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人材確保等支援助成金とは 受給額や要件について解説

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最終更新日: 2023年02月02日

人材確保等支援助成金とは、従業員の定着を図るために雇用管理の改善や生産性向上などに取り組む企業に支給される厚生労働省の助成金です。

この助成金は人材が不足しているときに、まずは現在就業している従業員に居続けもらうための職場環境の改善を考えているときに活用できるものです。

この記事では、人材確保等支援助成金の受給額や受給するための要件などついて解説しています。

人材確保等支援助成金とは

人材確保等支援助成金とは
人材確保等支援助成金とは

人材確保等支援助成金は、厚生労働省の助成金(雇用関係助成金)ですが、その他の助成金と比べても多くのコースに分かれています。

このため、申請しにくいイメージがありますが、逆に言えば、企業の個別の事情に対応できるコースがあるということです。要件を満たすコースがあれば、従業員を定着させるため、また、働き方改革を進めるために積極的に活用すべき助成金であると言えます。

まずは、この人材確保等支援助成金の各コースについて、また、多くのコースで適用される生産性要件について説明します。

人材確保等支援助成金の各コース

人材確保等支援助成金は、雇用管理改善や生産性向上などの取り組み内容などによって、次の7つのコースに分かれています。

①雇用管理制度助成コース「評価・処遇制度」や「研修制度」、「健康づくり制度」、「メンター制度」、「短時間正社員制度」の導入、実施を対象とするコース
(中小建設事業主については別枠で整理されています。)
②介護福祉機器助成コース介護事業主の新たな介護福祉機器の導入を対象とするコース
③介護・保育労働者雇用管理制度助成コース介護事業主または保育事業主の賃金制度の整備を対象とするコース
④中小企業団体助成コース中小企業者を構成員とする事業協同組合などの、傘下の事業者の労働環境の向上に関する事業の実施を対象とするコース
⑤人事評価改善等助成コース事評価制度および賃金のアップを含む賃金制度の整備、実施を対象とするコース
⑥設備改善等支援コース生産性向上に資する設備などの導入を対象とするコース
⑦働き方改革支援コース働き方改革に取り組む上で人材を確保することが必要な中小企業の新たな労働者の雇い入れ、一定の雇用管理改善を対象とするコース

「⑦働き方改革支援コース」については一定の中小企業が申請対象であり、「④中小企業団体助成コース」については「事業協同組合等」(詳細は後述します)が申請対象です。また、「②介護福祉機器助成コース」や「③介護・保育労働者雇用管理制度助成コース」のように介護事業主や保育事業主が申請対象になっているものもあります。

コースによっては申請対象が限定されているものがありますので注意が必要です。

生産性要件とは

人材確保等支援助成金を含む多くの雇用関係助成金は、次の式で計算される「生産性」が申請前と比べて一定割合向上した場合には助成金が追加で支給、あるいは、通常の額から増額されます。この「一定割合」を生産性要件と言います。

生産性=付加価値/雇用保険被保険者数

※「付加価値」は、原則として「営業利益+人件費+減価償却費+動産・不動産賃借料+租税公課」で求めます。

人材確保等支援助成金ではすべてのコースに生産性要件が設定されているわけではありませんが、設定されているコースの生産性要件、また、生産性要件を満たした場合にどうなるのかについては、このあと、個別に説明しています。

生産性の計算方法など、詳しくは厚生労働省のホームページでご確認ください。

問い合わせ先・申請書類の提出先

人材確保等支援助成金各コースについての問い合わせ先、および、申請書類の提出先は、原則として管轄の都道府県労働局です。ハローワークにも提出できる場合がありますが、管轄の都道府県労働局に確認が必要です。

