感染症対策や結露の防止など、換気にはたくさんのメリットがあります。
しかし、正しく効果的な換気方法を知っている人は意外と少ないのではないでしょうか。
この記事では、適切な換気の回数・時間や、正しい換気方法をご紹介します。
部屋の換気はなぜ必要?
そもそも、部屋の換気はなぜ必要なのでしょうか。換気にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
感染症対策
感染症を防ぐためには「3つの密」(密集・密閉・密接)を回避することが有効です。
ウイルスが部屋の中にとどまると、クラスターの発生につながりかねません。
厚生労働省によると、新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち、他の人に感染させているのは2割以下で、多くの人は他の人に感染させていないと考えられています。
このため、密閉された環境で多くの人と接するなどによって1人の感染者が何人もの人に感染させてしまうことがなければ、新型コロナウイルス感染症の流行を抑えることができるのです。
▽2021年6月時点での新型コロナウイルス感染症の患者数や病原性、検査・治療、変異株については以下をご参照ください。
結露を抑える
寒い冬には、窓や壁に結露が発生しますよね。これは室内と外気の温度差によるものです。
結露を放っておくと、床や壁紙、カーテンを傷めてしまいます。
換気をすることで室内と外気の温度差を抑えたり、部屋の湿気を逃がすことができます。
カビ・ダニの防止
カビやダニは湿気が大好き。さらに室内の通気が悪くなると、ホコリがたまりカビやダニのエサとなります。特に梅雨の時期は、晴れ間には換気をしてカビやダニの繁殖を防ぎましょう。
部屋の臭いを外に逃がす
換気をすることでトイレやキッチンから発生する臭いをはじめ、部屋にたまった様々な臭いを外に逃がすことができます。
新鮮な外気を部屋に取り入れると気分もリフレッシュできますよね。
化学物質によるシックハウス症候群の予防
シックハウス症候群とは、建材などから発生する化学物質による空気汚染や健康被害のことです。
現在の建築物は防シロアリ剤や防カビ剤、接着剤など多くの薬品を使っています。こうした化学物質によって頭痛やめまい、ぜんそくの症状が出てしまうこともあるのです。
シックハウス症候群を防ぐためには、適切に換気を行って、部屋の空気を新鮮に保つ必要があります。
換気しないとどうなる?
換気をしないと、上記の「感染症、結露、カビ・ダニ、部屋の臭い、シックハウス症候群の防止ができない」ことに加えて、仕事の効率や暗記力、論理力に影響がでるといわれています。
理想の換気時間と頻度
1回に何分窓を開ければよいのか、1日に何回換気をすればいよいのか、自分で判断するのは難しいですよね。
正しい換気方法とはどのようなものなのでしょうか?
換気の頻度は1日4~5回
換気の頻度は1日に4~5回が望ましいでしょう。
部屋にいる間であれば、2時間に1回程度が理想です。
特に寝ている間にこもっている空気を払うための「起きてすぐの換気」や、「帰宅後の換気」は重要になります。
また、リビングなどの広い場所よりも、トイレや浴室など狭くて湿気のこもりやすい場所の方が換気の必要性は高くなります。特に浴室やキッチンは、使用後は必ず換気をするようにしましょう。
換気時間は1回5分程度
6~8畳の一般的な広さの部屋なら、1回の換気につき5~10分程度換気すれば十分です。
窓の大きさや数、部屋の広さに合わせて換気時間を変えましょう。
換気に最適な時間帯は湿度の低い12時~16時
換気のポイントに「部屋の湿度を下げる」という点があります。
そのため換気は1日のうちで最も湿度の低い12~16時に行うとよいでしょう。
冬の早朝は湿度が高い!
