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【図解】ベタ基礎とは?特徴や役割・強度について!布基礎との違いも比較!

最終更新日: 2024年06月28日

マイホームを購入しようと思っている方は、ベタ基礎や布基礎という言葉を聞いた事がありませんか?家をどっしりと支える基礎は住宅にとって最も重要な部分です

今回は家を支えている基礎の構造、特にベタ基礎とは何なのかについて詳しく解説していきます。メリット・デメリットを解説し、どんな家に向いているのかが分かるようになっています。

よく比較されがちな布基礎との違いも解説するので、参考にしてください。

ベタ基礎とは?特徴や性能・役割を解説

基礎工事

ベタ基礎とは近年の住宅建築において多く採用されている基礎構造(建物を支える土台のような役割)です。

ベタ基礎の図

ベタ基礎は画像緑色の部分=「建物の床を乗せる立ち上がり部分」+「地面に接している床部分」を鉄筋コンクリートで一体化し、建物の重量を面で支える構造になっています。

床から立ち上がりの部分に至るまで全て鉄筋コンクリートで覆うため、地面からの湿気を防げるなどのメリットがあります。

メリット デメリット
  • 耐震性・強度が高い。
  • 不同沈下が起こりにくい。
  • 防湿性が高い。
  • 施工費用が高い。
  • 建築会社で中身にバラつきがある。

※詳しくは後ほど解説します。

ベタ基礎の施工方法・工期について

コンクリートの基礎知識

ベタ基礎施工の工期は季節や天候に左右されますが、大体2週間前後です。

ベタ基礎施工の流れ(概要)
地盤調査 建築現場の地盤を調査する作業。
根伐(ねぎり) 基礎を打設する部分の地面を掘削する作業。
砕石敷き・転圧 基礎打設部分の地面に砕石を敷き、その上から圧力を掛けて地面を強固にする作業。
防湿シート・捨てコンクリート打ち 地面に防湿シートを張り、基礎の外周部に目印のコンクリートを打つ作業(建築会社によっては防湿シートを張らない場合もある)。
鉄筋の配筋作業・型枠の設置 基礎の鉄筋を組む作業。その後コンクリートを流し込むための型枠設置作業。
床面へのコンクリート打ち 床面にコンクリート(ベースコンクリート)を打設する。
立ち上がり部分のコンクリート打ち 立ち上がり部分に基礎と土台を接合するアンカーボルトを設置してから、コンクリートを打設する。

費用は施工業者や施工法によって大きく変わりますが約1万3,000円/㎡~になります。

ベタ基礎のメリット・優れた点

設計図と模型

ベタ基礎のメリットを解説します。

メリット①:耐震性・強度が高い

本記事冒頭でも解説した通り、ベタ基礎は立ち上がり部分と床面を一体化(画像緑の部分)し建物の荷重を面で受け止めます。そのため建物の揺れや衝撃なども、面で分散させる事ができます。

ベタ基礎の図

また鉄筋の入った厚みのあるコンクリートを、床と一体になるよう打設して作られています。ですから強度も高く、耐震性・強度ともに優れていると言っていいでしょう。

メリット②:不同沈下が起こりづらい

不同沈下とは建物の荷重などで地盤に対して圧力がかかり、地盤が水平ではなく一定方向に偏って沈下してしまう事を指します。

地盤が不均一に沈下すると建物が傾きます。そして内外装材に亀裂が入ったり、建具の開閉が難しくなったりなど、さまざまな問題が生じることになるんです。

ベタ基礎の場合は面で圧力を分散して受けるため、圧力が一定方向に集中してしまう可能性は低く、偏った沈下を起こしにくいと言えます。

ただし沈下は地盤の状態に左右されるので、ベタ基礎であるから不同沈下が起こらないわけではありません。逆にベタ基礎だからこそ、不同沈下に拍車がかかるケースもあるという点に留意しておきましょう。

メリット③:防湿性が高い

ベタ基礎は地面に防湿シートを敷いて、その上に厚みのあるコンクリートを打設するので、地面からの湿気をカットできます。さらに基礎と建物の間に基礎パッキン(※)を挟みこみ通気も確保するため、床下に湿気が発生したとしても逃がせるようになっています。

※基礎パッキンとは建物の土台と基礎の間に敷く緩衝材。土台と基礎の間に隙間を作ることで、床下換気のための通風口になる。

またベタ基礎は床から立ち上がり部分まで覆うような形で施工するので、シロアリやムカデなどの害虫が外部から床下に侵入してくる確率が低いと言えます。

ベタ基礎は本当にシロアリの被害に合わない?