このあと、各コースの受給額や受給要件などについて説明しますが、申請書類の提出期限などについては厚生労働省のホームページなどでご確認ください。

雇用管理制度助成コース

雇用管理制度助成コース
雇用管理制度助成コース

このコースは一定の雇用管理制度の導入、実施が対象になります。

雇用管理制度の導入、実施については、計画書を作成してあらかじめ都道府県労働局長の認定を受ける必要がありますが、その後の導入、実施によって離職率が低下するなど一定の要件を満たした場合に助成金が支給されます。

対象となる雇用管理制度や受給額、主な受給要件などは次のとおりです。

対象となる5つの雇用管理制度

このコースの申請対象になる雇用管理制度は次の5つであり、このうち1つ以上導入、実施する必要があります。

なお、①から④については、正社員(助成金の制度上は「通常の労働者」として一定の定義あり)を対象にしている制度である必要があります。

①評価・処遇制度

「人事評価制度」(評価基準やその反映方法などを定めたもの)や「昇進・昇格基準」、「賃金制度」(退職金制度や賞与制度を含む)、「各種手当制度」などが対象になります。

 ②研修制度

「新入社員研修制度」や「管理職研修制度」、「幹部職員研修制度」、「新任担当者研修」などが対象になります。

 ③健康づくり制度

法定の健康診断項目に加えて、「胃がん検診」、「子宮がん検診」、「肺がん検診」、「乳がん検診」、「大腸がん検診」、「歯周疾患検診」、「骨粗鬆症検診」、「腰痛健康診断」のうち、いずれか1つ以上の項目を導入する制度が対象になります。

④メンター制度

正社員のキャリア形成上の課題や職場における問題の解決を支援するためのメンタリングの措置であり、直属上司とは別に、指導・相談役となる先輩(メンター)が後輩(メンティ)をサポートする制度が対象になります。

⑤短時間正社員制度(保育事業主のみ)

この制度の導入によって申請できるのは保育事業主のみですが、雇用している従業員(正社員を含む)や新たに雇い入れる従業員を、所定労働時間が通常の正社員と比べて短く、かつ、期間あたりの基本給や賞与、退職金などの労働条件が通常の正社員と同等である「短時間正社員」とする制度が対象になります。

受給額

このコースでは、目標達成助成として57万円を受給できます。ただし、生産性要件を満たした場合の受給額は72万円になります。

主な受給要件

このコースの主な受給要件は次のとおりです。

  • 上記で説明した、5つの雇用管理制度のうち1つ以上を導入、実施することについての「雇用管理制度整備計画」計画期間は3か月以上1年以内)(以下「計画」)を作成し、都道府県労働局の認定を受けていること。
  • 認定を受けた計画に基づいて、実際に雇用管理制度を導入、実施していること。
  • 計画期間内に雇用管理制度を導入、実施し、かつ、計画期間の終了から1年間は引き続きその雇用管理制度を実施していること。
  • 計画期間終了後1年間で算出する離職率(以下「評価時離職率」)を30%以下とし、かつ、計画認定申請前1年間で算出する離職率(以下「計画時離職率」)よりも目標値(下記参照)以上に低下させていること。

生産性要件

このコースで適用される生産性要件は次のとおりです。

助成金の支給申請を行う直近の会計年度における生産性が、

  • その3年度前に比べて6%以上伸びていること、または、
  • その3年度前に比べて1%以上(6%未満)伸びている(※)こと。

※この場合は金融機関から一定の「事業性評価」を得ていることが必要になります。

離職率の低下目標値

上記で説明した評価時離職率について、計画時離職率より、次の表の「低下させる離職率ポイント(目標値)」以上に低下させることが必要です。

目標値は、事業所の雇用保険一般被保険者(高年齢被保険者、短期雇用特例被保険者および日雇労働被保険者以外の被保険者)の人数によって異なります。

材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)のリーフレット
低下させる離職率ポイント(目標値) 出典:厚生労働省

離職率の算出方法

離職率は、次の式で算出します。

人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)のリーフレット
離職率の算出方法 出典:厚生労働省

なお、上記の計算式の「所定の期間」とは、受給要件のところで説明したとおりですが、計画時離職率においては計画認定申請前1年間を指し、評価時離職率においては計画期間終了後1年間を指します。

