エコジョーズとは従来のガス給湯器よりも省エネで、月々のガス代を安く抑えられる給湯器です。
具体的にどんな給湯器で、なぜ節約できるのか、どれくらい節約できるのかが気になるポイントですよね。またデメリットを知っておきたいという方も多いはずです。
そこでこの記事では、エコジョーズについて知っておくべきメリット/デメリットを全て解説します。従来の給湯器と比べて具体的にどれくらい節約できるのか、どんな家庭におすすめなのかを説明します。
エコジョーズは場合によってはあまり節約効果を期待できないこともあるので、自宅に本当に合っているのかどうかを確認したうえで選んでくださいね。
エコジョーズとは?仕組みやガス給湯器との違いを解説!
エコジョーズとは「排気熱を利用することで効率的にお湯を作ってくれる仕組み」を搭載したガス給湯器です。少ないガス量でお湯を沸かせるので、ガス料金の節約になるというわけですね。
エコジョーズの仕組み
従来のガス給湯器では、水を温めた後に発生していた排気熱を全て捨てていました。一方でエコジョーズはこの排気熱(約200℃)を利用して、水を温めることができるのです。
- 従来:水→火で加熱されお湯になる
- エコジョーズ:水→排気熱で加熱される→火でさらに加熱されお湯になる
水の配管を排気熱に当たるように配置させ、加熱される前に排気熱によって温められるということです。こうすることで給湯熱効率を約80%から約95%へ向上させられます。
このような仕組みからエコジョーズは「潜熱回収型ガス給湯器」とも呼ばれているんです。
また製品によっては消費電力を減らせるものもあります。例えば大手給湯器メーカー「リンナイ」のエコジョーズは、使っていないときの待機電力も従来の1/5以下ととてもエコなんです。
従来のガス給湯器との違い!機能・費用を比較
エコジョーズと従来型との違いを表にまとめました。
エコジョーズ | 従来のガス給湯器 | |
仕組み | 水を事前に温めておき再加熱する | 蛇口をひねるたびにバーナーで加熱する |
初期費用
(本体+工事費) |
約12万3,000~26万円 | 約7~16万円 |
二酸化炭素の排出量 | 従来型から9~15%程度削減 | – |
年間費用(ランニングコスト) | 平均約9万8,000円
※リンナイ「RUF-E2405AW(A)」でLPガスを使用した場合 |
平均約11万6,000円
※リンナイ「RUF-V2400AW」でLPガスを使用した場合 |
補助金 | あり | なし |
※設置業者やガスの使用状況・どのモデルを使うのかによって異なるため、一つの目安にしてください。エコジョーズ本体は設置業者から購入することが多いです。
従来のガス給湯器の交換・取り付け工事にかかる費用の詳細は以下の記事で解説しています。
エコジョーズの導入費用と節約効果
エコジョーズでいくら節約できるのかをより詳しく見ていきましょう。
エコジョーズは従来のガス給湯器より初期費用が高いため、金額で躊躇してしまう方も多いでしょう。しかしエコジョーズは、ランニングコスト(毎月かかる費用)が安いというメリットがあります。
どれくらいガスを使うかによって節約できる金額が変わるので、表にしてみました。
月のガス代 | 3,000円 | 5,000円 | 1万円 | 1万5,000円 |
エコジョーズで節約できる金額月(※) | 360円/月 | 600円/月 | 1,200円/月 | 1,800円/月 |
年間の節約額 | 4,320円 | 7,200円 | 1万4,400円 | 2万1,600円 |
※節約額は「月のガス代×0.15×0.8」で計算。エコジョーズはガス消費量を15%カットするので0.15をかけます。また全ガス代の内、約8割を給湯が占めるため0.8をかけています。
エコジョーズと従来のガス給湯器を比べると、エコジョーズの方が初期費用が5~20万円程度高いです。しかしランニングコストを見ると上の表の通り節約ができるので、長期的に見るとエコジョーズの方がお得になります。
エコジョーズと従来の給湯器の価格差が5万円だった場合、元を取る(エコジョーズと従来のガス給湯器の初期費用の差を埋める)までにかかる期間は以下の通りです。
月のガス代 | 3,000円 | 5,000円 | 1万円 | 1万5,000円 |
エコジョーズで節約できる金額 | 360円/月 | 600円/月 | 1,200円/月 | 1,800円/月 |
初期費用の差を埋めるまでにかかる期間 | 約11ヶ月 | 約7ヶ月 | 約3ヶ月 | 約2ヶ月 |
