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人材開発支援助成金を活用しよう! 各コースの対象者や受給額、申請方法などを解説

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最終更新日: 2024年06月28日

優秀な人材を獲得することが難しくなっている現状においては、いかに自社で優秀な人材を育成していくかが重要になってきています。人材育成のために研修などを実施する場合には、厚生労働省の人材開発支援助成金を活用できます。

この記事では、人材開発支援助成金の各コースの概要や受給額などついて解説しています。

人材開発支援助成金とは

人材開発支援助成金とは
人材開発支援助成金とは

まずは、人材開発支援助成金の概要や令和2年の改正点をご紹介したうえで、同じ従業員のキャリアアップを目的とする「キャリアアップ助成金」との違いなどについて説明します。

人材開発支援助成金とは

「人材開発支援助成金」とは、従業員に対して職務に関連した専門的な知識や技能を習得させるための職業訓練などを実施した場合に、その訓練経費や訓練期間中の賃金の一部が支給される厚生労働省の助成金です。

人材育成や従業員のキャリアアップを図ろうと考えている場合には、この助成金の活用を検討すべきです。

この助成金は訓練の種類や導入する制度などにより7つのコースに分かれていますが、それぞれの内容や受給額、申請方法については、このあと詳しく説明します。

令和2年の主な改正点

人材開発支援助成金の令和2年の主な改正点は次のとおりです。様式の変更なども挙げていますが、特に重要なのは令和2年2月改正の要件緩和・対象拡大です。

令和2年2月14日からの主な改正内容

特別育成訓練コース

  • 「有期実習型訓練」の訓練期間要件が「3か月以上6か月以下」から「2か月以上6か月以下」に緩和されました。
  • 「中長期的キャリア形成訓練」として「特定一般教育訓練」も支給の対象に追加されました。
  • 「変更届」の提出が必要になる場合が明確になりました。(これまでは提出が不要なケースのみ列挙)
  • 「有期実習型訓練」および「中小企業担い手育成訓練」で提出が必要であった「訓練開始届」が廃止になりました。
  • 育児休業中訓練における通信制訓練の範囲が「一般教育訓練指定講座」に限定されました。
  • 訓練実施状況報告書(訓練日誌)の様式が「OFF-JT実施状況報告書」と「OJT実施状況報告書」に分割されました。

令和2年4月1日からの主な改正内容

特定訓練コース

  • 「雇用型訓練」の支給申請時には、OJT訓練担当者の出退勤時刻がわかる書類を提出しなければならないようになりました。

特定訓練コース・一般訓練コース

  • 事業主団体等が申請する場合の様式(団体様式)が、事業主が申請する場合の様式に統合されました。

キャリアアップ助成金との違い

従業員のキャリアアップのために活用できる厚生労働省の助成金としては、人材開発支援助成金のほかに「キャリアアップ助成金」というものがあります。この2つの助成金は、同じようなものと思われている方も少なくありませんが、その目的や対象となる労働者は異なります。

人材開発支援助成金の目的は、基本的には労働者の能力の開発・向上であり、対象となる労働者は主に雇用保険被保険者である正社員や有期契約労働者等です。一方、キャリアアップ助成金の目的は、有期契約労働者等の正社員化などの待遇改善であり、対象となる労働者は有期契約労働者等です。

よって、人材育成のためということであれば、キャリアアップ助成金ではなく、人材開発支援助成金の方を活用することになります。

雇用関係助成金の受給にあたって

雇用関係助成金の受給にあたって
雇用関係助成金の受給にあたって

厚生労働省の雇用にかかわる助成金を、人材開発支援助成金も含めて「雇用関係助成金」と言います。人材開発支援助成金の説明に入る前に、まずは、雇用関係助成金に共通する要件や考え方などについて説明します。

共通要件

雇用関係助成金は事業主が納めた雇用保険料で運用されていることもあり、申請するためには次の要件を満たしている必要があります。

  • 雇用保険適用事業の事業主であること
  • 支給のための審査に協力すること
  • 申請期間内に申請を行うこと

中小企業事業主の定義

雇用関係助成金の中には、中小企業と大企業とで助成金の額が異なるものがあります。

「中小企業事業主」に該当するかどうかは、下記の表とおり、「主たる事業」ごとに、「①資本金の額または出資の総額」または「②企業全体で常時雇用する労働者の数」で判断されることになっており、どちらかの基準に該当すれば、「中小企業事業主」となります。

主たる事業①資本金の額または出資の総額②企業全体で常時雇用する労働者の数
小売業(飲食店を含む)5,000万円以下50人以下
サービス業5,000万円以下100人以下
卸売業1億円以下100人以下
その他の業種3億円以下300人以下

なお、「主たる事業」は、総務省の日本標準産業分類の「業種区分」に基づきます。

生産性要件とは

雇用関係助成金の中には、次の式で計算される「生産性」が、助成金の申請前と比べて一定割合伸びている場合や、申請後に申請時と比べて一定割合伸びた場合に助成金の額が増額、あるいは、追加で支給されるものがあります。この「一定割合」を「生産性要件」と言います。

生産性=付加価値/雇用保険被保険者数

※「付加価値」は、原則として「営業利益+人件費+減価償却費+動産・不動産賃借料+租税公課」で求めます。

このあと説明する、人材開発支援助成金の各コースに設定されている具体的な「生産性要件」については、個別に説明しています。

特定訓練コース

特定訓練コース
特定訓練コース

「特定訓練コース」とは、「OFF-JT」(実務とは区別して行われる訓練)または「OFF-JT」と「OJT」(実務の中で行われる訓練)を組み合わせた訓練を、それぞれ対象となる訓練として実施した場合に助成金が支給されるコースです。