早朝は湿度が高く、結露の原因となります。
冬の換気は特に、湿度の低い昼間に行いましょう。
花粉症の人は早朝の換気がおすすめ
逆に花粉の舞う春秋には、花粉症の人は早朝に換気することをおすすめします。
昼間は花粉の飛散量が多くなるからです。
また、レースカーテンを閉めたまま換気することで、花粉が室内に侵入するのを防ぐことができます。
正しい換気方法はこれだ!気をつけるポイントを解説
ただ窓を開けるだけでは、換気の効果を十分に発揮することはできません。効率よく換気するために、以下のポイントを押さえて換気を行いましょう。
空気の通り道【空気の入口は狭く、出口は広く】
空気を入れ換えるには、空気が通る流れを作ることが重要です。
窓を1カ所だけ開けても、空気が侵入した後の出口がないため、空気が滞ってしまいます。
理想は対極に2カ所の窓を同時に開けることです。
新鮮な外の空気の入口となる窓は全開にせず、空気が出ていく出口を広くとると、自然に空気の流れをつくることができます。
寒い冬は室温が下がらないように工夫して換気しよう
寒い冬、換気によって部屋が冷えてしまうことはできるだけ避けたいですよね。
できるだけ部屋の温度を下げずに室内の空気を入れ替えるために、
- 1回の換気時間を短くしてこまめに換気する
- 暖房近くの窓を空気の入口にして、取り入れる空気が暖まるようにする
- 人のいない部屋の窓を開けて、室内暖められた空気が人のいる部屋に入ってくるようにする
などのポイントをおさえて換気してみましょう。
扇風機やサーキュレーターを活用しよう
窓が1カ所しかない場合は、扇風機やサーキュレーターを使うのも有効です。
開けた窓の方向に向けて稼働することで部屋の空気を押し出し、自然に空気の循環を生みます。
部屋の中に向けて稼働すると、室内の汚れた空気が外に出ていきににくくなってしまうので注意しましょう。
なお扇風機は広範囲に短く、サーキュレーターは直線的に遠くまで風を起こすという違いがあります。それぞれの特性を考慮して設置場所を検討しましょう。
家具と壁のあいだに隙間をつくろう
家具と家具のあいだ、家具と壁のあいだには5cm程度の隙間をあけることが望ましいです。
家具と壁のあいだにも空気の通り道をつくってあげると、より効果的にカビ・ダニや結露を防止できます。
床カビの発生を防ぐには、家具の下にすのこなどの風通しできるものを敷くとよいでしょう。
虫の侵入に注意!
窓やドアを開けると、虫が室内に侵入してしまう恐れがあります。
換気の際には網戸を活用しましょう。
エアコンで換気はできない
一部換気機能がついているエアコンもありますが、ほとんどのエアコンで部屋の換気はできません。
エアコンは室内の空気を循環させるものなので、エアコンを稼働しても外気を取り込むことはできないのです。
「24時間換気システム」って何?正しく使うには
近年の住居には、24時間換気システムという換気システムが備わっています。部屋の空気をきれいに保つために、24時間換気システムを正しく活用しましょう。
24時間換気システムとは
「24時間換気システム」とは、住居についている「吸気・排気を自動的に行う換気システム」のことです。
- 窓を開けたり換気扇を回さずとも換気ができる
- 稼働すると1つですべての部屋を換気できる
というメリットがあります。
例えばトイレについてる換気扇が24時間換気システムのなかで排気の役割を果たす場合、トイレの換気扇を稼働するだけで他の居室も換気できるのです。
2003年以降は法律で義務化されている近年の建築物は機密性が高いため換気が十分にできず、シックハウス症候群などの被害が出ることが多くなっていました。 そこで、2003年7月に建築基準法が改正され、住宅には24時間換気システムを設置することが義務付けられたのです。 20003年以降に建てられた建物であれば、必ず24時間換気システムがついています。 |
24時間換気システムの存在を知らずに稼働していなかったり、冬場は寒いからとオフにしていたりしませんか?
▽24時間換気システムの図説や、換気扇との違いは以下の記事をご参照ください。
気になる電気代は?
24時間換気システムの電気代は、24時間ずっとつけっぱなしでも月額数百円程度です。
冷暖房が月に平均2,000円程度とされていますが、その金額と比較しても安いことがわかるのではないでしょうか。
月に数百円で、シックハウス症候群やカビなどを予防していると考えれば、かなりコスパがよいといえます。
24時間換気システムは窓開けの換気と併用しよう
24時間換気システムと窓を開けて行う換気は、どちらも行うようにしましょう。
24時間換気システムだけでは、推奨されている1日の換気量に満たないこともあるからです。
窓開けの換気と組み合わせることで、より効果的に換気をすることができます。
適切な換気で健康を維持しよう
換気は人が暮らしていく上で、健康被害や建物へのダメージを防止するためにとても重要です。1日数回、適切な時間帯に換気を行うことが大切になります。
その際、家具のすき間を作る、対極となる2カ所の窓を開けるなどして、空気の通り道を作りましょう。サーキュレーターや扇風機、換気扇を使うのも有効です。
また2003年以降に建てられた建物については、24時間換気システムの設置が義務付けられています。月に数百円の低コストで部屋を換気してくれるため、付けっぱなしにしておくようにしましょう。
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換気扇を有効活用し快適で健康的な生活を維持しましょう。