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賃貸物件の壁紙の原状回復費用は誰が負担?費用相場や高くなるケースを紹介

最終更新日: 2024年06月28日

賃貸物件を退去する際の壁紙の原状回復費用は、通常の経年劣化か、借主の故意や不注意による汚れかによって負担者が決まります。具体的にどのような状況が借主負担になるのかや、賃貸で壁紙を貼り替えたいときの方法などを解説します。

賃貸の壁紙貼り替え費用の負担者は状況により異なる

賃貸住宅を退去するとき、過失や故意によって残った傷や汚れ、損傷を修復しなければならない義務が、借主の『原状回復』義務です。借主が通常の使用方法をしていて付いた傷や汚れの原状回復費用は、貸主が負担します。それぞれについて詳しく解説します。

貸主が負担:通常の経年劣化

原状回復費用を貸主が負担するのは、借主が住んでいる間にきちんと掃除や手入れを行っており、普通に生活していて付いた傷や汚れの場合です

例えば壁紙の場合、長い間冷蔵庫を同じ場所に置いておくと、モーターの熱で壁紙が黒く汚れる『電気焼け』をします。電気焼けは冷蔵庫以外にも、電子レンジやテレビなどの大型家電付近の壁紙でも起こります。

電気焼けは掃除をしても落ちませんが、普通に生活していて起こる『通常損耗』なので、貸主負担となるのです。他にも床に付いた家具の設置跡や、日が当たって起こる床の色落ちなどは、通常の経年劣化の範疇と考えられるため、貸主の負担となります。

借主が負担:故意または不注意による汚れや破損

借主の故意または不注意による汚れや破損は、借主が原状回復費用を負担します。例えば壁の落書きや、エアコン設置以外でくぎやねじにより壁に穴を開けた際などです。

またキッチンの掃除を怠り、壁紙の油汚れがひどい場合も通常摩耗に含まれないため、原状回復費用は借主負担になります。詳しくは後述しますが、壁紙に染みついたタバコやペットの臭いも、借主の責任になることを覚えておきましょう。

壁紙の原状回復費用の相場

壁紙の原状回復費用の相場を把握するために、まず壁紙の費用について知っておきましょう。壁紙の費用相場は、グレードが低い壁紙なら1平方mあたり750~800円、スタンダードタイプは800~1,000円、ハイグレードタイプだと1,000~1,500円です

壁紙は汚れた部分だけ貼り替えるのではなく、壁一面もしくは全面を貼り替えるため、その分の費用がかかります。例えば壁の面積が30~40㎡の6畳部屋の壁紙を、全面貼り替えた場合の費用は2万2,500~6万円です。

壁紙の費用に加え、業者の人件費や作業費、諸経費がかかります。『廃材処分費』として500~2,000円程度上乗せされることもあります。

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経過年数による借主の負担割合の変化

借主がきちんと掃除や手入れをしていても、壁紙は年を重ねると劣化するものです。そのため経年劣化を考慮し、壁紙の借主の負担割合は6年で残存価値が1円になるように算定すると、『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)』で国土交通省が定めています

しかし、喫煙によるタバコのヤニや臭いで壁紙が汚れている場合の貼り替え費用は、借主が負担するとされています。

壁紙の原状回復費用が高くなるケース

壁紙を貼り替える際に、下地の交換や消臭など他の作業が必要になる場合は、原状回復費用が高くなります。どのようなケースで他の作業が発生し、費用はいくらかかるのかを解説します。

  • 穴やへこみなど下地まで貫通する破損がある
  • タバコなどの臭いが染みついている

穴やへこみなど下地まで貫通する破損がある

壁に大きな穴やへこみがある場合、下地まで貫通する破損になっているケースも少なくありません。下地まで貫通する穴やへこみは、壁紙の貼り替えだけでなく下地も交換しなければならないため、費用が高くなります

穴の大きさや作業を請け負う業者によって費用は変わりますが、下地の交換は1万~7万円以上と高額な作業になることを覚えておきましょう。

タバコなどの臭いが染みついている

タバコやペットなどの臭いが壁紙に染みついていると、目立つ汚れや破損がなくても原状回復費用が高くなります。それらの臭いは、壁紙だけでなく壁自体に染みついてしまうためです。

壁紙を剥がしても臭いが取れないこともあり、臭いが染みついている壁の上から壁紙を貼ると、臭いが新しい壁紙に移ってしまいます。

その場合は新しい壁紙を貼り替える前に、別途消臭作業を行うために追加費用が発生します。消臭作業の費用やかかる時間、作業内容は業者によってまちまちですが、ワンルームで1万6,500~12万円程度が相場です。

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賃貸で壁紙を貼り替えるときの注意点

賃貸物件で壁紙を貼り替える場合は、まず内装制限の有無を確認しましょう。内装制限がない場合は、元に戻しやすい方法で壁紙を貼り替えることが可能です。

  • 内装制限の有無を確認する
  • 元に戻せる方法で貼り替える

内装制限の有無を確認する

賃貸で壁紙を貼り替える前には、『内装制限』の有無を確認しなければなりません内装制限とは建物の用途や規模に合わせて、使用する内装材が制限されていることです。

火災が起こった際、内装が燃えて有害なガスが発生したり、炎が燃え広がったりします。建物内部から人が安全に避難できる時間を確保するために、内装に燃えにくい『難燃性』『不燃性』の素材を使用するルールが内装制限です。

内装制限がある場合、壁紙に使える素材が制限されるため、壁紙の貼り替えができません。上から剥がせる壁紙を貼ることも禁止されているため、注意しましょう。

元に戻せる方法で貼り替える

内装制限がない賃貸物件の場合、現在の壁紙はそのままで、上から剥がしやすい壁紙を貼る方法なら壁紙を変えられます。シールタイプの壁紙なら上に重ねて貼れるだけでなく、粘着力が強すぎないため、原状回復がしやすいでしょう。

また、剥がしやすく、水拭きできれいに拭き取れるのりを使えば、好みの壁紙も楽しめます。微粘着で剥がしやすく作られている、貼って剥がせる両面テープを使用するのも一案です。

条件を知り賃貸の壁紙原状回復費用を抑えよう

賃貸物件を退去する際、壁紙の原状回復費用を貸主・借主のどちらが負担するかは、物件の使用状況によって異なります。

借主が住んでいる間に掃除や手入れをきちんと行い、壁紙の汚れが経年劣化によるもののみの場合は貸主が、故意または不注意による汚れの場合は借主が原状回復費用を負担することになります。

壁紙の原状回復費用を抑えるためには、きちんと掃除を行い、タバコなどの臭いが付かないように過ごすことが重要です

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