ミツモアメディア

中国人を採用するには就労ビザが必要。申請の流れと要件をチェック

最終更新日: 2023年09月25日

中国人を会社で雇用する場合、日本の就労ビザを取得しなければいけません。就労ビザには全部で19種類あり、それぞれ異なる分野の職業に対応しているのが特徴です。中国人が日本の就労ビザを取得する手順や、取得するための要件について解説します。

中国の人材を雇用するには就労ビザが必須

就労ビザ

中国籍の人材が日本で働くには、労働を目的とした在留資格である就労ビザを取得する必要があります。19種類ある就労ビザの種類について確認しましょう。

「技術・人文知識・国際業務」ビザが一般的

外国人労働者が日本で働くには、在留資格である就労ビザが必要です。中国人をはじめとした外国人が取得できる就労ビザには、外交ビザや芸術ビザなど、全部で19種類あります。

職業に応じたさまざまなビザが存在するものの、中でも「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得するケースが多いのが特徴です。技術・人文知識・国際業務ビザは、略して「技人国ビザ」とも呼ばれています。

技人国ビザは専門的な技術・知識を持った外国人を日本に受け入れるためのものです。人文科学や自然科学に関する業務はもちろん、国際的な文化基盤にまつわる業務も、範囲に含まれている点を覚えておきましょう。

その他のビザ・資格を紹介

中国人の人材を受け入れる際に利用できる在留資格は、就労ビザ以外にもいくつか存在します。介護福祉に携わる仕事であれば、「特定技能ビザ」「技能ビザ」「介護ビザ」のいずれかを利用して働くことが可能です

少子高齢化が進んでいる日本では、介護現場で働く外国人労働者が増加しています。人材不足の解消を目的とした特定技能ビザや、専門的な技術を持つ人材が働くための技能ビザは、介護福祉の業務に最適です。

また介護福祉資格を持っている人は、資格自体を在留資格として利用できます。日本の学校に通って資格を得ることで、在留資格を留学から介護に変更できるため、そのまま介護福祉士として日本で働けるのがメリットです。

就職活動には短期滞在ビザがおすすめ

一口にビザといっても、日本国内での就労を目的としたものだけでなく、短期滞在用のビザも存在します。短期滞在ビザは90日以内の滞在に対応しているため、外国人が日本で就職活動を行う際に便利です

短期滞在ビザは本来、知人を訪ねたり観光したりと、日本への旅行客用として利用されています。商用の目的も含まれていますが、あくまでも就労ビザとは異なるため、短期滞在ビザでは働けない点に注意しましょう。

短期滞在ビザは実際に仕事に就くのではなく、まずは日本で仕事を探したいと考えている外国人に適しています。就職活動がどの程度の期間で終わるかは分からないため、滞在する日数に関係なく、短期滞在ビザを取得しておくのがおすすめです。

どのような業務に従事できるのか

就労ビザを取得することによって、科学や工学などの専門的な技術を要する仕事に従事できます。技人国ビザの範囲には、どのような業務が含まれているのかチェックしましょう。

「技術」に当てはまる職業

技術・人文知識・国際業務ビザの「技術」とは、「理学、工学その他の自然科学の分野に属する技術・知識を要する業務」を指します。製造や研究開発など、専門的な知識が必要とされる仕事が代表的です。

研究開発だけでなく、IT関係の仕事も技術分野に含まれます。技術の範囲に当てはまる代表的な職業は以下の通りです。

  • SE、プログラマー
  • 精密機械の設計・開発
  • 農業技術者
  • 情報システム担当

IT関係の知識を持つシステムエンジニアはもちろん、建築や農業に関する技術者など、科学技術のジャンルは多岐にわたっています。会社内のシステムや、ITインフラの構築・保守を担う情報システム担当者も、会社を円滑に経営する上で欠かせない仕事の1つです。

「人文知識」に当てはまる職業

入管法では人文知識の職業を、「法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務」と説明しています。技術が理系分野の職業だったのに対し、人文知識は文系の職業が該当するのがポイントです。

