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古い物件でみるバランス釜って何?使い方や注意点も解説

最終更新日: 2024年06月28日

古めの物件などで見るバランス釜。不動産広告などに書かれていても、まず「バランス釜って何?」といった疑問を持つ方が多いのではないでしょうか。

使い方を誤ると事故を招く恐れがあり、バランス釜自体の寿命も縮めます。バランス釜の仕組みや基本的な使い方、交換の時期や費用の目安を紹介します。

バランス釜とは?

バス釜の点検

「バランス釜」は「バランス型風呂釜」の略で、かつて日本の住宅によく採用されたお風呂用給湯器の一種です。ガスの燃焼時に吸気と排気をバランスよく行うことからその名前がつきました。

公営住宅を中心に、築年数が古い一部の物件で現在でも使われていますが、新築の物件に新たに取り付けられることはほぼありません

バランス釜が登場する前はCF釜と呼ばれる風呂釜が主流でした。しかしCF釜は、風の強い日に排気が逆流し、一酸化炭素中毒を引き起こす事故が多かったのです。そこで、逆流の心配がなく安全性の高い給湯設備としてバランス釜が開発されました。

バランス釜でお湯を沸かす仕組み

バランス釜の仕組み

バランス釜は浴槽の隣に設置され、浴槽とは「連絡管」という管で繋がっています。連絡管はU字型を横にしたような形になっており、浴槽に開いた「吐き出し口」「吸い込み口」の2つの穴に接続している形です。

浴槽の水が下部の穴(吸い込み口)からバランス釜側に吸い込まれ、内部で温められます。温まったお湯が、上の穴(吐き出し口)から浴槽へと戻される仕組みです。

浴槽のお湯の温度が下がっても、「追い焚き」をして温め直すこともできます。

バランス釜に入った水はガスの力で温められるため、使われたガスを外へ排出することが必要です。そのためバランス釜には外壁を通して外へつながる「排気口」が取りつけられており、新しく空気を入れる「給気口」もあります。

バランス釜の種類

バランス釜には、大きく分けて4つのタイプがあります。

  • 追い炊き専用タイプ
  • シャワー付属タイプ
  • 追い炊き・給湯同時使用可能、シャワー付属タイプ
  • 追い炊き・給湯同時使用可能、シャワー付属・浴室外給湯可能タイプ

追い炊き専用タイプは追い炊き可能ですが、シャワーや蛇口はありません。

シャワー付属タイプは、シャワーが使える代わりに追い炊き機能が使えないようになっています。釜に蛇口があり、そこからお湯を出して湯張りをすることが可能です。

追い炊き・給湯同時使用可能、シャワー付属タイプは浴槽の中のお湯を沸かすと同時にシャワーも使えます。「浴室専用」で、台所などで沸かしたお湯は使えません。

同じ仕様でも「浴室外給湯可能タイプ」なら、浴室以外でもバランス釜で沸かしたお湯が使えます。

バランス釜のメリット

バランス釜

古くて今では見かけなくなりつつあるバランス釜ですが、バランス釜ならではの良さもあります。4つのメリットを紹介します。

  • 家賃が安い物件が多い
  • 停電時でも使用できる
  • 追い焚きができる
  • シャワーだけで使用できる

家賃が安い物件が多い

バランス釜を使っている物件は家賃が安いです。

築年数が古いところが多いですが、安さ重視で選ぶならバランス釜の物件を選ぶのがおすすめです。

停電時でも使用できる

現在多くの家庭で使われている給湯器とは異なり、バランス釜は家庭に送られてくる電気を使いません。操作を行う液晶パネルは「アルカリ電池」によって動きます。もし停電したときでも、お湯を沸かして使える点は大きなメリットです。

頻繁に起こるケースではないかもしれませんが、いざというときにお風呂に関して不安にならずに済むのは通常の給湯システムにないありがたさといえます。

追い焚きができる

家賃が安い家だと給湯設備に追い焚き機能がついていないことも多いですが、バランス釜は追い焚きができます。

お湯が冷めてしまっても温め直せるので、家族が複数人いる場合でも全員が温かいお風呂に入れますよ。

シャワーだけで使用できる

わざわざお湯をためなくてもシャワーだけで使用することができます。湯船にはあまりつからない方には、おすすめです。

バランス釜のデメリット

シャワー

バランス釜のデメリットは以下の通りです。

  • 隙間があり掃除しにくい
  • 外気の影響で冷めやすい
  • シャワーの水圧が弱い
  • 浴槽が狭い
  • 隙間にものが落ちやすい

昔はバランス釜が普及していましたが、現在は新しい給湯器も出ているため、どうしても性能は落ちてしまいます。どのようなデメリットがあるのでしょうか。

隙間があり掃除がしにくい

浴槽に隣接する形で設置されるバランス釜は、どうしても「壁との間」にすき間が生じてしまいます。湿気の多い風呂場なのでカビが生え、汚れもたまります。また、隙間に物が落ちやすいのもデメリットの一つです。