申請書類(様式)の入手方法

このコースの申請に必要な計画書の様式や、助成金の申請に必要な支給申請書などの様式については、下記の厚生労働省のホームページからダウンロードできます(都道府県労働局の助成金担当窓口でも入手できます)。

なお、申請するためには一定の添付書類も必要になりますので、同じく厚生労働省のホームページなどでご確認ください。

介護福祉機器助成コース

介護福祉機器助成コース
介護福祉機器助成コース

このコースは、介護事業主による介護労働者の負担を軽減するための一定の介護福祉機器の導入、運用が対象になります。

介護福祉機器の導入、運用については、計画書を作成してあらかじめ都道府県労働局長の認定を受ける必要がありますが、その後に導入したことと、運用によって離職率が低下するなど一定の要件を満たした場合に対し、それぞれに助成金(機器導入助成・目標達成助成)が支給されます。

対象となる介護福祉機器の範囲や受給額、主な受給要件などは次のとおりです。

対象となる介護福祉機器の範囲

対象となる介護福祉機器については、2020年(令和2年)度から次のような変更が行われていますので注意が必要です。この変更については、2020年(令和2年)4月1日以降に提出する、介護福祉機器の「導入・運用計画」(このあと説明します)から適用されます。

人材確保等支援助成金(介護福祉機器助成コース)の助成対象 ストレッチャーなどが外れます。
令和2年4月1日から、「人材確保等支援助成金」(介護福祉機器助成コース)の助成対象から、ストレッチャーなどが外れます。 出典:厚生労働省

受給額

このコースの助成金は、機器導入助成目標達成助成の2回に分けて支給されます。それぞれで受給できる額は次のとおりですが、支給対象経費の一定割合であり、上限額が定められています。また、生産性要件を満たした場合には目標達成助成が増額になります。

人材確保等支援助成金(介護福祉機器助成コース) 支給額
受給額 出典:厚生労働省

主な受給要件

このコースに申請するためには、前提として介護事業主である必要がありますが、機器導入助成および目標達成助成について、それぞれの主な受給要件は次のとおりです。

機器導入助成

  • 介護福祉機器の「導入・運用計画」(計画期間は3か月以上1年以内)(以下「計画」)を作成し、都道府県労働局の認定を受けていること。
  • 認定を受けた計画に基づいて、実際に対象となる介護福祉機器を導入し、介護労働者の雇用管理改善に努めること。
  • 雇用管理責任者を選任していること。

目標達成助成

  • 機器導入助成の要件を満たしていること。
  • 計画期間終了後1年間で算出する離職率(以下「評価時離職率」)を30%以下とし、かつ、計画認定申請前1年間で算出する離職率(以下「計画時離職率」)よりも目標値(下記参照)以上に低下させていること。

生産性要件

このコースで適用される生産性要件は次のとおりです。

助成金の支給申請を行う直近の会計年度における生産性が、

  • その3年度前に比べて6%以上伸びていること、または、
  • その3年度前に比べて1%以上(6%未満)伸びている(※)こと。

※この場合は金融機関から一定の「事業性評価」を得ていることが必要になります。

離職率の低下目標値

「雇用管理制度助成コース」と同様ですが、このコースにおいても目標達成助成の要件として、評価時離職率を、計画時離職率より、次の表の「低下させる離職率ポイント(目標値)」以上に低下させることが必要です。

目標値は、事業所の雇用保険一般被保険者の人数によって異なります。

人材確保等支援助成金(介護福祉機器助成コース)
低下させる離職率ポイント(目標値) 出典:厚生労働省

申請書類(様式)の入手方法

このコースの申請に必要な計画書の様式や、助成金の申請に必要な支給申請書などの様式については、下記の厚生労働省のホームページからダウンロードできます(都道府県労働局の助成金担当窓口でも入手できます)。

