「二重サッシ」は内側と外側で窓が2枚ある構造です。既存の窓を二重サッシにする工事は高額ですが、内窓と外窓の間にできる空気層によって窓自体の断熱性が高まり省エネをかなえます。二重窓の特徴や取り入れたときの効果、リフォーム費用を紹介します。
最終更新日: 2024年06月28日
二重サッシとは？
窓を開閉するとき窓枠が行き来する部分がサッシです。通常多くの家屋のサッシは1枚ですが、2枚構造の「二重サッシ」とはどのような特徴があるのでしょうか？
窓を二つ設置する構造が特徴
「二重サッシ」は「二重窓」とも呼ばれ、一つの窓枠に内窓と外窓の2枚が取り付けられています。サッシとは一般的に窓枠のことを指しますが、二重サッシは窓のことです。
日本ではほとんどの家屋の窓は1枚構造ですが、一部寒さの厳しい地域では二重サッシが採用されています。2枚の窓の間に空気層ができ、室温が外気の影響を受けにくくなるのが魅力です。
既存の窓を二重サッシにする場合、元ある窓の内側または外側にもう1枚新たな窓を設置します。専有部分のみ自由なリフォームが認められているマンションなら、内窓の取り付けは問題ありません。二重サッシにできるのは引き違い窓のみに限定されます。
間違えやすい「ペアガラス」とは？
二重サッシとよく混同されるのが「ペアガラス」です。窓と窓の間に中間層を持ち「複層ガラス」とも呼ばれます。大きな違いは窓枠が1枚か2枚かという点です。
窓が2枚重なっているペアガラスは、断熱効果が高く冷暖房の使用を軽減できます。省エネや節電に役立つとして、近年建てられているほとんどの住宅の窓はペアガラスを採用しています。
二重サッシを設置する効果とデメリット
サッシを二重にするとどのような効果があるのでしょうか？メリットとともにデメリットもあわせて紹介します。
断熱効果と防露効果
窓を二重サッシに取り替えると断熱効果と防露効果が得られます。外窓と内窓の間に空気層が生まれ、外気温の影響が室内に及ばなくなるためです。
窓が二重になると熱を逃しにくくなり断熱材と同じ働きをします。窓の断熱性が向上すると、過ごしにくい暑い日と寒い日の外気が室内に入りにくくなるだけでなく、冷暖房の効き目も上がり省エネ・節電につながるのです。
窓の断熱性が高まると、寒い時期の暖房が効いたときに発生する結露も防げます。結露はあたたかい空気が窓にぶつかり外の冷気で急激に冷やされると発生しますが、断熱性が高い窓では外気の影響を受けにくいのです。
音漏れ対策
窓が二重構造になると音漏れ対策にも役立ちます。音の伝わり方には、建物を振動させて伝わる音と空気を振動させて伝わる音がありますが、二重サッシで防げるのは空気を振動させて伝わる音です。
空気を振動させて伝わる音とは、道路を走る車や線路を走る電車の通行音、ペットの鳴き声が挙げられます。楽器やオーディオから流れる音漏れ防止にも効果的です。
とはいえあくまで音漏れに対して効果があり、完全防音ではありません。楽器の演奏練習をするために防音にしたい場合は、窓だけでなく家屋全体での対策が必要です。
防犯効果
空き巣や不法侵入者は窓の鍵部分をピンポイントに狙ってガラスを割り、鍵の外側から手を入れて鍵を開ける方法を取ります。窓はピッキングする必要がないため侵入口になりやすいですが、二重サッシにすると防犯効果を高めてくれるのです。
窓が二重になると耐久性がアップします。外窓が割れてもまた内窓を割らなければならず侵入までに時間がかかり、犯人の多くが侵入を諦めるため防犯性が高まるわけです。
空き巣は犯行前に侵入候補の家を外から観察しますが、窓が二重になっているのが分かるとその家は犯行の対象外になりやすいとされています。
デメリットは価格が高く掃除が大変
二重サッシを取り付けるとメリットだらけですがデメリットもあります。ガラスをもう1枚追加するための費用は、通常の窓にかかる費用と比べると2倍以上です。内窓を設置するのにかかる費用は約10,000円～50,000円が相場とされています。
枚数が増えると掃除対象も増えるため、掃除に手間がかかるのもデメリットです。窓ガラスを掃除するとき内窓は、家の中から掃除できても外窓を掃除するのに家の外から行わなければならないこともあります。
二重サッシを取り付けるときのポイント
既存のサッシを二重サッシに取り替えると費用はどのくらいかかるのでしょうか？業者へ依頼するときのポイントも見てみましょう。
二重サッシの取り付け費用相場を把握
元々の窓を二重サッシに変える場合、取り付けにかかる費用は窓のサイズや種類によって変動します。外からの衝撃に強い防犯効果が高いガラスや断熱に優れたガラスは高価な傾向です。
キッチンやお風呂に多い小さめの窓を二重サッシにすると、工事費を含め約70,000～100,000円かかります。リビングに設置される大きめの窓を二重サッシにするには約110,000～290,000円かかり、小窓の3倍近い費用が必要です。
業者選びは一括見積もりを活用
二重サッシへリフォームを行う際、利用する業者は複数社候補を挙げ比較検討してから決定しましょう。それぞれの業者から工事費用の詳細をのせた一括見積もりを取得しておくと、比べやすく損しにくくなるはずです。
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二重サッシはデメリットも把握して検討しよう
二重サッシは断熱効果に優れているため、冷暖房効果を上げることで省エネと節電を実現しやすくします。初期費用はかかりますが、長い目で見るとコストカットができるうえ、環境にも配慮できて一石二鳥です。
一方、内窓と外窓がそれぞれ独立しているため、通常の窓よりも高価で掃除がしにくくなります。デメリットがあるのを理解したうえで既存の窓をリフォームするか検討しましょう。
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