人文知識といっても、語学・哲学から金融関係まで幅広いジャンルの職業が含まれています。人文知識に当てはまるのは、主に以下のような職業です。

  • 経理、人事、法務、総務
  • コンサルティング
  • 企画、マーケティング
  • 商品開発

専門的な業務が多い技術分野に比べて、人文知識に関しては、多くの会社に存在する経理・法務などの業務も含まれています。教育関係の仕事や、政治・経済も人文知識にあたるため注意が必要です。

「国際業務」の例

国際業務の分野では、翻訳・通訳といった、語学の知識を必要とする業務が代表的です。入管法には「外国人特有の文化に基盤を有する思考や感受性を必要とする業務」とあるように、感性を生かした芸術的な仕事も含まれるのが特徴といえます

国際業務における芸術関連の仕事として挙げられるのが、デザインや建築などのジャンルです。以下に、国際業務に当てはまる仕事の例をいくつか紹介します。

  • 翻訳、通訳
  • 語学学校の講師
  • 建築家
  • デザイナー全般

デザイナーといってもファッションだけでなく、Webデザイナーや広告デザインの作成なども含まれ、業務内容は多様です。語学力が求められる仕事には、通訳や講師に加えて、ホテルマンなども挙げられます。

就労ビザを取得するための要件「取得者側」

中国人が日本の就労ビザを取得するためには、学歴や職歴などの要件を満たさなければなりません。取得者側に求められる、就労ビザの要件について解説します。

学歴・職歴

日本で就労ビザを取得するためには、中国や海外で、日本における短期大学士以上の学位を取得している必要があります。中国の大学を卒業していたとしても、この要件を満たしていないと判断されるケースがあるため、きちんと確認を行いましょう。

中国の大学には4年制と3年制の専科大学がありますが、「高考」と呼ばれる入試を受けて入学していれば、学位がなくても学歴として認められるのが特徴です。留学生として日本の大学を卒業したり、専門学校を卒業して、専門士の称号を得たりする方法もあります。

学歴の要件を満たしていない場合は、専門的な知識を要する10年(あるいは3年)以上の職歴が要件です。この場合にはこれから従事しようとしている仕事に関連した分野で働いている必要があります。

専攻科目と業務内容に関連がある

大学や日本の専門学校を卒業している人は、専攻した科目と関連のある業務に就くことが求められます。日本での業務内容と専攻科目に深い関連がないとみなされると、就労ビザを取得できない可能性があるのです。

技術分野に就職するなら理系の科目、人文知識にまつわる仕事に就きたいなら文系の科目を学んでいると、ビザの取得に役立ちます。国際業務分野の仕事に就職する場合は、専攻科目の文系・理系を問わず、認められるケースも多いようです。

また就労ビザによって従事できる仕事には、専門的な技術と知識が要求されます。そのためサービス業や接客業などの、単純な業務を担う仕事には就けない点にも、注意しましょう。

就労ビザを取得するための要件「会社側」

就労ビザを取得する際には、取得する側だけでなく雇用する会社側にも要件が定められています。中国の人材を受け入れるために、会社側に求められる要件をチェックしましょう。

外国人労働者の受け入れ状況

外国人労働者を継続的に受け入れられる状況だと認められることが、会社側に求められる要件です。安定的な経営が行われていなければ、外国人労働者を受け入れる体勢が整っているとはいえません。

これまでに外国人を雇用した経験があるか、報酬をきちんと支払える状況かなどが、判断のポイントです。決算状況が赤字になっている会社は、経営を改善するための事業計画書の提出が求められるケースもあります。

基本的な点として、過去に入管法違反がなかったかどうかも審査基準の1つです。就労ビザを取得した外国人労働者を、ビザで認められている業務に従事させていれば、特に問題はありません。

雇用の必要性・業務量

技術・人文知識・国際業務ビザで定められている業務範囲は、専門的な知識が要求される仕事がほとんどです。そのためその会社に就職して、該当する仕事に従事する必要性が、認められなければいけません

専攻分野に合った会社に就職したとしても、単純作業に従事しているなら取得要件に当てはまらないため、注意が必要です。大学で学んできた知識や技術を生かした業務に取り組むことが求められます。

加えて会社から与えられる仕事の量が、十分にある点も大切な条件です。勤務する場所と労働量が適切であることは、外国人が就労ビザを取得するための要件に含まれています。

日本人と同じかそれ以上の給料

技術・人文知識・国際業務ビザの規定として、海外から来た労働者にも日本人と同じ額の給料を支払うことが定められています。海外の人材を安く雇用するのは規定違反にあたるため、正しい待遇で雇用することが重要です。

