パソコンのウイルス対策が重要なことは、多くの人が知っているはずです。では具体的には、どのような対策を取ればよいのでしょうか。ウイルスの脅威からパソコンを守るために、対策の基本をおさらいしておきましょう。
パソコンのウイルス対策の重要性
パソコンのウイルス対策の重要性は知っていても、具体的にどのような被害がもたらされるのか知らない人も多いはずです。
対策を疎かにしていると自分のパソコンだけでなく、周囲のパソコンやネットワークに被害が出る可能性も否めません。まず、コンピューターウイルスとは何か、基本的なところから理解しておきましょう。
コンピューターウイルスとは?
コンピューターウイルスとは、他人のパソコンのプログラムやデータベースなどに対し、悪意を持って被害を及ぼすために作られたプログラムの総称です。
感染すると、パソコンが正規の挙動を取れなくなったり、ハードディスクに保存してある情報が抜き取られたりするなど、さまざまな被害がもたらされます。
自分のマシンに被害が出るだけでなく、感染したパソコンを踏み台にして、他人のコンピューターやネットワークにも、被害がどんどん拡大する可能性があります。
増加するウイルスの被害
コンピューターウイルスの被害は年々増えており、有名な企業や行政機関などがウイルスの被害に遭う事件がたびたび報告されています。
例えば2020年には、ベトナムでウイルスの被害が爆発的に拡大しました。主に特定の企業や組織の情報を狙って行われる標的型攻撃と呼ばれるもので、80万台ものコンピューターがウイルスに感染してしまい、1,000億円以上の被害額が報告されています。
日本でも、2020年に「Emotet(エモテット)」と呼ばれるウイルスがばら撒かれ、迷惑メールなどを通じて感染被害が拡大しました。
いずれも新型コロナウイルスの影響で、在宅勤務やテレワークなどが増えたことが背景になっており、セキュリティの甘い個人用のパソコンから被害が拡大した可能性があります。
企業はもちろん、個人でパソコンを使う場合にも、セキュリティ対策は徹底しなければいけません。
ウイルスに感染すると、どうなる?
パソコンがコンピューターウイルスに感染すると、具体的にどういう症状が起こるのでしょうか? 感染してしまったウイルスの種類によって症状はさまざまですが、一般的には以下のような症状や被害がもたらされます。
パソコンの挙動がおかしくなる
パソコンの使用中、突然ポップアップが表示されるようになったり、再起動を繰り返したりするなど、挙動がおかしくなるのがウイルスの典型的な症状です。
さらにパソコンの動作が極端に重くなったり、場合によっては、全く起動しなくなったりなど、深刻な被害がもたらされる場合もあります。
これらは比較的分かりやすい症状であるため、挙動がおかしいと感じたら、すぐにウイルス対策ソフトなどでセキュリティチェックを行いましょう。
データが破壊・改ざんされる
ハードディスクに保存していたデータがウイルスによって破壊されたり、情報を改ざんされたりする場合もあります。特に企業の場合、業務に関係する資料や、顧客情報などがターゲットにされる可能性が高く、日常業務に大きな支障が出る恐れがあります。
またウイルスによって、パソコンのシステムファイルが勝手に上書きされるケースもあるようです。システムファイルが書き換えられると、OSが正常に起動できなくなるため、パソコンが全く使えなくなる可能性があります。
個人情報の流出
パソコンがウイルスに感染することで、個人情報が外部に流出してしまう可能性も高くなります。個人の場合、ショッピングサイトなどのIDやパスワードが盗まれると、不正使用によって金銭的な被害がもたらされる場合もあるでしょう。
またインターネットで買い物をすると、クレジットカードの情報がキャッシュに保存され、それがウイルス感染によって盗まれる事件も起こっています。盗まれた情報が悪用されて、身に覚えのない請求が来る可能性もあるので注意が必要です。
企業の場合は、顧客情報や取引先の情報が流出し、社会的な信用を失ってしまう恐れがあります。実際、ウイルスによって顧客情報が流出して問題になる企業が後を絶ちません。
他者のパソコンに被害を及ぼす
ウイルス感染したパソコンが踏み台にされて、他のパソコンやネットワークに被害をもたらす可能性もあります。
いわゆる「乗っ取り」と呼ばれるもので、パソコンを遠隔操作されてしまい、スパムメールの発信元にされてしまったり、犯罪行為のホストとして悪用されてしまったりする可能性もあるのです。
他者のパソコンに被害が及んだ場合、たとえ乗っ取られたパソコンの持ち主に悪意がなかったとしても、責任が問われる事態になりかねません。
二次被害をもたらさないためにも、パソコンの挙動が少しでもおかしいと感じたら、すぐに対処する必要があります。
代表的なウイルスのタイプ
パソコンにさまざまな被害を及ぼすコンピューターウイルスには、以下のような種類があります。それぞれ特徴があるので、ここで代表的なウイルスのタイプを押さえておきましょう。
ワーム型
ワーム型は自らのコピーを作り出し、次々とファイルに感染していくタイプのコンピューターウイルスです。非常に自己増殖力が高く、感染するのに宿主となるファイルを必要としません。
