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相続税の税率を分かりやすく解説!控除額の計算から相続税対策まで

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最終更新日: 2018年11月27日

相続税は、財産を所有していた人が亡くなった時に、その財産を引き継ぐ人に対して課せられる税金です。

日本の相続では、遺産として残される相続財産の金額が大きければ大きいほど、相続税の税率も高くなる仕組みになっています。

つまり、財産をたくさん相続する人ほど、たくさんの税金を負担しなくてはならないということですね。

この記事では、相続税の税率について具体的な計算例を見ながら解説しますので、これから相続にかかわる可能性がある方は参考にしてみてください。

相続税の税率ってどのくらい?

納める相続税の額は人によって様々である
相続税の税率は全員一律ではない!

通常、亡くなった人の財産を引き継ぐのは親族ですから、相続税を支払うのは亡くなった人の遺族ということになります。

もっとも、すべての相続で相続税が発生するわけではありません。

後でくわしく見るように、相続税には「基礎控除」というルールがありますので、相続財産の金額が一定額を越えない場合には、相続税の負担も発生しない仕組みになっているのです。

具体的には、相続財産の金額がおおむね3600万円未満となる場合には、相続税の負担も発生しないと理解しておくと良いでしょう(なぜ3600万円か?については後でくわしく説明します)

相続税の税率は相続財産の金額によって違う

日本の相続税は、相続財産がたくさんあればあるほど税率も高くなり、相続税の負担額も大きくなる仕組みになっています。

なぜこのような仕組みになっているかというと、世代が変わるタイミングで社会全体での富の再分配が行われるようにするためです。

相続財産がたくさんある裕福な家族と、そんなにたくさんない家族に全く同じ相続税の税率を適用してしまうと、裕福な家族だけがずっと財産を持ち続けるということになり不平等ですから、裕福な家族にはたくさん相続税を負担してもらって社会全体に富をわけてもらうというわけですね。

相続税の税率は、具体的には次のように定められています。

税率と相続税の計算
平成27年1月以降の相続税の速算表

出典:国税庁

実際に相続税の金額を計算してみよう!

相続税の制度は複雑である
相続税は税率を知って計算してみるのが大切!

相続税の計算方法について理解するためには、実際に事例をみながら相続税の計算をしてみるのがわかりやすいです。

以下では具体的な計算例を紹介しますので参考にしてみてください。

相続財産の金額にそのまま税率をかけるわけではない!?

誤解されやすい点なのですが、相続税は相続財産の金額にそのまま税率をかけて計算するのではありません。

例えば、次のような計算の仕方は間違いですので注意してください。

(まちがいの例)

相続財産の金額=1億円

上の速算表から、相続財産が1億円以下の場合の税率は30%・控除額は700万円なので、

1億円×30%-700万円=2300万円(誤り)

相続税の計算は、後で見るように①正味の遺産額の計算・②課税遺産総額の計算・③相続税の金額の計算、といったように順序をふんで計算していく必要があるのです。

基礎控除額とは?

上の「そもそも相続税とは?」の部分でも説明しましたが、相続税は遺産の総額から「基礎控除」を差し引きして計算します。

そのため、遺産の金額が基礎控除の金額を下回っているような場合には、そもそも相続税は発生しないということになりますね。

相続税の基礎控除額は、次の計算式によって計算します。

基礎控除額 = 3000万円 + 600万円×法定相続人

法定相続人というのは、民法という法律のルールに基づいて相続人となる人のことをいい、ごく簡単にいえば配偶者や子供、親などのことです。

例えば、亡くなった人に妻・長男・次男・父親・母親の合計5人の遺族がいたとすると、法定相続人となるのはこのうち妻・長男・次男の3人です。

そのため、上の計算式に当てはめると、基礎控除額は次のように計算できます。

基礎控除額 = 3000万円 + 600万円×法定相続人3人

基礎控除額 = 4800万円

基礎控除額が4800万円ということは、遺産の金額が4800万円を超えない場合には相続税は1円も発生しないということになります。

相続税は「お金持ちだけに課税される税金」といわれることがありますが、その背景にはこのような「遺産の金額が基礎控除の金額を越えないときには相続税は発生しない」という仕組みがあるわけですね。