なお、申請するためには一定の添付書類も必要になりますので、同じく厚生労働省のホームページなどでご確認ください。。

介護・保育労働者雇用管理制度助成コース

介護・保育労働者雇用管理制度助成コース
介護・保育労働者雇用管理制度助成コース

このコースは、介護事業主または保育事業主による介護労働者または保育労働者の職場定着を促進するための賃金制度の整備、実施が対象になります。

賃金制度の整備、実施については、計画書を作成してあらかじめ都道府県労働局長の認定を受ける必要がありますが、その後に整備、実施したことと実施によって離職率が低下するなど一定の要件を満たした場合に対し、それぞれに助成金(制度整備助成・目標達成助成(計2回分))が支給されます。

受給額や主な受給要件などは次のとおりです。

受給額

このコースの助成金は、制度整備助成目標達成助成(第1回)および目標達成助成(第2回)の3回に分けて支給されます。

それぞれで受給できる額は、次のとおりで、生産性要件を満たした場合には目標達成助成(第1回)および目標達成助成(第2回)が増額になります。

人材確保等支援助成金(介護・保育労働者雇用管理制度助成コース) 受給額
受給額 出典:厚生労働省

主な受給要件

このコースに申請するためには、前提として介護事業主または保育事業主である必要がありますが、制度整備助成目標達成助成(第1回目)および目標達成助成(第2回目)について、それぞれの主な受給要件は次のとおりです。

制度整備助成

  • 「介護・保育賃金制度整備計画」(計画期間は3か月以上1年以内)(以下「計画」)を作成し、都道府県労働局の認定を受けていること。
  • 認定を受けた計画に基づいて、実際に賃金制度を整備し、かつ、すべての介護労働者、保育労働者に実施していること。
  • 整備、実施する賃金制度は、職務や職責、職能、資格、勤続年数などに応じて階層的に定めるものであること。

目標達成助成(第1回目)

  • 制度整備助成の要件を満たしていること。
  • 計画期間終了後1年間で算出する離職率(評価時離職率(第1回))を30%以下とし、かつ、計画認定申請前1年間で算出する離職率(計画時離職率)よりも目標値(下記参照)以上に低下させていること。

目標達成助成(第2回目)

  • 目標達成助成(第1回目)の要件を満たしていること。
  • 評価時離職率(第1回)の算定期間後2年間で算出する離職率(評価時離職率(第2回))が、評価時離職率(第1回)を維持していること。
  • 評価時離職率(第2回)は20%以下であること。

生産性要件

このコースで適用される生産性要件は次のとおりです。

助成金の支給申請を行う直近の会計年度における生産性が、

  • その3年度前に比べて6%以上伸びていること、または、
  • その3年度前に比べて1%以上(6%未満)伸びている(※)こと。

※この場合は金融機関から一定の「事業性評価」を得ていることが必要になります。

離職率の低下目標値

「雇用管理制度助成コース」と同様ですが、このコースにおいても目標達成助成(第1回目)の要件として、評価時離職率(第1回)を、計画時離職率より次の表の「低下させる離職率ポイント(目標値)」以上低下させることが必要です。

目標値は、事業所の雇用保険一般被保険者の人数によって異なります。

人材確保等支援助成金(介護・保育労働者雇用管理制度助成コース)のリーフレット
低下させる離職率ポイント(目標値) 出典:厚生労働省

申請書類(様式)の入手方法

このコースの申請に必要な計画書の様式や、助成金の申請に必要な支給申請書などの様式については、下記の厚生労働省のホームページからダウンロードできます(都道府県労働局の助成金担当窓口でも入手できます)。

なお、申請するためには一定の添付書類も必要になりますので、同じく厚生労働省のホームページなどでご確認ください。

中小企業団体助成コース

中小企業団体助成コース
中小企業団体助成コース

このコースは、「中小企業者」を構成員とする「事業協同組合等」が傘下の事業者の人材確保や従業員の職場定着を支援するために一定の事業(「中小企業労働環境向上事業」)を行った場合に、それに要した費用の一部が助成金として支給されるものです。