このコースの対象となる訓練や対象となる事業主、また、受給できる額や申請方法は次のとおりです。

対象となる訓練

対象となる訓練は7種類あり、それぞれの対象労働者や主な要件は次のとおりです。

①労働生産性向上訓練

対象訓練労働生産性の向上に資する訓練であって、次のいずれかに該当する訓練
1. 職業能力開発促進センター(ポリテクセンター)や職業能力開発大学校等で実施する高度職業訓練
2. 中小企業等経営強化法において認定された事業分野別経営力向上推進機関が行う訓練
3. 中小企業大学校が実施する訓練等
4. 厚生労働大臣が指定した専門実践教育訓練又は特定一般教育訓練
5. 生産性向上人材育成支援センターが実施する訓練等
6. 当該分野において労働生産性の向上に必要不可欠な専門性・特殊性が認められる技能に関する訓練
対象労働者雇用保険被保険者
主な要件・OFF-JTにより実施される訓練であること
・実訓練時間が10時間以上であること

②若年人材育成訓練

対象訓練事業主自ら企画・実施する訓練、または教育訓練機関が実施する訓練(基幹人材として必要な知識・技能を順次習得させる訓練等)
対象労働者雇用契約締結後5年を経過していない労働者であって、かつ、35歳未満の雇用保険被保険者
主な要件・OFF-JTにより実施される訓練であること
・事業主自ら企画・実施する訓練、または教育訓練機関が実施する訓練であること
・実訓練時間が10時間以上であること

③熟練技能育成・承継訓練

対象訓練次のいずれかに該当する訓練
1. 熟練技能者の指導力強化のための訓練
2. 熟練技能者による技能承継のための訓練
3. 認定職業訓練(厚生労働省の認定を受けている訓練)
対象労働者雇用保険被保険者
主な要件・OFF-JTにより実施される訓練であること
・事業主自ら企画・実施する訓練、または教育訓練機関が実施する訓練であること
・実訓練時間が10時間以上であること

④グローバル人材育成訓練

対象訓練海外関連の業務を行っている(計画を含む)事業主が、労働者に対して実施する海外関連の業務に関連する訓練
対象労働者雇用保険被保険者
主な要件・OFF-JTにより実施される訓練であること
・事業主等が自ら企画・実施する訓練、または教育訓練機関が実施する訓練であること
・実訓練時間が10時間以上であること(海外の大学院、大学、教育訓練施設等で実施する訓練は30時間以上)

⑤認定実習併用職業訓練

対象訓練厚生労働大臣の認定を受けて実施する「認定実習併用職業訓練」
対象労働者15歳以上45歳未満であるなどその他一定の要件を満たす雇用保険被保険者
主な要件・企業内におけるOJTと教育訓練機関で行われるOFF-JTを効果的に組み合わせて実施する訓練であること
・実施期間が6か月以上2年以下であること
・総訓練時間が1年当たりの時間数に換算して850時間以上であること
・総訓練時間に占めるOJTの割合が2割以上8割以下であること

⑥特定分野認定実習併用職業訓練

対象訓練建設業、製造業、情報通信業の事業主が厚生労働大臣の認定を受けて実施する「特定分野認定実習併用職業訓練」
対象労働者15歳以上45歳未満であるなどその他一定の要件を満たす雇用保険被保険者(建設業、製造業、情報通信業)
主な要件・企業内におけるOJTと教育訓練機関で行われるOFF-JTを効果的に組み合わせて実施する訓練であること
・実施期間が6か月以上2年以下であること
・総訓練時間が1年当たりの時間数に換算して850時間以上であること
・総訓練時間に占めるOJTの割合が2割以上8割以下であること

⑦中高年齢者雇用型訓練

対象訓練中高年齢の新規雇用者などを対象とした訓練
対象労働者45歳以上であり、かつ、新たに雇い入れた(雇い入れ日から訓練開始日まで2週間以内)、または、短時間労働者から正社員に転換した(転換日から訓練開始日まで2週間以内)雇用保険被保険者
主な要件・企業内におけるOJTと教育訓練機関で行われるOFF-JTを効果的に組み合わせて実施する訓練であること
・実施期間が3か月以上6か月以下であること
・総訓練時間が6か月当たりの時間数に換算して425時間以上であること
・総訓練時間に占めるOJTの割合が1割以上9割以下であること

各訓練の要件の詳細については、下記のパンフレットでご確認ください。

対象となる事業主等

対象となる事業主の主な要件は次のとおりです。

  • 労働組合等の意見を聴いて事業内職業能力開発計画およびこれに基づく年間職業能力開発計画を作成し、当該計画の内容をその雇用する労働者に対して周知していること
  • 職業能力開発推進者を選定していること
  • 訓練を受ける期間において、所定労働時間に労働した場合に支払う通常の賃金の額を支払っていること(グローバル人材育成訓練において海外で実施する訓練、育児休業中の訓練および専門実践教育訓練のうち労働者が自発的に受講する訓練は除く)

また、上記の事業主のほか、一定の要件を満たす事業協同組合などの「事業主団体」や、「共同事業主」も対象になります。

助成額・助成率

このコースで受給できる額は、OFF-JT中の賃金の一部(賃金助成)と、OJTを実施した場合の助成額(OJT実施助成)、訓練経費(講師への謝金や旅費、施設の借り上げ費、受講に際して必要となる入学料や受講料など)の一部(経費助成)です。

賃金助成およびOJT実施助成の1人1時間あたりの単価、経費助成の助成率は次のとおりです。

特定訓練コース 助成額 助成率
特定訓練コースの助成額・助成率① 出典:厚生労働省
  • ( )内の賃金単価と助成率は、大企業に適用されるものです。
  • このコースの「生産性要件」は、「訓練開始日が属する会計年度の前年度の生産性とその3年度後の会計年度の生産性を比べて6%以上伸びていること」です。
  • 東日本大震災の復興対策として、福島県の事業主については一定の割増があります。

また、下記に該当する訓練である場合には、経費助成の助成率が引上げられます。

①「特定分野認定実習併用職業訓練」の助成対象事業主

②「若者雇用促進法」に基づく認定事業主(ユースエール認定企業)

※訓練計画提出時までに認定されている場合に限ります。

③セルフ・キャリアドック制度(キャリアコンサルティングとキャリア研修などを組み合わせて行う、従業員のキャリア形成を促進・支援する制度)の導入企業

※訓練計画提出時までに就業規則または労働協約に制度を規定し、労働基準監督署に届け出ている必要があります。

上記に該当する場合の経費助成の助成率は次のとおりです。

特定訓練コース 助成率
特定訓練コースの助成額・助成率② 出典:厚生労働省
  • ( )内の助成率は、大企業に適用されるものです。
  • 「生産性要件」は上記と同様です。