計算するまでに必要ステップ

相続税の計算は、おおむね次のような順番で行います。

・①「正味の遺産額」を求める

・②「課税遺産総額」を求める

・③相続税の金額を求める

以下で順番にくわしく説明します。

①「正味の遺産額」を求める

遺産には土地や現金のような「プラスの財産」と借金のような「マイナスの財産」がありますので、「プラスの財産-マイナスの財産」で実質的な遺産の金額を計算します。

この実質的な遺産の金額のことを、「正味の遺産額」と呼び、計算式にすると以下のようになります。

正味の遺産額
正味の遺産額

②「課税遺産総額」を求める

上で計算した正味の遺産額が、そのまま相続税の課税対象となる遺産となるわけではありません。

ここからさらに「相続税の基礎控除」を差し引きして相続税の課税対象となる遺産の金額を求める必要があります。

この「相続税の課税対象となる遺産の金額」のことを「課税遺産総額」と呼び、次のように計算します。

課税遺産総額
課税遺産総額

なお、相続税の基礎控除は、上でも見たように「3000万円+法定相続人数×600万円」で計算します。

③相続税の金額を求める

課税遺産総額が求められたら、次に相続税の金額を計算します。

相続税の金額を求めるためには、上で紹介した「相続税の速算表」を使うと便利です。

具体的な計算ステップとしては、課税遺産総額を法定相続分でそれぞれの相続人が相続したものと仮定して、速算表に金額をあてはめて税額を計算することになります。

例えば、次のような事例で相続税の金額を計算してみましょう。

計算事例

ー相続税が基礎控除額を下回る、奥さんだけが相続する例、こどもたちも一緒にわける場合

事例 1

ここでは、計算事例として次のようなケースを考えましょう。

・正味の遺産総額=4000万円

・相続人となる人=妻・長男・次男の3人

この場合、相続税の基礎控除額は次のように計算できます。

正味遺産額と納税金閣
控除額を下回れば納税の義務はない!

基礎控除額=3000万円+600万円×3人=4800万円

正味の遺産総額が4000万円ですから、「正味の遺産総額<基礎控除額」ということになります。

正味の遺産総額が基礎控除額を下回っているときには相続税は1円も発生しませんから、このケースでは相続税の納税義務はありません。

事例 2

2つ目の事例として、相続税の計算で問題となることが多い「配偶者控除」の事例を見ておきましょう。

配偶者控除とは、ごく簡単にいうと「亡くなった人の配偶者は、一定の場合には相続を負担する必要がない」とする仕組みのことです。

具体的には、次のようにルールが決まっています。

(A)法定相続分の範囲内で相続する場合は、配偶者は常に相続税は発生しない

(B)配偶者が実際に相続する遺産が法定相続分を上回る場合は、1億6000万円までであれば相続税は発生しない

配偶者控除の一例
配偶者控除の一例

例えば、正味の遺産額が1億円である場合には、配偶者控除によって遺産額1億6000万円までは非課税となりますから、配偶者がすべての遺産を相続した場合には相続税の納税義務は発生しないことになります。

また、正味の遺産額が5億円・法定相続人が妻と子供の2人である場合には、妻の法定相続分は2分の1(2.5億円)ですから、配偶者が相続する遺産が2.5億円まで相続税はかからないことになります。

配偶者控除のルールを理解する上では、「法定相続分」と「実際に相続する遺産」の違いを理解することが必要です。

法定相続分とは、その名の通り「法律で決まっている相続割合」のことで、誰が相続人となるのかによって、それぞれのケースに合わせて割合が決まっています。

例えば、配偶者と子供が相続人となる場合には、配偶者の法定相続分は2分の1となります。また、配偶者と亡くなった人の父母が相続人となる場合には、配偶者の法定相続分は3分の2となる、といった具合ですね。

一方で、「実際に相続する遺産」とは、遺言や遺産分割協議によって、相続人が最終的に相続することになる遺産額のことをいいます。

日本の法律では、法律のルールよりも、亡くなった人が残遺言や遺産分割協議の内容が優先されるルールになっていますから、例えば配偶者の法定相続分は2分の1であったとしても、遺言や遺産分割協議によってそれと異なる割合とすることは可能なのです。