使用状況や製品にもよりますが、エコジョーズと従来型給湯器の価格差は2年目でなくなることが多いとされています。それ以降はずっと従来の給湯器よりも安上がりになります。エコジョーズの寿命が約10年であることを考えれば、初期費用の高さはそこまでデメリットではありませんね。
エコジョーズを導入して月々のガス代を節約したいなら、初期費用をできる限り下げるのがおすすめです。そのためには複数の給湯器設置業者から見積もりを取り、より安くかつ質の高い作業をしてくれるところを選びましょう。
「でも複数社から見積もりを取るのは大変…」という場合は、ぜひミツモアを利用してみてください。ミツモアでは簡単な質問に答えるだけで、複数の給湯器設置業者やリフォーム業者から見積もりが届きます。費用・内容・保証期間・口コミなどを比較できるため、より最適なところに依頼できますよ。見積もり比較は無料なので、ぜひ一度利用してみてくださいね。
ちなみにガス会社によってはエコジョーズ専用のプランが設けられていることも。例えば東京ガスの「暖らんぷらん」ではエコジョーズを使用する場合に、最大8%割引きされるプランもあるのです。
こういったガス会社のプランを利用して費用を下げることも可能です。
また自治体の中には、エコジョーズ用の補助金制度を設けているところもあります。工事費用の20%を助成してくれる自治体も。自治体によって基準が異なったり、制度自体がなかったりする場合もあるので、事前に自治体のホームページを確認しましょう。
エコキュート・エネファームとの違いは?
エコジョーズの他にも、エコキュートやエネファームといった給湯器も存在します。
- エコキュート:電気でお湯を沸かす
- エネファーム:ガス(水素+酸素)でお湯と電気を作る
それぞれお湯を作るときの動力や設置費用、性能などが異なります。いずれも補助金制度が用意されているため、家庭環境やガス・電気の利用状況などに合わせて選ぶのがおすすめです。
種類 | エコジョーズ | エコキュート | エネファーム |
動力 | ガス | 電気 | ガス(水素+酸素) |
給湯能力 | 〇 | 〇 | 〇 |
発電能力 | × | × | 〇 |
設置費用 | 25万円前後 | 40万円前後 | 150~200万円 |
専用プラン | あり | あり | あり |
補助金 | あり | あり | あり |
特徴 |
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費用や性能を考えると、単純なコストパフォーマンスが高いのはエコジョーズ。オール電化の家庭で使いたいならエコキュートがおすすめです。
エコジョーズの5つのメリット
エコジョーズには以下のようなメリットがあります。
①ガス代の節約になる | 特に以下に該当するならエコジョーズがお得です。
|
②設置費用が安く、ランニングコストとのバランスが良い | エコジョーズはエコキュートやエネファームよりも初期費用がかなり安いです。それなのにランニングコストも抑えられるので、バランスの取れた給湯器といえるでしょう。
「設置するのにお金がかかりすぎるのは嫌だけど、ガス代の節約はしたい」という方におすすめです。 |
③お湯切れがない | 使うたびにお湯を沸かす仕組みなので、お湯切れの心配がありません。キッチンや洗面所で同時使用するときも、勢いの良いお湯を使えます。 |
④そのまま飲める | エコジョーズはその都度お湯を沸かしているので、いつでも清潔。「蛇口から出たお湯をそのまま飲むのは抵抗がある」という方も、安心して飲用できます。 |
⑤本体がコンパクト | お湯を貯めるタンクがないので、ベランダが狭くても比較的スムーズに設置可能です。 |
エコジョーズのデメリットは?設置NGの場所や故障率も知ってリスク回避
エコジョーズのデメリットを事前に知っておかないと「せっかく購入したのにうちには合わなかった!」ということも起こり得ます。費用を無駄にしないためにも、以下の点に注意してください。
- 節約できるのは給湯のガス代だけ
- 専用の排水工事が必須
- 設置場所によってはNGなケースがある
- 修理費用が高い
- 10年に1度、部品の交換が必要
順番に見ていきましょう。
デメリット①:節約できるのは給湯のガス代だけ
お湯を沸かしキッチンやシャワーなどに使用したガス代は節約可能。しかし、ガスファンヒーターやガスコンロを使ったときのガス代は削減できません。
一人暮らしでシャワーで済ませることが多い方など、ライフスタイルによってはあまり効果がない場合もあります。
デメリット②:専用の排水工事が必須
ドレン排水を処理するための配管の設置工事が必要です。
