引越しの挨拶品に「のし(熨斗)」をつけるべきなのか、なぜのしが必要なのかと気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、のし紙の選び方・書き方・つけ方について解説します。のし紙の入手方法や無料でテンプレートをダウンロードできるサイトも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
引越しの挨拶品には、のし(熨斗)をつけるべき?
引越しの挨拶で渡す粗品にのし(熨斗)は必要なのでしょうか。のしがいらない場合や、そもそもののし(熨斗)の役割についてご紹介します。
基本的には「のし」をつけたほうがよい
結論から言うと、基本的に「のし」はつけた方がよいです。のしをつけると「丁寧な人」「マナーがよい人」といった印象を与えることができるからです。
そもそも「のし(熨斗)」とは、粗品につけるかけ紙のことを指します。厳密には、紙は「のし紙」、ひもの部分は水引(みずひき)、のし紙の右上に付いている色紙のような飾りを「のし(熨斗)」と言います。
必ずしも「のし」をつけなければならないわけではありません。最近は、隣人へ引越しの粗品を送るという慣習が古くなりつつあります。
一人暮らしの方が多い賃貸の1Kや1R中心の賃貸マンションのに住む方は、そもそも引越しの挨拶は必須ではありません。挨拶品を渡す場合も、のしなしでもよいでしょう。
一方で、ファミリー向けの賃貸や戸建て住宅エリアに住む方は、丁寧な挨拶と共に、のしをつけた挨拶品を渡すとよいでしょう。
のしを付けるのを忘れた場合
先述の通り、のしは必ずしもつけなければいけないわけではないので、忘れてしまった場合でも慌てる必要はありません。
むしろ、賃貸住宅での一人暮らしや、住民層が様々な集合住宅などでは最低限の挨拶だけにしたり、防犯上の理由で一人暮らしの女性などはあえて挨拶をしなかったりすることも少なくありません。
あらかじめ大家さんや管理会社の人にご近所付き合いの様子を聞いてから判断してみてもよいかもしれません。
挨拶品が「生モノ」の場合、のしは必要ない
もともと「のし(熨斗)」は、アワビを薄く伸ばして干したもので作られていました。これを「伸しアワビ」と呼び、長く伸びる縁起のよいものとして使われていたそうです。
アワビは「生モノ」の象徴として使われていて、これを挨拶品につけることで「神仏への供え物」として扱ったのが由来ではないか、と言われています。
つまり、のしは「生モノ以外の贈答品を、生モノとして扱うためにつける紙」です。そのためそもそも贈る品が生モノの場合は、のしをつける必要は無いとされています。
引越しの挨拶品にのしをつける際のマナー
のし紙の貼り方や水引の結び方にはいくつか種類があり、それぞれに意味があります。正しいマナーを知ったうえでのしを付ければ、相手に礼儀のある丁寧な印象を与えることができます。
引越し挨拶については、こちらの記事をご覧ください。
旧居と新居で、のしに書く表書きが違う
旧居へご挨拶に行く場合と、新居へご挨拶に行く場合ではのしの上段に書く「表書き」が違います。
表書き | |
旧居への挨拶品 | 「御礼」、「粗品」 |
新居への挨拶品 | 「御挨拶」、「粗品」 (下段に自分の名字だけ記入するとよい) |
旧居への挨拶の場合は、顔と名前が一致する人に対して挨拶品を渡すことが多いため、改めてのしへの署名は必須ではありません。
新居の近所に住む人に渡す挨拶品の場合は、のしに名前を添えましょう。名前がないと誰なのか覚えてもらえませんし、気味悪く感じられる場合もあります。また、線が細くならないようにボールペンや万年筆ではなく、筆ペンなどで書くようにしましょう。
引越しの挨拶では「外のし」掛け
のしの掛け方は「外のし」と「内のし」があります。引越しの挨拶品は、「外のし」をするのが普通です。内のしと外のしとの違いは、以下です。
- 内のし:粗品にのし紙を付け、その上から包装する
- 外のし:粗品に包装した上から、のし紙を付ける
「引越しの挨拶」という役割も踏まえれば、ひと目で名前が分かり、挨拶の品であるということが伝わる外のしの方がよいのです。
一方の内のしは、内祝いのときや宅配便で粗品を贈るときなどに使います。
水引は「紅白の蝶結び」を選ぶ
引越しの挨拶品の場合、のし紙に使われる水引は、「紅白」で「蝶結び(花結び)」のものを選びましょう。下の図では、左側の上から三段目の水引です。
蝶結びは「何度でも結び直せる結び方なので、縁起がよい」とされています。紅白もまた、お祝いごとによく使われる色です。
ちなみに他の水引の種類は、以下のようなものがあります。
- 結び切り(真結び):結んだひもの先が上向きになっている水引です。「一度結ぶとほどけない」という意味を持ち、結婚式のご祝儀などで用いられます。
- あわじ結び:結び目が2つの円のようになっている水引です。結び切りよりも複雑でほどけにくいので、こちらも結婚式など「1回かぎり」お祝いや弔辞に使われます。
- 梅結び:結び目が3つの円のようになっていて、上記2つよりさらにほどけにくい水引です。梅は「松竹梅」と言われるように縁起物として知られています。
「慶事掛け」にする
のし紙の掛け方は、「慶事掛け」と「弔辞掛け」とがあります。引越しの挨拶品には、慶事掛けを使うようにしましょう。
- 慶事掛け:品物の裏側を見たとき、右側の紙が上にくる
- 弔辞掛け:品物の裏側を見たとき、左側の紙が上にくる
手土産を裏返したとき、重ねた紙の左側が上になる「弔辞掛け」は、お悔やみの際の形式となるため注意しましょう。
引越しの挨拶品に掛けるのしは、慶事掛けをするか、品物の両側面で留めるかのどちらかにするのが基本です。
同棲する場合、挨拶品につけるのしの名前はどう書く?
