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就労ビザ16種類を一覧で解説!申請方法や必要書類

最終更新日: 2024年04月24日

外国人を雇い入れたいなら就労ビザの種類を知っておく必要があります。就労が認められる業務に対応した在留資格を取得しなければならないためです。16種類の就労ビザを紹介し、資格取得の方法や注意点についても解説します。

就労ビザとは?在留資格との違い

外国人が合法的に日本に滞在し、一定の活動をしようとする場合は、在留資格を取得しなければなりません。在留資格にはさまざまな種類があり、日本で働くことを目的とした在留資格の通称が就労ビザです

就労ビザに該当する在留資格は全部で16種類あります。日本で働いている外国人はいずれかの就労ビザを取得し、資格ごとに認められた活動を行っているのです。

なおビザとは本来は外国人が日本への入国許可を求める証明書(査証)のことをいいます。就労ビザという言葉はあくまでも通称であり、ビザ(査証)と在留資格は内容や発行元機関も違うことを覚えておきましょう。

就労ビザは16種類!それぞれの内容と有効期間

就労ビザ全16種類それぞれの内容を解説します。何の仕事のための資格なのか、要件や在留期間と併せて見ていきましょう。

就労ビザの種類 内容 在留期間
技術・人文知識・国際業務 人文科学や外国文化などの知識を必要とする仕事ができる 5年・3年・1年・3カ月
特定技能 人手不足とされる特定の産業分野で就労できる 1年・6カ月・4カ月または3年・1年・6カ月
技能実習 技能実習制度で働くために必要な資格 最長5年
教授 日本の大学・大学院・短期大学・高等専門学校などで働ける 5年・3年・1年・3カ月
芸術 音楽・美術・文学などの活動を行える 5年・3年・1年・3カ月
宗教 日本で宗教活動を行える 5年・3年・1年・3カ月
報道 外国の報道機関との契約に基づいた報道上の活動を行える 5年・3年・1年・3カ月
経営・管理 貿易その他の事業またはその事業の管理業務を行える 5年・3年・1年・6カ月・4カ月・3カ月
法律・会計業務 日本で士業を行う場合に必要な資格 5年・3年・1年・3カ月
医療 医療系の業務を行う場合に必要な資格 5年・3年・1年・3カ月
研究 日本で報酬をもらいながら研究活動を行える 5年・3年・1年・3カ月
教育 日本の小学校・中学校・高等学校で教育活動に従事できる 5年・3年・1年・3カ月
企業内転勤 外国の事業所からの転勤者に与えられる資格 5年・3年・1年・3カ月
介護 日本で介護の仕事に就ける 5年・3年・1年・3カ月
興行 演劇・演奏・スポーツ・芸能といった活動を行える 3年・1年・6カ月・3カ月・15日
技能 特殊な分野で熟練した技能を発揮する仕事に必要な資格 5年・3年・1年・3カ月

技術・人文知識・国際業務

就労ビザ『技術・人文知識・国際業務』は、人文科学や外国文化などの知識を必要とする仕事を行うための資格です。就労ビザという場合は、一般的にこの資格を指すケースが多くなります。

  • 従事できる仕事:機械工学技術者・通訳・デザイナー・語学講師・マーケティング業務従事者など
  • 主な要件:業務内容に関連した学歴や職歴がある、学歴は海外または日本の大学卒か日本の専門学校卒業以上
  • 在留期間:5年・3年・1年・3カ月

特定技能

人手不足とされる特定の産業分野で就労できる資格が、就労ビザ『特定技能』です。1号と2号の2種類があり、対象となる産業分野は大きく12に分かれています。

  • 従事できる仕事:国が指定する特定産業分野
  • 主な要件:1号・2号のいずれも試験に合格する必要がある
  • 在留期間:
    • 1号:1年・6カ月・4カ月(通算上限5年)
    • 2号:3年・1年・6カ月

技能実習

就労ビザ『技能実習』は技能実習制度で働くための資格です技能実習制度により受け入れた外国人に日本の技術・知識を教え、習得した技術・知識を外国人が母国で発揮することを目的としています。

  • 従事できる仕事:母国で習得が困難なスキルを身に付けられる仕事
  • 主な要件:習得したスキルを帰国後に発揮する予定であることなど
  • 在留期間:法務大臣が個々に指定する期間(技能実習1号1年、技能実習2号・3号2年、段階的に取得することで最長5年)

教授

就労ビザ『教授』を取得すると日本の大学・大学院・短期大学・高等専門学校などで働けます。認められている業務は研究・研究の指導または教育を行う活動です。常勤・非常勤は問いません。