上限額・上限時間

「経費助成」、「賃金助成」、「OJT実施助成」には、次のとおり、それぞれ上限額・上限時間が定められています。また、1年度に受給できる額にも上限があります。

①経費助成の上限額(1人当たり)

企業規模と実訓練時間に応じて次のようになっています。

特定訓練コース 上限額
特定訓練コースの上限額 出典:厚生労働省

②賃金助成の上限時間(1人当たり)

認定職業訓練、専門実践教育訓練の場合は1,600時間、それ以外の訓練の場合は1,200時間が上限時間になります。

③OJT実施助成の上限時間(1人当たり)

認定実習併用職業訓練、特定分野認定実習併用職業訓練の場合は680時間、中高年齢者雇用型訓練の場合は382.5時間が上限時間になります。

④1年度に受給できる上限額

1事業所または1事業主団体等が1年度に受給できる助成額は、特定訓練コースのみの場合、また、特定訓練コースに加えて、このあと説明する一般訓練コースも含む場合、ともに1,000万円が上限です。

申請方法

特定訓練コースへの申請方法は次のとおりです。

なお、このコースの対象になっている訓練の一部は、実施にあたって厚生労働大臣の認定を受ける必要があるため、これに該当する訓練であるのかどうかによって申請方法は異なります。また、助成金を受給したあと、生産性要件を満たした場合にも申請手続きが必要になります。

「特定分野認定実習併用職業訓練」、「認定実習併用職業訓練」、「中高年齢者雇用型訓練」以外についての申請方法

①計画届の提出

訓練を開始する1か月前までに、「訓練実施計画届」に必要な書類を添えて管轄の都道府県労働局に提出します。

②支給申請

訓練の終了した日の翌日から起算して2か月以内に、「支給申請書」に必要な書類を添えて管轄の都道府県労働局に提出します。

「特定分野認定実習併用職業訓練」、「認定実習併用職業訓練」、「中高年齢者雇用型訓練」についての申請方法

①「実習併用職業訓練」(実践型人材養成システム)の認定申請

「特定分野認定実習併用職業訓練」、「認定実習併用職業訓練」の場合は、訓練を開始する2か月前までに、「実施計画認定申請書」に必要な書類を添えて管轄の都道府県労働局またはハローワークに提出し、厚生労働大臣の認定を受けます。なお、「中高年齢者雇用型訓練」の場合は、この認定を受ける必要はありません。

②計画届の提出

訓練を開始する1か月前までに、「訓練実施計画届」に必要な書類を添えて管轄の都道府県労働局に提出します。

③支給申請

提出した訓練実施計画に沿った訓練を実施した後、事業主(企業連携型訓練は出向元事業主、事業主団体等連携型訓練は事業主)が訓練の終了した日の翌日から起算して2か月以内に「支給申請書」に必要な書類を添えて管轄の都道府県労働局に提出します。

生産性要件を満たしたことによる申請方法

訓練開始日が属する会計年度の前年度から3年度後の会計年度の末日の翌日を基準日とし、その日から5か月以内に「支給申請書」に必要な書類を添えて管轄の都道府県労働局に提出します。必要な書類の詳細については、管轄の都道府県労働局に問い合わせるか、下記の支給要領でご確認ください。

一般訓練コース

一般訓練コース
一般訓練コース

「一般訓練コース」とは、特定訓練コース以外の訓練で、職務に関連した専門的な知識や技能を習得させるための職業訓練を「OFF-JT」(実務とは区別して行われる訓練)として実施した場合に助成金が支給されるコースです。

このコースの対象となる訓練や対象となる事業主、また、受給できる額や申請方法は次のとおりです。

対象となる訓練

対象となる訓練は特定訓練コース以外の訓練ですが、主な要件などは次のとおりです。

対象訓練特定訓練コース以外の訓練で、職務に関連した専門的な知識や技能を習得させるための職業訓練
対象労働者雇用保険被保険者
主な要件・OFF-JTにより実施される訓練であること(事業主等が自ら企画・実施する訓練、または教育訓練機関が実施する訓練)
・実訓練時間が20時間以上であること
・雇用する被保険者に対して定期的なキャリアコンサルティングを実施することについて、労働協約、就業規則又は事業内職業能力開発計画で定めていること

対象となる事業主等

対象となる事業主の主な要件は次のとおりです。

  • 特定訓練コースの要件を満たしていること。
  • 労働協約や就業規則、事業内職業能力開発計画に、従業員に対する定期的なキャリアコンサルティングの機会の確保を規定していること。

そのほか、一定の要件を満たす「事業主団体」や「共同事業主」も対象になります。

助成額・助成率

このコースで受給できる額は、OFF-JT中の賃金の一部(賃金助成)と、訓練経費(講師への謝金や旅費、施設の借り上げ費、受講に際して必要となる入学料や受講料など)の一部(経費助成)です。

賃金助成の1人1時間あたりの単価および経費助成の助成率は次のとおりです。

一般訓練コース 助成額 助成率
一般訓練コースの助成額・助成率 出典:厚生労働省
  • このコースの「生産性要件」は、特定訓練コースと同様に「訓練開始日が属する会計年度の前年度の生産性とその3年度後の会計年度の生産性を比べて6%以上伸びていること」です。
  • 東日本大震災の復興のための対策として、福島県の事業主については一定の割増があります。

上限額・上限時間

「経費助成」、「賃金助成」、「OJT実施助成」の上限額・上限時間、また、1年度に受給できる額は次のとおりです。

 ①経費助成の上限額(1人当たり)

企業規模と実訓練時間に応じて次のようになっています。

一般訓練コース 経費助成 上限額
一般訓練コースの上限額 出典:厚生労働省

②賃金助成の上度時間(1人当たり)