なお、このコースでは計画について都道府県労働局長の認定を受ける前に、「中小企業における労働力の確保及び良好な雇用の機会の創出のための雇用管理の改善の促進に関する法律」(以下「中小労確法」)に基づく「改善計画」を作成して、都道府県知事の認定を受けなければなりません。

受給額、主な受給要件などは次のとおりです。

「中小企業者」を構成員とする「事業協同組合等」とは

「中小企業者」を構成員とする「事業協同組合等」とは、「中小企業における労働力の確保及び良好な雇用の機会の創出のための雇用管理の改善の促進に関する法律」(以下「中小労確法」)に規定されている、次の「中小企業者」および「事業協同組合等」のことを言います。

中小企業者

資本金の額または出資の総額が一定額(業種によって異なる)以下である会社や、常時使用する従業員の数が一定数(業種によって異なる)以下である会社および個人、「企業組合」や「協業組合」、「事業協同組合」などのことを指します。

事業協同組合等

上記の「中小企業者」でもある「事業協同組合」や「協同組合連合会」その他の組合または連合会、「一般社団法人」(直接または間接の構成員の3分の2以上が「中小企業者」であるもの)のことを指します。

詳細については厚生労働省のホームページなどでご確認ください。

受給額

このコースで受給できる額は、事業に要した費用の一定割合です。具体的には、次の①および②の3分の2で計算されます。

①対象となる「中小企業労働向上事業」の実施に要した費用の額

②労働環境向上推進員(下記「主な受給要件」参照)の設置に要した費用の額、または、①のいずれか低い額

 

受給額=「①×3分の2」+「②×3分の2」(※)

※事業の実施期間は前期と後期(下記「主な受給要件」参照)に分かれますが、上記「②×3分の2」の額については、前期としての200万円が上限、前期・後期合わせて400万円が上限です。

また、全体の受給額についても、下記のとおり構成員である中小企業者数によって上限額が設定されています。

人材確保等支援助成金(中小企業団体助成コース) 受給額
人材確保等支援助成金(中小企業団体助成コース)の受給額 出典:厚生労働省

主な受給要件

このコースに申請するためには、前提として、上記で説明した「事業協同組合等」である必要がありますが、その他、受給にあたっての主な受給要件は次のとおりです。

  • 「中小労確法」に基づき、事業協同組合等や中小企業者が雇用管理の改善に取り組むために策定する「改善計画」を作成し、都道府県知事の認定を受けていること。
  • 構成員である中小企業者のための「中小企業労働環境向上事業」の実施について、「中小企業労働環境向上事業実施計画」(事業の実施期間は原則1年間(前期6か月・後期6か月))(以下「計画」)を作成し、このコースの受給資格について都道府県労働局の認定を受けていること。
  • 計画に基づいて、実際に「中小企業労働環境向上事業」を実施していること。
  • 「中小企業労働環境向上事業」の円滑な推進のために、「労働環境向上検討委員会」および「労働環境向上推進員」を設置していること。

「中小企業労働環境向上事業」として認められるのは、構成員である中小企業者の労働環境向上のための「計画策定・調査事業」など一定の事業である必要があります。詳細については厚生労働省のホームページなどでご確認ください。

申請書類(様式)の入手方法

このコースの申請に必要な計画書の様式や、助成金の申請に必要な支給申請書などの様式については、下記の厚生労働省のホームページからダウンロードできます(都道府県労働局の助成金担当窓口でも入手できます)。

