マザーボードの電池切れが原因で、パソコンが正常に作動しないケースがあります。電池切れで起こりやすい症状や電池の交換方法を紹介します。また、電池交換で解決しないときの対策も確認し、快適に使用できる環境をキープしましょう。
マザーボードに電池が必要な理由
通常、パソコンはコンセントに電源コードを挿して使用しますが、バッテリーとは別に、マザーボード自体にも電池が組み込まれています。
なぜマザーボードに電池が必要なのか。その理由と電池の種類について解説します.
BIOS/UEFIの設定を保持するため
電池が設置されている主な理由は「BIOS」または「UEFI」に記録された設定を保持するためです。電源を切ったりコンセントから電源コードを抜いたりしても、重要なデータが保持されるようになっています。
BIOS/UEFIは、Windowsのマザーボードに搭載されているプログラムです。起動直後に立ち上がり、接続機器の入出力をコントロールして、先にOSを読み込む役割を持っています。
以前はBIOSを搭載しているパソコンがほとんどでしたが、近年ではUEFIが主流です。
電池の種類は基本的にCR2032
使用されている電池は「CR2032」が多く、見た目は丸くて平たい形状の「ボタン電池」になります。
ただしパソコンによって使われている規格が異なる場合もあります。一見同じように見えても種類が豊富なため、間違えないように注意が必要です。購入前には付属の取扱説明書や実物を見て、規格を確認しましょう。
また日常的に使われている電池ではないため、近くのコンビニでは手に入らないことも考えられます。必要なときにパソコンが使えなかったり、すぐに手に入らず焦ったりしなくて済むように、あらかじめ予備を常備しておくと安心です。
電池切れを疑う症状は?
パソコンに精通していない人は正常に作動しないとすぐに「故障した?」と思いがちですが、実際には単なる電池切れが原因の場合もあります。どのような症状が出るのかを知っておくと、すぐに電池切れの可能性に気がつけるでしょう。
分かりやすいのは時計が狂う
いくつかある症状の中で分かりやすいのが「時計」です。時計は電池で動いているため、電池切れになると時間が徐々にずれていきます。
パソコンを再起動したり、正確な時間に再設定したりしても時間のずれがある場合は、電池切れの可能性が高いです。
パソコン作業をしているときは、パソコンの時計を見て時間を確認している人も多いでしょう。時間がずれていることに気が付かず、仕事や約束の時間に遅刻してしまうことも考えられるため、早めに取り換えるのがおすすめです。
BIOS/UEFI画面でフリーズする
電池が切れるとパソコンの起動時にBIOS/UEFI画面でフリーズする症状も起こりやすくなります。フリーズとは画面がまるで固まったように停止し、正常に作動しない状態です。
画面がフリーズすると「故障ではないか?」と慌ててしまうかもしれませんが、焦って設定を変えてしまうと、思わぬトラブルを引き起こすこともあります。まずは冷静になり、電池が切れていないかを確認しましょう。
OSが起動しない
パソコンの電源を入れても一向にOSが起動しないのも、よく起こる症状の一つです。電池切れが原因でパソコンへの電気の供給がストップしてしまうためです。
OSが正常に立ち上がらないと深刻な故障だと判断し、修理に出す選択をする人が多いでしょう。実際に多くの原因は故障ですが、単なる電池切れの可能性も否定できません。修理に出す手間を少しでも省くために、まずは電池の交換をおすすめします。
本当に電池切れしているかは測定器で確認
前述の症状はあくまでも電池切れの疑いがあるというスタンスで、確実ではありません。確実に電池切れしているかを知るには、「測定器」を使う必要があります。
測定器を使うメリットは電池切れが確実に分かる点と、電池切れを起こす前に交換をして対策できる点です。しかし、電池切れは頻繁に起こる症状ではないため、使用頻度を考えると、コストパフォーマンスの良い買い物とは言えないかもしれません。
電池の交換方法
パソコンは精密機器のため、取り扱いには注意が必要です。故障など思わぬトラブルを避けるためにも、正しい交換方法を把握しておきましょう。電池交換における注意点と手順を紹介します。
パソコンの電源は必ず切る
電池交換をするときは、必ずパソコンの電源を切ってから行います。電源コードも抜いておくと、さらに安心です。電源が入ったままの作業は部品の破損を引き起こす原因になり、状況によっては感電のリスクも考えられます。
また、マザーボードは静電気に弱いのが特徴です。自分では静電気に気づきにくいため、無意識にトラブルを引き起こしてしまうこともあるでしょう。ほかの金属製品に触れて静電気を逃してから作業を行うと、静電気防止になります。
ケースを取り外す
マザーボードはパソコンのケース内にあるので、最初にケースを取り外します。ケースはネジで固定されているため、ドライバーを使ってネジを外して開けましょう。
ネジはかなり小さいため、うっかり失くさないように注意してください。
電池の型番を確認して交換する
ボタン電池の取り外しはワンタッチでできる仕組みになっているため、簡単に取り外しが可能です。なかなか取り外せないときは、マイナスのドライバーや定規など、薄くて硬い物を引っ掛けるようにすると取り外しやすくなります。
交換する際は、ほかの部品に触れないように注意してください。不具合や故障につながる可能性があります。
電池を取り外したら、必ず型番を確認しましょう。使われているボタン電池は「CR2032」が多いですが、規格が違う電池が使われていることもあります。電池のプラスとマイナス(裏表)も確認し、間違えずに取り付けましょう。
マザーボードの電池に関する疑問を解決
「電池の寿命はどれくらい?」「電池を長持ちさせるには?」「取り付け場所が分からない」など、よくある疑問について解説していきます。
寿命と交換頻度を抑える方法
使用状況やメーカーにもよりますが、電池の寿命は3~4年ほどです。
少しでも電池の寿命を長持ちさせたい人は、パソコンの電源コードをコンセントにつないだままにしましょう。パソコンの電源を落とした後も電気が供給され続けるため、消耗しにくくなるためです。
ただし、落雷のリスクは考慮しておきましょう。落雷は故障を引き起こすだけでなく、感電や火災の原因になるケースもあります。
落雷の可能性があるときは、コンセントから抜いておきましょう。
取り付け場所が分からない場合
マザーボードの電池はむき出しの状態で取り付けられていることがほとんどです。中央付近に設置されていることが多いため、もし見当たらない場合は中央部分を確認しましょう。
メーカーの設計によってはむき出しの状態ではなく、周辺の精密機器に隠れて見えないこともあります。隠れている可能性が高いのは拡張スロット部分です。
大きな拡張スロットから順に取り外して確認してみましょう。取り外す際は思わぬ不具合を起こさないために、他の精密機器に触れずに慎重に行うことが重要です。
電池交換してもPCが作動しないときは?