原則として、1,200時間が上限時間になります。

③1年度に受給できる上限額

1事業所または1事業主団体等が1年度に受給できる助成額は、一般訓練コースのみの場合は500万円が上限で、一般訓練コースに加えて、特定訓練コースも含む場合は、1,000万円が上限です。

申請方法

このコースへの申請方法は次のとおりです。

①計画届の提出

訓練を開始する1か月前までに、「訓練実施計画届」に必要な書類を添えて管轄の都道府県労働局に提出します。

②支給申請

訓練が終了した日の翌日から起算して2か月以内に、「支給申請書」に必要な書類を添えて管轄の都道府県労働局に提出します。

③生産性要件を満たしたことによる申請

訓練開始日が属する会計年度の前年度から3年度後の会計年度の末日の翌日を基準日とし、その日から5か月以内に「支給申請書」に必要な書類を添えて管轄の都道府県労働局に提出します。

必要な書類の詳細については、管轄の都道府県労働局に問い合わせるか、下記の支給要領でご確認ください。

教育訓練休暇付与コース

教育訓練休暇付与コース
教育訓練休暇付与コース

「教育訓練休暇付与コース」とは、有給の教育訓練休暇制度を導入・実施した場合、または、長期にわたる教育訓練休暇制度を導入・実施した場合に助成金が支給されるコースです。

このコースの対象となる訓練や対象となる事業主、また、受給できる額や申請方法は次のとおりです。

対象となる制度

対象となる制度は2種類あり、それぞれの対象労働者や主な要件は次のとおりです。

①教育訓練休暇制度

対象労働者期間の定めのある労働契約を締結する労働者、短時間労働者、派遣労働者を除く、雇用保険被保険者
主な要件・3年間に5日以上の取得が可能な有給教育訓練休暇制度であること
・制度について、就業規則または労働協約に施行日を明記していること
・制度を規定した就業規則または労働協約について、施行日までに雇用する労働者に周知していること
・制度を規定した就業規則については、施行日までに管轄の労働基準監督署へ提出していること(常時10人未満の労働者を使用する事業所の場合には事業主と労働者代表者が署名・押印した申立書の作成でも可)、労働協約については、施行日までに締結されたものであること

②長期教育訓練休暇制度

対象労働者このあと説明する「長期教育訓練休暇制度導入・適用計画届」の提出日時点で、当該事業所において雇用保険被保険者である期間が連続して1年以上の雇用保険被保険者
主な要件・休暇取得開始日より1年の間に、所定労働日において120日以上の教育訓練休暇の取得が可能な長期教育訓練休暇制度であること
・教育訓練休暇の取得については、日単位での取得のみとするものであること
・制度について、就業規則または労働協約に施行日を明記していること
・制度を規定した就業規則または労働協約について、施行日までに雇用する労働者に周知していること
・制度を規定した就業規則については、施行日までに管轄の労働基準監督署へ提出していること(常時10人未満の労働者を使用する事業所の場合には事業主と労働者代表者が署名・押印した申立書の作成でも可)、労働協約については、施行日までに締結されたものであること

対象となる事業主

対象となる事業主の主な要件は次のとおりです。

  • 労働組合などの意見を聴取し、事業内職業能力開発計画を作成し、雇用する労働者に周知している事業主であること
  • 職業能力開発推進者を選定している事業主であること

助成額

教育訓練休暇制度を導入・実施した場合と、長期教育訓練休暇制度を導入・実施した場合のそれぞれの助成額は次のとおりです。

教育訓練休暇制度を導入・実施した場合

「制度導入・実施助成」として次の額を受給できます。

教育訓練休暇付与コース 助成額 教育訓練休暇制度
教育訓練休暇制度の制度導入・実施助成 出典:厚生労働省
  • このコースの「生産性要件」は、助成金の支給申請を行う直近の年度における「生産性」が「その3年度前に比べて6%以上伸びていること」または「その3年度前に比べて1%以上(6%未満)伸びていること」のいずれかに該当することです。

長期教育訓練休暇制度を導入・実施した場合

有給による休暇取得に対する「賃金助成」および「経費助成」として次の額を受給できます。

教育訓練休暇付与コース 助成額 長期教育訓練休暇制度
長期教育訓練休暇制度の賃金助成と経費助成 出典:厚生労働省
  • 「賃金助成」については150日分が上限となります。また、支給対象者数は、企業全体の雇用する被保険者数が100人未満の企業は1人、同100人以上の企業は2人が上限となります。
  • このコースの「生産性要件」は、「被保険者の休暇取得開始日が属する会計年度の前年度の生産性とその3年度後の会計年度の生産性を比べて6%以上伸びていること」です。

申請方法

このコースへの申請方法は次のとおりです。

①計画届の提出

各制度の導入・適用計画期間の初日から起算して6か月前から1か月前までに、「教育訓練休暇制度導入・適用計画届」または「長期教育訓練休暇制度導入・適用計画届」に必要な書類を添えて管轄の都道府県労働局に提出します。

②支給申請

教育訓練休暇制度の導入・実施の場合は、制度導入・適用計画期間の末日(制度導入日から3年)の翌日から2か月以内に、「支給申請書」に必要な書類を添えて管轄の都道府県労働局に提出します。

長期教育訓練休暇制度の導入・実施の場合は、制度導入・適用計画期間(制度導入日から3年)内であり、被保険者の長期教育訓練休暇の取得開始日より1年以内、かつ、支給要件を満たす休暇の最終取得日(150日を超えて当該休暇を取得する場合には150日目とする。)の翌日から2か月以内に、「支給申請書」に必要な書類を添えて管轄の都道府県労働局に提出します。

③生産性要件を満たしたことによる申請

教育訓練休暇制度の導入・実施の場合は、上記の通常の支給申請時にあわせて申請します。

長期教育訓練休暇制度の導入・実施の場合は、制度導入後最初に適用した被保険者の休暇取得開始日が属する会計年度の前年度から3年度後の会計年度の末日の翌日を基準日とし、その日から起算して5か月以内に「支給申請書」に必要な書類を添えて管轄の都道府県労働局に提出します。

