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電子契約システムとは?仕組みや導入メリット・デメリットを解説

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最終更新日: 2024年05月09日

企業だけでなく、国や地方自治体にも普及が急速に進む電子契約システム。2024年1月の調査では、約8割の企業が電子契約システムを利用していると回答し、導入していない企業の約半数が導入を検討しています。

とはいえ「電子契約システムの仕組みがよくわからない」「電子契約システムの導入は大変そう」と、導入に不安な方も少なくありません。本記事では、電子契約システムの導入メリットやデメリットなど基本について徹底解説します。

電子契約システムとは

電子契約システムとは、紙ではなくインターネット経由でPDF形式の契約書を押印、署名をして契約を締結するシステムです。紙の契約書と同様に法的な効力を持った契約書を作成し、締結までサポートします。

さらに締結した契約書の一元管理や契約手続きを短縮し業務支援する機能、印紙税や郵送費を削減する契約フローの見直しなど契約業務を大幅に改善することができます。

電子契約の仕組み

電子契約とは?

電子契約とは、インターネット上の電子文書に電子署名をして締結する契約のこと。

電子契約には2種類あり、契約を結ぶもの同士が電子署名を行う「当事者署名型」と、電子契約サービスを提供する事業者が、電子署名を行う「事業者署名型」があります。機能や確認の手間など、さまざまな手順によって使い分けられるよう、両方の署名方法が選べるのが望ましいでしょう。

電子契約には2種類あり、電子契約サービスを提供する事業者が電子署名を行う「立会人型署名」と、契約を結ぶもの同士が電子署名を行う「当事者型署名」があります。

機能や確認の手間など、さまざまな手順によって使い分けられるよう、両方の署名方法が選べるのが望ましいでしょう。

(1)立会人型署名【導入しやすい】

電子サイン
立会人型署名の仕組み

立会人型署名はメールやクラウドサービスを使用して本人の契約意志確認を行います。使用ツールの登録や、メールアドレスの収集および登録のみで導入前の準備ができるため、導入がしやすいです。

一方で、押印者の本人性への厳格性や契約書の法律的証拠力の観点では、当事者型署名と比較して劣っています。以上の特徴から、一般的に受領書などに用いられます。

(2)当事者型署名【法的効力が強い】

電子署名
当事者型署名の仕組み

当事者型署名では第三者機関の電子認証局が本人確認した電子証明書を使用し、押印者の本人性を担保します。電子署名法に依拠しており、証拠力が非常に高いのが特徴です。

一方、電子証明書の取得までのプロセスが複雑であるため、立会人型署名と比べて導入が困難です。

また導入の難しさに比例して、導入コストは立会人型署名と比較して高いので、求められる要件に応じて立会人型と当事者型を比較検討することをおすすめします。

関連記事:電子署名とは?仕組みや活用方法を分かりやすく解説|ミツモア
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書面契約と電子契約の違い

書面契約・電子契約の違い

書面契約と電子契約では署名方法はもちろん、締結日次の証明方法や印紙の有無などさまざまな違いがあります。その中でもいちばんの違いは管理コストの有無といってもよいでしょう。

書面契約

書面契約は紙面に押印や署名を施すことから、紙の物理的管理が必要になるため管理コストがかかります。また、紙を利用するため、契約締結日時の証明は日次での証明に留まります。

したがって、細かなセキュリティ要件に対応が難しい点が特徴です。また、原本の郵送や対面での契約書の受け渡しを実施しなければいけないため、本人性の担保に対して工数と時間かかります。

電子契約

電子契約は電子署名を実施します。サーバー上で仮想的にデータを管理ができるため、コスト削減ができます。

また、第三者機関を使用して、タイムスタンプを契約書に付与し、秒単位の締結日時の証明が可能になり、より細かなセキュリティ要件に対応できます。

加えて、本人性は電子署名により担保されるため、より厳格にセキュリティ要件を満たせると同時に、原本の郵送などにかかっていたコストを削減できます。

関連記事:タイムスタンプとは?仕組みや利用方法をわかりやすく解説|ミツモア

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電子契約システムの動向・トレンド

利用率が80%近くまで進む電子契約システム

国によるDX支援や新型コロナウイルスによって電子契約システムの普及が一気に広まった2021年。2024年1月時点では、約80%近い企業が電子契約システムの利用が普及しています。

