社内ネットワークを構築する際には、ルーターの導入・設定が必要です。自社で設定するのも可能ですが、ネットワーク構築の一環として業者に依頼するケースが多いはずです。ルーター設定費用の相場について解説します。
ルーター設定費用とは?
ルーター設定費用とは、企業が社内ネットワークを構築するために、ルーターを導入・設定するための費用です。
ルーターとは社員のパソコンとネットワークをつなぐための機器であり、社内の端末(パソコン)をインターネットに接続するために、必ず設定しなければいけません。
ユーザー自らが設定することも可能ですが、特に企業の場合は、ネットワーク構築の一環として業者に依頼することになります。
ネットワークの設定費に含まれることが多い
企業がネットワーク環境を構築する場合、ルーターの設定を含めたネットワーク周りの設定をまとめて業者に依頼することになります。したがって料金もネットワークの設定費用に含まれる場合がほとんどです。
つまり社内の各パソコンをネットワークにつなげる作業に掛かる料金であり、業者によってはLANの工事費用に含まれる場合もあります。
もしルーターの設定のみ外注したい場合は、業者がネットワーク設定の費用内訳として「ルーターの設定費用」を明示しているかどうか、事前に確認する必要があります。
ルーター周りの費用が明示されているならば、それを費用の目安にするとよいでしょう。しかし、ルーターに関する料金が不明な場合は、前もって業者に聞いておかなければいけません。
ネットワーク設定費の相場
ルーターを含めたネットワーク設定費用の相場は、5,000~10,000円程度です。これは社内のパソコンの台数によって変わってくるため、規模の大きい企業ほど、設定費用が高くなる傾向にあります。
企業のLANネットワークを構築するには、たんに社内の端末をネットワークに接続すればよいわけではなく、細かい設定をしなければいけません。
インターネットとパソコンをつなぐルーターの設定もその一環であり、企業の場合はセキュリティの都合から各端末にパスワードの設定も必要になります。
全ての作業を業者に任せる企業も多いようですが、ネットワークの環境構築には資格が必要ないため、自力でネットワークの構築を行う企業も珍しくありません。
特に、スタートアップ企業の場合、一般家庭と変わらない規模のネットワークで問題ない場合が多いため、外注しないケースは多くあります。
ネットワーク構築の費用項目と料金相場
企業が本格的に社内ネットワークを構築する場合、ルーターの設定だけではなく、ネットワーク全体の環境構築をする場合が多いはずです。そこでルーターの設定費用を含めた、ネットワーク全体の構築に関わる費用項目と、料金相場を紹介します。
ネットワークの設計
マンションの一室を借りて業務を行っているようなスモールビジネスの場合、実質的に一般家庭と変わらないためネットワークの設計は不要です。
しかし、ほとんどの企業は、部門ごとに多くのパソコン端末を社内のLANネットワークに接続する必要があるため、まずはネットワークの設計をしなければいけません。
ネットワークの設計費用の相場は規模によって変わってきますが、1フロア20~30台ぐらいのパソコンをネットワークに組み込む場合、100,000~150,000円程度掛かります。当然、フロア数や端末数が増えれば、それに応じて設計費用も高くなっていきます。
ネットワークの設定
作成した設計図をもとに、各端末をネットワークにつなげるための設定作業を行っていきます。
端末数が多くなければ自社スタッフのみで設定する場合もありますが、業者に依頼する場合は1台当たり5,000~10,000円程度が相場です。設定する端末数が多くなれば、それだけ費用も高くなっていきます。
ネットワークの設定には、全ての端末をインターネットに接続するためのルーターの設定も含められています。企業の場合、ルーターの設定のみ依頼するケースは稀なので、ネットワークの構築全般に掛かるコストを考える必要があるでしょう。
LANの配線
各端末をネットワークに接続するためのLANの配線を行います。LANケーブルを各端末に接続し、必要に応じてHUBを設定します。
オフィスの規模にもよりますが、200,000~250,000円程度が相場のようです。配線が複雑な場合や、配線する数が増えれば、それだけ費用も高くなります。
なお小規模オフィスで無線LANのみを利用する場合、複雑な配線が必要なくなるため、工事費用を安く抑えることが可能です。無線LANネットワークの設計・構築は50,000円程度が相場となっています。
その他オプション費用
ネットワーク内の端末にアンチウイルスソフトを導入したり、ネットワークにファイアーウォール機器を導入したりなど、オプションでセキュリティに関する設定サービスを行っている業者もあります。
ウイルスソフトの導入は、パソコン端末1台に対して5000円程度で、ファイアーウォール機器やウイルス対策のサーバーを設置する場合は、150,000~350,000円ほど掛かります。
ネットワークのセキュリティは企業にとって欠かせない要素なので、自社で設定が難しい場合は、ネットワークの環境構築とともに、業者に依頼できないか検討してみましょう。
VPNを導入する場合
企業のネットワークでは、セキュリティを担保するためにVPNを導入するケースも少なくありません。ここでVPNの概要とメリット、導入費用も押さえておきましょう。
VPNとは?