なお、申請するためには一定の添付書類も必要になりますので、同じく厚生労働省のホームページなどでご確認ください。

人事評価改善等助成コース

 人事評価改善等助成コース
人事評価改善等助成コース

このコースは、生産性の向上を図るための能力評価を含む人事評価制度および賃金アップにつながる賃金制度の整備、実施が対象になります。

人事評価制度および賃金制度の整備、実施については、計画書を作成してあらかじめ都道府県労働局長の認定を受ける必要がありますが、その後に整備、実施したことと実施によって生産性向上や賃金アップ、離職率が低下するなど一定の要件を満たした場合に対し、それぞれに助成金(制度整備助成・目標達成助成)が支給されます。

受給額や主な受給要件などは次のとおりです。

受給額

このコースの助成金は、制度整備助成目標達成助成の2回に分けて支給されますが、制度整備助成として50万円、目標達成助成として80万円を受給できます。

主な受給要件

このコースの制度整備助成目標達成助成について、それぞれの主な受給要件は次のとおりです。

制度整備助成

  • 「人事評価制度等整備計画」(以下「計画」)を作成し、都道府県労働局の認定を受けていること。
  • 認定を受けた計画に基づいて、実際に人事評価制度および賃金制度(以下「人事評価制度等」)を整備、実施していること。
  • 整備、実施する人事評価制度等は、正社員や一定範囲の労働者(事実上、期間の定めなく雇用されているとみなされる者など)すべてを対象とするものとし、賃金が2%以上増加することが見込まれるなど一定の要件を満たすものであること。

目標達成助成

  • 生産性要件を満たしていること。
  • 人事評価制度等実施時(実施日の属する月の前月)と、計画の認定申請日から3年経過時(認定申請日から3年後の日の直前の賃金支払日の属する月)に支払われた賃金の総額を比較したときに2%以上増加させていること。
  • 人事評価制度等実施後1年間で算出した離職率(以下「評価時離職率」)が30%以下であり、かつ、計画認定申請前1年間で算出した離職率(以下「計画時離職率」)よりも目標値(下記参照)以上に低下させていること。

生産性要件

このコースで適用される生産性要件は次のとおりです。

  • 計画認定申請日の属する会計年度の前年度と、その3年後の会計年度を比べて生産性が6%以上伸びていること。

離職率の低下目標値

評価時離職率については、計画時離職率より次の表の「低下させる離職率ポイント(目標値)」以上低下させなければなりません。考え方は先に説明した「雇用管理制度助成コース」と同様ですが、目標値は異なります。

人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)のリーフレット
低下させる離職率ポイント(目標値)出典:厚生労働省

申請書類(様式)の入手方法

このコースの申請に必要な計画書の様式や、助成金の申請に必要な支給申請書などの様式については、下記の厚生労働省のホームページからダウンロードできます(都道府県労働局の助成金担当窓口でも入手できます)。

なお、申請するためには一定の添付書類も必要になりますので、同じく厚生労働省のホームページなどでご確認ください。

設備改善等支援コース

設備改善等支援コース
設備改善等支援コース

このコースは、設備などを導入することで生産性の向上や雇用管理改善につなげる取り組みが対象になります。

設備などの導入や雇用管理改善については、計画書を作成してあらかじめ都道府県労働局長の認定を受ける必要がありますが、その後に設備などを導入したことで、生産性向上や賃金アップ、離職率を一定割合以下にするなどの要件を満たした場合に助成金(計画達成助成・上乗せ助成・目標達成時助成)が支給されます。

このコースにおける計画期間(1年タイプ・3年タイプ)について、また、受給額や主な受給要件などは次のとおりです。

1年タイプか3年タイプのどちらかを選択

このコースでは、まず計画期間について1年タイプとするのか3年タイプとするのかを選択します。

この2つのタイプは設備導入費用で分けられており、大企業は3年タイプしか選択できないなどの特徴があります。その他のポイントは次のとおりです。

1年タイプ

  • 設備導入費用が175万円以上1,000万円未満で、中小企業のみが対象
  • 賃金アップなどの目標を達成すると、計画期間終了後に計画達成助成として助成金が支給
  • 生産性向上、賃金アップなどの目標を達成すると、計画期間終了から2年後に上乗せ助成として助成金が支給