他のファイルに寄生する形で行動するのではなく、完全な単独プログラムとして動けるため、一度パソコンが感染すると、すぐに内部に感染が広がってしまいます。
過去に最もパソコンに感染したウイルスはワーム型といわれており、世界中で被害が報告されています。
マクロ型
マクロ型とはMicrosoftの代表的な製品であるWordや、Excelなどのマクロ機能を悪用して感染するタイプのウイルスです。
マクロ機能はアプリケーション上の作業を自動化できるもので、ビジネスシーンでもよく使われています。業務で活用している人も多いでしょう。
とても便利な機能ですが、マクロ型のウイルスに感染してしまうと、機能そのものが乗っ取られてファイルを勝手に書き換えられたり、削除されたりする可能性があります。
感染したアプリケーションで作成されたファイルから、どんどん被害が広がってしまうのも特徴です。
ファイル感染型
ファイル感染型は、コンピューターのプログラムに感染するタイプのウイルスの総称です。
ワーム型のように自律活動するのではなく、宿主となるファイルに寄生し、制御を奪うことでコンピューターにさまざまな被害をもたらしながら、増殖していきます。
大きく分けて「上書き型」と「追記型」があり、前者は感染したファイルの内容を書き換えるもので、後者はファイルの一部に不正なプログラムコードを書き加えるタイプです。
追記型は不正に書き込まれた部分を取り除けば、ファイルの復元が可能な場合もありますが、ファイルを完全に上書きするタイプの場合、復元が非常に困難になります。
トロイの木馬型
トロイの木馬型のウイルスは、パソコンから情報を盗み出したり、重要なファイルを削除したりするのが目的の不正プログラムです。増殖するタイプではないものの、単独で動作できるため、知らず知らずのうちに、情報が外部に流出する恐れがあります。
外部のプログラムをインストールした場合に感染することが多いので、怪しいプログラムをダウンロードしないことや、不審なメールを開かないといった、基本的な対策を徹底する必要があります。
出所の怪しいプログラムはもちろん、一見、有用に思えるアプリケーションでも、内部にトロイの木馬が仕込まれているかもしれません。
特に海外のWebサイトからダウンロードする場合は、インストールする前に、ウイルス対策ソフトでチェックすることをおすすめします。
有効なパソコンのウイルス対策
代表的なウイルスの種類を説明したところで、基本的なウイルス対策を確認していきましょう。ほとんどのコンピューターウイルスは、基本的な対策を怠らなければ感染を防げます。
セキュリティソフト・ウイルス対策ソフトの導入
パソコンには必ず、セキュリティソフトやウイルス対策ソフトを導入しましょう。セキュリティソフトはコンピューターウイルスの感染を防止し、不正アクセスや外部への情報流出を防いでくれるソフトウェアです。
一方、ウイルス対策ソフト(アンチウイルスソフト)は、ウイルスの感染防止と駆除に特化したソフトウェアです。万が一、パソコンがウイルスに感染した場合、それを検知して駆除してくれます。
両者は明確に区別される場合もありますが、近年はセキュリティソフトとウイルス対策ソフトの機能を兼ね備えた製品が多く、ほとんど区別されなくなってきました。
そのため導入する際には、具体的にどういう機能を有しているか確認するようにしましょう。
なおWindows 8以降には、Microsoft純正のセキュリティソフトである「Windows Defender」が標準搭載されています。セキュリティ性能が高く、ほとんどの脅威は Windows Defenderが有効になっていれば防ぐことが可能です。
ただし市販のセキュリティソフトに比べると機能に乏しい面があるため、迷惑メールやWebサイトの広告ブロック機能、より強力なファイアーウォール機能などを求める場合は、サードパーティーのセキュリティソフトを導入すると良いでしょう。
怪しいメールは開かない
多くのコンピューターウイルスは、メールによって拡散しているので、怪しいメールが届いたら安易に開かないようにしましょう。特に、添付ファイルにはウイルスが仕込まれている可能性が高いので、ファイルが添付されたメールには注意が必要です。
たとえ送信元が知っているアドレスだったとしても、アドレスを偽っている可能性もあるので、添付ファイルとともに届いたメールは、できるだけ送信元に確認を取ることが重要です。
不審なWebページにアクセスしない
Webページ内にウイルスが仕込まれているケースもあるので、不審なページにアクセスしないように注意することも大事です。
ページを開くだけで感染するケースも報告されていますが、ページ内の画像をクリックしたりファイルをダウンロードしたりすることで、ウイルスに感染してしまう可能性が高いようです。
特に海外のWebサイトには危険なページも多いので注意しましょう。ページのタイトルや説明文で、内容を把握できないところは避けた方が無難です。
接続するHDDやUSBメモリに注意する
持ち運び型のHDDや、USBメモリなどの記録媒体を介して、ウイルスに感染するケースも多くあります。身に覚えのない外部メディアは、基本的にパソコンに接続しないようにしましょう。
