引越しで住む場所が変わるときは、役所で住民票の異動手続きをしなければなりません。
手続きには転出届・転入届・転居届の3種類があり、どこからどこに引っ越すかによってやるべき届出が変わります。
異なる市区町村へ引っ越す | 転出届・転入届 |
---|---|
同じ市区町村内で引っ越す | 転居届 |
住民票の異動手続きの流れや、届け出をしないとどうなるのかを解説します。
住民票異動の手続き内容と流れ
住民票は、「その人が現在どこに住んでいるのか」を公的に証明する書類。市区町村の役所が現在管轄地域内に住んでいる人を管理しており、現住所をもとに住民の生活をサポートします。
住民票の異動手続きができるのは、引っ越す本人または世帯を同じくする人です。
手続き | 提出先 | 提出期限 |
---|---|---|
転出届 | 旧居の市区町村の役所 | 引越し14日前から当日 |
転入届 | 新居の市区町村の役所 | 引越し当日から14日以内 |
転居届 | 居住する市区町村の役所 | 引越し当日から14日以内 |
異なる市区町村に引っ越す場合
引越しによって異なる市区町村に移る場合、以下の流れで住民票の届け出を行います。
- 引越し前に住んでいる市区町村の役所で転出届を提出する
- 引越し先の市区町村の役所で転入届を提出する
- 新しい住民票を取得して各種住所変更手続きを行う
運転免許証などは新しい住民票を取得しないと住所変更手続きができません。住民票の届け出を行うのとあわせて一気に済ませるのがおすすめです。
同じ市区町村内で引っ越す場合
引越し後も同じ市区町村内に住む場合、以下の流れで住民票の届け出を行います。
- 引越し後に役所で転居届を提出する
- 新しい住民票を取得して各種住所変更手続きを行う
同じ市区町村内での引越しであれば、引越し前に住民票の届け出を行う必要はありません。
ただし住所変更の手続きは発生するので、転居届を出した後は忘れず新しい住民票を取得しておきましょう。
転出届の提出方法(別の市区町村へ引越し)
転出届の提出に関するルールや必要なものは以下の通りです。
提出先 | 引越し前の自治体の役所 |
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提出期限 | 引越し14日前から当日まで |
提出方法 | 役所の窓口 郵送 オンライン(マイナポータル) |
用意するもの | 転出届 顔写真つき本人確認書類(運転免許証・パスポート等) マイナンバーカード(持っている場合) |
代理人申請 | 可能 |
引越し前の市区町村の役所で「転出届」を提出して、「転出証明書」を受け取ります。これは転入手続きの際に必要になる書類です。
ただしマイナンバーカードを持っていて条件を満たす場合は、マイナンバーカードを用いた転出手続きができます。カードに転出情報を紐づけるため、紙の転出証明書は発行されません。
役所の窓口で提出する方法
役所の窓口に直接出向いて手続きをする場合の手順は以下の通りです。
- 役所の窓口に行き、置いてある転出届にその場で記入する
- 窓口で記入した転出届と本人確認書類を提出する
- 転出証明書を受け取る(通常転出の場合)
マイナンバーカードを使って転出手続きを行う場合は、転出届と一緒にマイナンバーカードを提出します。このときは転出証明書は発行されず、カードに転出情報が紐づけられます。
代理人が窓口で手続きする方法
引っ越す本人や同一世帯員が窓口に行けない場合、本人からの委任があれば代理人による手続きも可能です。
代理人が手続きを行う場合、必要なものは以下の通りです。
- 委任状(本人の自署・押印をしたもの)
- 代理人の本人確認書類
郵送で提出する方法
郵送で書類を提出する場合の手順は以下の通りです。
- 自治体ホームページで郵送用の転出届フォーマットをダウンロードし、印刷する
- 転出届を記入し、本人確認書類の写しと返信用封筒(通常転出の場合)を封入して郵送する
- 転出証明書が返送されてくるので受け取る(通常転出の場合)
マイナンバーカードによる転出手続きは郵送でも基本的に可能です。
自治体によって、希望制の場合と原則カードを使った手続きになる場合があります。また、提出書類も自治体によって異なることがあります。
詳しくは自分が転出する自治体の案内を確認しましょう。
オンライン(マイナポータル)で提出する方法
2023年2月より、すべての市区町村でマイナポータルを通したオンラインでの転出手続きができるようになりました。
オンラインで手続きを行うために必要なものは以下の通りです。
- マイナンバーカード(有効な署名用電子証明書が搭載されているもの)
- カードの読み取りができるスマートフォンまたはICカードリーダー
- マイナポータルアプリ
