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台湾人の就労ビザはどう用意する?技人国ビザの取得要件や申請方法

最終更新日: 2024年06月28日

日本で就労している台湾人は、1万5000人以上います。台湾人の国民性はフレンドリーで真面目なので、一緒に仕事しやすい点がメリットです。台湾人を雇用する際に必要な就労ビザについて、種類や申請方法を解説します。

就労ビザの種類と従事可能な業務の例

働く台湾人

外国人が日本に入国する際にはビザが必要です。観光や知人訪問などで利用するビザと、就労で必要になるビザの違いについて解説します。また台湾人の雇用においてポピュラーな職種についても紹介します。

就労ビザは16種類

ビザは正式には「査証」といい、外務省が発行し入国審査の際に必要とされるものです。観光や知人訪問、報酬につながらない商用などで90日以内滞在する際には、短期滞在ビザを申請します。

報酬が発生する業務で外国人が日本国内に滞在する場合には、就労が認められている「就労ビザ」が必要です。

就労ビザは技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、技能など、業種によって16種類あります。業務内容によって申請するビザが異なる点は要注意です。

台湾人の雇用でポピュラーな職種

日本国内に在留している台湾人は、2022年12月時点で約5万7000人です。そのうち約1万3000人の台湾人が、技術・人文知識・国際業務のビザ(通称「技人国ビザ」)を取得しています

日本で雇用される台湾人において近年増加している業種は、システムエンジニアやプログラマーなど、ITエンジニア関連です。

台湾人に最も多い「技人国ビザ」の取得要件

日本に在留している台湾人には、技人国ビザを取得しているケースが最も多く見られます。技人国ビザとはどのようなものなのか、取得要件と併せて確認しましょう。

技人国ビザとは

技人国ビザとは「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を指します。そのうち技術は、理系分野の知識や技術が求められる業種向けです。プログラマーやシステムエンジニア、機械工学の技術者などが該当します。

人文知識は文系分野の学問的・体系的な知識が活かせる業種に向いています。海外事業部での業務や、海外ユーザーをターゲットにしているマーケティングなどです。

国際業務とは外国人ならではの感性や知識を業務に活かせる職種に向いています。インバウンド関連業務や通訳などです。

台湾人側の取得要件「学歴」

台湾人が技人国ビザを取得するためには、学歴要件・職歴要件のどちらかを満たしている必要があります。まずは学歴要件について確認しましょう

  • 台湾・海外の短大や大学、大学院を卒業している
  • 日本の短大や大学、大学院を卒業している
  • 日本の専門学校を卒業し、専門士以上の学位を習得している(海外の専門学校は要件対象外)

台湾・海外もしくは日本の短大・大学・大学院を卒業している場合、短期大学士・学士相当以上の資格を取得している必要があります。どの科目でもいいわけではなく、日本で就業予定の業務に関連する科目を履修し、卒業しているのが取得要件です。

また就業予定の業務に専門性がある点も重要です。専門の知識や技術を必要としない単純作業だと、技人国ビザは取得できません。

留学していた頃のアルバイトも審査対象

台湾人が日本に留学して短大・大学・大学院や専門学校に通っていた場合、アルバイトをしていたケースもあるでしょう。技人国ビザを取得する際、留学していた頃のアルバイトについても審査されます

留学生が日本でアルバイトをする場合、資格外活動許可が必要です。資格外活動許可には「アルバイトは1週間に28時間以内」「風俗営業等でのアルバイトは認めていない」など、さまざまな決まりがあります。

労働は許可されている時間内だったか、パチンコやゲームセンター、キャバクラなどで働いていなかったかという点を、厳しく審査されます。

台湾人側の取得要件「職歴」

台湾人が技人国ビザを取得するにあたって、学歴の要件を満たしていない場合でも、職歴が要件を満たしていれば申請できるケースもあります。

必要な職歴は日本で就業予定の業務に関連する実務経験です。技術・人文知識で申請する場合は10年以上、国際業務で申請する場合は3年以上が必要とされます

実務を証明するためには、勤務していた企業に在職証明書を出してもらう必要があります。円満な退職でなかったり、勤務していた企業が倒産していたりすると、在職証明書の取得が困難もしくは不可能です。

必要な実務経験の年数分の書類が入手できなければ、技人国ビザの申請が難しくなると考えましょう。

雇用企業側の要件

台湾人が技人国ビザを申請する際には、雇用する企業側についても審査されます。台湾人を雇って業務を担当させる必要があるのか、充分な業務量があるかなどがチェックされるポイントです

継続的に安定して外国人材を受け入れる基盤が必要なので、証明できる書類の提出も必要とされます。台湾人社員を不当に安価な報酬で雇わないように、日本人社員と同等、もしくはそれ以上の報酬を支払う契約かという点も重要です。また過去に入管法違反をしていないことも、重要な要件といえます。