民間企業だけでなく、市役所など自治体による電子契約システム導入も増えています。近い将来さらなる普及が予想されるシステムの1つといえるでしょう。

参照:「企業IT利活用動向調査2024」集計結果(詳細版)|JIPDEC

多言語対応している電子契約システムが増加

多言語対応や各国の法規制に準拠した電子契約システムが増加しています。日本語のみの表記であると、文字の解読に時間がかかる外国人労働者は、文章を理解するために翻訳したり、じっくりと時間をかけるなければなりません。

多言語に対応している電子契約システムであれば、内容の確認時間を削減するだけでなく、翻訳ミスによるトラブル防止などにも役立つでしょう。

ブロックチェーン技術の導入による信頼性の向上

契約の締結後に契約内容を書き換えられるなどのトラブルを防ぐために、ブロックチェーン技術を活用する製品を導入するケースが増えてきています。

契約内容などの電子証明を内蔵したICカードや従業員のIDとパスワードと本人確認を行ったうえで電子契約を結びます。

契約書の内容や同意した事実がブロックチェーンに記録され、改ざんされたときには検知できる仕組みを構築します。

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電子契約システムでできること(主な機能)

電子契約システム

契約を締結する機能

機能 概要
電子署名 電子文書の作成者が本人であることや、内容が改ざんされていないことを証明
タイムスタンプ データの作成日時と内容を証明するための技術
電子証明書の発行 インターネット上の身分証明書を作成・発行
契約書送信・合意機能 システム上から契約書を個別・一括送信する機能

業務効率化する機能

機能 概要
契約書テンプレート 分野別の契約書がテンプレートが搭載
ワークフロー 申請〜承認までのルートを事前設定する機能
ステータス確認 契約書を送信後、取引先の開封状況を随時確認する機能
リマインド機能 一定日数を経過しても連絡がない場合に自動でリマインド
外部システム連携 他の業務システムで作成した契約書をAPIで自動連携

情報管理する機能

機能 概要
契約書検索 契約書名や氏名、会社名を検索して絞り込む機能
データの取り込み・インポート 紙の契約書や締結した契約書を取り込む機能
契約書管理 契約書をクラウド上に一元管理する

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電子契約システムのメリット

電子契約システム

コストを削減することができる

電子契約を導入することによって、コストや手間を削減することができます。例えば書面契約の場合、印刷・製本・郵送に関連するコストがかかってしまいます。

また、ファイリングや契約書を探す作業に対する人件費が発生します。電子契約に切り替えると、インターネット上で契約を締結させることができるため、書面契約で掛かっていたコストを大幅に削減することができます。

契約の締結をスピードアップさせることができる

契約書を自動で作成し、ミスなく業務を進めることができるため、書面契約に比べて、圧倒的にスピード感を持って契約を締結できます。

書面で管理すると、必要な情報を即座に探し出すことが難しくなります。システム上で管理することによって、保管する場所や管理する手間を削減することができます。

また、契約書を送付し、相手からのレスポンスを待つ時間を書面よりも減らすことができるため、効率よく業務を進めることが可能となります。

コンプライアンスを強化できる

電子契約システムを導入することによって、コンプライアンスを強化することができます。

書面での契約書では、改ざんやなりすましなどの不正行為、損失や外部に情報が漏洩してしまうリスクがあります。

電子契約システムでは、適切な認証を行うことで、本人以外が契約行為をすることを事前に防ぐことができます。

また、電子スタンプや電子証明によって、契約した時期や内容、そして契約した人が確認可能なため、改ざんができません。

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電子契約システムのデメリット

電子契約システム

書面契約が義務付けられている契約がある

電子契約システムを導入したからといって、すべての契約書をデジタル化できるわけではありません。「法律によって書面での契約が義務付けられている」場合には、電子契約は不可能です。