必要な書類の詳細については、管轄の都道府県労働局に問い合わせるか、下記の支給要領でご確認ください。

特別育成訓練コース

特別育成訓練コース
特別育成訓練コース

「特別育成訓練コース」とは、有期契約労働者および正規雇用でない無期雇用労働者に職業訓練を実施した場合(訓練終了時には雇用保険被保険者であることが必要)に助成金が支給されるコースです。

このコースの対象となる訓練や対象となる事業主、また、受給できる額や申請方法は次のとおりです。

対象となる訓練

対象となる訓練は3種類あり、それぞれの内容や主な要件は次のとおりです。

①一般職業訓練

対象訓練原則として、正規雇用労働者若しくは多様な正社員に転換すること、または、将来の職務上の地位や賃金をはじめとする処遇の改善を図ることを目的にOFF-JTで行われる職業訓練、および、「中長期的キャリア形成訓練」、「育児休業中訓練」
※「中長期的キャリア形成訓練」とは、正規雇用労働者等に転換すること等を目的に、OFF-JTで行われる職業訓練であって、中長期的なキャリア形成に資する専門的かつ実践的な教育訓練として厚生労働大臣が指定する「専門実践教育訓練」及び「特定一般教育訓練」のことを言います。
※「育児休業中訓練」の場合には、正規雇用労働者等に転換すること等を目的とする必要はありません。
主な要件・原則として、OFF-JTで訓練期間が1年以内、訓練時間数が20時間以上の訓練であること
・「育児休業中訓練」の場合は、OFF-JTで訓練期間が1年以内、訓練時間数が10時間以上の訓練であること
・「中長期的キャリア形成訓練」の場合は、OFF-JTで訓練時間数が20時間以上(訓練期間は問わない)の「専門実践教育訓練」または「特定一般教育訓練」(厚生労働大臣が指定する講座)であること
・通信制のみの職業訓練の場合は、一般教育訓練給付指定講座(「中長期的キャリア形成訓練」の場合は「専門実践教育訓練」または「特定一般教育訓練」の指定講座)であること

②有期実習型訓練

対象訓練正規雇用労働者等に転換することを目的に、OFF-JTとOJTを組み合わせて実施する職業訓練であって、管轄の都道府県労働局が確認を行った職業訓練
主な要件・実施期間2か月以上6か月以下の訓練であること
・総訓練時間数が6か月当たりの時間数に換算して425時間以上であること
・総訓練時間に占めるOJT の割合が1割以上9割以下であること
・訓練対象者は、ジョブ・カードを作成していること

③中小企業等担い手育成訓練

対象訓練正規雇用労働者等(短時間正社員を除く)に転換することを目的とした、業界団体(厚生労働省が指定する訓練において専門的支援が実施できる業界団体(支援団体))を活用した業界主導のOFF-JTの訓練と、事業主が担うOJTを組み合わせて一人前レベルまでの人材育成を実施する最大3年の長期間の職業訓練
主な要件・実施期間3年以下の訓練であること
・総訓練時間に占めるOJT の割合が1割以上9割以下であること
・厚生労働省が指定する支援団体と事業主が作成した計画であり、資格取得、修了試験等の一定の要件を満たす訓練であること

対象となる事業主

対象となる事業主の主な要件は次のとおりです。

  • 有期契約労働者等を雇用する、または新たに雇い入れる事業主であること
  • 対象労働者に対し、職業訓練計画を作成し、管轄労働局長の受給資格認定を受けた事業主であること
  • 受給資格認定による職業訓練計画に基づき、訓練を実施した事業主であること
  • 訓練期間中の対象労働者に対する賃金を適正に支払う事業主であること

助成額

OFF-JTの助成額

このコースで受給できる額は、OFF-JTの場合は、訓練期間中の賃金の一部(賃金助成)と、訓練経費(講師への謝金や旅費、施設の借り上げ費、受講に際して必要となる入学料や受講料など)の一部(経費助成)であり、OJTの場合は、OJTを実施したことによる一定の助成額(実施助成)です。

OFF-JTの場合とOJTの場合のそれぞれの助成額は次のようになります。

特別育成訓練コース OFF-JT 助成額
特別育成訓練コース(OFF-JT)の助成額 出典:厚生労働省
  • ( )内の賃金単価と助成額は、大企業に適用されるものです。
  • 「賃金助成」について、1人当たりの助成時間数は1,200時間(「中長期的キャリア形成訓練」は1,600時間)が上限時間になります。
  • 「経費助成」について、事業主が負担した費が上記の助成額を下回る場合は実際に負担した費が上限になります。
  • このコースの「生産性要件」は、「訓練開始日が属する会計年度の前年度の生産性とその3年度後の会計年度の生産性を比べて6%以上伸びていること」です。
  • 「一般職業訓練」としての育児休業中訓練、および、一般教育訓練給付指定講座の通信制のみの訓練は、「経費助成」のみ(通信制のみの訓練は「20時間以上100時間未満」の区分で支給)となります。
  • 「有期実習型訓練」について、訓練実施後に「キャリアアップ助成金」(正社員化コース)の支給要件を満たす正規雇用労働者等に転換した場合の「経費助成」は、「中長期的キャリア形成訓練」と同じ額になります。
  • 「経費助成」の「20時間以上100時間未満」の区分について、育児休業中訓練である場合は「20時間以上」を「10時間以上」と読み替えます。

OJTの助成額

特別育成訓練コース OJT 助成額
特別育成訓練コース(OJT)の助成額 出典:厚生労働省
  • ( )内の賃金単価は大企業に適用されるものです。
  • 1人当たりの助成時間数は、680時間(中小企業担い手育成訓練は1,020時間(訓練計画届に記載される資格等を取得できない場合は680時間))が上限時間になります。
  • 「生産性要件」はOFF-JTの場合と同様です。

