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「屋号」の読み方は?個人事業主の屋号に関する基本の「キ」

最終更新日: 2024年06月28日

個人事業主やフリーランスが、活動する際に使用する屋号。
しかし、独立したばかりの新米フリーランスだと、屋号について「読み方すら分からない」ということもあるのでは。本記事では、屋号とはどういうものか、基本事項をお伝えします。

「屋号」の読み方は?なんのためにあるの?

個人事業主
屋号ってなんのためにつけるの?

「屋号」という言葉は日常生活ではなかなか使用しない言葉だと思います。もし、読み方が分からなくてもここで「やごう」と読むことを覚えてください。それ以上に重要なことは、屋号とはどのような役割を果たすものかを正確に理解していただくことです。特に、個人事業などで重要な役割を果たす屋号についてまずは基本事項から確認していきましょう。

屋号は「やごう」と読む

屋号はそのまま「やごう」と読みます。もともと屋号は職業や先祖名、屋敷の所在場所などに由来する名称で、家や屋敷を特定するために名字(姓)に代わる通称として使われていたものです。その名残もあり、現在では個人事業主の方が事業を行う際に使用するビジネスネームや法人が展開する店舗の名称などとして使用されています。

屋号は個人事業主のビジネスネーム

屋号は主に個人事業主や法人のビジネスネームとして広く活用されています。例えば、○○さんという名字の人が営む本屋を「○○書店」とすることや、△△という地名で食堂を開いたときに「△△食堂」と名付けることは屋号の使用によるものです。一般的に個人事業主は法人と比べると信用面で劣ると考えられていますが、この屋号を使用することによって事業を営んでいることが明確に分かる点は信用面で大きくプラスに働きます。

屋号を活用する場面と使用するメリット

屋号は主に以下のような場面で活用することができます。

  • 請求書や領収書の発行
  • 名刺へ名前と併せて屋号を併記
  • 屋号付き銀行口座の開設

屋号を活用することの一番のメリットは事業を営んでいる個人事業主であることを伝えられる効果です。個人名で取引するよりも、「○○書店」という事業を営んでいる個人事業主と取引を行う方が取引先にとっては安心感が生まれるものです。

また、業種などを表す屋号を付けると、どのような事業を営んでいるのか認識してもらえる効果があり、名刺に名前と併記することで名前と事業内容を併せて覚えてもらえる効果もあります。事務処理上の観点からは、屋号付きの銀行口座を開設できることがメリットです。基本的に、銀行口座は個人事業主本人の個人名義で開設することとなりますが、屋号を使用している場合は個人名の前に屋号を入れた口座を作ることができます。これにより、事業に使用するお金の入出金を個人のものと明確に分けることができ、事業用資金の把握が容易になることも大きなメリットです。

屋号と会社名はどう違うの?

屋号は法人が使用している会社名とも混同されがちですが、双方には根本的な違いがあります。法人が使用している会社名は商号と呼ばれ、法人設立の際に必ず登記される事項です。一方で、個人事業主などの使用する屋号は登記する義務がないため一般的には登記されるケースはあまりありません。この登記の有無が屋号と会社名である商号の大きな違いです。商号は登記されることにより一定の法律による保護を受けることができ、不正目的による同じ商号の使用を排除できる権利などを有しています。しかし、商号として登記されていない屋号についてはこのように法律で保護されることがありません。

屋号の登録方法

屋号は開業届の屋号欄に記入するだけで簡単に登録可能!

個人事業主の屋号は前述の通り登記する必要はありません。しかし、税務署に対しては屋号を登録する必要があります。また、個人事業主が確定申告を行う際には申告書に屋号の記載欄があるため、必要に応じて屋号の記入も必要です。ここからは、屋号の登録方法や変更した場合の届出について確認してみましょう。

屋号を登録するには「開業届」を税務署に提出

屋号を登録するためには税務署に「開業届」を提出する必要があります。この「開業届」の正式名称は「個人事業の開業届出」で、個人事業主が事業を開始するときに管轄の税務署に必要事項を記載して提出しなければならない書類です。この届出の中に、屋号とそのフリガナを記載する欄があるので、そこに屋号を記載して届出を提出するだけで登録は完了します。「個人事業の開業届出」の書式は国税庁HPからダウンロード可能です。

開業届の屋号欄は空白でもOK

上記の開業届は事業を開始するときに提出しなければならない書類ですが、事業の開始時点では屋号が決まっていないこともあります。

このような場合は屋号の欄を空白で提出することも可能です。また、法人の使用する商号は必ず会社の設立手続きの中で商号登記をする義務がありますが、個人事業主が使用する屋号は登記の義務はありません。

そのため、必要がなければ屋号を使用する必要もありません。屋号を使用しない場合は個人事業主の個人名が事業者の名称となり、特別な届出なども一切不要です。

また、個人事業主として提出する確定申告書にも屋号の記載欄はありますが、ここも空白で提出することができます。

屋号変更時も届出の必要なし

屋号は必要に応じて途中で変更することも可能です。この場合、特に変更届などを提出する必要はなく、変更後に提出する確定申告書の屋号欄に変更後の屋号を記入します。

同様に、事業開始のときに屋号を使用していなくて後から屋号を登録する場合でも、確定申告書に屋号を記入するだけで手続きは完了です。

屋号のつけ方は?ルールを確認

個人事業主の顧問税理士
屋号の付け方・ルールを確認しておきましょう

個人事業主が使用する屋号は基本的に自由につけることができます。ただし、法律によって使用することが禁止されている文字などもあるため、いくつかのルールを守る必要があります。ここからは屋号のつけ方のルールについて詳しく確認してみましょう。

屋号には英数字なども使用可能

屋号は基本的に自由につけることができます。漢字や平仮名・カタカナ・アルファベット・数字・記号の一部などを自由に組み合わせた屋号を使用することが可能です。そのため、事業の内容が分かるような名前や覚えてもらいやすい名前を意識して屋号を決めることが重要になります。

他者と同一の屋号も使用可能

屋号は原則的に法律による保護がないので、他者と同一の屋号も使用可能です。ただし、その屋号が商号として登記されている場合には同じ市町村にで同じ名前の商号を使用することはできません。

同じ住所でない場合でも、有名企業の商号や有名なブランド名は商標として登録されている可能性が極めて大きいです。そのような名称を屋号として使用すると、不正目的でなくても商標権を侵害した場合には損害賠償を請求される可能性があります。

また、この商標権は類似した名称にもその権利の範囲が及ぶため、屋号をつける際には同じような名称がないかチェックすることも重要です。

関連記事:商標の検索を自分でする方法は?出願前に類似商標の有無を確認!

社名と混同するような屋号はNG

屋号は基本的に自由に決めることができますが、株式会社などの会社形態を表す文字は使用することができません。これは会社法という法律で定められており、会社の事業形態で事業を行うもの以外は会社の文字を使用してはならないという規定に基づくものです。

逆に、会社として事業を行うものは、必ず名称の前か後ろに株式会社や合同会社などの会社形態をいれて商号をつけなければならないと定められています。

まとめ

屋号の読み方から屋号のつけ方まで、屋号の基本について確認してきました。屋号は個人事業主の方が使用できる便利なビジネスネームで、その使用によって円滑に事業を進める効果などがあるものです。

また、基本的には登録手続きも簡単で、屋号の決め方についても基本的に自由な名称を使用することができます。個人事業主の方やこれから起業を考えている方には、必要に応じて屋号を有効活用すると良いでしょう。