対処法

  • 柄が長く細いブラシを使う
  • 突っ張り棒などの細いところに入るものにスポンジを巻きつける
  • 漂白剤を流し込み、1時間たってからお湯をかける

外気の影響で冷めやすい

バランス釜は外気と繋がっている管があるため、内部が冷えやすい構造です。冬場などの寒い時期は、風呂に入る人同士の間隔があいてしまうと、浴槽の水が冷たくなってしまいます。

対処法

  • こまめに追い焚きを行う
    ガス代や手間もかかってしまうため、熱めのお湯でゆったりしたいという人には、不向きです。

シャワーの水圧が弱い

通常タイプの風呂と比較すると、バランス釜についているシャワーは水圧が弱めです。これはバランス釜のスペックの問題で、給湯能力が通常タイプよりも劣っていることが多いのが原因とされています。

また寒い時期は水の温度が低い状態からお湯にする必要があるため労力も通常以上にかかり、ますます水圧が弱くなってしまいます。

対処法

シャワーヘッドをバランス釜でも使える節水シャワーヘッドに替えてみましょう。お湯の総量は変わりませんが、水圧を強くすることができます。

付け替えるときは必ず止水ボタンの付いていないシャワーヘッドを選びましょう。水が逆流してバランス釜が壊れる原因になります。

以下はバランス釜にも対応している製品です。

浴槽が狭い

バランス釜は浴槽の隣に箱状の機器を置く構造になっているので、どうしても浴槽の幅がせまくなります。バランス釜の幅は約30cmなので、その分浴室の辺が圧迫されます。

対処法

バランス釜のままでは浴槽を広げることができません。ホールインワン給湯器か、ガスふろ給湯器への交換を検討しましょう。

バランス釜の使い方

古い風呂

バランス釜をこれから始めて使う方は、正しい使い方を覚えておきましょう。もしバランス釜の賃貸物件を借りるのであれば、大家さんや不動産会社の担当者に質問しておくと安心です。

バランス釜の使用手順

使用前
  1. バランス釜の近くにあるガスの元栓を開ける
  2. つまみを回し、「口火」の位置に合わせて点火する
  3. ランプの点灯、または点火窓を覗いて点火できているか確認する
  4. バランス釜の横にあるレバーを回す
  5. つまみを回し、「給湯・シャワー」の位置に合わせる
  6. 温度調節のつまみを回してお湯の温度を調整する
  7. 追い焚きをする場合、つまみを「追い焚き」に合わせる
使用後
  1. つまみを回し、「止」の位置に合わせる

入浴中に温度を上げていた場合は、温度設定を低めにしておきましょう。そのままにしておくとやけどをする可能性があります。

基本的には上記の方法で行うことができますが、バランス釜の種類によっては構造が異なることもあります。使い方がわからない場合には、取扱説明書を確認するようにしましょう。

以下でバランス釜を使用する際の注意事項を書いています。ぜひ読んでみてください。

バランス釜を安全に使うための注意点

注意するポイント

バランス釜は使い方を間違えると火災につながる恐れもあります。使用方法に気を付けながら使うようにしましょう。

空焚きしない

浴槽に水を張っていない状態で追い焚きをすると、「空焚き」という状態になり、バランス釜に負担がかかってしまいます。

排水栓を閉めずにお湯を沸かしたり、2つの穴よりも水位が低い状態で沸かしたりした場合も「空焚き」を起こす原因になります。

空焚きになるとバランス釜に負担が発生し、最悪の場合は釜の形が変わってしまうことも。

排水管が焦げるケースもあり、いずれも火災のリスクが高まるので十分に注意しましょう。

修理の規模や業者にもよりますが、部品の交換などの場合は10万円を超えるケースもあります。

点火しているか確認する

使用開始時にうまく点火できていないとガス漏れを起こしてしまいます。気づくのが遅れると火災事故にもつながりかねません。ランプの点灯、または点火窓を覗いて火がついていることを確認しましょう。

何回かつまみを回しても点火しないのであれば、電池切れか劣化による故障の可能性があります。

故障が疑われる場合、賃貸物件の場合は管理会社か大家さんに連絡しましょう。通常使用で故障した場合は、大家さんの負担で交換してもらえるはずです。

使用後にガスの元栓を閉める

お風呂を使い終わったら、ガスの元栓は閉めておきましょう。地震など自然災害が起こった際に、締め忘れて火災などの二次災害が起きるリスクを避けられます。

バランス釜の劣化による事故のリスクと、交換時期の目安

排気設備

使用頻度によっても前後しますが、バランス釜の寿命の目安は10年前後です。

基本的にバランス釜がある物件の設備は古く、長年交換されていない可能性もあります。まだ動くけれど実はかなり老朽化していた…ということもあるので、自宅のバランス釜がいつ頃設置されたものなのかは確認しておきましょう。