書面でのやり取りが求められる文書には、宅地建物の売買や交換、賃貸借契約の際の契約書や、事業用の定期借地契約などがあります。契約内容が長期かつ、高額になる契約に関しては、書面での契約が義務付けられている傾向です。

電子契約が一般的ではない契約を、デジタル化したい場合には、その契約が電子契約可能であるか、監督省庁や弁護士に確認するとよいでしょう。

セキュリティ対策が重要となる

電子契約システムは、クラウドサーバで締結されるという性質上、サイバー攻撃の対象になりやすく、少なからず情報漏えいのリスクがあります。

そのため不正アクセスに対する強さや複数認証によるセキュリティ面の機能、本人確認や権限別のアクセス制限、操作ログ取得などセキュリティ機能の高さが重要です。

取引先への説明や説得が必要となる

電子契約を導入するにあたって、まずは「いつから」「どの契約で」「何のシステムで」取り入れるかを社内外へ周知することが大切です。

一方的に電子契約書を交付しても、取引先の受け入れ体制が整っていなければ契約が結べません。システムによっては取引先にも電子契約を導入してもらわなければ、契約が交わせない場合もあります。

また社内への周知を忘れてしまうと、どの形態で契約書が保管されているのかわからなくなり、後で契約書を探すときに混乱してしまいます。

電子契約を導入する際には、社内外の方に理解してもらったうえで準備を進めていきましょう。

初期費用や月額費用がかかる

電子契約システムを導入するとなると、初期費用や毎月かかる料金が発生します。

初めてシステムを導入する場合、どのようなことに注意したらよいのか、どのシステムが自社に合っているのかわからないという方もいるでしょう。

無料で使える電子契約システムの導入や、有料システムの無料トライアルを検討することをおすすめします。

関連記事:無料で使える電子契約システム8選!特徴や機能で徹底比較|ミツモア

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電子契約に関わりのある代表的な法律

電子契約に関わる代表的な法律

電子署名法

電子署名法とは、電子署名の法的効力を規定している法律です。正式名称を「電子署名及び認証業務に関する法律(平成12年法律102号)」といいます。

電子署名法は契約者が自らの意志で契約したことを担保するため(本人性の担保)に、電子署名の利用が可能であることを定義づけています。

電子署名とは書面契約における、押印に該当するものです。契約を本人が行ったことや、契約書に改ざんがないことを証明する役割を持っています。電子契約書に電子署名が付与されていれば、契約が契約者双方の合意のもと、行われたことになります。

電子署名が有効と認められるためには、第三者による「認証業務」または本人による「特定認証業務」が必要です。

  • 認証業務:第三者機関が身分証による「身元確認」やID・パスワードによる「当人認証」などによって、電子署名が本人によるものだと証明する
  • 特定認証業務:本人が印鑑証明書のような役割を持つ「電子証明書」や割印や契印の役割を持つ「タイムスタンプ」によって、電子署名が有効と証明する
参照:電子署名法の概要について|法務省

電子帳簿保存法

電子帳簿保存法とは、帳簿や領収書などの書類や、電子取引に関する書類の保存を規定している法律です。一定の要件を満たした書類を電子データで保存することを認めています。電子契約を行う際には、電子帳簿保存法に則った方法で契約書を保存する必要があります。
2022年1月に行われた改正では、電子取引における電子データの保存義務が、盛り込まれました。従来の電子帳簿保存法では、データで受け取った書類をプリントアウトして保管することが、認められていましたが、今回の改正により「2024年以降にデータで受け取った書類は、データで保存する」ように義務付けられています。

参照:
電子帳簿保存法の概要|国税庁
令和3年度税制改正による電子帳簿等保存制度の見直しについて|国税庁

IT書面一括法

IT署名一括法とは正式名称を、「書面の交付等に関する情報通信の技術の利用のための関係法律の整備に関する法律」といい、金融庁・総務省・財務省などの各省庁が、個別に定める法令をまとめたものです。