VPN(Virtual Private Network)とは、仮想のインターネット専用線のことで、通信拠点同士を物理的に結ばなくても、専用回線のような安全な通信が可能な技術です。
拠点間の通信に通常のインターネット回線を使用すると、通信情報が外部に漏洩したり、社内ネットワークに不正アクセスを許してしまったりする恐れがあります。
そこで拠点間をVPNで結ぶことで、インターネット回線とは分離した安全な通信が可能になるため、多くの企業が社内ネットワークとしてVPNを導入しています。
VPNのメリット
低コストで専用回線のような安全な通信ができる点や、遠隔地にある拠点同士を結べるのがVPNのメリットです。
回線はインターネット通信網や通信事業者の独自ネットワークを利用しているため、距離を気にせずネットワークの構築ができます。海外にある子会社や、遠隔地にある別拠点との情報のやり取りにも対応可能です。
さらにスマートフォンやタブレットなど、モバイル端末からもアクセスできるため、出張先やテレワーク、モバイルワークなどでも安全な通信ができます。
VPNの導入費用
VPNには「インターネットVPN」と「IP-VPN」の二つのタイプがあり、それぞれ導入費用や月額(あるいは年額)の利用料金が変わってきます。
インターネットVPNは、インターネット回線に仮想の専用通信領域を設けるもので、専用ルーターの購入・設定のみで利用でき、30,000~50,000円程度で導入が可能です。
一方、IP-VPNは通信事業者による独自の閉域ネットワークを用いるため、よりセキュアで高速の通信ができます。
利用できる通信量や拠点数によって費用は変わってきますが、初期費用として30,000円程度から、月額プランとして10,000~50,000円程度の利用料金が掛かります。
ネットワークの保守運用を外注する場合
企業の社内ネットワークの構築には、これまで説明してきたような費用が掛かりますが、さらにネットワークの保守・運用サービスを外注する企業も少なくありません。
ネットワークの保守・運用を外注すれば、社内に専任の管理者を置く必要がなくなり、通信トラブルの際にベンダーが代わりに対応してくれるようになります。
保守・運用サービスとは?
