病院経営において、税理士を雇うべきかどうか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
医療機関の運営には専門的な知識が求められるため、経営者としても税務に関する負担が大きいものです。税理士を雇うことで税務業務がスムーズに進むだけでなく、税理士目線での経営のサポートも受けられるため、病院経営において非常に大きなメリットとなります。
しかし税理士の雇用にあたって、以下のような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
「これから医療法人の設立を検討しているけれど、いつ依頼するべき?」
「信頼できる税理士をどのように探せば良いのだろう?」
「そもそもうちの病院に税理士をつける必要が本当にあるのだろうか?」
そこでこの記事では、病院経営者が税理士を雇うメリットや費用の目安、税理士の探し方や選び方まで詳しく解説します。病院経営における税理士の必要性や、信頼できる税理士を選ぶポイントについてもまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。
病院が税理士を雇うメリット

病院が税理士を雇うメリットは以下の通りです。
- 申告ミスを防げる
- スムーズに医療法人化できる
- 経営に関するアドバイスを受けられる
- 信頼度が上がる
それぞれについて見ていきましょう。
申告ミスを防げる
病院で税理士を雇うことの最も大きなメリットは、税務申告におけるミスを防げることです。税務は非常に複雑で、わずかなミスでも大きな影響を及ぼすことがあります。
税務申告の漏れや期限超過が起これば、延滞税や加算税といったペナルティが課されるだけでなく、病院の信頼を損なってしまうリスクもあります。
税理士に依頼すれば、税務の専門家として正確かつ適切な申告を行ってもらえます。
スムーズに医療法人化できる
病院が医療法人化を目指す場合、税理士のサポートを受けた方が効率的です。医療法人化には多くの手続きと書類が必要で、自力で行うのは非常に手間がかかります。また、法人化した後も各種届出を出さなければならず、専門知識がないとスムーズに進められないこともあります。
税理士に依頼すれば、必要な書類の準備から申請手続きまでを代行してくれます。煩雑な税務関連の処理に手間をかけずにすむため、本来注力すべきコア業務に集中して法人化を進めることができます。
経営に関するアドバイスを受けられる
契約内容や雇用形態にもよりますが、税理士を雇うことで、税務サポートだけでなく、税理士目線での経営に関するアドバイスをもらえることがあります。
他の病院での実績を持つ税理士に依頼すれば、これまでの知見から助言をくれたり、他の病院の傾向について教えてくれたりするかもしれません。
また、財務諸表から経営状況を分析し、安定性や将来の展望を評価してくれるため、第三者の目線から冷静な判断が可能になります。もちろん重大な決断は経営者自身で行う必要がありますが、大きなサポートとなるでしょう。
信頼度が上がる
税理士を雇うことで、決算書などの公式文書に税理士の記名押印が入ります。税理士によって作成されたという文書であることがひと目見てわかるため、金融機関や取引先からの信頼度が向上します。
また、税務申告の際も税理士を雇用していることで申告漏れの可能性が低いと見なされ、税務調査が入りにくくなるとも言われています。
病院が税理士を雇う費用の目安

続いて、病院が税理士を雇う費用の目安について紹介します。病院が税理士を雇う場合、「スポットで契約する方法」と「顧問として雇う方法」の2つに大きく分かれます。
- スポット契約の費用相場は1回1万〜30万円
- 顧問契約の費用相場は月1万〜5万円
それぞれの費用目安について見ていきましょう。
スポット契約の費用相場は1回1万〜30万円
「スポット契約」とは、特定の業務だけを税理士に依頼する契約形態です。臨時での相談や単発的な税務申告、手続きなどを依頼したい場合に用いられます。
必要な業務のみを依頼できるため、経費を抑えたい場合にはおすすめです。依頼する内容によって費用は大きく異なりますが、一般的な目安としては以下の通りです。
スポット費用例
- 記帳代行:月額1万円~
- 給与計算:人数によって異なる
- 決算申告のみ:個人10万円~、法人20万円~
- 年末調整:2万円~(※人数によって異なる)
- 税務調査立ち会い:5万円/日~
- 社長など役員の個人確定申告:3万円~
- 法人設立:30万円〜
顧問契約の費用相場は月2万〜4万円
税理士と顧問契約を結ぶと、毎月の「顧問料」が発生します。依頼する業務量や年間売上などによって顧問料は大きく変わりますが、おおまかな月額相場は以下の通りです。
顧問料の例
- 法人の場合:25,000円〜40,000円程度
- 個人事業主の場合:20,000円〜35,000円程度
上記に加え、決算申告や確定申告業務のような大きな業務が発生する場合、顧問料とは別で費用が発生するケースが一般的です。
法人の場合は月額顧問料の4か月~6か月分相当が目安となり、売上規模が大きいほど経理・税務業務が増加し複雑になるため、顧問料も高くなる傾向にあります。
病院で雇う税理士を探す方法