申請方法

このコースへの申請方法は次のとおりです。

①計画届の提出

職業訓練を実施する前に、「職業訓練計画」に必要な書類を添えて管轄の都道府県労働局(ハローワークを経由できる場合あり)に提出します。

②支給申請

職業訓練終了日の翌日から起算して2か月以内に、「支給申請書」に必要な書類を添えて管轄の都道府県労働局(ハローワークを経由できる場合あり)に提出します。

③生産性要件を満たしたことによる申請

訓練開始日が属する会計年度の前年度から3年度後の会計年度の末日の翌日を基準日とし、その日から起算して5か月以内に「支給申請書」に必要な書類を添えて管轄の都道府県労働局(ハローワークを経由できる場合あり)に提出します。

必要な書類の詳細については、管轄の都道府県労働局に問い合わせるか、下記の支給要領でご確認ください。

その他のコース

その他のコース
その他のコース

人材開発支援助成金には、ここまでに説明したコースのほか、建設業の労働者や障害者の能力の開発・向上を目的としたコースも用意されています。これらのコースの概要について説明します。

建設労働者認定訓練コース

「建設労働者認定訓練コース」とは、職業能力開発促進法による認定訓練を行った場合や、雇用する建設労働者に有給で認定訓練を受講させた場合に助成金が支給されるコースで、中小建設事業主や中小建設事業主団体を対象にしたコースです。

対象となる措置や対象となる事業主、助成額、申請方法は次のとおりです。

対象となる措置

対象となる措置は次の2種類です。

①職業能力開発促進法による「認定職業訓練」を行うこと・都道府県から「認定訓練助成事業費補助金」または「広域団体認定訓練助成金」の交付を受けている「認定職業訓練」であることが必要です。
・これを実施することでこのあと説明する「経費助成」の対象になります。
②雇用する建設労働者(雇用保険被保険者に限る)に対して有給で「認定職業訓練」を受講させること・特定訓練コース、一般訓練コース、特別育成訓練コースのいずれかのコースの支給を受けている「認定職業訓練」であることが必要です。
・これを実施することでこのあと説明する「賃金助成」の対象になります。

対象となる事業主

対象となる事業主の主な要件は次のとおりです。

  • 雇用管理責任者(※)を選任していること
  • 「経費助成」については、中小建設事業主(資本金の額若しくは出資の総額が3億円以下、または、常時雇用する労働者数が300人以下の建設事業主)、または、中小建設事業主団体(建設事業主団体(※)であって、その構成員である建設事業主のうちに占める中小建設事業主の割合が3分の2以上の団体)であること
  • 「賃金助成」については、中小建設事業主であること

※「雇用管理責任者」とは、「建設労働者の雇用の改善等に関する法律」によって建設事業を行う事業所ごとに選任が義務付けられている、労働者の雇入れや配置、技能の向上、職業生活上の環境の整備などを管理する者です。

※「建設事業主団体」とは、建設事業主の団体またはその連合団体であって、構成員のうち建設事業主の割合が50%以上、かつ、建設事業主のうち雇用保険の保険関係が成立している建設事業主の割合が50%以上であるなどその他一定の要件を満たす団体のことを言います。

助成額・助成率

このコースでは、上記①の措置に対しては「経費助成」として対象経費の一定割合、②の措置に対しては「賃金助成」として労働者の賃金の一部(定額)を受給できます。それぞれで受給できる額は次のとおりです。

経費助成

  • 広域団体認定訓練補助金の支給または認定訓練助成事業費補助金の交付を受けて都道府県が行う助成において支給対象経費とされた額の1/6相当額

賃金助成

  • 認定訓練を受講した建設労働者1人1日当たり3,800円
  • 生産性要件を満たした場合には、認定訓練を受講した建設労働者1人1日当たり1,000円が追加支給

※このコースの「生産性要件」は、「訓練開始日が属する会計年度の前年度の生産性とその3年度後の会計年度の生産性を比べて6%以上伸びていること」です。

※1事業所が1の年度(支給申請年月日を基準とし、同年度4月1日から翌年3月31日まで)に建設労働者認定訓練コース(賃金助成)として受給できるのは1,000万円が上限です。

申請方法

このコースへの申請方法は次のとおりです。

①「経費助成」の支給申請

認定訓練の終了後、都道府県より認定職業訓練(建設関連)の補助額(助成額)に係る精算確定の通知が発出された日の翌日から原則として2か月以内に、「支給申請書」に必要な書類を添えて管轄の都道府県労働局に提出します。

②「賃金助成」の支給申請

特定訓練コース、一般訓練コース、特別育成訓練コースの支給申請期間内に、「支給申請書」に必要な書類を添えて管轄する都道府県労働局(ハローワークを経由できる場合あり)に提出します。

また、「生産性要件」を満たした場合には、認定訓練の開始日が属する会計年度の前年度から3年度後の会計年度の末日の翌日を基準日とし、その日から5か月以内に「支給申請書」に必要な書類を添えて管轄の都道府県労働局に提出します。

必要な書類の詳細については、管轄の都道府県労働局に問い合わせるか、下記のパンフレットでご確認ください。

建設労働者技能実習コース

「建設労働者技能実習コース」とは、雇用する建設労働者に有給で技能実習を受講させた場合に助成金が支給されるコースで、こちらも中小建設事業主や中小建設事業主団体を対象にしたコースです。

対象となる措置や対象となる事業主、助成額、申請方法は次のとおりです。

対象となる措置

対象となる措置は、雇用する建設労働者(雇用保険被保険者に限る)に対して、有給で技能実習(建設工事における作業に直接関連する実習や「労働安全衛生法」で定める特別教育、安全衛生教育など)を行うこと、または、登録教習機関などで行う技能実習を受講させることです。

※「登録教習機関」とは、建設機械などの運転・操作などに必要となる免許の実技教習や技能講習に関する学科・実技教育を行うことを目的として、都道府県労働局よって登録された機関のことを言います。

対象となる事業主

対象となる事業主の主な要件は次のとおりです。

  • 雇用管理責任者を選任していること
  • 「経費助成」については、中小建設事業主、または、中小建設事業主団体であること(女性建設労働者に対する技能実習の場合は、建設事業主または建設事業主団体であること)
  • 「賃金助成」については、中小建設事業主であること