マザーボードの電池を交換してもPCが作動しない場合、別の原因が考えられます。具体的な原因と対処法について見ていきましょう。
メモリの接触不良を疑う
考えられる原因の一つに「メモリの接触不良」も挙げられます。接触不良によりBIOS/UEFIが動作しない場合があるためです。ハードディスクのアクセスランプをチェックする方法でも確認できます。無反応になっていれば、メモリの接触不良の可能性が高くなります。
接触不良の主な原因はメモリ端子に付着したホコリやチリです。そのため、メモリ端子周辺に付着したホコリやチリを取り除けば解決する場合もあります。
ただし、メモリモジュールを取り外して掃除する必要があるため、機器に詳しくない人は専門家に依頼するのが安心でしょう。
ハードウェアの不具合が疑われるときはプロに相談
ハードウェアの不具合が原因のケースもあります。全体ではなく一部のパーツに不具合がある場合は、「電源ユニット」に原因がある可能性が高いです。
近年はネットでトラブルの対処法の情報が簡単に得られますので、自分で対処しようとする人もいるかもしれませんが、ハードウェアに関しては専門的な知識や経験がないと原因を特定し対処するのが難しいです。
精密機器は知識もなくむやみに触れると、修理できないほどの故障につながるケースもあります。無理に修理しようとせずに、プロに相談するのが無難でしょう。
自分の不手際で壊してしまったときは、メーカーの補償を受けられないこともあるので注意してください。
CMOSクリアを行ってBIOS/UEFI設定を初期化する
BIOS/UEFI設定を「初期化」すると、解決する場合があります。
初期化は設定を保存している「CMOS(シーモス)」の情報を消す必要があり、この操作を「CMOSクリア」と言います。方法は以下の二つです。
- 自然放電させる
- 「ジャンパ」または「ランド」をショートさせる
どちらの場合も、まずは電源ユニットをコンセントから抜いて作業してください。
自然放電の場合は、マザーボードの電池を外してから15分ほど放置することで設定をクリアできます。機器によっては、1時間ほど放置しなければリセットできない場合もありますので、念のため1時間は放置しておくとよいでしょう。
ショートさせる場合は、以下の手順で行ってください。
- 電源ユニットやATXなど、マザーボードに電源を供給しているケーブルを全て外す
- マザーボードの電池を外す
- ジャンパまたはランドでショートさせる
- ジャンパのショート
- 2ピンの場合はそのままジャンパを挿す。3ピンの場合はジャンパをずらして挿し、数秒待つ。
- ジャンパを抜く、または元の状態に戻す
- ランドのショート
- 半田の盛り上がり部分に、マイナスドライバーでショートさせる(※マザーボードを傷つけないように注意してください)
- ジャンパのショート
- 電池を入れなおす
- 電源ケーブルを挿しなおす
これらの手順で、BIOS/UEFI設定を「初期化」します。
ただし、BIOS/UEFIのデータを初期化すると、他のパーツに悪影響を及ぼし動かなくなってしまうリスクもあります。原因が明確なとき以外は、初期化を行わない方がよいでしょう。
マザーボードの電池を取り替えよう
パソコンの時計が狂った場合や画面のフリーズ、OSが起動しないといったトラブルがあるときは、マザーボードの電池切れが原因かもしれません。正しい手順で電池交換をすれば、解決できる可能性があります。
使われている電池の種類は一つではないため、規格を確認してから交換することも大切なポイントです。また、電池の寿命に合わせて3~4年ごとに交換をすれば、不具合を未然に防げます。
ただし、精密機器のため故障につながるトラブルを引き起こしてしまうリスクもあります。知識がなく不安な人は専門家に任せるのがよいでしょう。
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