仕事などで他の外部メディアを利用する場合もあるかもしれませんが、パソコンでアクセスする前に、ウイルスチェックを習慣づける必要があります。
たとえ自分の所有しているメディアでも、定期的にウイルスに感染していないかチェックするようにしましょう。
ウイルスに感染してしまった場合の対処法
基本的なウイルス対策をしておけば、ほとんどのウイルスは感染を予防できます。しかし、それでも万が一、ウイルスに感染してしまった場合は、すぐ以下のように対処しましょう。
インターネットの接続を遮断する
まずは、ウイルスに感染したパソコンから情報が流出したり、他のネットワークに被害を出したりしないように、すぐインターネットの接続を遮断しましょう。
さらにLAN内にある他の端末にも被害を出さないために、全てのネットワークから感染したパソコンを隔絶する必要があります。完全にスタンドアローンの状態にして、被害が拡大を防ぎましょう。
駆除ツールを使って駆除する
感染したパソコンをネットワークから隔離したら、ウイルス対策ソフトを使って駆除します。
古い対策ソフトの場合、ウイルスの定義ファイルも古い場合があるので、最新バージョンの対策ソフトを使いましょう。日頃からパソコンに対策ソフトをインストールしておけば、自動で定義ファイルもアップロードされるので問題ありません。
OSを初期化・リカバリーする
ウイルス対策ソフトを使っても、うまくウイルスを駆除できなかった場合は、OSの初期化やリカバリーが必要です。
コンピューターウイルスもプログラムの一種なので、OSをインストールし直して、最新バージョンにアップデートすれば、結果的にウイルスも駆除できます。
OSを初期化すると、保存されているデータが削除されてしまうため、事前にバックアップを取っておきましょう。ただし、初期化後にデータを戻す場合は、ウイルスに感染していないか、しっかりとチェックする必要があります。
パソコンのウイルス被害を防ぐために
次に日頃からパソコンのウイルス被害を防ぐために、やっておきべきことを解説します。いずれも安全にパソコン作業を行うための基本なので、疎かにしないようにしましょう。
OSやアプリケーションを最新の状態にする
OSやパソコンのアプリケーションは、常に最新の状態にしておくことが重要です。ソフトウェアのアップデートは、セキュリティの脆弱性が発見された際にリリースされる場合も多いので、適用せずに放置していると、ウイルスに感染しやすくなります。
ベンダーからセキュリティパッチがリリースされたら、すぐにインストールして適用しましょう。特にアプリケーションの場合、ユーザーが知らないうちに最新バージョンが出ている場合もあるので、定期的に確認する必要があります。
データのバックアップを取っておく
万が一、ウイルスに感染してデータが破壊されたり、改ざんされたりする可能性に備えて、重要なデータはバックアップを取っておきましょう。特に企業の場合、顧客データなどがウイルスに感染すると、業務に多大な支障が出てしまいます。
パソコンをウイルスに感染させないことが大前提ですが、もしウイルスに感染してしまった場合、バックアップデータが別の場所にあれば、被害を最小限に抑えられるでしょう。
ウイルス駆除のためにパソコンを初期化する場合にも、バックアップデータがあれば元の状態に復旧できます。
おすすめのウイルス対策ソフト
では最後に、パソコンのセキュリティを強化するウイルス対策ソフトを紹介しておきます。いずれも数あるセキュリティソフトの中で、トップレベルの人気を誇るソフトです。
ESET インターネットセキュリティ
ESET インターネットセキュリティは、非常に高いウイルス検出力と、動作の快適性に定評のあるセキュリティソフトです。
ウイルスソフトは、パソコンの動作を重くすると考えているユーザーは多いようですが、多くのセキュリティソフトの中でも、ESETは特に動作の軽さで高い評価を得ています。
ネットワーク内のデバイスやライセンスを一元管理できる機能を備えており、子どものインターネット使用のモニタリング機能もあるので、家族でパソコンを使用する際にもおすすめです。
ESET インターネットセキュリティ
カスペルスキーセキュリティ
カスペルスキーセキュリティは、さまざまな機能がバランス良く実装されており、多くの第三者機関から最高の評価を得ている、信頼性の高いセキュリティソフトです。
ランサムウェアの対策機能や、インターネット上での決済情報を保護する機能を備えていて、ファイアーウォールの性能も高いのが特徴です。
特に、ネット決済の保護機能は、他のセキュリティソフトにはあまり実装されていないので、インターネットで頻繁に買い物をしたり、ネットバンキングをしたりする人におすすめできます。
カスペルスキーセキュリティ
ウイルスの脅威からパソコンを守ろう
近年、コンピューターウイルスの脅威がますます高まっているため、パソコンのウイルス対策は極めて重要だといえます。パソコンを守るためにはセキュリティソフトの導入はもちろん、怪しいメールを開かないなどの基本的な対策が大切です。
誰でも日頃からできる取り組みで、ほとんどのウイルス脅威は排除が可能です。面倒だと思わずにできることから対策をしておきましょう。
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