ここからは、病院で雇う税理士を探すおすすめの方法について解説します。
- 同業者に紹介してもらう
- WebやSNSで探す
- 税理士紹介サービスを利用する
- コンサルタントに紹介してもらう
それぞれについて見ていきましょう。
1. 同業者に紹介してもらう
同業者からの紹介は、信頼性の高い税理士を見つけるのにおすすめな方法です。
多くの医療機関は税理士と契約していることが多く、同業者の知り合いがいれば医療業界に精通した税理士を紹介してもらえる可能性があります。実績や対応の質についても事前に確認しやすい点も魅力です。
2. WebやSNSで探す
インターネットやSNSを活用して税理士を探すことも可能です。「病院 税理士」「医療機関 税理士事務所」といったキーワードで検索し、業界に特化した税理士を見つけましょう。
WebサイトやSNSでの評価や口コミを確認することで、より候補を絞り込むことができます。
3. 税理士紹介サービスを利用する
ミツモアのような、税理士紹介サービスを利用するのも一つの手です。
紹介サービスなら、対応エリアや要望に応じた税理士を効率的に探せるため、初めて税理士を雇う方でも安心です。自分の条件に合った税理士を効率的に見つけたい方におすすめの方法です。
4. コンサルタントに紹介してもらう
コンサルタントに入ってもらっている場合、担当者経由で税理士をを紹介してもらうこともできます。
特に、すでに医療機関の経営サポートを行っているコンサルタントは、信頼できる税理士とのネットワークを持っていることも多いです。
病院が税理士を雇うタイミングは?

病院が税理士を雇うタイミングとして一般的なのが、開業時や個人事業主から法人化するタイミングです。どちらのタイミングが良いかは、経営状況によって異なります。
開業時
税理士を雇うタイミングの大きな節目となるのが、開業時です。
病院の開業では、多くの複雑な専門的な手続きが必要となります。印鑑の用意や定款の作成、登記申請など、煩雑な手続きをスムーズに進めるために、税理士のサポートがあると心強いです。開業時に税理士を雇うことでこれらの手続きを円滑に進められれば、本業に専念することができるでしょう。
個人事業主から法人化するとき
個人事業主として事業を行っている場合、売上が1,000万円を超えると法人化を検討するのが一般的です。売上が安定したタイミングでもあるため、このタイミングで税理士を雇うのも選択肢の1つです。
特に医療法人化に関する税務や手続きは非常に複雑なため、税理士のサポートを受けてスムーズに進めましょう。
税理士の選び方のポイント