上記の要件を確認するための書類として、雇用企業の登記事項証明書や、直近年度の決算書類を提出します。税務署受付印のある前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(控え)や、損益計算書と貸借対象表も必要です。

申請前に内定を出しておく必要がある

技人国ビザ申請時の必要書類として、雇用契約書もしくは内定通知書が挙げられます。そのため技人国ビザを申請する前に、台湾人に内定を出しておく必要がある点を覚えておきましょう。

法律に基づいた労働条件で雇用するかどうかが確認されるので、労働条件をしっかり明記します。

審査の際には審査官から本人に対し、契約内容について問い合わせが入るケースもあります。本人が契約内容を把握し、受け答えできるように、労働条件を説明しておきましょう。

なお在留資格が取得できない場合に備えて、雇用契約書に「停止条件」を明記し、「技人国ビザを取得できた場合に、本契約が発効する」と設定しておけば、不法就労を防止できます。

就労ビザ申請手続きの流れ

台湾人を雇用してから就労ビザ申請・入国までの、手続きの流れを解説します。在留資格認定証明書の発行には1~3カ月かかるので、スケジュールに余裕を持って申請しましょう。

経歴確認・書類の準備

台湾人の雇用を決めたら、その台湾人が技人国ビザの要件を満たしているかどうか、学歴や職歴などの経歴を確認します。台湾人、雇用企業それぞれで書類の準備を進めましょう

台湾人側 履歴書・職務経歴書・卒業証明書・在職証明書・退職証明書、証明写真、パスポートなど
企業側 登記事項証明書・前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表・直近年度の決算書類・雇用契約書もしくは内定通知書・会社概要書・職務内容説明書など

状況や在外公館によって必要書類が異なります。在留資格認定証明書を申請する地方出入国在留管理官署日本台湾交流協会にそれぞれ確認しましょう。

在留資格認定証明書の申請・送付

業務内容に応じた在留資格認定証明書を申請します。台湾人本人が申請するのではなく、雇用する企業の職員が、日本国内で代理で手続きを行います。地方出入国在留管理局に届け出た弁護士や行政書士に、申請取次者として申請を依頼することも可能です。

在留資格認定証明書の申請には、日本での活動内容・在留資格に応じた申請書や資料が必要です。

審査に通ったら、在留資格認定証明書がメールか郵送で代理申請者に対して送付されるので、雇用予定の台湾人にメールか郵送で送りましょう。

本人の審査

台湾にいる台湾人本人がビザ発給申請を行います。企業から在留資格認定証明書を受け取ったら、日本台湾交流協会の管轄区域の事務所(台北事務所か高雄事務所)に手続きに行きます

あらかじめ準備しておいた書類と、受け取った在留資格認定証明書を、日本台湾交流協会の管轄区域の事務所に提示しましょう。

在留資格認定証明書の有効期間は、本人が受け取った日ではなく交付日から3カ月間です。満了日までに日本に入国しなければならないため、受け取ったら速やかに手続きを進めるように伝えましょう。

日本台湾交流協会の審査が通ると、ビザが発給されます。

日本入国

台湾人は発給されたビザと在留資格認定証明書を用意して、日本に入国します。到着空港で在留資格認定証明書を提示すると、在留カードが交付されます。

在留カードには在留資格・在留期間・在留期間満了日などが記載されていますが、この時点では居住地は記載されていません。

日本での住居を決めたら、14日以内に市町村役場に届け出ると、在留カードに住所が記載されます。住所の届け出をしない場合、在留資格が取り消される可能性があるので、速やかに手続きを行いましょう。

就労以外で90日以下の滞在ならビザは不要

日本は69の国や地域を対象にビザを免除しており、台湾はそのうちの1つです。ビザが免除される滞在と、所定のビザが必要になる滞在の違いについて解説します。

台湾はビザ免除国

台湾は観光目的や知人訪問などの90日以下の短期滞在なら、ビザが必要ないビザ免除国です。ビザ免除の対象は、身分証番号が記載された台湾護照(旅券)を持っている人です。

報酬につながる活動をしなければよいため、就職活動で日本を訪れる場合も、ビザは必要ありません。なお90日以下の滞在でも、報酬を得る活動に従事する場合は、活動内容に応じたビザの取得が必要です。

台湾人に多い技人国ビザの取得は計画的に

自社で台湾人を雇用する場合、職種や業務内容に応じた就労ビザが必要です。日本に在留している台湾人の中で、最も多く取得されているのは技人国ビザです

技人国ビザを取得するためには、学歴や職歴などの要件があり、数多くの証明書類が必要になります。雇用しようとしている台湾人が、技人国ビザ取得の要件を満たしているかどうか、申請前にしっかり確認しましょう。

技人国ビザを申請する際は、書類集めや申請後の審査に時間がかかるものです。スケジュールに余裕を持って、計画的に申請しましょう。

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