですが、実は取り外し方が分からずかなり時間がかかってしまいました。20分ほど試行錯誤した結果、下の写真のような部分にカバーを固定しているネジが身を隠していました。
みなさんもネジの場所が分からない時は、このような小さなカバーを探してみてください。
エアコンのフィンを自分で掃除する方法
フィン掃除の邪魔をしているカバーも取り外せたところで、フィンの掃除方法について見ていきましょう。
掃除機やブラシでフィンのホコリを除去する
まずはフィンのホコリを除去しましょう。
フィンの網目にそって掃除機をかけます。フィンに溜まったホコリを吸い出すことができます。
掃除機だけでは取れないホコリにはブラシを使いましょう。フィン専用のブラシや、歯ブラシでも掃除することができます。ブラシを使うときは、フィンを曲げないように優しくホコリをかき出してください。
エアコンの電装部分を養生する
全面カバーを取り外すとエアコンの電装部分がむき出しになるはずなので、必ず電装部分をビニールで覆い保護してください。
電装部分にクリーナーの成分や水がかかるとエアコンが故障したり、電子部品が溶けて火災につながったりするため、大変危険です。ゴミ袋に使うようなポリ袋などで十分なので、絶対にカバーをかけましょう。
電装部分以外に養生するのは部屋の壁面です。私が掃除をした際は、壁面の養生は行いませんでした。しかし実際にクリーナーを使用してみると、案外スプレーの威力が強く、フィンだけでなく壁面にまでスプレーがかかってしまったように見えました。
そのため部屋の壁にスプレーがかかってしまうことや、万が一シミになってしまうことが心配な方は壁にもビニールで貼り付けて養生をした方が良いでしょう。
最後に、エアコン下で汚水を受け止める養生シートの作り方についてですが、この作り方は以下の記事でも解説しているのでこちらを参考にしてください。
養生シートを作るのが面倒だなと感じたら、養生シートが付属品として付いている「ファン掃除用スプレー」を購入するといいです。そして一気にファンまで掃除してしまいましょう!
ここまでに説明した養生について以下の表にまとめました。
養生を施す箇所 | 全面カバーを取り外すとき | 全面カバーを取り外さない時 |
電装部分 | 必要 | 不要 |
壁面 | あると安心 | 不要 |
エアコン下(汚水用) | 必要 | あると安心 |
養生が済んだら早速クリーナーでお掃除!
エアコン周りの養生が完成したら、ここでフィン用洗浄クリーナーの出番です。今回私が使用したのはこの3種類のクリーナー。
- アース製薬 「超速乾 エアコン洗浄スプレー 」 170mL
- アース製薬 「エアコン洗浄スプレー防カビプラス 無香性」 420mL
- ショーワ 「くうきれい エアコン内部洗浄剤(冷却フィン用)」
*カビキラーなどの塩素系漂白剤を使用してはいけません。エアコンの腐食・不具合・異臭を引き起こす可能性があります。 |
1番と2番(写真では右にある2本)はある程度の距離からフィンに向かってスプレーするだけのタイプです。1番の「超速乾洗浄スプレー」は本当に超速乾。スプレーした後にフィンを触ってみても、ほぼ濡れている感覚はありませんでした。スプレーの勢いは強いですが、噴射幅が狭く内容量も少なかったです。
2番の「洗浄スプレー防カビプラス」は縦長に幅広くスプレーが噴射されます。液体量もエアコン1台に対して十分量があり使いやすかったです。この2本をわかりやすく比較してみましょう。
超速乾洗浄スプレー | 洗浄スプレー防カビプラス | |
最大の特徴 | 超速乾なので洗浄後すぐにエアコンが使える | ワイドな噴射でスプレーが簡単 |
消臭成分 | 植物ポリフェノール(ヤニやカビ の臭いに効果あり) | 緑茶ポリフェノール |
価格(Amazon参照) | 998円 | 353円 |
実際に使用して分かった効果 | お手軽消臭・スプレーの勢いでホコリや汚れを除去 | 簡単洗浄・消臭・(除菌) |
内容量 | 170ml(エアコン1台に対してだと少なく感じた) | 420ml |
そして3番の「くうきれい エアコン内部洗浄剤(冷却フィン用)」は1番、2番とは違いムース状の泡が出るタイプで、ムースとリンスの2本セットです。ムースでカビや汚れを落として、リンスで汚れとムースを洗い流すという流れ。
上の写真は範囲を3分割して左から3番のスプレー「くうきれい」、中央が1番のスプレー「超速乾」、右が2番のスプレー「洗浄スプレー防カビプラス」を使用した写真です。
カバーを外して掃除をしているうえに、出した泡の量が多すぎて完全に垂れてきています。この場合だと絶対に養生が必要です。右側と中央部分の違いは、見た目ではほぼ分かりません。スプレーをした直後なので「超速乾スプレー」を使った中央部分の方がキレイに見えます。
3番の「くうきれい」の場合は、ムースが出てその分時間と手間がかかりますが、汚れが落ちていくのがはっきりと目に見えました。泡と汚れをリンスで洗い流していくのですが、リンスの量は少し足りない気がしました。
泡が残っていると掃除後にカビや汚れが発生しやすくなってしまうので、流れきらない泡は拭き取りましょう。
フィンの洗浄スプレーは必ず一本使い切ろう
エアコンの洗浄スプレーは、一回の掃除で一本全て使い切る内容量です。
洗浄スプレーの液や流された汚れは、細いホースを伝って排出されます。洗浄液の量が少ないと、このホースに液や汚れが残留し、詰まってしまうことがあるのです。
ホースが詰まると、通常なら排出される水分が逆流してしまいます。スプレーは必ず一本使い切りましょう。
洗浄が終わったらあとは乾燥させるだけ
洗浄が終わった後は必ずフィンを乾燥させましょう。濡れたままエアコンの運転を再開すると、ホコリや汚れが溜まりやすくなったり、故障したりする可能性があります。
雑巾などで軽く水分をふき取り、1~2時間自然乾燥させましょう。あまり強く拭きすぎるとフィンの金属が曲がってしまうので、注意が必要です。
自然乾燥が終わったら、カバーやフィルターを付け直して、送風モードで1時間ほど運転させましょう。もし送風モードがない場合には、温度設定を高くした冷房運転を行ってください。
フィンを水洗いしたい場合
フィンを水洗いすることは一応可能ですが、おすすめしません。その理由は以下の2つ。
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フィンの汚れにはホコリだけではなく、カビや油汚れが含まれています。そのため水洗いをしたとしても、水が弾かれてしまいほとんど掃除することができません。
また水が電子部品などにかかるとエアコンが故障してしまいます。これはスプレーを使用する際も同様ですが、どこに水をかけていいか分からない場合は掃除を控え、クリーニング業者に依頼する方が安心でしょう。
フィンの掃除は定期的に
汚れやカビが相当溜まっていて、自分で応急処置をしたい場合はムーススプレーの「くうきれい」で、定期的に簡単に除菌・消臭をしたい場合にはアースの「超速乾洗浄スプレー」「洗浄スプレー防カビプラス」を使うのが良いでしょう。
最後にフィンの掃除に必要な道具をまとめておきます。
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また、フィルターや外側カバーなど、フィン以外の場所も定期的に掃除を行いましょう。以下の記事で掃除方法をまとめています。
セルフの掃除では到底落とし切れないほど汚れ・カビが溜まっていたり、年に1度は業者にエアコンクリーニングを依頼したいという方はぜひミツモアでプロを探してみましょう!