  • 従事できる仕事:学長・所長・校長・教授・准教授・助手など
  • 主な要件:勤務場所や活動内容が決まっている
  • 在留期間:5年・3年・1年・3カ月

芸術

音楽・美術・文学などの活動を行える就労ビザが『芸術』です。芸術の範囲は広いため認められる職種も多岐にわたります

  • 従事できる仕事:作曲家・作詞家・彫刻家・工芸家・画家・写真家など
  • 主な要件:芸術活動だけで日本で生計を立てられる、受賞歴や指導歴があるなど
  • 在留期間:5年・3年・1年・3カ月

宗教

就労ビザ『宗教』は日本で宗教活動を行うための資格です僧侶・司教・宣教師としての業務に従事できます。宗教団体の職員を兼務することも可能ですが、雑務のみを行ったり単に信者として活動したりすることは認められていません。

  • 従事できる仕事:僧侶・司教・宣教師など
  • 主な要件:外国の宗教団体が派遣していること、宗教活動で生計を立てられることなど
  • 在留期間:5年・3年・1年・3カ月

報道

就労ビザ『報道』の資格を取得していれば、外国の報道機関との契約に基づいた報道上の活動を行えます

  • 従事できる仕事:報道記者・報道カメラマン・アナウンサーなど
  • 主な要件:外国の報道機関が派遣していること
  • 在留期間:5年・3年・1年・3カ月

経営・管理

貿易その他の事業またはその事業の管理業務を行える就労ビザが『経営・管理』です。外国企業の子会社を日本で設立したり、日本で新たに会社を設立したりして、経営・管理業務に携われます。

  • 従事できる仕事:企業の経営者や役員など
  • 主な要件:事業所が日本にある、常勤職員を2人以上雇っているなど
  • 在留期間:5年・3年・1年・6カ月・4カ月・3カ月

法律・会計業務

法律・会計業務』は日本で士業を行う場合に与えられる就労ビザです。資格を取得していても士業ごとの独占業務を行わない場合は、『法律・会計業務』ではなく『技術・人文知識・国際業務』を取得する必要があります。

  • 従事できる仕事:弁護士・公認会計士・税理士・司法書士・行政書士など11士業
  • 主な要件:資格を取得しており、士業ごとの団体に登録済みである
  • 在留期間:5年・3年・1年・3カ月

医療

就労ビザ『医療』は医療系の業務を行う外国人に与えられる資格です。外国の資格ではなく日本の医療系資格を取得している必要があります。また単に有資格者というだけで事務職に就いている場合は許可されません。

  • 従事できる仕事:医師・歯科医師・薬剤師・看護師・歯科衛生士・理学療法士など
  • 主な要件:医療系の日本の資格を有している
  • 在留期間:5年・3年・1年・3カ月

研究

日本で報酬をもらいながら研究活動を行える就労ビザが『研究』です公的機関や民間企業との契約を求められます。認められる業務はあくまでも研究であり、商品開発やマーケティング調査といった業務は対象外です。

  • 従事できる仕事:研究員
  • 主な要件:日本の公私の機関と契約している、一定の学歴や実績の要件を満たしている
  • 在留期間:5年・3年・1年・3カ月

教育

日本の小学校・中学校・高等学校で、語学教育などの教育活動に従事する場合は、就労ビザ『教育』を取得する必要があります。民間の英会話学校で働く場合は、教育ではなく『技術・人文知識・国際業務』を取得しなければなりません。

  • 従事できる仕事:小学校・中学校・高等学校での語学教育やその他の教育
  • 主な要件:大学以上の学校を卒業、日本の専修学校の専門課程を修了など
  • 在留期間:5年・3年・1年・3カ月

企業内転勤

『企業内転勤』は外国の事業所からの転勤者に与えられる就労ビザです勤続年数・対象職種・就労期間・給与水準・経営状態のそれぞれに要件があります。学歴要件がないため『技術・人文知識・国際業務』で雇えない場合も選択肢になり得ます。

  • 従事できる仕事:外国の事業所から日本の事業所に転勤して業務に取り組む
  • 主な要件:技術・人文知識・国際業務ビザに該当する職種で1年以上勤務など
  • 在留期間:5年・3年・1年・3カ月

介護

日本で介護の仕事に就きたい外国人は就労ビザ『介護』が必須です。介護福祉士の資格を持っていれば、資格取得ルートにかかわらず『介護』が認められます。日本の公私の機関との契約も要件となっています。

  • 従事できる仕事:介護福祉士
  • 主な要件:日本の養成施設で学んだ後、日本で介護福祉士の資格を取得。または、3年以上の実務経験の上、実務者研修を受講し,介護福祉士の国家試験に合格
  • 在留期間:5年・3年・1年・3カ月

興行

『興行』は演劇・演奏・スポーツ・芸能といった活動を行うための就労ビザです。不法就労や不法残留が多発した時期があったことから、現在は厳しい審査が行われます。

  • 従事できる仕事:歌手・俳優・タレント・プロスポーツ選手・格闘家・ダンサーなど
  • 主な要件:外国での経験が2年以上など
  • 在留期間:3年・1年・6カ月・3カ月・15日