結論的に、法定相続分と実際に相続する遺産の金額は異なる可能性がありますから、配偶者控除についても上の①・②のようにルールが決まっているというわけですね。

このように、相続税の配偶者控除は相続税の負担を大幅に小さくしてくれるルールといえます。

一方で、配偶者控除を使うことがデメリットになってしまうケースもあることに注意しなくてはなりません。

相続税の配偶者控除がデメリットになるケースとは、具体的には「二次相続」をきちんと考慮せずに相続分を決めてしまう場合です。

二次相続とは、ごく簡単にいうと「①夫の死亡→妻の相続」の相続があった後に、さらに「②妻の死亡→子供の相続」というように、次の相続が立て続けに発生するようなケースをいいます。この場合、①を一次相続・②を二次相続というように呼ぶことがあるのです。

配偶者が相続すれば、配偶者控除を使えるので大幅に相続税が少なくなりますので、①の相続ではできるだけ多くの遺産を妻に相続させた方がお得なように思えますよね。

しかし、①の相続が発生してから、②の相続が発生するまでの期間が短い場合には、①の相続時に妻の相続分を多くしすぎてしまうと、②の相続が発生した際に妻の相続人となる人の相続税がとても高くなってしまう可能性があるのです。

もちろん、1次相続が発生した際に妻が多くの遺産を相続し、さらにその妻が死亡するまでの間に遺産の多くを使い切ってしまったような場合には、二次相続までトータルで考えた場合にも相続税の負担は小さくすることができるでしょう。

ただし、一般的には夫婦の年齢的な世代というのは同じことが多いですから、一次相続が発生してからそれほど長い時間が経たないうちに二次相続が発生する可能性は高いといえるでしょう。

そのため、だれがどれだけの割合の遺産を相続するのかを考える際には、一次相続だけではなく、二次相続までトータルで考えた相続税対策を考える必要があるのです。

事例 3

3つ目の事例として、次のような事例を考えてみましょう。

正味の遺産額=2億4800万円

相続人=妻・長男・次男の3人

法定相続分に従って遺産を分割したとすると、妻は2分の1・長男と次男はそれぞれ4分の1ずつを相続することになります。

この場合、相続税の計算は以下のように行われます。

①「正味の遺産額」を求める

この例では2億4800万円です。

②「課税遺産総額」を求める

課税遺産総額は「正味の遺産額-基礎控除額」で計算します。

基礎控除の説明
基礎控除の説明

③相続税の金額を求める

最後に、相続税の金額を計算します。

ここでの具体的な計算手順は以下のようになります。

③-1:法定相続分で遺産を分割したものとして、相続税の総額を求める

まず、法定相続分で遺産を分割したものとして相続税の総額を求めます。

遺産は2億円で、妻が2分の1・長男と次男はそれぞれ4分の1ずつ遺産を相続しますから、それぞれの法定相続分は以下のようになります。

【相続分】

妻: 2億円×2分の1=1億円

長男: 2億円×4分の1=5,000万円

次男: 2億円×4分の1=5,000万円

③-2:相続税の速算表から、家族全体の相続税合計を求める

次に、相続税の速算表からそれぞれの相続税の金額を求め、「家族全体の相続税合計」を計算します。

実際に計算してみると以下のようになります。

相続税の計算方法の事例
事例3の相続税の計算方法の事例
③-3:実際の相続割合からそれぞれの相続人の相続税負担額を計算する

ここまでで「家族全体で負担するべき相続税の金額」を3900万円と計算することができました。

一方で、相続税というのは「実際にそれぞれの人が相続する遺産の割合に応じて負担しあう」というのが原則になります。

例えば3分の1の遺産を実際に相続する人は、相続税の負担も3分の1だけ行うという形になるわけですね。

上で「法律で決まっている相続分は妻が2分の1・子供はそれぞれ4分の1ずつ」という説明をしましたが、これはあくまでも法律上のルールですので、亡くなった人が残した遺言が別途ある場合や、相続人同士で行う遺産分割協議によってこれとは異なる遺産分割割合を定めた場合には、そちらが優先されることになるのです。