事業者に対して書面の交付や、手続きを義務付ける法律で、一定の要件を満たせば電子メールや電子ファイルの、アップロードなどでの文書交付や提出を認めています。

経済が次々とデジタル化を果たす中で、書面での契約が義務付けられている取引の存在は、スムーズな商取引を妨げていました。IT書面一括法の制定により、さまざまな形での取引が可能になり、円滑な商取引を後押ししています。

参照:民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律 | e-Gov法令検索

e-文書法

e-文書法とは、電子文書を保存する際の一般的なルールを定めている法律です。

「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」と「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」の2つの法律で成り立っています。

電帳法が財務省や国税庁の絡む書類の保存に関するルールを定めているのに対し、e-文書法は民間企業において保管対象となる議事録や注文書などの書類保存に関するルールを定めています。

なお、2021年以降、電子帳簿保存法とe-文書法のいずれも、電子化の際に税務署長からの承認を受ける必要はなくなっています。

参照:「厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令」の概要|厚生労働省

印紙税法

印紙税法とは契約書や領収書に課される、印紙税に関する法律です。印紙税法では課税対象を、下記に当てはまる文書に限定しています。

(1) 印紙税法別表第1(課税物件表)に掲げられている20種類の文書により証されるべき事項(課税事項)が記載されていること。
(2) 当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること。
(3) 印紙税法第5条(非課税文書)の規定により印紙税を課税しないこととされている非課税文書でないこと。
参照:No.7100 課税文書に該当するかどうかの判断|国税庁

紙の契約書なら印紙税がかかる契約書でも、デジタルデータとして送付し契約を結んだ場合は、課税文書の作成には当たらないため、印紙税の課税対象にはなりません。

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電子契約システムの導入事例

電子契約

リログループの導入事例

リログループでは、グループ各社への電子契約の普及を通じて業務効率化・ガバナンス強化・SDGsへの貢献を実現しました。

結果として6000件を超える電子契約締結、約20000枚の紙削減し、CO2削減効果は152kgにつながっています。

現在では不動産賃貸管理、海外赴任支援、リゾート事業など多様な事業で活用が進み、業務効率化や顧客サービス向上に寄与しています。

参照:グループ各社・各部署への電子契約推進を通じた、業務効率化・ガバナンス強化およびSDGsへの貢献|総務省

鹿児島県奄美市の導入事例

市内事業者との電子契約システムを実証実験後、本格導入。令和4年6月から5年2月で全体の約50%が電子契約に移行し、受発注者合計で約250万円の経費削減しました。

また1件あたり20分程度の業務削減し、関連業務の人件費削減にも効果が見られています。

参照:自治体DX推進参考事例集【第2.0版】|総務省

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電子契約システムの導入手順

電子契約イメージ

  1. 自社の契約書管理状況を把握する
  2. 電子契約システムを比較検討し予算を確保する
  3. 社内規定の見直し、従業員への周知をする
  4. 取引先への説明と社内サポート体制を構築する
  5. 運用後も定期的な見直しの改善を行う

まずは自社の契約書に関する管理状況について把握しなければなりません。契約書の種類・契約件数・契約フロー・管理部門を明確にします。

年間で何社と何件契約締結しているのかも洗い出し、契約書に関わっている担当者の意見を聞きながら、電子契約システムに求める機能を検討します。取引先にもヒアリングを行い、電子契約の導入・使用状況を理解しておくことも重要です。

電子契約をスムーズに導入するために、従業員に電子契約のメリットを説明し、理解を得ましょう。システム操作の研修やマニュアルの整備など事前準備も大事です。

システム決定後にも、取引先の担当者から操作方法への疑問や、手続きの不明点を質問されるかもしれません。

営業担当者が取引先に説明・フォローをスムーズに行えるように、マニュアルを用意したり、ベンダーのサポート窓口を確認しましょう。

関連記事:【2024年】電子契約システム比較33選!レビュー別ランキングや選び方を解説|ミツモア

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