シロアリ被害

ベタ基礎は床下部分を全てコンクリートで覆っているため、シロアリの被害にあわないとうたっている建築会社もあります。

しかし結論からいうと、ベタ基礎でもシロアリの被害に遭う可能性があるので油断は禁物です。

ベタ基礎といえども土台との接合部分や、経年によるコンクリートの伸縮の影響によって、人には認識できない極小の隙間は存在しています。シロアリが侵入するのに必要な隙間は0.6mm程。床下の環境がシロアリの好むものであった場合、被害に遭う可能性は十分にあります。

ベタ基礎だからシロアリは入ってこないとタカをくくって、防蟻(ぼうぎ)処理を怠ることがないようにしましょう。

ベタ基礎のデメリット・注意点

コンクリートの基礎工事

ベタ基礎は構造上メリットの多い基礎ですが、知っておくべきデメリットもあります。

デメリット①:施工費用が高い

ベタ基礎は立ち上がりから床に当たる部分全てに鉄筋を組み、コンクリートを打設して施工されます。当然1階の床面積が広ければ広い程、基礎打設部分の掘削量が増え、鉄筋の配筋量やコンクリート量も増えるため施工費は高くなります。

仮に30坪程で2階建ての戸建てを建築する場合なら、ベタ基礎・布基礎でそこまで価格差が出る事はないでしょう。しかし床面積が大きくなればなるほど費用の差は開いていきます。

デメリット②:施工会社でベタ基礎の中身にバラつきがある

ベタ基礎で施工していれば一律で強度が高いという訳ではありません。

使用している鉄筋の太さ、配筋の間隔などで強度は変わってきます。また最低限の配筋と鉄筋の太さで施工する建築会社もあれば、通常よりも太い鉄筋を使用していることを売りにしている建築会社もあります。

各建築会社で施工に特色があるので、ベタ基礎を選択したから耐震は問題ないと考えるのではなく、実際の施工内容も合わせて吟味する必要があるのです

ベタ基礎と布基礎の違い!特徴や性能を比較しよう

むき出しの基礎部分

布基礎はかつて日本の住宅建築でよく使われていた基礎構造ですが、近年ではベタ基礎の採用率が増えています。

ベタ基礎の図

布基礎は断面がTの字を逆にした形になるよう鉄筋コンクリートを打設し、立ち上がりの部分で建物の荷重を支えています。

布基礎の図

鉄筋を入れて打設するのはあくまで立ち上がりの部分だけ。それ以外の地面の部分は、薄いコンクリートを打って防湿対策をします。

布基礎はベタ基礎よりも立ち上がりの部分が長く設計されるので、局所的な圧力には強いという特徴があります。そのため鉄骨軸組造など、ポイントで圧力がかかる建物に対しては布基礎が採用されることが多いでしょう。

ベタ基礎と布基礎の性能・費用を比較

ベタ基礎と布基礎の比較を表にまとめました。

ベタ基礎 布基礎
耐震性 強い

面で荷重を受ける構造だから。

やや劣る

立ち上がり部分の線で荷重を受けるため。

不同沈下 不同沈下を起こしにくい

面で均一に荷重を受けるため。

不同沈下を起こす可能性がある

点で荷重を受け、特定の箇所に荷重が集中する場合があるため。

防湿性 高い

床面も厚みのあるコンクリートを打設するため。

低い

コンクリートの打設は立ち上がりの部分のみ、もしくは床面に薄いコンクリートを打つ形だから。

施工費用 比較的高い

全面的に鉄筋コンクリートを使うので、掘削や材料代に費用がかかる。

比較的低い

鉄筋を入れるのは立ち上がり部のみなので材料代は抑えられる。しかし床面に防湿対策でコンクリートを打つ場合は、作業工程が増えるため施工費が増える。

※耐震性や不同沈下については建物の構造や地盤の状態、基礎自体の作り方に左右されるため、表はあくまで一般論です。

荷重を面で受けるか・点で受けるのかによって性能が違うということですね。

ベタ基礎・布基礎を選択する際のポイント

女性

結局ベタ基礎と布基礎のどちらを選べばいいのかと迷っている方へ、簡単な判断の目安をお伝えするので参考にしてみてください。

【ベタ基礎の方が良い場合】

2×4やプレハブ工法の住宅を検討している場合 軸ではなく面で施工される建物の場合、それを受ける基礎もベタ基礎が適しています。
地盤の状態が少し緩い ベタ基礎の場合は地盤が多少緩くても接地面が多く安定するため、施工できる可能性があります。ベタ基礎で施工できた場合は地盤改良をせずにすみ、費用を抑える事ができます。

【布基礎の方が良い場合】

平屋建てを建築しようとしている場合 2階建てではなく平屋建てで床面積を多くとる場合、ベタ基礎だと材料費と掘削面積が増えてしまいます。布基礎の方が費用を抑えられる可能性があります。
寒冷地で家を建築しようとしている場合 寒冷地では地盤が凍る事により地盤が膨張し、中の基礎も押し上げられてしまいます。それを防ぐため凍結深度より深い位置に、基礎を作る必要があります。ベタ基礎だと掘削量が増えてしまい、費用がかさんでしまうので、布基礎のほうが適していると言えるでしょう。
鉄骨軸組造など、布基礎に適した構造の場合 布基礎は点で荷重を受けるため、鉄骨軸組造などポイントに対して大きな荷重がかかる建物に適しています。

基礎は建築する建物の構造、地盤の状態と合わせて判断する必要があります。そのため一律にどちらが優れているとは言えません。

また基礎の種類を決めるときは、建物を建てる地盤の強度も調べなければなりません。そのため勝手に決めるのはNG。施工業者と相談しながら、より合ったほうを選択しましょう

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