また、マイナポータルを通して手続きを行う場合は、新しい住所が決まっている必要があります。
- 利用者証明用電子証明書パスワード(数字4桁)を入力し、マイナンバーカードを読み取ってマイナポータルにログインする
- マイナポータルで「引越しの手続」を選択する
- 画面の案内に従い、新住所や転入手続きの来庁予定日などを申請する
- マイナポータルで申請状況が「完了」になっているのを確認する
マイナポータルを使ったことがない方は、事前に利用者登録をする必要があります。
窓口や郵送の届け出と同様、マイナンバーカードを使った転出なので、転出証明書の発行はありません。
申請が完了しているのを確認して、引越し後に新居を管轄する自治体の役所へ行って転入手続きを行います。
転入届の提出方法(別の市区町村へ引越し)
提出先 | 引越し先の自治体の役所 |
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提出期限 | 引越し当日から14日以内 |
提出方法 | 役所の窓口 |
用意するもの | 顔写真つき本人確認書類(運転免許証・パスポート等) 転出証明書またはマイナンバーカード |
代理人申請 | 可能 |
転入届の提出は郵送やオンラインを受け付けておらず、必ず役所の窓口に出向かなくてはなりません。
マイナンバーカードで転出した場合は、紙の転出証明書が交付されない代わりにマイナンバーカードに転出情報が記録されているので、忘れずに持参しましょう。
窓口で利用者証明用電子証明書パスワード(数字4桁)を入力する必要があります。
転入届の手続きを代理人が行う方法
転入届の手続きも世帯が違う代理人に委任できます。必要なものは以下の通りです。
- 転出証明書または本人のマイナンバーカード
- 委任状(本人の自署・押印をしたもの)
- 代理人の本人確認書類
自治体によって異なる可能性があるので、必ず転入先の自治体の案内を確認しましょう。
また、代理人が転入届をその場で記入できるよう、世帯員の生年月日・氏名や新住所などの必要事項をあらかじめ伝えておく必要もあります。
代理人が手続きをする場合、マイナンバーカードの継続利用手続きは同時にできません。本人が役所の窓口に行かないと、引越し後もマイナンバーカードを使い続けることができないので注意しましょう。
転居届の提出方法(同じ市区町村内で引越し)
新居が旧居と同じ市区町村内の場合、「転居届」の提出のみで手続きが完了します。
提出先 | 旧居・新居の自治体の役所 |
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提出期限 | 引越し当日から14日以内 |
提出方法 | 役所の窓口 |
用意するもの | 顔写真つき本人確認書類(運転免許証・パスポート等) マイナンバーカード(持っている場合) |
代理人申請 | 可能 |
転居届は転入届と同じく、郵送やオンラインのみで手続きを完結することはできません。
マイナポータルを使って転居情報の提出や来庁予約はできますが、必ず役所に出向く必要があります。
転居届の手続きを代理人が行う方法
本人や同一世帯員が窓口に行けない場合、転居届も代理人による提出が可能です。必要なものは以下の通りです。
- 委任状(本人の自署・押印をしたもの)
- 代理人の本人確認書類
別の自治体へ転入するときの手続きと同じく、マイナンバーカードの継続利用手続きは代理人ではできません。
平日に役所へ行けないときの対処法
基本的に役所は平日しか開いていません。では平日に休みが取れないときは、代理人に頼むしかないのでしょうか?役所の開庁時間に届出に行けないときの対処法を紹介します。
転出届を郵送で提出する
転出届は直接役所に行って提出するだけでなく、郵送して提出することも可能です。旧住所の役所のホームページからダウンロードして、必要事項を記入しましょう。
提出してからおよそ1週間で転出証明書が返ってきます。ただし転入届には提出期限があるため、早めに行動しなければなりません。
郵送するものと、注意点は以下の通りです。
郵送するもの |
|
注意点 | 封筒の宛先には、引っ越し前に住んでいた市区町村の役所の住所を記入すること |
夜間・土日窓口で手続きをする
平日夜間や土日に住民票関連の手続きができる窓口を開庁している自治体も多くあります。
時間外窓口を開けている曜日や時間は自治体によって異なるので、ホームページや窓口への問い合わせで確認しておきましょう。
中には毎週開いているわけではなく、「第一週の日曜日のみ対応」というように対応できる日が限られていることもあります。
どうしてもスケジュールを調整できない場合は、代理人を立てられるように動きましょう。
引越し時に住民票を異動しないとどうなる?