表札の表記に合わせる
引越し先で同棲する場合、2人のうちどちらの名前を書くのか迷いますよね。もしこだわりがなく、「どちらでもいい」という方は、新しい住居の表札に合わせるとよいでしょう。
表札が連名になっているなら、のし紙の署名も連名にするということです。
契約者(名義人)の名前のみを記載する
結婚を見据えた同棲の場合、「物件の契約者(名義人)の名前のみを記載する」という方法でもよいとされています。日本では結婚後に名字が統一されるのが一般的なので、代表者だけの名前でも問題が発生しにくいのです。
また仮に結婚まで話が進んでいないとしても、詳しい事情を知られたくない場合などは、物件の契約者の名前だけで構いません。
2人の名前を記載する
結婚を前提としない同棲の場合は「2人の名前を記載する」という方法を選んだほうが自然です。
あまりポジティブな話ではありませんが、仮に将来的に同棲を解消した場合、家に残るのが契約者ではなかったときに不自由が生じる恐れもあります。近所の人に別の名字で覚えられたり、呼びかけられたりする可能性があるため、2人の名前を記載しましょう。
引越しの挨拶品につけるのし紙は、どこで手に入る?
普段使う機会が少ないのし紙は「どこで手に入るのかわからない」という方も多いでしょう。手に入れる手段はいくつかあるのでそれぞれ紹介します。
挨拶品を購入したお店でつけてもらう
挨拶品を販売できるお店では、サービスの一環として、無料でのし紙をつけてくれる場合があります。
この場合、用途を「引越しの挨拶」と伝えれば、それに合った水引やつけ方で対応してくれるので安心です。もしもつけ方を聞かれた場合は、前述したとおり「蝶結び」の「外のし」で「慶事掛け」を希望しましょう。
文具店や100均、ホームセンターで購入する
文房具店や100均、ホームセンターといったお店でのし紙が販売されています。自分自身で名前を手書きして、挨拶品に正しい方法でつけなければなりませんが、前述したとおりの書き方・つけ方をすれば問題ありません。
ネット通販で購入する
近くの文房具店などでのし紙の取り扱いがなく、どこを探しても見つからない場合は、ネット通販で購入しましょう。
ネットでは100枚入りなど大量枚数で販売されているため、挨拶回りの軒数が多かったり、もし今後ものしを使う予定があったりする場合でも不足する心配はありません。
また、ネットでも挨拶品を購入したときに購入先でのしを付けてもらうサービスはあります。
購入品が決まっておらずまだ迷っているという方は以下のサイトを参考にしてみてもよいでしょう。
無料テンプレートをダウンロードして印刷
ほんの数枚だけのし紙が欲しいという場合や、今すぐに用意しなければ間に合わないという場合は、無料テンプレートをダウンロードするという方法がおすすめです。以下に無料テンプレとをダウンロードできるサイトを掲示します。
なかにはかわいらしいデザインを用意しているサイトもあるので、色々なデザインの中から選んでみるのもよいかもしれません。
他にも探してみたいという方は、「のし テンプレート」といったキーワードで検索してみましょう。
プリンターを備えているコンビニも多いので、すぐに使うことができます。
挨拶品として定番なのは?
引越しの挨拶品として定番なのは、「お菓子」や「日用品」です。
特にお菓子は、年齢や性別を問わず誰でも食べやすいのがメリットです。旧居の近くでしか手に入らないような商品だと、なお喜ばれるでしょう。日持ちのことも考えて、クッキーなどの乾きものにするのが一般的です。
タオルやティッシュ、食器用の洗剤などの日用品もあります。誰でも使う消耗品なら、迷惑になりにくいですよね。なるべく好みが分かれないような品を選びましょう。
ちなみに、昔は引越しの挨拶としてそばを渡すのが一般的でした。引越しそばは、江戸時代から定着したとされている、新居のご近所さんにそばを配る風習です。
ただし相手がそばアレルギーである可能性も考え、お菓子や日用品を渡すのがよいでしょう。
引越し業者を見つけるならミツモアで!
引越しに伴ってご近所への挨拶回りをする場合、現代でも挨拶品にのし紙をつけることが一般的です。のしを正しく付けることで、「常識的な人」「丁寧な人」といったイメージを持ってもらうことができるでしょう。ご近所付き合いもスムーズになるかもしれませんね。
引越しの際には、ぜひミツモアをご活用ください。ミツモアでは、最大5件のお見積りを比較して、お得で信頼できる引越しのプロに依頼できます。引越しから各種修理・クリーニングまで、あらゆるサービスへの対応が可能です。