技能

就労ビザ『技能』は特殊な分野で熟練した技能を発揮する仕事に必要な資格です。対象となる職種が決まっており、それぞれに一定の実務経験を求められます。日本における業務内容についての証明書類も提出しなければなりません。

  • 従事できる仕事:調理師・調教師・ソムリエ・パイロット・スポーツ指導者など
  • 主な要件:実務経験や業務内容の証明など
  • 在留期間:5年・3年・1年・3カ月

就労ビザを新規で取得・変更する方法

就労ビザの新規取得にかかる日数の目安は1~3カ月、変更の場合は1~2カ月です。新規取得の流れや申請時に必要な書類、変更するときの流れを解説します。

就労ビザを新規で取得する流れ

新たに就労ビザを取得する場合、最初に出入国在留管理局で在留資格認定証明書交付申請を行わなければなりません。交付された証明書は受け入れ先企業が受け取るため、受け入れ先企業は外国人本人に証明書を送付する必要があります。

証明書を受け取った外国人本人が在外公館で証明書を提示し、就労ビザの発行申請を行います。在外公館で就労ビザが発行されれば新規取得は完了です。

外国人本人が日本に来る前に手続きを進める必要があるため、在留資格認定証明書交付申請は受け入れ先企業が本人の代わりに行います。

就労ビザ申請時の必要書類

就労ビザの申請時に必要な書類は、就労ビザの種類により異なります。技術・人文知識・国際業務を申請する場合の必要書類は次の通りです

本人が用意する書類

必須書類:在留資格認定証明書交付申請書・写真・返信用封筒・パスポート

必要に応じて:学歴や職歴を証明する書類

雇用主が用意する書類

四季報の写し、上場を証明する書類、設立の許可を受けたことを証明する書類(写し)など

就労ビザの種類によっては必要書類の量が多くなるため、早めに準備しましょう。

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就労ビザを変更するときの流れ

外国人が日本で働いている間に就労ビザを変更しなければならなくなった場合は、出入国在留管理局で在留資格変更許可の申請を行う必要があります

変更許可申請は原則として本人が行わなければなりません。結果の通知も本人が受け取ります。

就労ビザの変更が許可されたら、本人が在留カードとパスポートを持参して出入国在留管理局に出向き、新しい在留カードが発行されるという流れです。

外国人の採用時に就労ビザで注意すべきポイント

就労ビザの申請は外国人の採用後に行うため、資格取得を許可されない状況にならないよう注意する必要があります。採用時の就労ビザ申請で気を付けるべきポイントを見ていきましょう。

就労ビザが下りない職種がある

就労ビザは日本における全ての職種に対応しているわけではありません。採用を決める際はその業務で就労ビザを取得できるかの確認が必須です

例えば現業で採用手続きを進めてしまうと、就労ビザが下りない恐れがあります。技能実習を取得すれば現業でも働けますが、技能実習はあくまでも外国への技術移転が目的であることに注意が必要です。

また日本の資格を取得していても、就労ビザで働けない職種は数多くあります。例えば保育士は該当する就労ビザがありません

外国人を採用する際は就労ビザが下りる人材かどうか見極める必要があります。内定を出しても就労ビザを取れなければ、採用計画に狂いが生じてしまうでしょう。

外国人の学歴と関係ない業務では許可されない

就労ビザによっては一定の学歴が要件として設定されているケースがあります。卒業校で学んだ内容と日本での業務に関連性がなければ申請が通りません。

大学を卒業している場合はやや緩めの基準ですが、専門学校を卒業している場合は専攻内容と業務内容がほとんど一致している必要があります。

また海外の大学を卒業している場合は、日本の短大・大学・大学院相当のレベルが求められます。海外の専門学校卒業は対象外です。

有効期間(在留期間)を超過すると不法滞在になる

就労ビザで働いている間は有効期間(在留期間)に注意しましょう。有効期間を過ぎた状態で働いていると、入管法70条により不法滞在となります

違法行為を問われるのは外国人本人だけではありません。不法滞在者を雇用している企業も、入管法73条2により不法労働助長罪に問われる恐れがあります。

就労ビザの更新を忘れていたことに気付いた場合、出入国在留管理局に連絡して本人が出頭しなければなりません。面倒な手続きを行うことになるため、有効期間が過ぎる前に更新しましょう。

適切な就労ビザを選んで申請を

就労ビザの種類は全部で16種類ありますが、日本における全ての仕事が該当するわけではない点に注意しましょう。就労ビザの対象外の職種で外国人を採用しても、当てはまるビザがないため日本で働けません。

有効期間にも気を配り、不法滞在や不法労働助長罪に問われないよう、期限を守って更新手続きを行いましょう。

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