3年タイプ

  • 設備導入費用が5,000万円未満の場合には中小企業のみが対象で、5,000万円以上の場合にはすべての企業が対象
  • 生産性向上、賃金アップなどの目標を達成すると、計画期間2年目のはじめに計画達成助成(1回目)として、3年目のはじめに計画達成助成(2回目)として助成金が支給
  • 生産性向上、賃金アップなどの目標を達成すると、計画期間終了後に目標達成助成として助成金が支給

なお、雇用関係助成金において「中小企業」に該当するかどうかは、資本金の額や労働者の数などで判断されます。

中小企業の範囲
中小企業の範囲 出典:厚生労働省

受給額

このコースの助成金は、1年タイプであれば、計画達成助成上乗せ助成の2回に分けて支給され、3年タイプであれば、計画達成助成(1回目)、計画達成助成(2回目)および目標達成時助成の3回に分けて支給されます。

それぞれで受給できる額は次のとおりです。

人材確保等支援助成金(設備改善等支援コース)のリーフレット
助成額の概要 出典:厚生労働省

主な受給要件

このコースの受給要件は、1年タイプの計画達成助成と上乗せ助成、3年タイプの計画達成助成(1回目)と計画達成助成(2回目)、目標達成時助成のそれぞれで個別に定められています。主な受給要件は次のとおりです。

1年タイプ:計画達成助成

  • 「雇用管理改善計画」(計画期間は1年)(以下「計画」)を作成し、都道府県労働局の認定を受けていること。
  • 認定を受けた計画に基づいて、実際に対象となる設備など(各種機器、システムまたはソフトウェアなど)の導入および雇用管理改善(計画開始前と比べて2%以上の賃金アップなど)を実施していること。
  • 計画期間中で算出する離職率を30%以下としていること。

1年タイプ:上乗せ助成

  • 計画開始前と比べて6%以上賃金をアップさせていること。
  • 生産性要件を満たしていること。
  • 計画期間終了後2年間で算出する離職率を30%以下としていること。

3年タイプ:計画達成助成(1回目)

  • 「雇用管理改善計画」(計画期間は3年)(以下「計画」)を作成し、都道府県労働局の認定を受けていること。
  • 認定を受けた計画に基づいて、実際に対象となる設備などの導入および雇用管理改善(計画開始前と比べて2%以上の賃金アップなど)を実施していること。
  • 生産性要件を満たしていること。
  • 計画期間1年目で算出する離職率を30%以下としていること。

3年タイプ:計画達成助成(2回目)

  • 引き続き導入した設備などを活用していること。
  • 計画開始前と比べて4%以上賃金をアップさせていること。
  • 生産性要件を満たしていること。
  • 計画期間2年目で算出する離職率を30%以下としていること。

3年タイプ:目標達成時助成

  • 引き続き導入した設備などを活用していること。
  • 計画開始前と比べて6%以上賃金をアップさせていること。
  • 生産性要件を満たしていること。
  • 計画期間3年目で算出する離職率を30%以下としていること。

生産性要件

このコースで適用される生産性要件は次のとおりで、1年タイプと3年タイプとで異なります。

1年タイプ上乗せ助成
設備などの導入日の属する会計年度の前年度と、その3年度後を比較して生産性が6%以上伸びていること。
3年タイプ計画達成助成(1回目)
設備などの導入日の属する会計年度の前年度と、その1年度後を比較して生産性が0%以上伸びていること。
計画達成助成(2回目)
設備などの導入日の属する会計年度の前年度と、その2年度後を比較して生産性が2%以上伸びていること。
目標達成時助成
設備などの導入日の属する会計年度の前年度と、その3年度後を比較して生産性が6%以上伸びていること。