ネットワークの保守・運用サービスは、構築したネットワークを常に利用可能な状態に維持し、定期的にメンテンナンスを行ってくれるものです。ベンダーのスタッフが社内に常駐してネットワークの監視を行う場合もあります。
企業によって導入形態はさまざまで、ネットワークの保守・運用を丸ごとベンダーに任せているところもあれば、日常の運用は自社のスタッフが担当し、障害やトラブルが発生した場合に、ベンダーに対応してもらう企業も少なくありません。
料金相場はベンダーによって大きく変わってきますが、月額50,000~150,000円程度が相場のようです。保守対象となる機器が増えれば、それだけ費用も高くなります。
保守・運用を外注するメリット
保守・運用サービスを利用すれば、日々のネットワーク運用管理業務に掛かる手間を削減できます。
パソコンのセットアップやアカウントの追加・削除、各端末のセキュリティ設定などの細かい作業から、通信障害が発生した際の対応まで、広く専任スタッフに任せられるようになります。
自社で保守・運用を行っていると、一部のスタッフに負担が掛かったり、作業の属人化やブラックボックス化が発生したりする可能性があるでしょう。
専任のスタッフが辞めてしまった場合、社内で対応できる人員がいないという事態にもなりかねません。
管理業務に人員を割く余裕のない企業や、自社スタッフにコア業務に集中して欲しい企業にとって、ネットワーク専門ベンダーによる保守・運用サービスの恩恵は大きいでしょう。
ネットワーク関連の費用を抑えるコツ
ネットワークの構築を全て外注する場合、規模に応じたコストが掛かりますが、できるだけ費用を抑えるポイントを解説します。自社で用意できるものに関しては、事前に準備しておくことで、余計な費用を掛けずに済むようになります。
ケーブルや周辺機器は用意しておく
LANケーブルやHUB、ルーターをはじめとしたネットワーク機器は、自前で用意しておくと全体のコストを抑えられます。
ベンダーに機器を用意してもらうと、どうしても割高になってしまう可能性があるため、自社で用意できるものは安くそろえておくとよいでしょう。
家電量販店やインターネットショップなどで購入した方が、業者を通すよりも安く入手できるケースは珍しくありません。
また配線に関しても、自社のスタッフで対応できる場合は事前にやっておき、ベンダーには設定作業のみやってもらうことで費用を抑える方法もあります。
サーバーを仮想化する
Webサーバーやファイルサーバー、データベース用のサーバーなど、複数のサーバーをネットワークに組み込もうとすると、どうしても構成が複雑になりコストが高くなってしまいます。
そこでサーバーを仮想して、単独のサーバーに複数の役割を持たせるようにすれば、サーバーの導入費用だけでなく、ネットワークの構築・運用に掛かるコストも抑えられます。
社員も必要なデータが格納されている場所を把握しやすいため、業務効率も向上するでしょう。ネットワークのメンテナンスに掛かる費用も安くなります。
業者を選定する際のポイント
では最後に、ルーターの設定を含めた、ネットワーク構築を依頼する業者の選択基準を解説します。
単純に料金が安いかどうかだけで判断するのではなく、ネットワークベンダーとしての経験やオプションサービスなど、さまざまな観点から自社に合った業者を慎重に選ぶようにしましょう。
ネットワークの構築実績が豊富か?
依頼を検討している業者に、十分なネットワークの構築経験があるか、専門知識やスキルがあるかどうかを、必ず確認しておきましょう。
ネットワークの構築には資格は要らないため、実績を確認しなければ、そのベンダーが十分な経験を持っているかを判断できません。
特にネットワークの設計から依頼する場合は、大規模なネットワークに対応できる技術や経験があるかチェックする必要があります。
アフターサービスが充実しているか?
ネットワーク構築後、通信障害やそれに類するトラブルが発生した場合に、すぐに対応してくれるかも確認しておきましょう。
別途、保守契約を結ばなければ、まったく対応してもらえないケースもあるので注意が必要です。アフターサービスの範囲や内容は、ベンダーによって大きく変わってくるので、事前によくチェックしておくことが大事です。
複数の業者に見積もり依頼を出す
業者を選択する際には、複数の業者に見積もり依頼を出しましょう。相見積もりを取ることで、各業者の費用とサービス内容を比較検討できるようになります。
たんに費用の安い業者に依頼するのではなく、経験や実績、アフターフォローの充実度など、さまざまな点から自社のニーズにマッチした業者を慎重に選び出す必要があります。
業者とのマッチングプラットフォーム「ミツモア」を利用すれば、最短5分で複数の業者から見積もりを取ることが可能です。口コミも確認できるので、信頼できる業者をスムーズに発見できるのでおすすめです。
信頼できる業者に依頼しよう
ルーター設定費用の相場を紹介しました。ルーター設定費用は、基本的にネットワークの設定費用やLANの構築費用などに含まれている場合が多いため、あらかじめ業者に具体的な費用を確認しておく必要があります。
設定費用自体はそれほど掛かりませんが、企業の場合、ネットワーク環境の構築を丸ごと業者に任せる場合が多いため、ネットワークの規模によっては相当なコストになるケースもあります。
どの範囲を業者に任せるのかを決めておき、できるだけ費用を抑えるための工夫をしましょう。
業者を選ぶ際には、料金だけに注目するのではなく、実績やアフターフォローの質にも目を向けることが大事です。複数の業者に見積もり依頼を出して、信頼できる業者を見つけましょう。