ここでは、妻・長男・次男の3人がそれぞれ平等に3分の1ずつ遺産を相続したとしましょう。

遺産を実際に3分の1だけ相続した人は、相続税も3分の1だけ負担することになりますから、それぞれの相続人の相続税負担額は以下のようになります。

相続税の負担割合
実際の相続割合からそれぞれの相続人の相続税負担額を計算する
③-4:それぞれの相続人の控除などを適用する

通常はここまでで計算は終わりですが、相続人によってはさらに相続税計算上の控除を適用してもらえることがあります。

典型的なのが上でも見た「配偶者控除」ですね。

再度確認すると、配偶者控除では次の(A)(B)いずれかの金額までであれば相続税は1円もかからないという制度でした。

(A)法定相続分の範囲内で相続する場合は、配偶者は常に相続税は発生しない

(B)配偶者が実際に相続する遺産が法定相続分を上回る場合は、1億6000万円までであれば相続税は発生しない

この例では、妻の遺産分割割合は3分の1・相続税の負担額は1300万円でした。

妻は法定相続分と異なる割合で遺産分割を受けているので、(B)のケースに該当しますが、相続した遺産の金額が1億6000万円を下回っていますので、配偶者控除によって相続税の負担額は0円ということになります。

一方で、長男と次男はこういった控除の適用はありませんから、それぞれ1300万円ずつ相続税を負担することになります。

妻と子の相続税課税額の事例
妻と子の相続税課税額の事例

税理士からのコメント: 『相続税の計算には注意が必要!』

公認会計士 税理士 岡本好生事務所 - 神奈川県横浜市中区

公認会計士、税理士の岡本です。横浜市中区で公認会計士税理士岡本好生事務所を経営しております。相続や事業承継でお困りの皆様への相続対策が私どもの柱の一つです。相続対策や事業承継対策は専門特化した会計事務所では良い成果が出ません。税金のことだけを考えても、相続税、所得税、法人税の全てに精通していなければ節税もできません。もっと言えば、税金だけのことを考える相続対策も愚かでしょう。30年にわたる経験と実績をご体感ください。
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『日本では「法定相続分課税方式」という方法がとられています。まず、法定相続分で分割した場合の各相続人の相続財産に税率をかけたものを合計して、相続税の総額を計算します。この総税額を、実際に各相続人が相続した財産に応じて按分し各相続人の税額を計算するという独特な方法です。実は、これは日本独特の計算方法です。自分が相続する財産に税率をかけて税額を計算する遺産取得課税方式と、親が持っている財産の総額に税率をかけて計算する遺産課税方式が国際的には主流です。日本独特の計算方法であることもあって、間違えて計算してしまう方が多いのです。

また、不動産の評価を誤り、ご自身で想定されていた遺産額と専門家が計算した金額で大きな差異が発生することが多々あります。実際に事務所に相談に来られた方でも、「私の遺産額は○○円です」と申告されますが、たいていの場合は間違っています。なぜかというと、路線価で評価すべき宅地を固定資産税評価額で計算していたりするからです。路線価がつけられている市街地は路線価で評価し、それ以外の郊外の宅地などは倍率方式で評価するなど、所在地や立地条件によって計算方法も異なります。実際よりも低く土地を評価してしまうことで追加徴税が発生したり、逆に土地を過大評価してしまい納税額を必要以上に払ってしまうこともありますので、注意が必要です。』

2015年の相続税の税率の改正

2015年 相続税の税率が改正
2015年 相続税の税率が改正

2015年は相続税のルールが大幅に変更された年です。ごく簡単にいうと、多くの遺産が相続されるケースでは相続税の負担が大きくなったといえます。具体的には、遺産総額2億円超~3億円以下の場合には従来の相続税率40%→45%に、6億円超の場合には従来の相続税率50%→55%となっています。

また、相続税の基礎控除についても従来は「5000万円+1000万円×法定相続人数」で計算されていたのに対して、2015年以降は「3000万円+600万円×法定相続人数」で計算されるルールに変更されています。

相続税が課税される人のすそ野が広がったとともに、高額の遺産相続が行われる場合の相続税負担額も大きくなったといえるでしょう。

税理士からのコメント: 『今後さらに相続税率は引き上がるのか・・・専門家の予想は』

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『相続税は富の集中を抑制し、所得格差の固定化を防ぐ効果が非常に高い税金です。その時々の政策的目標に従って、これまで大きく改正されてきました。