申請書類(様式)の入手方法

このコースの申請に必要な計画書の様式や、助成金の申請に必要な支給申請書などの様式については、下記の厚生労働省のホームページからダウンロードできます(都道府県労働局の助成金担当窓口でも入手できます)。

なお、申請するためには一定の添付書類も必要になりますので、同じく厚生労働省のホームページなどでご確認ください。

働き方改革支援コース

働き方改革支援コース
働き方改革支援コース

このコースは、「働き方改革推進支援助成金」(旧「時間外労働等改善助成金」)の支給を受けた中小企業が、働き方改革に取り組むうえで必要な労働者を雇い入れ、一定の雇用管理改善を図る場合が対象になります。

労働者の雇い入れや雇用管理改善の取り組みについては、計画書を作成して、あらかじめ、都道府県労働局長の認定を受ける必要がありますが、その後に労働者の雇い入れや雇用管理改善を実施、また、離職率を一定割合以下にするなどの要件を満たした場合に助成金(計画達成助成・目標達成助成)が支給されます。

受給額や主な受給要件などは次のとおりです。

受給額

このコースの助成金は、計画達成助成目標達成助成の2回に分けて支給されます。それぞれで受給できる額は次のとおりです。

人材確保等支援助成金(働き方改革支援コース)のリーフレット
受給額 出典:厚生労働省

上記のとおり、受給できる額は新たに雇い入れた労働者数によって決定することになりますが、計画達成助成の支給対象となる労働者数は原則10名とされており、そのほか、目標達成助成も含めて労働者数の上限について一定の考え方があります。

詳細については、厚生労働省のホームページなどでご確認ください。

主な受給要件

このコースに申請するためには、前提として「働き方改革推進支援助成金」(旧「時間外労働等改善助成金」)の支給を受けた中小企業である必要がありますが、計画達成助成目標達成助成について、それぞれの主な受給要件は次のとおりです。

計画達成助成

  • 雇用管理改善の取り組み(人材の配置変更や労働者の負担軽減に関する取り組みなど)についての雇用管理改善計画(計画期間は1年間)を作成し、都道府県労働局の認定を受けていること。
  • 認定を受けた雇用管理改善計画(以下「計画」)に基づいて、新たに労働者(雇用保険被保険者、社会保険の被保険者であるなどの一定の要件あり)を雇い入れ、雇用管理改善を実施していること。
  • 計画期間である1年間で算出する離職率を30%以下としていること。

目標達成助成

  • 計画を開始した時(開始日の前日)と、計画開始から3年が経過した時(開始日から3年経過日の翌日)の雇用保険被保険者数を比較した場合に人員増になっていること。
  • 生産性要件を満たしていること。
  • 計画期間終了後2年間で算出する離職率(目標達成助成時離職率)を30%以下としていること。

生産性要件

このコースで適用される生産性要件は次のとおりです。

  • 対象労働者を最初に雇い入れた日の属する会計年度の前年度と、その3年度後の会計年度を比べて生産性が6%以上伸びていること。

申請書類(様式)の入手方法

このコースの申請に必要な計画書の様式や、助成金の申請に必要な支給申請書などの様式については、下記の厚生労働省のホームページからダウンロードできます(都道府県労働局の助成金担当窓口でも入手できます)。

なお、申請するためには一定の添付書類も必要になりますので、同じく厚生労働省のホームページなどでご確認ください。

まとめ

まとめ
まとめ

人材不足は多くの企業にとって深刻な問題ですが、新たな人材の確保だけに力を入れていても解消するものではありません。根本的な解消を目指すのであれば、従業員を定着させられる魅力ある職場づくりが必要であり、そのために活用できるのが今回の人材確保等支援助成金です。

もし、この助成金を活用したいけれど、複雑な申請書類を作成する時間がないということであれば、専門家である社労士に相談してみてはいかがでしょうか。ミツモアを使えば、すぐに助成金の申請代行を依頼できる社労士を見つけられます。この機会にぜひ使ってみませんか。