引っ越しをしたのに住民票を移さなかったとき、以下のようなデメリットが生じます。
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例えば住民税は1月1日時点で住んでいる自治体に支払う必要がありますが、住民票を移さないと住所が変わっても前にいた自治体から納付書が届いてしまうのです。
「住民票の異動を忘れてたけど、そのままでもいいか」と安直に考えるのはやめてください。
新天地で不便な暮らしを強いられないためにも、引っ越しをしたら早めに住民票を移しましょう。
行政からの通知や書類を受け取れない
住民票を移さないまま放置していると、役所から郵送される公的な書類を受け取れません。
該当するものとしては保険証や納付書といった国民健康保険関連の郵送物や年金手帳や納付書など年金関連の郵便物、住民税の納付書が代表的です。
金融機関からの重要な書類も住民票の住所に送られることがあります。なかには本人が直接受け取る必要のある書類もあるので、住民票を移さないと不都合が生じる可能性が高くなります。
住んでいる場所の行政サービスが受けられない・公共施設が利用できない
転居先に住民票がないと、住民としてみなしてもらえず、各種行政サービスが受けられないことがあります。具体的には、以下のような可能性が考えられます。
- 福祉サービスが受けられない
- 市民センターが利用できない
- 体育館やプールなどのスポーツ施設が利用できない、または市民料金が適用されない
- 図書館の会員証が作れない
新しい居住地で運転免許の更新手続きができない
運転免許証の更新は、住民票のある地域でしか手続きができません。前の住所に住民票を残したままにしていると、その都道府県に戻って免許更新を行う必要があります。
免許更新の案内はがきも住民票の住所に送られるため、更新時期に気が付かないまま運転免許証が失効してしまう恐れもあります。
新しい居住地で確定申告ができない
確定申告は、住民票を置いている場所を管轄する税務署で行う必要があります。住民票を移さないと、新しい居住地で確定申告ができません。
所得証明書や課税証明書の発行も、旧居住地に申請しなければなりません。
義務違反となり過料が科される
引っ越しによって新たな市区町村に転居した場合、転入した日から14日以内に住民票を移動させる義務があります。
「住民基本台帳法」の第22条で定められており、正当な理由なく手続きを怠るのは違法です。第52条には義務に違反した場合は5万円以下の過料を科すとされています。
1日でも遅れた時点でただちに検挙されて罰されるとは限りませんが、実際に過料を科された事例もあります。相場はおおよそ数千円程度におさまることが多いようです。
引越し時に住民票の異動が不要なケース
住む場所が変わったら、原則として届出が必要
生活の拠点が変わっても、届け出なければ分からないんじゃないか?と思うかもしれません。
確かに引っ越しの事実を行政側が把握することはできませんが、実際の居住地と住民票の住所は原則一致している必要があります。自治体が現在管轄内に住んでいる人を把握していないと、住民に対して必要なサポートができないからです。
「住民基本台帳法」という法律でも義務として定められており、手続きをしないと同法の規定で50,000円の過料(ペナルティーとして支払う料金)を科される可能性があります。もちろん虚偽の内容を登録するのも禁止です。
ちなみに本籍地は引っ越しをしても変更する必要はありません。詳しくはこちらの記事も参考にしてみてください。
一時的(1年以内)の移住であれば異動が不要な場合も
ただし短期の単身赴任をはじめ転居先に住む期間が1年に満たないときや、進学による一人暮らしで実家に拠点がある場合など、実質的に暮らしの拠点が変わらないときは例外的に届け出なくても問題ありません。
転入手続き時に新しい住民票を取得しておくとスムーズ
引越し後は住民票の異動以外にもさまざまな住所変更の手続きが発生します。このとき新しい住所を記載した住民票が必要になることが多いので、転入手続きと同時に何枚か取得しておくのがおすすめです。
住民票の写しの提出と求められるケースは以下の通りです。人によって必要な枚数は異なるので、自分がすべき手続きを確認しておきましょう。
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住民票の異動以外にも引越しはやるべきことがたくさんあります。以下の記事では全体像をまとめているので、手続き漏れがないようにチェックしておきましょう。