今後の動向を予測するにあたって過去の税率の推移を見ておきましょう。

S25年〜S49年 最高税率90%

S50年〜S62年 最高税率75%

S63年〜H14年 最高税率70%

H15年〜H26年 最高税率50%

H27年以降   最高税率55%

H27年以降は、所得格差が広がる中で富の再配分を求める社会的傾向が強く、再び税率が引上げられることになりました。しかし、今後は、若干の引上げ・引下げはあるとしても、国際的水準から大きく乖離することはできなくなっており、40%〜60%前後で推移する可能性が高いと思われます。というのも、現在日本は国際的にみても相続税負担率が高く、その負担率は主要先進国の中でもトップクラスの水準に位置しています。これ以上の相続税率の引上げは富裕層の更なる国外流出をもたらすからです。実際に、私の肌感覚として、富裕層のうち少なからぬ人達が香港・シンガポール・オーストラリアなど近隣の相続税がかからない国に移住していています。

これほどまでに相続税率が高い日本ですが、国外移住せずとも節税できる方法がありますので、相続が発生する前から早めに対策することが重要です。』

相続税額を抑える方法ってあるの?

相続税を押さえる方法はある!

このように、相続に当たっては多額の相続税が発生する可能性があるわけですが、相続税は遺産を残す人の生前において適切な対策を行っておくことにより、負担額を大幅に軽減することが可能です。

ごく簡単にいうと、次の2点が相続税対策を行う上では重要になります。

①残す財産はできるだけ家族に分配しておく

②残す財産はできるだけ現金以外の形にしておく

これらを実際に行うためには、具体的には次のような相続税対策の方法があります。

生前贈与

生前贈与とは、ごく簡単にいうと財産を残す人が生きているうちに、贈与によって財産を家族などに分け与えておくことをいいます。相続税は、相続が発生した時点(つまり亡くなった時点)で残されている遺産の金額に応じて課税されますから、遺産をできるだけ周りの人に分配しておけば、課税される相続税の金額も小さくなるというわけです。

ただし、贈与を行う際には、贈与額が一定額を超える場合(具体的には1人当たりの年間贈与額110万円まで)には贈与税が課税されますから注意が必要です。逆に言うと、早い時期から生前贈与によって相続税対策を行っておけば、税金を課税されることなく相続税の負担額を減らすことが可能になるわけですね。

例えば、5人の子供に対して、年間110万円の贈与を20年にわたって行った場合には、110万円×5人×20年=1億1000万円だけ相続財産を減らすことができ、それだけ相続税の負担も小さくすることが可能になります。

生命保険

生命保険に加入しておくことも、有効な相続税対策といえます。

というのも、生命保険の被保険者が亡くなった時に、受取人に対して支払われる保険金は、相続税の負担が非常に小さくなる仕組みになっているからです。具体的には、生命保険金の受取額には「500万円×法定相続人の数」で計算する非課税枠が認められています。

例えば、相続人が妻と子供3人の4名という場合には、500万円×4人=2000万円までの生命保険金であれば相続税を課税されることなくお金を渡すことができるというわけですね。また、生命保険に加入するためには当然保険料を支払う必要がありますが、その支払った保険料の額だけ相続財産を減らすことにつながります。トータルで見ると、生命保険に加入しておくことは、非課税枠の範囲内であれば無税で贈与を行うことができるということになります。

生命保険と相続税に関する詳しい記事はこちら>>「死亡保険金にも相続税がかかる? 【税理士監修記事】

不動産

相続財産が不動産(土地や建物)のかたちで残されている場合、相続税の計算上非常に有利なルールを適用してもらうことができます。具体的には「小規模宅地等の特例」というルールがあります。

これは相続財産が宅地を建てるための不動産の形で残されている場合には、相続財産としての価値を最大80%割引してもらえるというものです。例えば、1億円の財産を現金として残した場合には相続税の課税対象としての価値も1億円ということになります。一方で、宅地用の不動産1億円として残した場合には、相続税が課税される相続財産としての価値は80%割引して2000万円だけとして計算してもらうことが可能になるのです。

なお、実際の小規模宅地等の特例の計算はもう少し複雑ですので、相続税対策を専門にしている税理士に相談するようにしてくださいね。

小規模宅地の特例に関する詳しい記事はこちら>>「小規模宅地の特例の節税効果を解説!不動産相続の最重要特例!!【税理士監修】

専門家コメント

岡本好生税理士

アパートローンによる節税を意図してアパートをつくろうと思っている方も多いと思います。確かに節税効果はありますが、節税のために財産を減らしてしまう人が少なくありません。アパート建設を提案してくる業者が提示する採算プランを鵜呑みにするのではなく、しっかりご自身で判断することが大切です。例えば、部屋の稼働率を都合良くみていないか、同エリアの賃貸物件と比較して相場が妥当かどうか、などアパートの採算性を吟味し、アパートローンの返済ができずに財産を減らす結果にならないようにしましょう。