バランス釜の点火時に爆発音がしたら注意

つまみを回してもなかなか点火しなかったり、点火したときに「ボンッ」と爆発のような音がしたりする場合は注意しましょう。

部品の劣化によって、点火しづらい状態になっていることが考えられます。

使い続けているとバランス釜が破裂してしまうおそれもあるので、早めの点検や交換が必要です。

こんな症状が出たら交換を検討

  • 点火がスムーズにできない
  • 点火できない
  • 点火の際に爆発音がする
  • お湯の温度をうまく調節できない
  • ガスくさいにおいがする

マンションに住んでいる方は、バランス釜に不具合を感じたらすぐに大家さんか管理会社に連絡しましょう。

バランス釜に今までなかった現象が出てきたら、耐用年数が近付いてきたサインかもしれません。上記の症状は耐用年数が近いか、過ぎているときに起こりやすい現象で点検が必要です。

住んでいるのが賃貸物件であれば「管理会社あるいは大家さん」へ相談しましょう。耐用年数が過ぎていたり、不調が生じている場合には交換してもらえます。

バランス釜の交換・リフォームにかかる費用の目安

電卓

現在設置されているバランス釜が古くなってきたから交換したいという場合、どのような選択肢があるのでしょうか?

新しいバランス釜への交換、別の給湯設備への交換、浴室ごとリフォームと複数のパターンに分けて費用やメリットを紹介します。

業者に設置依頼をし、同じ業者から購入すると半額以下で済むこともあります。

こんな人におすすめ 費用相場(工事費込み)
新しいバランス釜 費用を安く抑えたい 150,000円
ホールインワン給湯器 コスパよく広い浴槽にしたい、集合住宅 200,000円~250,000円
ガスふろ給湯器 コスパよく最新の給湯設備にしたい、戸建 200,000円~300,000円
ユニットバスにリフォーム 浴室全体をきれいで快適にしたい 740,000円~1,500,000円

バランス釜から新しいバランス釜への交換

新築物件に今からバランス釜を設置することはありませんが、バランス釜物件の交換用に現在も生産されています。

同じ仕組みの製品とはいえ、昔の機種よりも省エネ仕様になっており、湯アカのたまりやすさなども改善されているので使いやすいでしょう。交換費用も安くおさえられます

賃貸物件では、大家さんの意向でバランス釜への交換しかできない可能性もあります。

バランス釜からホールインワン給湯器(壁貫通型風呂釜)への交換

バランス釜の給排気用にあいている壁の穴を活かして設置できるのがホールインワン給湯器(壁貫通型風呂釜)です。壁の穴に給湯器をおさめるので、浴室側への出っ張りがなくなり、大きな浴槽を設置できます

商品の種類は「ガスふろ給湯器」より少なめですが、値段は比較的安価に済ませられるでしょう。

バランス釜からガスふろ給湯器への交換

戸建住宅など、浴室の屋外側の外壁に給湯器が設置できる場合は、ガスふろ給湯器に交換するのもおすすめです。

給湯器が屋外設置になるためこちらも浴槽を広げることができます。配管は給排気用の穴を利用するので、大規模な工事も必要ありません。

最新の機能を搭載したエコ給湯器など、商品のレパートリーが多いのも魅力です。

給湯器の詳しい価格や選び方については以下の記事も参考にしてみてください。

関連記事:給湯器交換の費用相場をタイプ別に紹介!工事内容や業者選びのポイントも|ミツモア

ユニットバスへのリフォーム

予算が許すのであれば、バランス釜の撤去を機に、浴室全体を新しくきれいにリフォームするのも良いでしょう。

壁や床の素材も進化しているので、古い設備と比べて格段に掃除がしやすく、保温性も高い浴室にできます。

バランス釜以外に家賃の安い物件を探すポイント

賃貸住宅標準契約書

限られた予算で賃貸物件探しをしていてバランス釜の物件を見つけ、「家賃が安くて魅力的だけど、バランス釜のお風呂は嫌」と悩む方もいらっしゃるかもしれません。

バランス釜以外にも、お風呂周りの設備で家賃が安くなるポイントを紹介します。

3点ユニットバス

バスルーム、洗面台、トイレが一体になった3点ユニットバスの物件は、比較的家賃が低いです。バランス釜が設置されているのは建物自体も古い物件ばかりですが、3点ユニットは築年数の浅い物件にも採用されることがあります

浴槽とトイレが一緒だと不便なこともありますが、1人暮らしであまり来客もない場合、コンパクトで水回りの掃除も一度に済むのでラクですよ。

シャワーのみ、浴槽なし

シャワーのみの物件を選べば、家賃も安いうえに、水道代を節約することができます。シャワーの場所とトイレが分かれている物件が多いです。

新しい物件にも採用される設備で、特にスペースが限られた都市部で見られます。トイレとシャワーのスペースを分けたいという方にもおすすめですよ。浴槽がない分、掃除の負担も少ないです。

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