助成額・助成率

このコースでは、上記の措置に対して「経費助成」として対象経費の一定割合、「賃金助成」として労働者の賃金の一部(定額)を受給できます。それぞれで受給できる額は次のとおりです。なお、1事業所が1の年度(支給申請年月日を基準とし、同年度4月1日から翌年3月31日まで)にこのコースの「経費助成」および「賃金助成」として受給できるのは、500万円が上限です。

経費助成

事業主の規模によって次の助成割合になります。

事業規模・種別助成割合
雇用保険被保険者数20人以下の中小建設事業主技能実習の実施に要した経費の3/4
雇用保険被保険者数21人以上の中小建設事業主35歳未満:技能実習の実施に要した経費の7/10
35歳以上:技能実習の実施に要した経費の9/20
中小建設事業主団体技能実習の実施に要した経費の4/5
中小以外の建設事業主女性建設労働者の技能実習の実施に要した経費の3/5
中小以外の建設事業主団体女性建設労働者の技能実習の実施に要した経費の2/3
  • 生産性要件(訓練開始日が属する会計年度の前年度の生産性とその3年度後の会計年度の生産性を比べて6%以上伸びていること)を満たした場合には、上記に加えて、技能実習の実施に要した経費の3/20が追加で受給できます。
  • 1つの技能実習について1人当たり10万円が上限です。
  • 東日本大震災の被災三県(岩手県、宮城県、福島県)の事業主については一定の割増があります。

賃金助成

事業主の規模に応じて、次の額を受給できます。

事業規模助成額
雇用保険被保険者数20人以下の中小建設事業主技能実習を受講した建設労働者1人1日当たり7,600円(建設キャリアアップシステム技能者情
報登録者の場合は8,360円)
雇用保険被保険者数21人以上の中小建設事業主技能実習を受講した建設労働者1人1日当たり6,650円(建設キャリアアップシステム技能者情
報登録者の場合は7,315円)
  • 1つの技能実習につき20日分が上限です。

また、生産性要件(訓練開始日が属する会計年度の前年度の生産性とその3年度後の会計年度の生産性を比べて6%以上伸びていること)を満たした場合には、事業主の規模に応じて次の額を追加で受給できます。

事業規模助成額(生産性要件を満たした場合)
雇用保険被保険者数20人以下の中小建設事業主上記の支給対象となった建設労働者1人1日当たり2,000円
雇用保険被保険者数21人以上の中小建設事業主上記の支給対象となった建設労働者1人1日当たり1,750円

申請方法

このコースへの申請方法は次のとおりです。

①計画届の届出

「経費助成」、「賃金助成」のいずれに申請する場合にも、雇用保険適用事業所ごとに、技能実習を実施しようとする日の3か月前から1週間前までの間に、「計画届」に必要な書類を添えて管轄の都道府県労働局(ハローワークを経由できる場合あり)に提出します。

なお、登録教習機関や登録基幹技能者講習実施機関、職業訓練法人、指定教育訓練実施者が実施する実習を受講させる場合にはこの計画届の提出は不要です

②支給申請

技能実習を終了した日の翌日から2か月以内に、「支給申請書」に必要な書類を添えて管轄の都道府県労働局に提出します。

③生産性要件を満たしたことによる申請

訓練開始日が属する会計年度の前年度から3年度後の会計年度の末日の翌日を基準日とし、その日から5か月以内に「支給申請書」に必要な書類を添えて管轄の都道府県労働局に提出します。

必要な書類の詳細については、管轄の都道府県労働局に問い合わせるか、下記のパンフレットでご確認ください。

障害者職業能力開発コース

「障害者職業能力開発コース」とは、障害者に職業能力開発訓練事業などを実施した場合に助成金が支給されるコースです。

対象となる措置や事業主等、対象となる障害者、助成額、申請方法は次のとおりです。

対象となる措置

対象となる措置は次の2種類です。

①障害者職業能力開発訓練事業・障害者の職業に必要な能力を開発および向上させるための教育訓練であって、厚生労働大臣が定める基準に適合する教育訓練であること
・教育訓練の期間は、6月以上2年以内とし、また、厚生労働大臣が定める基準に適合する教育訓練の事業などの経験を概ね5年以上有する「運営管理者」をおかなければならないなど、一定の要件を満たすものであること
②訓練の施設または設備の設置・整備または更新・対象となる訓練の施設または設備は、「能力開発訓練施設」、「管理施設」、「福祉施設」、「能力開発訓練施設用設備」のいずれかに該当する能力開発訓練施設等であること
・対象となる訓練の施設または設備は、事業主等が自ら所有するものであること(賃借によるものは対象になりません。)
・訓練の施設または設備の設置・整備または更新が、受給資格認定日の翌日から1 年以内に完了するものであること

対象となる事業主等

対象となる事業主の主な要件は次のとおりです。

  • 「事業主または事業主団体」、「専修学校または各種学校を設置する学校法人またはその他の法人」、「社会福祉法人」、「その他障害者の雇用の促進に係る事業を行う法人」のいずれかであること
  • 能力開発訓練施設等の設置・整備または更新を行った後、障害者職業能力開発訓練を5年以上継続して行う事業主等であること
  • 実施する障害者職業能力開発訓練において、就職支援責任者(※)の配置を行う事業主等であること
  • 訓練対象障害者の個人情報を取り扱う際に、訓練対象障害者の権利利益を侵害することのないよう管理運営を行うものであること

※「就職支援責任者」とは、キャリアコンサルタントまたは受講者に対する就職活動の支援などを適切に行うことができる知識や経験を有する者のことを言います。

対象となる障害者

対象となる障害者(訓練対象障害者)は、次の①および②に該当する者です。

①「身体障害者」、「知的障害者」、「精神障害者」、「発達障害者」、「高次脳機能障害のある者」、「厚生労働大臣が定める特殊の疾病(難病※)にかかっている者」のいずれかに該当する者

②ハローワークに求職の申込みを行っており、障害特性、能力、労働市場の状況等を踏まえ、職業訓練を受けることが必要であるとハローワークが認め、その旨を支給対象となる事業主等に対し、職業訓練受講通知書により通知された者であること