ここからは、税理士の選び方のポイントについて解説します。
- 病院での税務経験での実績があるか
- 集患のアドバイスを受けられるか
- 提携している社労士や行政書士がいるか
- 相性が合うかどうか
- 医師個人の資金形成もサポートしてくれるか
それぞれ見ていきましょう。
病院での税務経験での実績があるか
病院が税理士を雇用する際は、医療機関での税務経験や実績を持っているかどうかを確認することが重要です。医療業界特有の税務に関する知識は、他の業界での経験だけでは補えません。
例えば、保険診療に関する取り扱いや医療控除の計算など、医療業界ならではの複雑な要素が多く存在します。病院経営の税務処理を安心して任せるためにも、医療機関で実績が豊富な税理士を探すようにしましょう。
医療機関での経験を持つ税理士なら、業界特有の課題やトラブル対応にも精通しており、財務戦略を効率的にサポートしてくれるでしょう。
集患のアドバイスを受けられるか
税理士を選ぶ際に見落としがちなのが、集患や増患対策に関するアドバイスが受けられるかどうかです。病院の財務管理はもちろん重要ですが、税理士が集患や増患についての知識を持っていれば、さらに効果的に経営戦略を立てられるようになります。特に新規開業したばかりの病院や、患者数の増加を目指している場合に重要なポイントです。
ただし雇用形態によってはそこまでの対応をしていない場合も多いため、求める支援内容と予算、費用などに応じてプランを決めましょう。
提携している社労士や行政書士がいるか
医療法人化を考えている場合、税理士が社労士や行政書士とスムーズに連携できるかどうかも確認したいポイントの1つです。医療法人化の手続きは複雑で、多くの法的手続きや書類提出が必要となります。こうした手続きを円滑に進めるために、行政書士や社労士の協力が欠かせません。
税理士が社労士や行政書士と提携していれば、医療法人化の際もスムースに手続きが進行します。また、医療法人化後も、社会保険加入手続きや各種労務管理の負担を軽減できるでしょう。
相性が合うかどうか
業務経験や実績だけでなく、税理士の人間性や経営者との相性も大切です。どれだけ優れた専門知識を持っていても、コミュニケーションが円滑でなければ経営に支障をきたしてしまうかもしれません。
特に顧問として長期契約を結ぶ場合、信頼関係を構築できるかどうかはとても重要です。
初回相談などの問い合わせで、税理士の人柄や対応の仕方、スピードなどをしっかりと確認しましょう。メールや電話でのやり取りはもちろん、面談などを通じて相性を確認することもおすすめです。
医師個人の資金形成もサポートしてくれるか
税理士によっては、医師個人のライフプラン設計や資金形成のサポートを行っている場合もあります。特に開業医の場合は厚生年金に加入できないため、老後の資金計画は自らが責任を持って進めなければいけません。
税理士が資産運用や年金設計に関するアドバイスを提供してくれれば、将来への備えをより充実させられるでしょう。
一方で税理士は資産形成のプロではないため、必要に応じてファイナンシャルプランナーのような専門家への依頼も検討しましょう。
病院におすすめの税理士事務所は?
病院におすすめの税理士事務所を以下にまとめました。病院経営のサポート実績が豊富な事務所や評判の良い事務所をまとめたので、参考にしてみてください。
| 税理士事務所 | 特徴 |
|---|---|
| 税理士法人YFPクレア | 医療業界に特化した税務サービスを提供し、病院・クリニックの経営をサポート |
| 医院・クリニック税理士Smile | 医療機関専門の税理士で、親身な対応と豊富な実績が特徴 |
| 川島税理士事務所 | 医療分野に特化しており、個別対応と実績が豊富 |
| 税理士法人テラス | 医療業界での豊富な経験を持ち、開業や相続など段階に応じて多彩にサポート |
| 税理士事務所Crave | 一都三県に対応し、医療機関向けにカスタマイズされた税務サポートが強み |
| 税理士法人FP総合研究所 | 医療法人化支援や事業承継、財産承継まで幅広くサポート |
| 税理士法人アクア | 医療業界に特化し、法人化や不動産関連までトータルサポート |
| 古賀俊行税理士事務所 | 医療機関向けに特化したアドバイスが豊富 |
| ミネルバ税理士法人 | 医療機関の経営支援に特化し、幅広いサービスを提供 |
| 税理士法人ネクストワン | 医療分野での実績が豊富で、経営の幅広いサポートが可能 |
お住いの地域の口コミ評価が高い税理士【都道府県別】
税務や会計といった経営に関する相談相手を選ぶ際は、対面でコミュニケーションを取りながら信頼関係を築くことができる「地域の税理士」を軸にして、税理士を探すことが重要です。
それぞれの都道府県で高評価を得ている税理士を、下記でご紹介しています。
実際に依頼をした方々の口コミを掲載していますので、税理士選びの参考としてぜひお役立てください。
| 北海道・東北 | 北海道|青森|岩手|秋田|宮城|山形|福島 |
|---|---|
| 関東 | 東京|神奈川|千葉|埼玉|茨城|栃木|群馬 |
| 甲信越・北陸 | 山梨|長野|新潟|富山|石川|福井 |
| 東海 | 愛知|静岡|岐阜|三重 |
| 関西 | 大阪|兵庫|京都|滋賀|奈良|和歌山 |
| 中国 | 岡山|広島|鳥取|島根|山口 |
| 四国 | 愛媛|香川|高知|徳島 |
| 九州・沖縄 | 福岡|佐賀|長崎|熊本|大分|宮崎|鹿児島|沖縄 |
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病院が税理士に依頼する際のポイントについて解説しました。税理士を雇わずに自力で税務処理をすることも不可能ではありませんが、多大な労力と負担がかかるためおすすめできません。
経営者がコア業務に集中して経営を安定させるためにも、財務関連の業務は税理士への依頼が不可欠です。
同業者の方からの紹介やSNSからの依頼ももちろん可能ですが、相場感や相性を掴むためには、複数のプロに見積もりを依頼し、比較検討して決めることをおすすめします。
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