「外国人労働者を雇うことで、人件費を抑えられる」と考えている人もいるかもしれませんが、それは誤ったイメージだと認識しましょう。決まった金額があるわけではありませんが、同じ業務を担当する日本人と同じか、それ以上の給料を支払うのが基本です。

会社によっては、外国人労働者に各種手当が支払われているケースもあります。手当の分がプラスされるからといって、基本給を低く抑えるのも違反にあたるため、注意しましょう。

就労ビザを申請する流れを解説

実際に就労ビザを申請する手順や、必要な書類などを紹介します。

中国に住んでいる人の場合

海外に住んでいる人が日本に入国するには、「在留資格認定証明書」が必要になります。申請する本人がまだ日本に来ていないため、雇用する会社側が代理人申請を行うのが一般的です。

就労ビザを申請する場合、会社側が内定を出してから必要な書類を用意します。在留資格認定証明書交付申請書、写真、パスポート・在留カードに加えて、企業がビザの取得要件を満たしているかどうかを証明する書類を作成しましょう。

取得する人が専門学校を卒業しているなら、専門士の称号を持っていることを証明する書類を、提出する点も重要です。証明書は中国語の書類なので、日本語訳を添えて提出しましょう。

日本に留学している人の場合

日本に留学している人は、すでに留学ビザを取得しています。中国人留学生が日本で就職する場合、留学ビザから就労ビザへの変更を行うのが一般的な方法です

ビザを変更するための要件や必要な書類は、中国に住んでいる人を呼び寄せる場合とほとんど変わりません。住居地を管轄する地方出入国在留管理官署で、在留資格変更許可申請を行いましょう。

在留資格変更は地方出入国在留管理官署を訪れるだけでなく、オンラインからも行えるのがメリットです。マイナンバーカードがあれば手軽に申請が完了するため、忙しい人は検討しましょう。

すでに日本で働いている人の場合

中国の人材を採用する際、すでに日本の会社で働いている中国人が、転職するというケースもあります。この場合にはすでに就労ビザを取得しているため、改めてビザを取得しなくても働くことが可能です

ただしこれまでの仕事と異なる業務に就くのであれば、新たに就労ビザを申請する必要があります。就労ビザの取得には専攻科目と業務との関連性が必要なので、職種が変わると、新たに専攻科目との関わりを示す必要があるのです。

同じ職種に転職するのであれば、新たにビザを申請する必要はありません。転職する際に「就労資格証明書」があれば速やかに手続きを進められるため、申請しておくのがおすすめです。

雇用時は「外国人雇用状況の届出」も必要

中国人労働者を雇用するには、就労ビザの取得要件を満たすことが重要です

就労ビザを取得していない中国人を雇用すると、不法就労に該当します。その後に海外の人材を雇用する際に悪影響が出ないよう、事前にきちんと確認を行いましょう。

外国人労働者を雇用したときや離職したときには、「外国人雇用状況の届出」を提出する義務があります。提出を怠ると罰金が科せられるため、忘れずに行いましょう。

中国人のビザ申請代行に強い行政書士を探すならミツモアで!

簡単!無料の3ステップでぴったりのプロが見つかる!

質問に答えるだけで最大5社から見積もりが届く

スマホやパソコンからかんたんな質問に答えると、自動で条件にぴったりのおすすめ事業者から最大5件の見積もりが届きます。

手作業で条件や日程が合う事業者を1件ずつ探す必要はありません。

料金・口コミ評判を比較して選べる

見積もりの料金を比べられるのはもちろん、過去にミツモアでお仕事を依頼した利用者からの口コミ評価も確認できます。

口コミからはサービスの質や人柄などがうかがえることが多く、金額以外の判断材料も得られるので安心です。

チャットで事前に仕事内容の相談ができるので安心

契約前にサイト内のチャットで事業者と直接メッセージのやり取りをすることも可能。事前に見積もり内容に関する質問や相談ができるので、不安を解消した上でお仕事を依頼できます。

ビザ申請代行・入管業務代行に強い行政書士の見積もりを依頼する