※対象となる疾病については、厚生労働省のホームページでご確認ください。

助成額・助成率

このコースで受給できる額は次のとおりです。

訓練の施設または設備の設置・整備または更新についての助成額

障害者職業能力開発訓練事業を行う訓練科目ごとの施設または設備の設置・整備または更新に要した費用の3/4

※初めて助成金の対象となる訓練科目ごとの施設または設備の設置・整備の場合は、5,000万円が上限になります。

※訓練科目ごとの施設または設備の更新の場合は、1,000万円が上限(複数回支給を受ける場合も事業主等ごとの累積額で判断)になります。

障害者職業能力開発訓練事業の運営費としての助成額

次の区分により算出した合計額が助成されます。

①重度身体障害者、重度知的障害者、精神障害者および就職が特に困難であるとハローワークが認める障害者(以下「重度障害者等」という。)を対象とする障害者職業能力開発訓練については下記の額

  • 1人あたりの運営費(職員の給与や諸手当、教材費、実習にかかる経費など。以下同じ。)に4/5を乗じた額(上限額:月額17万円)に、重度障害者等である訓練対象障害者のうち、支給対象期における訓練時間の8割以上を受講した者の人数を乗じた額
  • 支給対象期における訓練時間の8割以上を受講しなかった者については、1人当たりの運営費に4/5を乗じた額(上限額:月額17万円)に、支給対象期における訓練時間数を分母に、当該者の訓練受講時間数を分子にして得た率を乗じた額

②①以外の障害者を対象とする障害者職業能力開発訓練については下記の額

  • 1人あたりの運営費に3/4を乗じた額(上限額 :月額16万円)に、重度障害者等以外の訓練対象障害者のうち、支給対象期における訓練時間の8割以上を受講した者の人数を乗じた額
  • 支給対象期における訓練時間の8割以上を受講しなかった者については、1人当たりの運営費に3/4を乗じた額(上限額:月額16万円)に、支給対象期における訓練時間数を分母に、当該者の訓練受講時間数を分子にして得た率を乗じた額

③重度障害者等が就職した場合には、就職者1人当たりに10万円を乗じた額

申請方法

このコースへの申請方法は次のとおりです。

「訓練の施設または設備の設置・整備または更新」についての申請方法

①受給資格の認定申請

訓練の施設または設備の設置・整備または更新に着手する前、かつ、7月16日から9月15日まで、または、1月16日から3月15日までの間に、「受給資格認定申請書」に必要な書類を添えて管轄の都道府県労働局に提出し、受給資格の認定を受けます。

②支給申請

訓練の施設または設備の設置・整備または更新を完了した日の翌日から2か月以内に、「支給申請書」に必要な書類を添えて管轄の都道府県労働局に提出します。

「障害者職業能力開発訓練事業」についての申請方法

①受給資格の認定申請

職業訓練を開始する3か月前までに、「受給資格認定申請書」のほか必要な書類を添えて管轄の都道府県労働局に提出し、受給資格の認定を受けます。

②支給申請

助成金は四半期ごとの支給となるため、各支給対象期が経過するごとに、当該支給対象期の末日の翌日から起算して2か月以内に、「支給申請書」に必要な書類を添えて管轄の都道府県労働局に提出します。

重度障害者等の就職加算について支給を受ける場合には、訓練終了日から起算して4か月以内に、「支給申請書」に必要な書類を添えて管轄の都道府県労働局に提出します。

必要な書類の詳細については、管轄の都道府県労働局に問い合わせるか、下記の支給要領でご確認ください。

人材開発支援助成金のメリット・デメリット

人材開発支援助成金のメリット・デメリット
人材開発支援助成金のメリット・デメリット

ここまで、人材開発支援助成金の各コースの内容などについて説明してきましたが、そもそも人材開発支援助成金には、どのようなメリットやデメリットがあるのかを理解しておくことも必要です。

最後に、人材開発支援助成金のメリットとデメリットをまとめます。

メリット

人材開発支援助成金の主なメリットは次のとおりです。

人材育成にかかる費用を抑えられる

人材育成にはかなりの費用がかかります。多くの企業ではこの費用の問題が人材育成に取り組めない、あるいは、充実させられない原因になっていますが、この人材開発支援助成金を活用することで、費用をある程度、回収することができます。

特に中小企業にとっては大企業よりも増額されるコースもあり、中小企業は積極的に活用すべき助成金と言えます。

多様なコースがある

人材開発支援助成金には、若年層から中高年層、また、新たに雇い入れた従業員など、あらゆる層の人材育成に対応するコースがあります。会社の状況に応じた人材育成に活用することができます。

生産性の向上につながる

人材開発支援助成金を活用して、従業員の能力を開発・向上させることで、企業全体としての生産性を向上させることができます。また、実際に生産性を向上させることで助成金が増額になるコースもありますので、目標達成意識も出てきます。

デメリット

人材開発支援助成金の主なデメリットは次のとおりです。

助成金は訓練・研修実施後に支給される

人材開発支援助成金に限りませんが、国の助成金は、原則として対象となる措置を実施したあとに支給されます。このため、人材開発支援助成金の各コースの対象となる訓練・研修を実施する場合でも、必要となる経費についてはまずは全額自己負担で進めていかなければなりません。

申請するためには様々な書類・手続きが必要になる

こちらも人材開発支援助成金に限りませんが、助成金を申請するためには様々な書類を作成しなければなりません。また、コースによっては、訓練を実施することについて厚生労働大臣の認定を受けなければならないものもあり、実際に助成金を受給するまでにはかなりの手間がかかります。

まとめ

優秀な人材を新規獲得することが難しくなっている現在、いかに自社で優秀な人材を育成していくかが重要になってきています。しかしながら、人材育成には経費がかかりますので、企業としてはこの人材開発支援助成金を積極的に活用していきたいところです。

もし、人材開発支援助成金への申請を考えているけれど、申請書類を作成する時間がないということであれば、専門家である社労士に相談してみてはいかがでしょうか。ミツモアを使えば、すぐに助成金の申請代行を依頼できる社労士を見つけられます。この機会にぜひ使ってみませんか。