また、生前贈与による相続税対策も効果をもたらしますが、思い込みで相続税対策をしてしまうことで損をしてしまわないよう、注意が必要です。口座名義や不動産の名義だけを奥様やお子様に変更していて、あとから数百万円の贈与税の支払いを求められるというケースは、意外にもよくある話です。さらには、旦那様名義の建物のリフォーム代金を奥様が支払うというのも、実は贈与税の対象になってしまいます。一見夫婦の財産だから贈与に当たらないように感じるのですが、ここが法律と私たち一般人の感覚がずれている部分かもしれません。

知識なく相続税対策をしてしまうと思わぬ税金がかかってしまう可能性があります。信頼できる専門家に相談されることをおすすめします。

7つの控除

その他、相続税を計算するうえでの控除制度(税額控除)として、次7つのルールが認められています。

①基礎控除

「3000万円+600万円×法定相続人数」までであれば、相続税の負担が発生しない仕組みです。

②配偶者控除

亡くなった人の配偶者(妻または夫)の場合、法定相続分または遺産額1億6000万円までであれば相続税の負担が発生しない仕組みです。

③未成年者控除

相続人が未成年者である場合には、「10万円×(20歳-相続発生時年齢)」で計算した金額を相続税の負担額を減らしてもらうことが可能です。例えば、相続時の年齢が15歳である場合には、10万円×(20歳-15歳)=50万円だけ相続税の負担額を減らしてもらうことが可能です。

④障害者控除

相続人が障害者である場合には、次の区分に応じて相続税の税額控除(税額からの差し引き)を受けることが可能です。

一般障害者:10万円×(85歳-相続発生時年齢)の金額を控除

特別障害者:20万円×(85歳-相続発生時年齢)の金額を控除

例えば、相続発生時に60歳であった一般障害者が相続人となる場合には、10万円×(85歳-60歳)=250万円だけ相続税の負担額を減らしてもらうことができます。

⑤贈与税額控除

相続が発生する前の3年以内の生前贈与によって贈与税を負担した場合には、贈与財産を相続財産の計算に加算する代わりに、その金額だけ相続税を減らしてもらうことができます。

⑥相次相続控除

10年以内に2回以上の相続が発生した場合には、一定の計算方法により相続税の控除を受けることが可能です。

⑦外国税額控除

外国に居住している人などの場合で、外国の相続税に当たる税金を負担した場合には、その金額だけ相続税の負担額を減らしてもらうことが可能です。

控除についてもっと詳しく知りたいかたはこちらの記事をご覧ください→「相続税は控除で節税できる?基礎控除から配偶者控除まで【税理士監修】

まとめ 実際の相続税対策はやっぱり税理士に相談!

相続税の対策
相続税の対策はまずは税理士に相談してみよう!

今回は、相続税の税率や基本的な計算方法について解説しました。

相続税を抑えるための方法もいくつかご紹介しましたが、実際に相続税対策を行う上では、専門家のアドバイスを受けるのが適切です。

相続税の対策については税理士に相談するのが一般的ですが、必ずしもすべての税理士が相続税対策のアドバイスを得意にしているわけではないので注意してください。

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【この記事を監修してくださったプロ税理士先生】

公認会計士 税理士 岡本好生事務所 - 神奈川県横浜市中区

こんにちは。公認会計士、税理士の岡本です。横浜市中区で公認会計士税理士岡本好生事務所を経営しております。相続や事業承継でお困りの皆様への相続対策が私どもの柱の一つです。相続対策や事業承継対策は専門特化した会計事務所では良い成果が出ません。税金のことだけを考えても、相続税、所得税、法人税の全てに精通していなければ節税もできません。もっと言えば、税金だけのことを考える相続対策も愚かでしょう。30年にわたる経験と実績をご体感ください。専門家は専門家であるがゆえに間違いを犯してしまいがちです。例えば、相続税を安くするために争族を起こす、目の前の税金を安くするために数年後に会社をつぶしてしまうなどです。専門家が専門家としていい仕事をするためには、幅広い知識や経験も身に着けておく必要があると思っています。専門家であればだれでも同じわけではありませんよ。
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