エコジョーズは排気熱を利用する際、温度が急激に下がります。このとき排気熱に含まれている水蒸気が凝結し、ドレン排水と呼ばれる水滴になります。エコジョーズをフル稼働させると1日に500ml~1500mlほど発生するので、流しっぱなしにしていると水浸しになるうえ、カビやコケが生える原因に。
設置する際は、事前に工事可能な環境かどうかを業者に点検してもらうのが良いでしょう。依頼するときのポイントは記事の後半で説明するので、後ほど確認してみてください。
デメリット③:設置場所によってはNGなケースがある
エコジョーズは設置場所も重要。次のような場所に設置するのは避けましょう。
下水や雨どいなどから離れている | 排水を処理するため、排水経路が取れないと設置不可のケースもあります。 |
排気口付近に金属製のサッシや柵、鉢植えなどがある | 排気口周辺に物があると排気が滞留しやすくなる場合があります。金属製のサッシは腐食に繋がる恐れも。 |
隣地との隙間 | 狭いスペースにエコジョーズを設置すると、湯気や排水によって隣家のサッシが腐食する可能性があります。 |
マンションの配管スペース | マンションの共用廊下にドレン排水を垂れ流せません。設置を考えている場合は、事前に管理会社に確認しましょう。 |
デメリット④:修理費用が高い
エコジョーズの修理費用は約1~3万円です。購入を検討するときは、保証期間(1~3年程度が一般的)を過ぎたら高い修理費用がかかることも念頭に入れておきましょう。
エコジョーズは従来型の給湯器よりも高性能な分、複雑な構造をしています。部品も増えており、それだけ故障するリスクも上がるのです。
少しでも劣化を防ぐために、以下のようなことを行いましょう。
- 配管が詰まらないよう、定期的に浴槽フィルターの汚れを取り除く
- 業者に依頼して配管を洗浄してもらう
- 屋外に設置する場合は雨風で汚れないよう、配管カバーをつける
デメリット⑤:10年に1度、部品の交換が必要
給湯器の内部にある「中和器」という部品を交換しなければいけません。
中和器の寿命は約10年で、交換費用は1万円前後です。ランニングコストの一部として覚えておくと良いでしょう。
ちなみに中和器の役割はその名の通り、排水を中和すること。ドレン排水自体は酸性なので、そのまま流すと酸で配管が腐食する可能性があります。そこで中和器を通過させることで弱酸性に変え、外部に排出できるようになるんです。
エコジョーズはどんな家庭におすすめ?ガスの種類やお湯の使用頻度がポイント
「結局うちの家はエコジョーズ向きなのかな?」と気になっている方へ、エコジョーズの効果が出やすい家庭の特徴を解説します。
同居家族が4人以上でお湯を使う量が多い
エコジョーズはそもそも使う湯量が多い家庭向けの給湯器。家族が4人以上ならお風呂・洗面所・キッチンと使う場所や頻度も多いので、今よりも節約に繋がるでしょう。また人数が少なかったとしても、シャワーやお湯はりの頻度が高い家庭であれば、ガス代を節約できる可能性が高いです。
逆にもともとお湯の消費量が少ない高齢の夫婦二人暮らしや、一人暮らしの場合は不向きといえるでしょう。
ガス温水式の床暖房・浴室暖房乾燥機を使用している
すでにガス温水式の床暖房や乾燥機を利用しているなら、ガス会社が用意する専用プランを契約できます。一般料金よりも割引きされるので、割安で使い続けられますよ。
ガスの使用量が多い分、従来型よりもランニングコストをカット。初期費用として出費した金額も比較的早く取り戻せるでしょう。
LP(プロパン)ガスを利用している
LPガスは都市ガスに比べて価格が高いので、エコジョーズにする方が節約になります。
「うちのガスは都市ガスとLPガスどっち?」と区別がつかない場合は、下記1・2の方法で確認してみてください。
①屋内のガスコンロのシールの表示を確認する
- 「12A」「13A」「都市ガス用」→都市ガス
- 「LPG」「プロパンガス用」→LPガス
②ガス警報器の位置を確認する
- 天井や天井付近→都市ガス
- 壁の床付近→LPガス
心配な方は業者への相談がおすすめ
ここまで読んで「自分の家の環境に本当に合っているのかな?」と心配な方は、一度業者に点検してもらうのがおすすめ。特にマンションのパイプシャフトや高所に設置する場合は、高額な費用がかかるケースがあります。事前点検することで問題なく設置できる環境かどうかや、大体の費用が分かり安心です。
点検や導入をお願いする場合は、複数社から見積もりを取ってより安く・サービスに満足のいくところを選びましょう。
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